紙の本
対極な2編を楽しめる一冊
2016/03/14 20:50
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
2編が収録されてますが、語り手も男女でことなり内容も前者はすこしこわい話だし後者は女の内面をうまく掬いとっていて…という感じで全く違う筆者が書いたかのようでした。
私は、表題作が好きです。
会う人にあわせて服を決めるとかわかるなーって。TPOにあわせてではなく、(自分が好きな)相手に好印象をもってもらうために頑張って服選ぶのとかがよくわかります。クリーニングに出すと高くつくとか、同じ服でも着る人が変わると妙にカッコ悪く見えたりとか、身近な感覚が入っていて面白かったです。主人公の相手の気持ちを予測して言動を起こすとことかまさに女子っぽい。20代後半からの社会人には、実感してることとかがちらほらでて面白いと思います、友情に焦点が当たってて恋愛恋愛してないのもよかった
紙の本
対照的なふたつの作品。
2015/12/22 20:30
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作は結婚願望の強い二十八歳の女性視点。男性を見極めるためにつき合いは複数の人としていて、洋服もすべてデートを想定して…といかにもな設定。それでも厭味にならないのは、作者の筆力の高さと、主人公に近しいふたりの人物、だりあとユーヤがよく描けていることによるだろう。特に、だりあに関しては後半意外な展開を見せ、ストーリーとしても純粋におもしろかった。
「いなか、の、すとーかー」は、故郷に工房をつくって創作活動をしている陶芸家が主人公。彼の、作品に取り組む姿勢や情熱などもおもしろく、読みどころ。ただ、タイトルからも推測がつくように女性のストーカーがついており、そこに危うさが潜む。それも、都会から追っかけてきたストーカーだけでなく、憎からず思っていた年下の幼馴染もストーカーだったという、かなり怖い展開になる。ふたりの内面はどちらも相当歪み、ギリギリのところにいる。描き方がうまいだけに、暗く重苦しい話になりかねないところを、かろうじてとどめているのが主人公の悪友ともいえるすうすけの存在。明るく、時には主人公を茶化しながら、時には叱りつけるすうすけがいい役割を果たしていた。
全体的に説得力のあるうまい描き方だったが、主人公がストーカーふたりと向き合ったところで気持ちを変える場面で、なぜ急に変わったのかがせりふからは充分伝わってこず、そこは残念だった。
紙の本
ちょっと無理をしていないか?
2017/12/27 12:15
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
短篇二本である。
「いなか、の、すとーかー」「ウォーク・イン・クローゼット」
自分にとっては、どうも当たり外れがある作家さんのようである。
一本目のいなか、の、すとーかーは、若い陶芸師のお話。
美大を卒業し、本格的に陶芸を始めて三年の石居透のところに、
ドキュメンタリー番組の灼熱列島が取材に来た。
TVで番組が放映されると、人気が出ていろいろな話が舞い込み、
周りとのギャップに苦しみ始めるというストーリーだ。
そもそも取材が来たのは、故郷の小椚村という田舎で
頑張っているからだろう。山の土を使い、沢の水を含ませ、
納屋のような工房でろくろを回す。
窯入れの火は裏山の薪を使う。
そんな分かりやすいロハス感がポイントのようだ。
たしかに裏山に土は探しに行く。
川の水は、ただそこにあるから使うだけ。
裏山の薪に至っては、そもそも他人の持ち物だから、
足りない時にちょっと拾うくらいはいいとしても、
ベースとなるのは裏山から運んでもらっていたりする。
そんな作られた野趣と現実のギャップに、演技をして
埋めていることに気づく。
TVの影響は思ったより大きく、喜んでいたら、あの女が来た。
東京にいたころから、ありとあらゆる発表会に現れる女。
わざわざ、ありえない登場の仕方で。
ストーカー女に話が集中するかと思ったら、
主人公の煮え切らなさや、周りの友人たちとの微妙な空気感が
描かれていく。
展開が読めてしまうのは少々残念だったが、主人公と周りの
心理面のぶれ方はなかなか面白かった。
表題作のウォーク・イン・クローゼットは、申し訳ないが
不自然さを感じてしまった。洋服好きで、男の目ばかり
