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まさにハリウッド版冒険活劇アドベンチャー気分で読んでしまいました。危機ありスリル満点のサバイバル、ぜひ映画化期待しています。はたして「奇跡の百合」はみつかるのか?ハラハラドキドキ読む手が止まりませんでした。
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私の行きたくない場所トップ3に入る場所であるアマゾンを舞台にした物語。何が嫌って得体の知れない虫とか命を脅かしてくる肉食獣やらがうようよしており,生き残れる気がしないからだ。おまけにアマゾンに入る直前から怪しい男らにつけ狙われるという脅威付き。
アマゾンに集まる5人の人間。一応,「奇跡の百合」を入手するという目的があるが,全員別の真の目的を持っているし,寄せ集めの集団なので互いに信用できそうにない。特に飛び入り参加したジュリアはどう考えても他力本願だったと思う。生きてきた環境は想像以上に壮絶だったけれども。というか,それだけバイタリティーがあるんなら色仕掛けで他人に任せるより自分で成し遂げれるんじゃないかと思ったよ。
三浦は植物研究者という肩書上,体力なさそうと思っていたが,いざとなると弱者を守るため勇敢に立ち向かう点が物語の主人公然としていた。ただ,幾度も窮地に陥るのでハラハラさせられるが。
もう一人の主人公(と勝手に思っている)である高橋も,周囲に翻弄された人生だが,しっかり地に足をつけて生活している人だと思う。貧しい暮らしから抜け出したくてブラジルに来たのに,奴隷のような生活を強いられ,仲間のはずの日本人にもハブられた過去を持つ。
高橋は自分が苦境に立たされる可能性があっても正直に意見を述べるが,それは彼が過去,自らの過ちにより信頼を失った経験があるからこそだと思う。
いつの時代も村八分は辛い。
アマゾンで目的を達した者もいれば,道半ばで倒れた者もいる。
それぞれ納得のいく理由ではあったし,最終的に三浦と敵対した彼についても,私の中では悪人とは位置づけづらい。もちろん,殺人は賛成し兼ねるが,彼も使命があったからこそ必死だった。
しかし,未開の地で暮らす人々の暮らしを脅かすことについては反対だ。
絶滅危惧種を保護しなければという思いは,時に傲慢だと思う。
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アマゾンを舞台に、アメリカの製薬会社が組んだチーム。リーダーのクリフォード、日本の植物学者三浦、植物ハンターデニス、ボディーガードのロドリゲス、そして環境問題に取り組む大学生ジュリア。
癌の特効薬を作るために役立つ『奇跡の百合』を見つけることがミッション。
アナコンダだのクロカイマンだのジャガーだの、絶対に遭遇したくない猛獣たちの攻撃を潜り抜け、世界の医療のために奇跡の百合を求めて奥へ奥へ…なんて話かと思いきや、アマゾンに生きる貧しいゴム採取人(セリンゲイロ)たち、木を伐採し土地を売ろうとする地主、先住民たち、そして胡散臭い探検チームが複雑に騙し合い絡み合い殺し合い。まさにノンストップサバイバル。
彼らの本当の目的とは?ロストスピーシーズの本当の意味とは?
涼しい部屋でぼんやりコーヒー飲んでる場合じゃない!こんなに血のたぎるサバイバル小説、見逃す手はない!
