紙の本
興味深い
2023/09/13 12:34
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦前からの右翼の歴史が、興味深く読むことができました。いろいろな事件と結ぶつけて振り返っているので、わかりやすくてよかったです。
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ジャーナリストが足で書いた歴史。取材して書かれた箇所は抜群に面白い。
印象に残ったのは、時対協の定例会議(p85〜)と沖縄基地に反対する花瑛塾(p273〜)の場面。ネトウヨ・行動右翼とは異なる反骨精神のある右翼には、不思議な魅力がある。
恥ずかしながら、安田氏の著書を読んだのは初めて。もっと読んでみたい。まずは『ネットと愛国』かな。
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十数年前に可愛らしい幼女が電話機に向かって「右翼さんは大嫌いです。でも、左翼さんはもーっと嫌いです」と嘯くCMがあり、私のメンタリティーも同一である。
さて、本書はそんな戦後の「右翼さん」が生まれた歴史的経緯や様々なイデオローグたち、戦後自民党政権における右翼・暴力団との蜜月、60年代の新左翼のカウンターとして台頭した新右翼の登場、現在の日本会議に繋がる宗教右派、そしてネトウヨまで、戦後右翼の歴史が緻密な一次取材に基づいてまとめられている。
本書を読むと、近年の民族差別的なヘイトスピーチに代表されるようなネトウヨと伝統的右翼の間には、「民族差別を許すか許さないか」という大きな分水嶺があることに気づかされる。その点では、民族差別を許さないという左翼の発奮だけではなく、伝統的右翼も声を上げるべきではないのか、とも思う。
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戦後、右翼がどのように生き抜いてきたのか、筆者の丹念な取材によって明かされている。
右翼という存在は画一的なものではない。国体護持を信念とする者、反共のためにはアメリカとも手を取り合う者、ヤクザのような街宣右翼、所謂ネット右翼と呼ばれる者など。
僕は筆者の著書を初めて読んだ。僕がハッとさせられたのは、日本会議に関する内容についてだ。
最近、日本会議という言葉は聞いたことがあったが、詳しくは知らなかった。今回、本書を読んで驚いた。
日本会議のやり方がとてもサラリーマン的だからだ。筆者は「背広を着た右翼」と本文中では表している。
街宣右翼のように、街中で演説はしない。コツコツと、ゆっくり、着実に自分たちの信念を社会に浸透させていっている。
筆者は右翼とは、権力と社会の不平等に対峙すべき存在であるべきだと述べている。
権力に寄り添い、権力の拡声器だけの存在となってはいけない。
確かにな、と僕は思う。
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地道に活動する日本会議が最も怖い右翼団体であることがよく分かった。ただ、戦前のテロを起こすような右翼団体よりはましか。
本来の右翼はそれなりに理論があり、首尾一貫した主張もあったが、今の右翼にはそれはなく、単なるマイノリティ排斥しかなく、多くの既存団体もそこに近づいているようで情けない。
声も大きい、強面の人にはみんな弱いから、なんとなく右翼の人達に引きずられていくことを恐れる。
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戦前右翼(血盟団など)
→ 2.26事件で衰退
→政府に協力(体制翼賛)
→戦争終わる
→戦後、一部は敗戦認めず過激な行動に走る。他は米軍の制裁を受け衰退
→レッドパージと共に、戦後右翼がたくさん出てくる(右翼の多様性のある時代)(この時代から今に至る までの右翼の特徴は、反共・反左翼としての「親米」)
→暴力団・自民党とのつながりを深め、「権力補完」的な存在に。
→学生運動の時代に、「新右翼」誕生。(「反米」掲げる)(既存勢力の打破目指す)
→学生運動の衰退=左翼の衰退とともに、カウンターとしての右派も衰退
→二大右派が連帯した「日本会議」が誕生。(「制服を着た右翼」から「背広を着た右翼」へ。)(地道な草の根運動で改憲・教育の見直しを世の中に浸透させながらここまできた)
→ネット右翼の跋扈(ふつうーーーーーーーーの人が実はネトウヨ。)(在特会が衰退しても、状況は 何も変わらない)
→ネトウヨと従来右翼の境があいまいに。
「本物の右翼は民族差別などしない」
この古参右翼の言葉を全ネトウヨに贈りたい!!!!!
