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地鳴き、小鳥みたいな
著者 保坂和志
子ども時代の記憶を確かめようと訪れた、母の実家の町。土地の描写のなかに、「あなた」と呼ぶ女性とのやりとりが綴られる。(「地鳴き、小鳥みたいな」)夏。K先生の訃報。若い友人...
地鳴き、小鳥みたいな
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地鳴き、小鳥みたいな
商品説明
子ども時代の記憶を確かめようと訪れた、母の実家の町。土地の描写のなかに、「あなた」と呼ぶ女性とのやりとりが綴られる。(「地鳴き、小鳥みたいな」)夏。K先生の訃報。若い友人の死。20代で出会ったある先生との忘れがたい対話。枯れて見えたその先生から聞かされた性欲をめぐる話が意外で、20代の私はただ驚いた(「夏、訃報、純愛」)。他に2篇を収録。
目次
- 夏、訃報、純愛
- 地鳴き、小鳥みたいな
- キース・リチャーズはすごい
- 彫られた文字
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紙の本
ささやかな清流の美味い水
2016/12/23 21:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:j_j_ichi - この投稿者のレビュー一覧を見る
ええと、これはどんな感想を持ったと語るべきなのだろうか、というのが感想。
“短編集”と銘打たれた帯に従うのであればこれは小説なのだろうし、文芸誌に掲載されていた文章であることも考えれば小説なのであろうと思うのだけれども、これが小説であるという先入観を持って読み始めたら、とてつもなく戸惑うことになった。
タイトルがつけられた4つの文章があるのだけれど、それぞれが緩やかにつながっていて、とりとめもないような思考と意識がこちら(=読み手)の存在をほとんど気にしないような感じで、ささやかな清流のように静かに音を立てて流れていく。その水をすくいとろうとしても、すくいとった水はすでにすくいとろうとした部分の水ではなく、すくとろうとした部分の水は既にかなり下流に流れていっている、でもすくってみた水をちょっと口に含んでみたら美味い、そんな心地。こんな感じで何を言ってるのかあんまりわからないのだけれども、本当にこの本についてはあらすじを語るのはナンセンスというか、あらすじをまとめることがほとんど不可能なので、ページをめくってもらうしかない(…と、書いているこの文章も保坂さんの文章に多分に影響を受けている気がする)。
するすると読み進めていくことができるようなタイプの文章ではないけれど、読み終えるとなんだか不思議な余韻が残り続ける。文法的にはおそらく正しくない表現が多数出てくるのだけれど、その引っ掛かりも含めて。小説の中での自由な表現を求め、小説という枠を静かにブチ壊しにかかっているような。