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紙の本
二つの文化の狭間に翻弄されながら、魯迅が目指すもの。
2007/02/10 21:24
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yumikoit - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国文学というと「大地」は好きでだいぶ読み返したけど、他は何故か殆ど読んだことがなかったなぁ。というわけでなんとなく借りてくる。
阿Q。なんていうのか、こういう人物を主人公にすえるというのが最初よくわからなかった。
訳者あとがきとか何とか読んで、魯迅の言わんとするところとかこの小説の目的とか、浮き彫りになってきて、それで読み返してしみじみと何かがしみとおってくる感じがする。
その感覚がもっとも強くなったのは「祝福」である。
自分の意志とは関係なく、後家といわれそしてむりやり再婚させられる女性。
それが社会のシステムとして彼女を「穢れた者」に貶めることになっても抵抗できない。そして彼女は段々落ちぶれていく。
ハンカチ、だっけ。あとはモーパッサンの「女の一生」?
定められた運命を生きるしかない女性。
そういう女性しか生み出さない社会のシステム。
そのあとの「藤野先生」は先の二つに比べて、日本での魯迅の経験をそのままに書いたような自伝的小説である。
大勢の日本人学生にまぎれて、中国人が銃殺される映像を見せられていたたまれない気持ちになる主人公。他の学生と分け隔てなく、しかし力強くバックアップする「藤野先生」。
「故郷」にかえってそして、魯迅が見たもの。
二つの自伝的小説と、先の風刺的小説2つとの間に、魯迅がいる。
「ちいさなできごと」がそれをつないでいるような気がする。
飼主日記-Yumikoit!?