紙の本
読んで良かった
2022/05/07 23:31
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投稿者:羽 - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊東歌詞太郎さんの選書フェアをきっかけに読みました。
将棋のルールは知らないのですが面白く読めました。
天才と呼ばれるような方の頭の中が言葉で表現されている本は、自分の知らない世界を知ることができて面白いです。
紙の本
彼女の生涯を通じた愛の物語
2022/01/14 21:21
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
将棋に人生をかける人が何名が登場するが、
それぞれにおける将棋の意味が違うから、
これは将棋小説ではない。
彼女の生涯を通じた愛の物語なのだ。
彼女にとって将棋とは相手を思い合うゲームであり、
対局するのはコンピューターでもリアルの対戦相手でも、
その向こうに彼を感じていたのだろう。
彼を思い、自分を伝える手段だからこそ、
命を削って指し続けるのだ。
人との出会いには恵まれている、と彼女は言ったが、
恵まれたものにしているのは彼女自身だと思った。
将棋を通じて愛を伝えられる彼女だからこそつかめる
幸せな未来が見える気がした。
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投稿者:usa_0814 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一千年におよぶ歴史の中で、女流棋士はいても棋士は存在しない。その将棋の世界で初めて女性として棋士になった千桜夕妃という人物を中心にして、彼女を追いかけていく人々を描いた作品です。女性記者の亜弓、義弟の智嗣、若きライバルの飛鳥、天才棋士の稜太の視点を経て、千桜夕妃の将棋と人生が紐解かれていきます。
内容は将棋ものですが、リーグ戦や大会の規定などを知らなくても通じるよう簡潔に説明がされていて、将棋のルールを知らなくても、初心者が読んでわからなくなることはありません。各章を語る登場人物たちもそれぞれが異なる性格で、それぞれが魅力的に描かれています。特に棋士の家に生まれたエリートだからこそ誰よりも負けてきたと自負する飛鳥や、コンピュータのロジックを実践することで無類の強さを持つ稜太の二人は、千桜夕妃にも劣らず惹かれる存在です。
各章を個別で見れば面白く、各章がそれぞれ深く関わってもいるのですが、惜しむらくは全体を通すとテーマがばらけてしまい、誰を中心にして読めばいいか、何を伝えたいお話なのかがぼやけてしまう印象があります。千桜夕妃の一貫した物語ではなく、夕妃と飛鳥のライバル物語でもなく、将棋を舞台にした群像劇にも見えません。
もう一度いいますが各章を個別で見れば、特に三部、四部、五部は間違いなく面白い作品です。だからこそせめて誰か一人の視点に絞って、その人の目で千桜夕妃を追いかける話にして、それ以外のエピソードをばっさり省いてしまうか、いっそ飛鳥の話、稜太の話、夕妃の話で三冊の別の本にして書いてほしかったというくらいに一冊で全部読むのがもったいない感じでした。
「私だけじゃ難しいかな」をクライマックスに持ってくればと思わせるくらい、四部が白眉です。
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将棋の事は良く解らないですが、棋士になるには東大に入るより難しいと言うのが印象的でした。
視点が変わると、他の人の視点では見えなかった所が見えて見方が変わりました。
特に千桜夕妃がとても印象的でした。デビュー戦で突如消えた空白の時間。頑なにその理由を明かさないけれど、本当の理由が解った時、タイトルの意味が理解出来ました。
そして、勝負にまっすぐな飛鳥と、天才最年少棋士の稜太も夕妃にとっては好きライバルで、爽快でした。まさか結婚するとは意外でした。
ただ、義母だけは許し難い存在で、いつか一緒に暮らせる日が来ると良いですね。
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将棋に詳しくなくても楽しく読めましたが、将棋の世界を知っている方の方が、より楽しめるのかなと思います。
個人的には、女性が棋士を目指すというテーマと、登場人物個人の物語が、どちらも劇的、壮大であるがゆえに、少々お互いのよさを消し合っているように感じました。
(これは私がもっとシンプルな棋士同士の駆け引きや、天才になれない猛者の葛藤を見たいだけかもしれません…)
