紙の本
知らなかったというより、思いつかなかったこと
2018/05/20 23:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
『知らなかったぼくらの戦争』は、戦争体験者からの聞き取りの本。
特徴的なのは、アメリカで生まれ育ち、日本で結婚して日本語で詩や文を書くアーサー・ビナードという人が聞いて、書いたということ。
そういう人の視点だから、すごく新鮮な発見がいくつもありました。
知らなかったというより、思いつかなかったことの数々。
多くの人が絶賛したオバマのヒロシマ訪問を冷静に批評するあたりは、さすがアメリカ出身というところでしょうか。
鉛筆と付箋を持って、最初から読み返そうかなと思っています。
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アーサーさんの平和に対する本気さっていつも頭が下がる。世の中の仕組みみたいなものがここにあるのかも。
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日本に在住の米国人が太平洋戦争とその戦後について
書かれた内容。様々な人にインタビューされていて
なかなか生々しい証言が紹介されています。
読み応えのある内容でいい本だと思いました。
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まだ間に合う
その時に暮らしていた時の話を聞かせてもらうこと
まだ間に合う
その時に生死をかけて暮らしていた人がいたことを
まだ間に合う
今だから語り伝えたいことがあることを
先ず、真摯に耳を傾けることから
始めたい
その思いがたっぷり詰まっている一冊です
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アメリカ人である著者が綴る、日本の戦争の実態。
語り部は様々な場所で戦争を経験してきた人達。日本人である我々も知らなかった戦争が語り部によって語られ、著者によって分かりやすく考察されている。
「こうである」という予定調和をそのまま鵜呑みにすることの恐ろしさを改めて痛感した。
戦争で一番泣きを見るのは一般市民と言うが、まさにその通りだと思う。牙を抜かれ、ただただ漫然と流れる情報を享受することで思考は停止し、いずれまた戦争へ送られる時が来るのではと思うと怒りと恐怖を感じずにはいられない。
私たちは一人一人が生き抜く価値を持っている。大事な人、未来を担う人を守るため、決して戦争をしてはならないのだ。
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まず驚くのは日本語の上手さ。
そして、日本人よりも日本を理解していると感じる。
それは物事に対して真摯に考え、常に本質を求めているからではないだろうか。
その著者が戦争の体験者から戦争について聞き出し、本質をあぶり出す。
そうか、時代は繰り返しているじゃないか、と気付かされる。人間は学習しない動物だ。
いや、権力者が歴史に学んでいるからこうなるのか。
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今も戦争を続ける国アメリカ。
そのアメリカ人でありながら1990年に訪日し、日本で活動を続ける詩人アーサー・ビナードが、第二次世界大戦以後戦争をしていない日本の戦争について、多くの人に直接インタビューした記事をまとめたもの。
インタビューの対象は、軍人、軍属、戦犯、一般市民、満州開拓に従事していた人や、被爆者など非常に幅広い。
そこから浮かび上がってくるのは、戦争はやっちゃいかんということと、果たして本当に戦争は日本が引き起こしたものか?という疑問。
現在進行形の北朝鮮の姿についても、真実が日本で伝えられているのか?と考えさせられた。
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物事は全て自分の悪い情報は入ってこない。
でも、少し視点をずらすだけで180度変わってくる。
日本人として、自分の子孫が生きていく日本の事を自分達が知って後世に伝えていかなければいけない。
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どの話もすごく重い。でもこれとは別に亡くなった人の話があるんだと思う。想像もできないけど、想像しないといけないと思う。
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1967年ミシガン生まれの米国人の詩人が日本語で書いたインタビュー集。
日本人にとっての戦後といえば、第二次大戦以降の年数を指すが、米国人の彼にとっては自身生まれた1967年はベトナム戦争の「戦中」であるという違和感から始まる思索。
ラジオ番組の企画として23名の方たちに聞いた話は、それぞれの方の体験に基づく話であり、インタビュー後に他界された方が複数いることを考えると貴重な記録だ。
2018年末のプールサイド読書の読了その①。
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著者は米国人の詩人。1990年から日本に居住。
