「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
読割 50
紙の本
アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ)
著者 大和田 俊之 (著)
【サントリー学芸賞(第33回)】アメリカのポピュラー音楽を社会とのかかわりにおいて考察し、さまざまな音楽ジャンルがどのように形成され、発展してきたかをたどる。音楽史そのも...
アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ)
アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
【サントリー学芸賞(第33回)】アメリカのポピュラー音楽を社会とのかかわりにおいて考察し、さまざまな音楽ジャンルがどのように形成され、発展してきたかをたどる。音楽史そのものの“歴史化”の過程も詳らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
アメリカ音楽産業の殿堂・グラミー賞の歴代受賞者も多数登場。
偉大なるプレイヤーたちとそのサウンドの<歴史>をめぐる、エキサイティングな1冊!
ロック、ジャズ、ブルース、ファンク、ヒップホップ……音楽シーンの中心であり続けたそれらのサウンドは、19世紀以来の、他者を擬装するという欲望のもとに奏でられ、語られてきた。
アメリカ近現代における政治・社会・文化のダイナミズムのもと、その<歴史>をとらえなおし、白人/黒人という枠組みをも乗り越えようとする、真摯にして挑戦的な論考。
2011年サントリー学芸賞[芸術・文学部門]受賞
[目次]
はじめに
第1章 黒と白の弁証法 ――偽装するミンストレル・ショウ
第2章 憂鬱の正統性 ――ブルースの発掘
第3章 アメリカーナの政治学 ――ヒルビリー./カントリー・ミュージック
第4章 規格の創造性 ――ティンパン・アレーと都市音楽の黎明
第5章 音楽のデモクラシー ――スウィング・ジャズの速度
第6章 歴史の不可能性 ――ジャズのモダニズム
第7章 若者の誕生 ――リズム&ブルースとロックンロール
第8章 空間性と匿名性 ――ロック/ポップスのサウンド・デザイン
第9章 プラネタリー・トランスヴェスティズム ――ソウル/ファンクのフューチャリズム
第10章 音楽の標本化とポストモダニズム ――ディスコ、パンク、ヒップホップ
第11章 ヒスパニック・インヴェイジョン ――アメリカ音楽のラテン化
注
Bibliographical Essay │参考文献紹介
あとがき
索引【商品解説】
目次
- 第1章 黒と白の弁証法
- 第2章 憂鬱の正統性
- 第3章 アメリカーナの政治学
- 第4章 規格の創造性
- 第5章 音楽のデモクラシー
- 第6章 歴史の不可能性
- 第7章 若者の誕生
- 第8章 空間性と匿名性
- 第9章 プラネタリー・トランスヴェスティズム
- 第10章 音楽の標本化とポストモダニズム
著者紹介
大和田 俊之
- 略歴
- 〈大和田俊之〉1970年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後期博士課程修了。博士(文学)。慶應義塾大学法学部准教授。共著書に「村上春樹を音楽で読み解く」など。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
アメリカの音楽史を駆け足で眺める
2012/03/26 03:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かねたん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「はじめに」には、「本書はアメリカのポピュラー音楽史を(擬装)というテーマで読み解くものである」と書かれている。
「擬装」とは、他人になりすますことであり、アメリカのポピュラー音楽を駆動してきたのは他人になりすます欲望であるという。そして、その代表としてマイケル・ジャクソンを挙げている。
筆者は、慶應義塾大学法学部准教授で、専攻はアメリカ文学とポピュラー音楽研究であると、見返しに書かれている。
「あとがき」によれば、本書は2006年度から2008年度にかけて慶應義塾大学法学部(地域文化論)、同大文学部(米文学)、青山学院大学文学部(米文学特講)で担当した講義をもとに執筆したということである。
本文を読み終わったあとに、あとがきを読んで、すぐに納得した。
それは、本書がアメリカのポピュラー音楽史を駆け足で眺めていると感じたからだ。
大学での限られた回数の講義で、アメリカのポピュラー音楽史を概観しようとすれば、駆け足になってしまうことはやむを得ないと思う。
ただ、この駆け足が読者にとってどう作用するかは、読者が何を求めて本書を読むかによって異なるだろう。
細部はともかく、アメリカのポピュラー音楽全体を概観したいと思っているなら、オススメできる本である。
一方、例えば、特定のジャンルについて詳しく知りたいと思っているなら、それぞれのジャンルについて詳しく説明している本を読むべきだろう。
しかし、細部に目を向けるにしても、事前に概観しておくことは有益だと思う。
では、具体的な内容に目を向けてみよう。
本書では、アメリカのポピュラー音楽における唯一の革命として「ビバップ革命」を挙げている。チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーらによって起こされた革命は、黒人文化の解放/抵抗を表しているという従来の見解に対し、芸術性の獲得を表していると筆者は主張する。
そして、ジャズ史上最も影響力のあるアルバムとしてマイルス・デイヴィスのカインド・オブ・ブルーを挙げ、このアルバムで用いられた「モード」という奏法について、こう評している。
「西洋クラシック音楽の呪縛から逃れ、コードの重力から解放された『モード奏法』こそが<黒人音楽>としてのジャズを決定づけるもっと重要な断絶だとはいえないだろうか。」
これらの考え方に対して、仮に100%の肯定はできなくても、反論するのは容易でないと思う。筆者の考え方は、アメリカで急速に進んでいるジャズなどについてのアカデミックな研究に基づいており、最近の研究成果の一部を知るための資料としても、本書は有効だと思う。
ただし、次の記述には、少々違和感が残った。
「少しでも音楽活動を経験したことがあるものは、たとえばペンタトニック・スケールが即座にブルースを連想させる音階であることを憶いだしてほしい。」
ペンタトニック・スケールで作られている曲というと、「蛍の光」がとっさに思いつく。
しかし、蛍の光を聞いても、残念ながらブルースは連想しない。
あるいは、日本の民謡などで使われる陽旋法もペンタトニック・スケールと同じ構成音であるが、こちらもブルースは連想しない。
ブルースを連想するスケールとして筆頭に挙げるべきなのは、ブルーノート・スケールではないかと思うがいかがだろう。長調と比較した場合に、第3音と第7音、場合によってはさらに第6音が半音低いブルーノート・スケールを聞けば、即座にブルースを連想する。
まあ、これは主観によって違いがあることだし、重箱の隅をつつくような話でもあるので、本書の価値を揺るがすものではないが。