気にしているオンナノコの生活。
著者のテリトリーになさそうな人物像を書いて
みたかったのかもしれない。こちらはちょっといただけなかった。
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綿矢さん、同世代だなーと深々と感じた笑。同世代すぎて痛いくらい。そうなのです、アラサー女子の考えてることがたっぷり詰まった表題作は読んでいて心臓痛くなったよ。いま、まさにいまのわたしみたいで。
若い頃の恋愛というか男女の失態はかわいそう、と被害者ぶれるけど、この歳になると自業自得なのだすべて。ヤリモクだとかそういうの全部全部全部。大事にしてくれないのわかってるのに期待しちゃう、夢見ちゃうわたし。救いようもないけど、それでも夢見続けちゃうんだよね、傷つきながらも。タイムリミットを勝手に設けて早く早く早くと焦っては空回り。
ストーカーの話はちょっといまいちピンとこなかったかな。面白いんだけど普通。パンチがない。それは男の子が主人公だからかな。影ながら見守るストーカーの砂かけさんよりも、幼い頃からずっと一緒にいる果穂のが気持ち全然わかる。あんな風に感情をさらけ出して、さらけ出したくないのに抑え込んでいて辛かっただろうな、と。
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これは私が感じたことだから、何の参考にもならないと思いますが…。
綿矢さんの、広がりをとても感じました。
今までは人の中身の奥の奥まで透かして見せられ
それはそれでおおっと唸るほど
目を見張る表現で私は大好きだったのですが。
あー。上手く言えないですね。
変化する他人の心情や環境に強張って身構えるのではなく
自分が見られていない感じられていないものの
奥行きの部分に
ふと身を任せているような自然体な安心感。
って何書いているか自分でもわからなくなりますが
不思議な心地よさがある2編でした。
「いなか、の、すとーかー」
「ウォーク・イン・クローゼット」とも好きですね。
恐れず身を委ねちゃえ。
力を抜けば、抗わずにそれに乗ってしまえば
今なにをしたらいいかが見えてくるよと
綿矢さんに肩をたたかれた一冊です。
年末にものすごく忙しい状況になり、
殺伐としていたメンタルが、
思った以上に癒されて感動です。
鋭いもので、シュッときられると
身構えながら読んでたものですから、
予測していなかったほわほわに、脱力しています。
綿矢さんの表現も変化している。
その変化の過程に私も乗っかり、これからも
新しい境地に連れて行ってもらおうと思います。
気負わずに新年を迎えられます。
綿矢さん、ありがとう。
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表題作の『ウォーク・イン・クローゼット』と『いなか、の、すとーかー』という作品を収録。
→https://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-12092190113.html
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女性の友情を描いた表題作とストーカーに悩まされる鈍感で優柔不断な男子の物語の中編二作。表題作はいつもの著者らしい大人ガーリーなお話。もう一作は二人の女性と二人の男子の心理描写が絶妙にいい。読後はほのぼの癒される一冊。
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「ウォーク・イン・クローゼット」
後味爽やか。
よし、自分もがんばろって素直に思えた。
洗濯が趣味って、素晴らしい魅力。
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(2016/1/13読了)
久しぶりの綿矢作品。ちょっとコミカルで、20代後半の友情や恋愛の話がふたつ収録。
軽くて、ちょっとハラハラして、まるで漫画を読んでいるような感じ。
登場人物が自分とはあまりにも年代が違うのでどうかなって思いながら読んだけど、どちらの話も、後半には読むスピードも加速するほど面白かった。
。。。綿矢さんのことを考えるとき、つくづく思うのよね〜 天は二物以上を与えるんだなぁって。
(内容)