物語としての山場、設定が盛りだくさんなので、全体を通して終始ドラマチックに進みます。映画のような怒涛の展開が好きな方にオススメです。
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ほんとに綾崎先生はすごい。一作目からずっと追っている一読者として、まず10周年を迎えられたことにお祝い申し上げたいです。おめでとうございます。また、待望のレッドスワンシリーズ続編の発表も非常に楽しみにしております。花鳥風月シリーズやノーブルチルドレンでは特定の職業ではなく、いわゆるどこかにいる人人の話を書くスタイルだったかと思いますが、レッドスワンや今回の作品では特定のスポーツや職業を深く掘り下げてさらにそこでの人間ドラマを描かれています。将棋という私にとってはあまり親しみのない競技ではありますが、将棋の魅力も十分すぎるほど伝わるものでした。とてもバランスがいいのだと勝手に思っています。
さて、綾崎先生といえば私の中では人物描写が特に優れている方だという認識ですが、今回もまた繊細に力強くキャラが描かれていて、どのキャラクターも魅力的です。将棋の対決の高揚感や緊張感、また敗北や勝利に対する葛藤や喜びが事細かに描かれており、こちらまでドキドキさせられます。
ネタバレは含まない方が良いと思うのでこの辺で終わりたいですが、相も変わらず綾崎先生の作品が大好きになる作品でした。
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棋士と女流棋士の違いもわからない、奨励会の年齢制限も知らない、そんな私でも最後の最後までこの世界で楽しんだ。いや、楽しんだというのは違うか、苦しみながらともに走った、という感じか。
女性が棋士となる。そしてタイトルを手にする。
文字にすればたったこれだけのことが、どれほどの困難を伴うのか、いやというほど思い知らされた。
最高の環境で育ってきた棋界の申し子飛鳥と、肺に持病をもちながら年齢制限ぎりぎりで棋士へと挑戦する夕妃。
16歳と26歳での初対局からの長い長い闘いの日々。
まさに命を削って駒と向き合う二人の、それぞれの半生。将棋だけを見つめてきた日々は、けれど意外な物語を秘めていたわけで。それが明かされるラストの展開。そうきたか…そういうことか…とすべてが腑に落ちる。
個人的には別の展開を予想していた。全然違いましたけど(笑
その予想が外れた後の展開は次の想定内ではあったが、細かい伏線が美しく回収され最高のラストへと導かれる。
厳しい世界ではある。けれど、それはヒトとヒトをつなぎ、相手のことをとことん思いぬく勝負であり盤上での心のやり取りなのだ。
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佐竹、諏訪、竹森、千桜という四人の視点で物語が描かれる。なぜ初めて女性棋士になった千桜はその後失踪したのか?がテーマ。なんと言っても千桜の行動が酷すぎる。自分はあまり将棋に詳しくはないが、現実では未だ女性棋士は誕生していないらしい。女性棋士になるのはそこまで難しいものなのに、千桜は自分の好きな人に会いに行きたいがため女性棋士としての試合を放棄し、挙げ句の果てには子供を産み、さらにはその子供を義母に奪われたにもかかわらず「日本人だからしょうがないか笑」みたいな感じで子供を置いて日本に帰国し、また女性棋士として活動を再開するという全く筋が通ってない行動をしている。本気で初めての女性棋士を目指してた諏訪はこの話を聞き本当に千桜を許しただろうか?また千桜の弟の智嗣は両親が親権を放棄し千桜の家庭に引き取られた孤児という描写を入れたにもかかわらず、千桜は子供を放棄して日本に帰国したことが許せない。最後にはスクスク育った子供と千桜の感動の再会!って感じにしてるが、全く感動しない。
そして諏訪の竹森に対する態度が酷すぎる。結婚してまで竹森に悪態をつき、作者がこの二人を結婚をさせる意味がまっったくわからなかった。
全体的に感動ストーリーを詰め込み、水で薄めた様な作品でした。
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全然タイプが違う4人の棋士をそれぞれの視点で書いたお話はどれも面白かった。子どもの頃からプロ棋士で活躍するまで、各人物が何を大事にして成長してきたのかよく伝わる物語で、引き込まれた。
1番の謎だった2年の空白が最後分かったときは爽快でした。
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さまざまな人の目線から見るひとりの女性棋士の物語。そして、愛の、人生の物語。飛鳥がすごく魅力的な女の子でついつい飛鳥に肩入れしながら読んでしまった。将棋についての知識はほとんどないけれど、最後まで楽しくわくわくと読んだ!
