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びっくりしました
2024/04/02 23:05
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの阿部定事件が、ドキュメンタリーみたいに書かれていて。これ、小説では有りませんよね?これを読むまでは、単なる猟奇的事件、位にしか思ってなかったです、しかし……。感想は、びっくりしました……でした。
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〈阿部定事件〉、恋愛沙汰の猟奇事件?というイメージしかなかったので、読む前に調べてみたらやはり私の苦手なグロ系事件…
読み始めるのには勇気がいったけど、結局めちゃくちゃ面白くて数日で読み終えてしまった!
ある青年が阿部定本人や関係者に話を聞き、〈阿部定事件〉の証言として手記にしていくんだけど、初めは私も好奇心剥き出しで読んでいたのが、いつのまにか阿部定にシンクロしている…
事件の山場ではもう、阿部定に乗り移って私まで一生分の情念を使い果たしたかのようで、しばらく茫然としてしまった。
調べたとき「グロっ!」と思ったのに、この感情は、全然遠い世界のことじゃない。人を愛すれば誰でもこんなふうになるのだとさえ思わせられる…
いろんな人への思いが高まりすぎて、最後の証言では、名前を見ただけで涙が溢れてしまった…。
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2024/01/26リクエスト 5
定と吉の関係に究極を見た
肉体を伴う恋が、人をどれほど狂わせるか
逮捕後、定の持っていたイチモツはアルコール漬けにされる
それを公判中に見せられてどう思うか聞かれ
非常に懐かしく思っております
と答える
そう答えられる定を心のなかでは羨む人も多いだろうな。
大まかな筋は真実だろうけど、その周りの肉付けはこの著者ならでは。定の語っている感情の起伏が泣けるくらい素敵に感じた。こんな人と巡り会える人生は、素晴らしいものだろうな。
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実際にあった阿部定事件をモチーフにした小説。
相当昔の事件なので、単なる猟奇殺人という認識でいたが、この小説を読むとそうではなかったのかなという気が少しした。
主人公は阿部定事件の被害者の愛人の息子で、事件に関わった人達に会って話を聞いていく。
最終的には阿部定自身に会って交流を深めていく。
どの人物にも共感は出来ないが、それぞれの複雑な心のうちを描いている話だと思った。
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阿部定という奔放な美しい女性が、なぜ愛人を殺害し、男性器を切り取り持ち去ったのか。
彼女は愛人を独り占めしたかったからそのような行動に及んだのだと思う。
自分は片時も離れたくない、と思っているのに、相手は本宅へ帰ろうとしていることも、定の感情を駆り立てた一因だ。
一緒に居た期間は短かったものの、定と吉蔵の燃えるような数日間は凄まじかった。これほど互いを求め合う者達をこれまでに見たことがない。
吉弥も自分の父親を殺されているのにも関わらず、定の魅力に浸かっていく様子が分かる。(性的な意味では無い。)
定を知っている者の証言を読んでいくと、定を悪く言う人、良い印象を持っている人、悪く言いながらもどこか憎めない人など様々で、彼女の人間的魅力に感服する。
定が吉蔵との関係を「悲恋ではない」と言うシーンが好きだ。全力で愛したからこそ、後悔がないのだと思う。
吉蔵は死ぬ時に、大して抵抗しなかったように思う。まるで定になら殺されてしまっても良いと言うように、あっけなく逝ってしまった。
吉蔵がそのまま生き続けていたとしたら、2人の関係はどうなっただろうと考えると、別れる運命しか思い浮かばない。やはり、定はああするのがきっと良かったのだろう。
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うわー、これまたすごい本を読んだな。
有名な「阿部定事件」を題材にした本作。
フィクションなんだけど、これが事実のような気がしてしまう。
226事件の同じ年にあった事件だったのか。
恩赦で5年で出てきたとか、坂口安吾がインダビューしたとか、今とは当たり前だけど時代が違うのだなぁと。
定を知る人の証言の読んでると、彼女の悋気に辟易し、なんて嫌な人なんだろうと思っていたのに後半は、彼女にやっぱり共感は出来ないんだけど、ちょっと愛しく思えてくるから不思議だ。
ほんのひと時の恋というか大恋愛が一生を変えてしまい思いもよらない所に来てしまった感じが怖くもあり運命だったのかなとも思う。
ただ14歳のときに無理やり処女を奪われたとなってるけど、無理やりなのか?仕掛けたのは定からなのでは?そこだけ被害者ぶられるのがちょっとだけ微妙。
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モテない奴はこれを読め!!