細かいアレコレが気になったりもするけど、ブラジルの実情、アマゾンの現状がよくわかる。
私たちが何気なく使っているあれもこれも、この謀略と策略と差別と搾取の上で製品化されているというこの現実におののく。
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勿論標準以上の面白い作品なのだが、他の下村作品と比較するとストーリは少し落ちる感じ。だが、アマゾンの密林の生態描写やセリンゲイロの生活、戦後棄民された日本人の実態等物語のピースひとつひとつは丁寧に調べ上げれらた上で、下村氏に見事に調理されており、読み応えは十分あった。表題のロスト・スピーシーズやミラクルリリー等ネーミングセンスも際立つ。
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南米・アマゾンの密林を舞台にした冒険小説……ではなかった。残念ながら。
植物学者の三浦はアメリカの大手製薬会社の依頼を受け、“奇跡の百合”を探すためマナウスを訪れる。探索チームは他に、製薬会社の社員、現地人のボディーガード、プラントハンターのイギリス人、そして飛び入り参加の女子大生の計5人。どれも腹に一物を抱えたメンバーばかりだ。さらに第二次世界大戦後ブラジルに渡った日本人の子孫が絡む。
細部に瑕疵が多く気になって仕方ないし、思い出話で物語が進むのでリズムに乗れない。そもそもタイトルがおかしいと思ってしまった。
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完成度は高いと思った
伏線はどんどん回収されるし、
大蛇、鰐の描写も良くて、
来るか、来るか?とドキドキする。
映画の一場面を想起させられます。
ただ、
最初のほうで乗れなかったのと
単純に話が好みでなかったからかな。
良くできているのにオススメしたいと
思わなかった…
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幻の植物「奇跡の百合」を見つけるため、アマゾンの奥地へと踏み入ることになったチーム。とある目的のある植物学者の三浦もそのチームに同行するが、その道中で遭遇する恐るべき野生生物や謎の襲撃者たち。そして森の中で暮らすゴム採取人たちと森林開発者との争いにも巻き込まれることに。終始スリルに満ちた冒険ミステリ。
読んでいる分には楽しいのですが。アマゾンの奥地って行きたくありません。圧倒的な自然って素晴らしくはあるのだけれど。人間が太刀打ちできるものではない気がして、恐ろしくも思えました。ブラジル入植の歴史もまた重いです。しかしどこでも搾取するものとされるものとがいるのは、都会と変わらないんだなあ。
滅びゆくものというのはいつの時代にもあって、仕方がないことでもあるのですが。どうせ滅びるのだから好きにしてもいい、というのは傲慢でしかありませんね。
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物語の柱となるテーマが絞りきれてないと感じてしまった。
未知の植物、アマゾンの大自然、ブラジル移民、言語学までーー。
メインはどれだったのだろうか?
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アメリカの製薬会社が、がんの特効薬になる幻の植物「奇跡の百合」を探索するため南米アマゾンの奥地へ向かう。
そのメンバーに加わった植物学者の三浦は、他に目的があった。
一瞬の油断もならないくらいの密林。
その中で男たちの真の目的が明らかになったとき…
獰猛な肉食動物からいかに命を守るのか、もそうだが
アマゾンでの出来事は、現実とは思えないほど。
インディオの存在やセリンゲイロの集落でゴム採取する集団。
まさにサバイバルである。
そして、シナイ族という失われる種(ロスト・スピーシーズ)の存在。
すべてが明らかになるにつれ、過酷な現状に目を瞑りたくなった。
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社会派ミステリーというイメージの下村作品。前情報なしで読んだ。薬品として使えるかもしれない「奇跡の百合」を見つけるために、アマゾン探検隊が組織される。リーダーは、アメリカの製薬会社のクリフォード。ボディーガードのロドリゲス、植物ハンターのデニス、大学生ジュリア。そして日本人の植物学者・三浦。三浦にはアマゾンに行く理由はもう1つ、失踪した彼女(言語学者)を探すため。この物語はタイトルにもあるが種がテーマであるが、植物だけではなく、動物、ヒトが錯綜する。しかもWWIIの日本人との関係性もあり重厚感はあった。③