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将棋を愛し、将棋に愛される人々の軌跡
盤上に向き合う人々は、その想いも向き合い方も様々だ
けれども皆、本当に将棋が大好きかのだろう
正直私は将棋に興味が無くて無知であったけれど、そんなのは気にならず将棋に興味を持つ良いきっかけになったと感じる
綾崎先生の作品はやはり好きだなぁ
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連作短編.
女の子が棋士になることを夢見て叶えることの困難.そしてなってからも勝ち続けることの大変さを魅力的で個性豊かな棋士たちの視点で描いている.それぞれの人生を背負っての対局場面,その心情決意などグッときました.また,竹森稜太の純情が微笑ましかったです.
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愛というものは偉大だと思った。
人はやっぱり愛を求めているんだなと改めて感じた。
将棋という自分自身あまり知識のない分野の本だったけど、読んでいてすごく面白かった。
飛鳥と夕妃の関係が凄く好き。感動した。
そして稜太と飛鳥のトークが面白い
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冒頭の天才少女棋士が主人公かと思えば、ライバルの天才少年棋士でもなく、病に侵された天才女性棋士であった。
苦難と波乱の半生には惹かれたが、感情移入しきれずに終わってしまった。
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〇将棋の魅力をわからない人にもわかるように。切磋琢磨しながら夢を追いかける、感涙の青春小説
舞台はプロ棋士を目指す登竜門・奨励会。
猫愛のために新聞社を辞めた佐竹は、友人の勧めがありフリーの記者として奨励会で挑戦する若者を取材していくことになった。将棋一家に育った諏訪飛鳥を皮切りに、そのライバルである史上最年少棋士に挑戦する竹森稜太、二十六歳遅咲きの千桜夕妃のあわせて3人と交流・取材を進めていくことになる。それぞれには夢があり、それを喧々諤々やりあいながら、追いかける。
そして奨励会所属中の三段リーグで、飛鳥は稜太・夕妃と対戦するが、そのとき勝利したのは・・・?!
*****
いつもなら、もうちょっと先までネタバレした形で書こうと思うのだけど、この小説は書けない。とにかく、読んでほしい。
最も惹かれるところは、登場人物がみんな「本気」だということ。
そもそも、女性と男性で、本で語られるほど将棋界で差がついていて、現状でも差があるということを知らなかった。その中で、今もし努力に努力を重ねている女性棋士を目指す人がいるなら、ぜひ応援したい。
もちろん、稜太も努力している。小さい頃からインターネットでの対局を重ね、コンピュータの指し癖の研究を重ねていまの棋士たちと戦う。
そして、将棋の指している間の「読みあい」が絶妙に面白い。
中盤クライマックスの、稜太と夕妃が指しているときは、夕妃が超人的に稜太の気持ちを読むのだが、それを抜きにしても2人の対局の様子には思わず息をのむ。
こんなに将棋と小説がガチっとマッチするなんて、思わなかった。
将棋は、それぞれの人生もかかっていて、プロになれるかなれないかもかなり厳しい道を歩む「競技」だ。一種のスポーツとして、青春小説に仕立て上げた筆者はすごい。
強いて言えば、飛鳥がもっと別なシーンで対戦を重ねているシーンも見たかったところだが、この本では夕妃の物語として譲ろう。
*****
さて、将棋と病気の共存を描いた小説は、本作にも若干触れられる通り、聖の青春(大崎善生著)
があまりにも有名だ(ただしこちらはノンフィクション)。
聖こと村山聖は、幼少期にネフローゼにかかってしまったが、周りの介抱を受けながら極限まで努力を重ねてその最期まで将棋を指し続けた人間である。
なかなかとらえにくい「病気&将棋」を、聖の青春に負けず、将棋愛と生命力、そしてなぜか将棋人生を応援したくなる気持ちを余すことなく表現してくれている。