「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
読割 50
紙の本
丸山眞男の憂鬱 (講談社選書メチエ)
著者 橋爪大三郎 (著)
論文「超国家主義の論理と心理」で一躍スターとなった丸山眞男の「日本政治思想史研究」と「闇斎学と闇斎学派」、山本七平の「現人神の創作者たち」の3つの著作を読解して、批判的に...
丸山眞男の憂鬱 (講談社選書メチエ)
丸山眞男の憂鬱
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
論文「超国家主義の論理と心理」で一躍スターとなった丸山眞男の「日本政治思想史研究」と「闇斎学と闇斎学派」、山本七平の「現人神の創作者たち」の3つの著作を読解して、批判的に検討する。【「TRC MARC」の商品解説】
戦後日本を代表する知識人・丸山眞男(1914-96年)は何に躓き、「憂鬱」に陥ったのか? 主著『日本政治思想史研究』(1952年)を読み解き、後年の論文「闇斎学と闇斎学派」(1980年)と山本七平(1921-91年)の『現人神の創作者たち』(1983年)を併置・対照することを通して、日本の近代化に潜む真実を明らかにする。これまで誰もなしえなかった不可欠の試みを実行する画期の書!
戦後日本を代表する知識人として知られる丸山眞男(1914-96年)。政治学の第一人者として「丸山政治学」と呼ばれる仕事を残し、多くの弟子と信奉者を生み出した丸山の主著は、しかし今日に至るまで真に読まれてはいない。
この紛れもない事実と向き合ってきた著者が、ついに丸山論を書き上げた。
ここで取り上げられる丸山の主著とは、『日本政治思想史研究』(1952年)である。大学院生の頃に小室直樹博士の自主ゼミナールでこの書を読んだ著者は、改めてこの書を取り上げるに際し、同じゼミナールで読んだ山本七平(1921-91年)の『現人神の創作者たち』(1983年)を併行して読む必要性に気づいた。この山本の著書で焦点をあてられているのは、山崎闇斎(1619-82年)とその学派であり、まさに闇斎と闇斎学派こそが丸山にとっての蹉跌となったことを著者は明確に認識する。
本書は、不可欠の準備作業として『日本政治思想史研究』を精読し、そこで取り上げられたものと取り上げられなかったものを綿密に腑分けすることから始められる。そこでは本格的に論じられずに終わった対象を、丸山は30年近くのちになって取り上げている。その長大な論文「闇斎学と闇斎学派」(1980年)を精読したあと、山本の『現人神の創作者たち』と対照させること。本書が実行しているのは実にシンプルな作業であるが、驚くべきことに、そのシンプルな作業がこれまでなされてこなかったことは厳然たる事実である。
闇斎学派に特徴的な正統な権威に対する絶対的な忠誠は、日本の近代化にとって不可欠なエートスとして機能した。その一方で、丸山を一躍スターにした論文「超国家主義の論理と心理」(1946年)で批判した、超越的な天皇への忠誠に駆動された「超国家主義」の淵源に闇斎学派があることもまた否定できない。このジレンマに気づいたあと、丸山と山本はいかなる道を選び、歩んだのか。後年の丸山に著者が見て取る「憂鬱」をもたらした真の理由とは何だったのか。
本書は、日本の近代化を考える上で避けて通れない主題に正面から取り組んだ画期の書にほかならない。【商品解説】
目次
- 序 章
- 第2章 『日本政治思想史研究』を読む
- 第3章 『日本政治思想史研究』を批判する
- 1 逆張り
- 2 自然という概念
- 3 作為について
- 4 天皇について
- 5 闇斎学派の位置づけ
- 6 国民主義の「前期的」形成
- 7 丸山の文体
著者紹介
橋爪大三郎
- 略歴
- 〈橋爪大三郎〉1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学者。東京工業大学名誉教授。著書に「はじめての構造主義」「言語派社会学の原理」「政治の教室」など。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
電子書籍
日本の思想史を真摯にたどる、丸山への建設的な批判
2021/07/11 15:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:y0a - この投稿者のレビュー一覧を見る
英語タイトルが「丸山眞男と山本七平」なのだが、全体に丸山の仕事を批判的に後世(というか今の我々)につなぐ作品。対比される相手は山本だ。
本書の結論としては、山本七平の指摘したことの方が包括的には正しいけれど、丸山の仕事もそれはそれで重要だったということ。丸山がなぜ、学問的に偏りを持ってしまったのか、その状況と理由も説明されているので、非常に納得が行く。
そして、こちらが本題なのだけれど、江戸時代の思想的営みがどのように行われ、それが後々、皇国史観や天皇主義にどんな影響を与えたのか、きちんと見据えるための振り返りなのであった。
物知りでないと書けない本だと思うけど、一章一章読んでいけば分かるように構成されていて、とても親切な気がした。漢文はつらいけど。
明治維新と大東亜戦争敗北で、あたかも日本の思想史がブツリとちぎれ、単に新しい思想が上書きされたような印象をどこかで自分も持っていたような気がするけれど、そうではないと橋爪氏は言いたいのだろう。
そして、そのミッシングリンク(に見えるもの)を探して、きちんと振り返らないと何度でも同じ過ちをたどってしまう、そういうメッセージとして、自分としてはとりあえずは読み、納得することができた。