Good Dad(グッドダッド)が
Good Genes(グッドジーン)に敵わないとわかるぜ!
すみません、訂正です。
わかるだけでモテるようにはなりません
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題材的にエログロではあるし、卑猥な単語も赤裸々にふんだんに使われてあるのだが、人間の深部を奥へ奥へと掘り下げるようなアプローチに引き込まれて、すごい読書体験だったなと満足度が高い。
特殊な猟奇的事件から、かえって愛欲の普遍性みたいなものまで見せられて、、、澄まして日常生活を営む普通の人が、なんか卑怯にすら思える。
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ブクログで見つけて読んでみることに。
阿部定事件が題材になっているとあったが
私自身阿部定事件もぼんやり知っているだけ
だったが、一日で読了!!!
あまりにも完成度が高過ぎて
もう、他の本が読みたくないです!!
タイトルの二人キリも
割と序盤で納得してしまいました。
こんなにも、圧倒されるとは
思いませんでした。
吉さんと阿部定が狂うほど
頭おかしくなるほど恋焦がれてしまうところに
不覚にも共感してしまいました。
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こんなにすごい小説があるのなら他にはもう要らないと思った初めての小説が『青のフェルマータ』だった。
そう思ったのにその後も沢山の小説を読んできたのだけれど、おかげで『二人キリ』を読み終え、またそう思うことが出来た。
村山由佳さんがずっと書き続けて下さっていることに尊敬と感謝を。
実在した人を描いた小説はあまり読んだことがなくて、『風よ あらしよ』を読んだ時は勝手に作り上げられた本人や親類縁者はどう思うのかと疑問だった。
でもこの作品を読んでそれでもいいのだと思うことが出来た。
受け取った側が「真実」と思い込めるのなら。
人の気持ちなんて、自分自身のことですら、本当のことなんて分からないし、本当のことなんて本当はなくて、全ては個々の思い込みに過ぎないのだから。
でも、本当のことを求める気持ちは強くて、それを満たしてくれるものが必要で。
だから、Rに背中を押されながらそれを成し遂げた吉弥に最も共感を覚えたし、応援しながら読んだ。
阿部定さんについては、吉弥にとっての「真実」を、私の真実としたいと思う。
ところで、人間の心のありようは、どんなに時代が進んでも科学技術が発展しても全く変わらないのだなと、嬉しくも残念にも思う。
何となく自分の中にあることを的確に文章にしてもらったものに遭遇した時の高揚感は読書の醍醐味のひとつでもあるけれど、この小説にはそれがぎっしり詰まっていて、登場人物の言葉を思いをひとつひとつ噛み締めるように読んだから、読み終えた時はとても疲れていた。
それが幸せなのだけれど。
ここからは私の勝手な思いを。
私が丁度『青のフェルマータ』を読んだ頃に好きになったバンドのメンバーが昨年急逝してしまった。
その方のことを知る術は沢山ある。
御本人が語った言葉も沢山あってそれは一冊の本になったし、その中には周りの方が彼について語ったことも収められている。
それはしかし断片でしかないことが残念で、物語のように彼の生涯を描いてくれるものがあったらいいのに、そして、絶対に無理なことは分かってはいても、最期の時のことを彼の視点から語ってくれたらいいのにと思ってしまってた。
でもその断片を繋ぐ部分は作者の創作が入ってしまうだろうから、それは御本人にとって冒涜ではないのか、私はそれをどう受け止めればいいのか。
全く想像上のことでしかないのに、そんな風に思い続けていた時に、この小説に出会えて、答えをもらった気持ちになれた。
もしその物語を私が真実と思えるなら、真実としようと。
さらにこれは本当に私の勝手な思いなのだけれど、もし彼についての物語が書かれるとしたら、吉蔵の証言を息子の吉弥が書いたように、と。
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実在する事件をもとにした作品。