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雑誌記者が右翼団体について纏めた本。右翼に分類される小団体の動向を、取材をもとに紹介している。学術的ではなく右翼そのものの研究が浅い。親族の話や一部の噂の部類を根拠にしている点があり、右翼についての説明に信憑性がない。歴史や国際関係に関する知識も欠如しており、右翼との関係に疑問点が多い。期待外れの残念な本であった。
「(野村秋介)尻込みしない。素早く駆け付ける。人々の命を守るために自らが盾となる。必要とあらば、そのための暴力でさえ肯定した。人々の素朴な心情に寄り添うのが右翼だと説いた」p3
「(日本の右翼)欧米列強に立ち向かい、財閥の腐敗に憤り、農村の疲弊に涙した。まさに民族の触角として危機を感受し続けてきた。自由、平等の理想を掲げる左翼とは違い、国家への忠誠が優先される。日本の場合、そこに絶対不可侵の天皇という存在が加わる。急激な変化を望まず、国家と民族の威厳を保ち、歴史の風雪に耐えた伝統と習慣を守り、国内の安寧維持に尽力する。右翼は極めて濃度の高い「日本」であろうとした」p4
「右翼には、左翼のような教典がない。左翼には社会主義、共産主義という目的とすべき政治体制があり、マルクスの「資本論」をはじめとする教科書にも事欠かない」p26
「右翼思想がこだわるのは国と民族だ。風雪に耐え抜いてきた国と民族、それを支えてきた風土を守り抜くことこそが、概念としての右翼である」p26
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ネトウヨという言葉が一般化している現在,右翼とはなんでしょうかという問いに歴史的な経緯から答えようという試み.
黒い街宣車以外だと赤尾敏か野村秋介くらいしか知らんかったが,左翼組織が分裂を繰り返したように右翼の歴史もまた複雑なようだ.終戦間際の混乱期,反共のために動員されるヤクザ風の方々の話,諸政治結社や生長の家から日本会議に至る組織の話など知識が増えた.
石原莞爾も登場するよ.
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【右翼とはいっても,すべてが同じ色に染まっているわけではなかった】(文中より印象)
街宣車や拡声器,そして時にはネトウヨという言葉に代表されるようなイメージで語られてしまう戦後の「右翼」。敗戦後の混乱から現在に到るまで,多様な潮流を生み出したその思想的な歩みを眺め,今日的意義を考える作品です。著者は,『ネットと愛国』等の著作でも知られる安田浩一。
表題が示すように大枠としての「右翼」の歴史を知る上で大変勉強になる一冊でした。右翼という言葉とその響きからは想像もできない思想的なグループがあったりするなど,意外性に満ち溢れた作品でもあるかと。
評判の高さも宜なるかな☆5つ
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なんとも感想の書きにくい本だが、勉強になった。大衆こそが政治を動かすというのは、ガセットの大衆の反逆において既に指摘されているが、これは怖い。
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右翼、そして左翼。
よく聞くけれど、その実はよく知らないという方は多いのでは?
4月29日昭和の日、右翼団体と思われる人たちが一日中何かを騒ぎ立てていた。
5月1日、仕事の為外出すると官公庁の前で「恥を知れ!」と黒塗りの街宣車に乗ってきた人たちが怒鳴り立てていた。
単純に疑問に感じたので、本棚の肥やしになっていた本書を手に取った。
この本の内容が全てではないのは当然のことだが、それにしても衝撃を覚えたのは一ヶ所や二ヶ所のことではない。
有権者として、一票を持ち得る者として、しっかり考える義務があると強く感じた。
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本書を読んで初めて知ったが、敗戦直後には松江事件など、やはり負け戦を受け入れられない連中による騒動が続発していた。確かにマヌケだったりただただ陰惨だったりはするのだが、それでも時代に流されるまま親米右翼にかじを切り組合や左翼叩きに熱を上げてきた連中よりは人間として評価すべきところは多いだろう。しかし本書を読むとそうした人々は右翼の中でもマイノリティでしかなく、宗教右翼から現代のネトウヨに至るまで、金の力、権力の力になびく太く黒い流れこそ日本の右翼の本質であると痛感する。
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読んでよかった、の一言。
右翼というと、自分のなかでヘイトスピーチをしてる差別主義者なのか?という印象が特に、在特会の影響であった。
だけど、日本らしさ、日本の伝統を愛する民族主義が右翼の源流であり軸なのだとすると、賛同はできないが考え方の一つとして理解できる。
その中で、右翼のなかでも民族主義的な人は、民族差別を認めるわけではなく、日本として独立して強くあることを考えているのだとすると、それも一理あると思う。
でも、結局日本らしさってなんだろうって考えたときにそれって言語化できるものなのだろうか?教科書を変えて加害の歴史をないものにしようとしてる人もいるけど、「愛国」なのだとすると、愛はいいところも悪いところも認めることじゃないのか?加害の歴史を隠したり、誰かを貶めたり、自由を奪うことは理想的なのだろうか?それは、愛することができる国なのだろうか?