この本は先の大戦を経験した様々な人々からのインタビューを元に構成されている。
登場する人々は軍人のゼロ戦乗り(真珠湾からの歴戦)や最後まで残った駆逐艦雪風の魚雷発射担当から、北方領土や沖縄、広島長崎、台湾、満州開拓団(ちばてつや氏2歳)などに居た人達。
南洋に居た軍属、学徒動員女学生、戦犯…所謂市井の人々で要人はいない。
広島の女学生は瀬戸内の島で毒ガスの処理させられ、皆、涙・くしゃみ・発疹・視力低下等様々な症状。
9歳で与那国から台湾に移住。台湾では学校の先生でも、公共の場でも、本土からの移住者は一等国民、沖縄からのは二等、台湾現地人は三等国民と呼ばれていたとの事。(この考えは恐らく今も行政や立法の場では生きているのだろう。そうでなければ本土から来た機動隊員が、沖縄県民を土人とは呼ばないと思う)また、台湾帝国大学は自由で良かったらしい。
著者は米国人だが、元ゼロ戦搭乗員から友人と呼ばれるほど、日本人の気持ちを理解しているようだ。
安倍・オバマ会談では、原爆投下は無視して、戦後に施されたララ物資の古着や脱脂粉乳のお礼を述べたことに、日本のマスメディアが疑問を呈しなかったことを不思議に思い、また、沖縄では県民の意思に反して、基地が新設されていることに対し、沖縄の祖国政府が今もワシントンに忠実であることを嘆き、このような状況では北方領土返還後に米軍基地を建設しないとの主張を信じられるはずも無いと書いている。
戦争については上から一般まで、多様な立場の本を読むことが必要と強く感じた。特に若い人には読んでもらいたいと思う。
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言葉に鈍感なヒトか増えてきているような気がするなか、アメリカ人にして、詩人の著者が、日本の戦争について、さまざまな人へのインタビューによって、ひもといた本。本当に、もっと言葉を大事にしたい
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2016年ラジオ報道番組最優秀賞に選ばれた2015年度文化放送「アーサー・ビナード『探しています』」から23名の戦争体験談を加筆・修正で再構成。
日本人にとっての戦後といえば、第二次大戦以降の年数を指すが、米国人の彼にとっては自身生まれた1967年はベトナム戦争の「戦中」であるという違和感から始まる思索。
軍国少女だった義母、空母が1隻もいなかった真珠湾の異変に気づくゼロ戦パイロット、満州から混乱の中引き揚げたちばてつやさん、長崎型模擬原爆“パンプキン”が30都市に落とされていたことを発見した中学教諭など。
終戦直後、米人記者の「日本に平和主義者はいたのか」の問いに「みんなが平和主義者だった」と答えたら馬鹿にされた。馬鹿はFDRに騙されたヤンキー志願兵(徴兵しないでも集まった)。アジアに〈平和〉をもたらそうと手出ししたために
著者は日本語で話すうちに日本人以上に「平和主義」となったようだ≪真珠湾攻撃は仕向させて老朽戦艦犠牲にし空母を温存した≫≪Pt原爆が次期主力兵器だから長崎を忘れさせた≫≪沖縄に海兵隊は必要ない≫などはどうかな。≪オバマ大統領が広島を訪問したのは同行したオスプレイ売り込みのため≫は諾ける。≪太平洋戦争はアメリカの文明国日本への侵略戦争≫というのも。
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高橋源一郎推薦の本で、本当に「知らなかった」戦争の話しでした。戦争経験者にインタビューしまとめたものだがそのそれぞれが「知らなかった」真実を伝えてくれる。
真珠湾攻撃のことはアメリカは事前に知っておりながら2000人以上のアメリカ軍人を犠牲にして日本軍の攻撃を許して第二次世界大戦に参入したとは著者も知っていたことだったが。元ゼロ戦パイロットをインタビューした際、「数日前には数隻いた空母が全て移動していたので、これはアメリカは知っていたな。私のような下士官にも明らかなことでしたよ。」
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"「玉砕」と言ってしまうと死が美しいものになるが、
同時に、生き残った人の存在は否定されてしまう"
"「平和」とは、
どこかで進行している戦争を知らずにいられる、
優雅な無知だ"
この本は、アメリカ人の著者が、日本人からインタビューした第二次世界大戦の体験をまとめた記録である
日本語で詩を紡ぐ著者の言葉選びが素晴らしく、微妙なニュアンスの心情などが、読者にすっと伝わってくる
また、戦時中、
米国にいた日本人や、
沖縄や洋上で戦った軍人、
被爆者、
落語家、
火垂るの墓で有名な高畑勲、
など
様々な立場の方のインタビューを記録しており、
戦争を、様々な角度から考えさせられる
特に、
英語詩人として活躍する郡山氏の、
戦中、敵性語である英語を学ぼうとしない生徒たちに「勝っても負けても英語は必要になるんだ」と熱心に説いた学校の先生の話、
高畑氏の、
戦中、「日本人が満州族や朝鮮人を無意識に虐げていた"日常"も伝えるべきだ」という訴え
三遊亭金馬氏の、
「1945年の8月15日?この日、戦争が終わったなんていう実感は全然ないね」という言葉
どれも、自分が知らなかった、とてもリアルな言葉だった