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守教(上)(新潮文庫)
著者 帚木蓬生
九州の筑後領高橋村。この小さな村の大庄屋と百姓たちは、キリスト教の信仰を守るため命を捧げた。戦国期から明治まで三百年。実りの秋も雪の日も、祈り信じ教えに涙する日々。「貧し...
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守教 上 (新潮文庫)
商品説明
九州の筑後領高橋村。この小さな村の大庄屋と百姓たちは、キリスト教の信仰を守るため命を捧げた。戦国期から明治まで三百年。実りの秋も雪の日も、祈り信じ教えに涙する日々。「貧しい者に奉仕するのは、神に奉仕するのと同じ」イエズスの言葉は村人の胸に沁み通り、恩寵となり、生きる力となった。宣教師たちは諸国を歩き、信仰は広がると思われたが、信長の横死を機に逆風が吹き始める。
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紙の本
慈愛に満ちた信徒の姿を淡々と描き出した作風に感動する。
2020/07/30 08:26
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
慈愛に満ちた信徒の姿を淡々と描き出した作風に感動する。信仰とは個々人の心の中にあるもので、しかもキリスト教の倫理哲学としての良い側面だけを日本的に吸収したところに共感し共鳴しうるものが生まれるのだろう。未だに世界に災いを撒き散らす「一神教」の数々。「唯一の」「絶対の」という言葉の数々を除外すると、それらのいずれも民族特有の倫理哲学の集大成であり、むしろ奨励されるべきものと私は考えている。300年にわたる守教の歴史をノンフィクションのように淡々と綴る本作で描かれるのは、こうした個々人の生き方の道しるべとしての信仰であり、他に強制したり、ましてや政治に介入するようなものではない。現代の政教分離の思想に相通じるものがあり興味深い。実際のキリスト教は歴史が示すようにそんなものではなく、侵略との一体化を懸念した江戸幕府が警戒し、厳しく規制・弾圧したのも止むを得ない施策だったと思わざるを得ない。まあ、行き過ぎた部分も多々あったとは思うが・・・・。いずれにしろ、「一神教」に対しては憎しみにも近い違和感を持つ私ですら共感・共鳴しうる作品。「静かなる気迫」、「質朴な小説」といった解説の言葉が実にしっくりくる作品。蛇足乍ら、巻末に添付された膨大な参考資料に敬服させられます。
尚、本書が刊行される2017年は「今村信徒」の発見から150周年に当たる(著者)。