それを知らずに読んでいて、なんか妙に現実味があるなと思い、巻末を確認して実話をもとにしていると知った。
途中から証言を書き連ねるという書き方になったとき、こんな一言一句書き起こせないだろと心が離れかけたけど、最後まで読んだあとだと、合点がいく。
作中で主人公が書き上げた本は最高の出来と評されているけど、全文登場していないとはいえ、最高と書く勇気はすごいと思った。
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猟奇的殺人犯でありながら逮捕直後の写真では、にこやかな笑みを浮かべる阿部定。
掴みどころのない阿部定が、村山由佳アレンジで令和に蘇る。
近所で評判の美少女は早熟で男好き。
殺害された石田吉蔵の妾の子である吉弥が、定と関わりのあった人物から集めた数々の証言から、彼女の実像が浮かび上がって来る。
吉蔵と出逢ってからの定の立ち振る舞いは目を見張る。
独占欲も執着心も包み隠さず、自らの欲望の赴くまま、狂ったように繰り返す性交。
吉蔵を殺害後に刻んだ「定」の名と、残した「定吉二人キリ」の血文字。
愛と狂気は表裏一体だと確信する。
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フィクションなんだろうけど、ノンフィクションなのではと思わせるほどの細部にわたっていろんな角度から(証言、14歳の時に強姦されたと言われてる慶大生、幼なじみ、娼館時代の同僚、腐れ縁で親代わりの男、最後の愛人市議会議員、吉田屋の女将(吉蔵の妻)、満佐喜屋の従業員)
があって読み応えはじゅうぶん。
それにしてもこんな性欲の強い女性がそれに呼応できる唯一無二の男と出会ってしまったんだね。
あのまま、校長先生(議員さん)のお妾さんで小料理屋でも持って静かに一生を終えた道もあったろうに。
いや定のことだからまた浮気して捨てられてってことを繰り返していたかもしれない。
でもこんな猟奇的な殺人事件が起こさずにすんだじゃないのかな。
血で書いた”定吉二人きり”がまた効いている。
とにかく最後は連泊連泊でお金も底をつき、お金の無心に愛人に会いにいってそれで飲んだり食べたり、もう終わってるよね。
最後は行方不明のなって(もうとっくに亡くなっていると思うけど)晩節を汚すよりあのイチモツを抱えたまま自死したほうが伝説になった気もする。
けど阿部サダはやはりああゆうふうにしか生きられなかったんだろな。
監督のR(男性)と小説家の吉弥(吉蔵とお妾さんの間に息子)お互い惚れ合っているのは最初からなんとなくわかった。
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実は、隠れ村山由佳ファン。新作が「阿部定事件」とあり、ことの全貌は知らなかったので約500ページを読了しました。
お相手の石田吉蔵の息子が、当初は映画の脚本のため、やがては小説のためにと、阿部定事件の真相を追うという建付けになっています。BBCのドキュメンタリー番組に出てくるような関係者のインタビューを各章に盛り込みながら、その生涯から事件、そしてその後を描いています(インタビュー記録は本当に目の前で喋っているよう)。猟奇事件という印象が強く、不幸な生い立ちからおどろおどろしい場面を想像したのですがいい意味で裏切られました。やはり村山由佳に男女の機微を書かせると一級品になります(よくぞ男性側の心理もわかるものだと感心)。
阿部定本人は、日本中を転々としており、Wikiなどで確認しながら読み進めました。ゆかりの地も多く、旅行の際には気を留めてみようと思います。
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実在の阿部定事件のフィクション。定に関わった幼少期からの人物、金の付き合いの男達も含めて相当な厚みの内容だった。主人公は定に局部を切り取られた妾の息子が裁判記録や定の関わりに直接インタビューした記録と言う形をとっている。
内容がだけにエロい箇所は多いが、それ以上に人間の脆さと、壊れる前に踏みとどまる人間の対比が哀しく描かれている。