現代の愛国者が望む、理想の世の中が気になってしまう。
リベラルは理想的、右翼は保守的というけれど日本においては戦前の日本を望む時点でそっちの方がかなり理想主義的なのではないか?
多様性を認めることってなんだろうか。グローバル化してアメリカなどに留学して海外の考えを自分の中にいれることだろうか、私は、自分らしさありきで多様性を認めることができると思う。
そこには、個人主義と集団主義の問題もまた出てくるけど、集団としてまだ国を捉えてもいいとするならば、日本らしさを認めて、かつ他国を認めるのもまたいいのではないだろうか?
文化の本質主義構造主義も学んだばかりなので意味不明なこと言っているかもしれないが、政治にも絡むこれらの思想についての知識はこれからも得続けたい
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第二次世界大戦後、日本はアメリカの統治下に置かれた。そこで、アメリカからの統治を拒絶し、旧来からの日本の伝統を取り戻し、日本国民で国を守るというスタンスで「右翼」が形成されたのは知っていました。しかし、今の右翼団体を見ると、アメリカを迎合している状態。もっといえば、アメリカの手下になって、中韓を威圧するスタンスに鞍替えしており、とても矛盾を感じたため、なぜそのような経緯を辿ったのか、興味深いと思い購入してみました。
読んでみると、初めはアメリカに対する敵対心を軸として活動していましたが、アメリカと日本右派勢力も共に「反共」を掲げていたため、考え方が一致したという経緯らしいです。
-「古い上着を脱ぎ棄てても、右翼の細胞は体内に生きている。右翼が心情に訴えかける思想であることは先に述べた。国と国民を守るー右翼思想の根底に流れるのはナショナリズムである。日本の場合はそこに天皇への崇敬の念を重ね合わせ、時代状況に応じて、看板が塗り替えられてきた。」(本文引用)
この本を読むまで、左派と違い、右派は「堅物」「頑固」のような、古来からの伝統を守り通すというイメージがあったのですが、そんなことはなかったようです。
右派・左派共に、主張の違う勢力を押さえつけるための手段として用いられていたのが「暴力」だったのはいつの時代も変わらないことがわかります。(右派・左派に分類される全てのグループがそうだとは言えませんが...)
右派勢力だけに限ってみると、近年では、SNSの普及で、ネット上で思想宣伝を行う「ネトウヨ」の台頭により、若者まで「ネトウヨ」の右派思想が広まっている現状に恐怖を感じます。それは、「ネトウヨ」の喧伝している情報を信用した者がマイノリティに対し直接危害を加えることが起きていること、その情報自体が真偽不明なものが多く信憑性が欠けること、などがいえるのにもかかわらず、信用してしまう若者が多数いることが恐ろしいです。
そのような「ネトウヨ」の活動に対し、「世間に対するイメージが下がってしまう。右翼は元々民族主義をベースに形成されたため、中国、韓国の人たちも尊重すべき。」と考える右翼団体も多数あり、右派系の中でも色々な主張があるのは驚きました。
本書の締めにもありますが、右翼は社会の矛盾と向き合うことで勢力を拡大していったにもかかわらず、左派勢力の逆張りをしていった結果、現在はマイノリティをただ差別するだけの集団になっています。
今の政治と一緒で、右派・左派共に相手の主張の「逆張り」(と不祥事の「揚げ足取り」)をするだけで、両者のそれぞれにいい主張があっても霞んでいる印象があります。そこをどうにかしないと...
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叙述が客観的で信頼出来る。
国が右傾化してるというのは、なるほどそう思う。国が沈滞化してるのはそのせいかもしれない。