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ブラジルが背景となる作品は久々だ。今話題となっている、直木賞受賞作家の垣根涼介さんの『ワイルド・ソウル』以来(2004年作、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞と、史上初の3冠受賞)。内容はほとんど忘れてしまったが、ブラジルに移住した日本人移民の生き残りが日本政府に復讐を計画するストーリーで、手に汗を握りながら超熱く一気読みした。異国ブラジル独特の熱気に咽せ、当時大学生だった遠住みの息子と携帯で長く感想を言い合った。
下村さんによるブラジルストーリーに期待を寄せた。
がんの特効薬ともなる幻の植物「奇跡の百合」を見つけるために、大手製薬会社に所属するクリフォードが南米アマゾン奥地への探索チームを結成する。植物研究者としてメンバーに加わった三浦は、ボディガート役の金採掘人ロドリゲス、植物ハンターのデニス、環境問題に取り組む大学生・ジュリアと共にアマゾンに分け入ってゆく。ほどなくして、三浦は「奇跡の百合」ではなくアマゾンで行方不明になった恋人・沙穂の探索が目的ということがわかる。彼女はアマゾンで絶滅危機の惧れがある部族の言語を研究する言語学者だった。タイトルのロスト・スピーシーズとは植物の種子のみではなく絶えてしまう部族も示していた。世界の言語は500年で半減し、今は6千から7千あるが、百年後は半減すると言われている。「英語の一人称は単数形だと"I"だけだが、日本語には私、俺、僕、あたし、うち、わし、わい、自分、拙者と性別や立場で使い分けている。日本語でも一人称を統一すべきという主張もあるけど、多くの言語はそうした欧米人の価値観による”正しさ”で奪われ消されてきた」と、沙穂に語らせている。更に、沙穂が語る普遍文法の考え方も興味深かった。人間は生まれながらにして文法がゲノムに組み込まれているから言語を獲得できるという説だ。
ブラジルはアマゾンに生えているゴムの木からゴムを採取して経済的に発展したが、ゴムの木の種が他の国に植えられ競争が熾烈化。ゴムの木を伐採して劣悪な環境になるのを防ごうと守る環境保護を貫く人たちとの攻防も描かれている。
シナイ族として地球上にたった2人だけ生存する少女。彼女らは本当にインディオを保護をする団体に守られるのだろうか? 疑問が残る。
興味深い話の種も多数蒔かれている反面、あちこちに散漫してしまったのが惜しまれる(参考文献も数多い)。盛り上がるシーンが突然に途切れ、帯に書かれた『一瞬も油断できない密林サバイバル』のサスペンス要素は、水を差されたようにも感じられた。
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初読み作家さん
アマゾンの情景が浮かぶので、私には合う作家さんと思われます。
外国を訪れる物語を読むと行ってみたくなるが、さすがにここは…
三浦が追っている女性が実は生きていて…というオチかと思ったけど、そうはいかなかった。
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新薬開発のため、アマゾン奥地にあるという「奇跡の百合」を探して、製薬会社社員、植物ハンター、植物学者、用心棒は行く。そこに環境に興味のあるという現地女子大生、奥地に住むゴム取り人たちの集落、先住民、さらにはワニ、毒蛇、ヒョウも出てきて、息をもつかせぬ先行き。ゴム取り集落には戦後ブラジル移民として親に連れられやってきた日本人もいた。
最後に明かされる真の目的がかなりおもしろい。乱歩賞受賞の「闇に香る嘘」では満州開拓移民を扱ったが、今回はブラジル移民、ブラジルのスラム、砂金取りたち、ゴム採集、アマゾン開発など社会的要素もからませる。
「小説野生時代」2021.6月号~2022.4月号連載。
2022.8.26初版発行 図書館
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ミステリを主戦場にしてきた下村にしては珍しく王道の冒険小説である。
だが物語が進むにつれて失速気味なのが残念、結局宙ぶらりんのままで消化不良の部分も多数ある。ただ、臨場感は抜群で本当にアマゾンのジャングルを進んでいるような感覚になる。
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アマゾンの奥地での攻防?逃亡?が見応えがあって良かった。ただあんなに遭遇するものなのか?あんなに追いつけるものなのか?という疑問は感じた。まあ追いつかないと話進まないんだけどもね。