「いなか、の、すとーかー」注目の陶芸家としてすべて順調だったおれなのに、郷里の村の工房に女ストーカーが現れて…。「ウォーク・イン・クローゼット」ガーリーで清楚なモテファッションのOL早希。素敵な服に囲まれて暮らすタレントのだりあ。そんなふたりの友
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中編2編。
「いなか、の、すとーかー」
郷里に戻り工房をかまえる陶芸家 石居を追うストーカーとの話。すぐに真相がわかってしまって残念。
「ウォーク・イン・クローゼット」の
28歳、彼氏なしの会社員 早希はタレントだりあと幼なじみ。だりあのマンションには、夢のようなウォーク・イン・クローゼットの部屋がある。
後味のいい友情話。さらっと読めた。
(図書館)
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表題作を読むと、女性ふたり組の描き方がいつもよりやわらかいというか、「友情」がまっすぐ描かれていて、新鮮だった。
文庫化したりしてるからか、2年ぶりという感じはしなかっけど。がっつり長編も読みたいなぁ。
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「いなか、の、すとーかー」と「ウォーク・イン・クローゼット」の二本仕立て。
前作はテレビ出演もした新進気鋭の陶芸家と、その陶芸家に恋する二人のストーカーの話。
始めはなんだかそら恐ろしい話だったけど、主人公がストーカーに真摯に対して最終的には何となく円満解決になる様子にほっとしました。
後作は彼氏が何人もいて、服が好きで休日は洗濯をするのが趣味のOLと、その幼なじみでタレントのだりあの話。
素敵な二人だけど、心にはそれぞれ空虚を抱えている。
その空虚さに共感します。
このあとどうなるんだろう。。ドキドキはらはらしながらも、最後はハッピーエンドでこちらもほっとしました。
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『いなか、の、すとーかー』
『ウォーク・イン・クローゼット』が収録されていました。
『いなか、の、すとーかー』
陶芸家の透がストーカーされる話。じつはストーカーはふたりいて、散々悩まされるんだけど、このふたりのおかげで自分の方向性を再度見直す。
透のグダグダ感は見ていてイラッとしたところもあったけど、まあ最後はよかったかな。
『ウォーク・イン・クローゼット』は、服が好きだけど付き合う相手にあわせて着るものを選んでしまう早希の恋愛と幼馴染でモデルのだりあとの友情話。
恋愛がなかなかうまくいかない早希だけど、1回フラレてもう友達になってしまったユーヤといちばん合う気がしたな。
洗濯の話で盛り上がれるひとがいちばん!笑。素を見せられる人じゃないと疲れちゃうと思う。
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だいぶとライト。綿矢りさ。
綿矢りさの小説はとても大好きです。なんなら綿矢さんのこと、本名で呼びたいくらい好きで、でも旧姓しか知らないからなあ。現在の本名知りたいなあ。むふー
というストーカー的な妄想に至るくらい好きでしたが・・・
ど・う・し・た・の!?
表題作のウォーク・イン・クローゼットなんて、もう柚木麻子みたいになっちゃって・・・(ごめんなさい・・・)
明るくて綺麗な、さらっとした話が好きな人は好きだと思いますが、
人生そんな簡単じゃねえええよ!もっと考えることあんだろ、オラ!もっと思考の渦に巻き込ませてくれよおおおお・・・!!!みたいな精神的暴君にとってはミーハーなお手軽な小説になっちゃって。軽いんじゃあああ!という感想。
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「いなかのすとーかー」は何が何だかわからない話でした。
主人公を含めた登場人物の思考がよくわからない。
明確にメッセージがある話ではないんだろうけれど何が言いたいのかサッパリ。
文章力だけで乗りきってる感じ。
もう一つの「ウォークインクローゼット」は好きです。
主人公の服に命をかけるかのような姿勢、好きです。
デートする男性がいちいちヤリ目すぎるけど(笑)
2時間くらいのスペシャルドラマになって欲しい。