紙の本
アメリカに希望はあるか?
2021/02/03 21:47
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投稿者:pizzaco - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポールオースターの作品は初めて読んだが、読み進むうちにどんどんおもしろくなった。
まるで自分がブルックリンにいるかのような、登場人物たちと冒険をともにしているような気持ちになった。
ひとりぼっちだと思っていた一人一人が、お互いの出会いから心のつながりを得ていく。
いい家族だと思っていたのが、壊れていく。
ブルックリンで新しい家族の形が作られていく。
人生をあきらめていた主人公が人生に希望を見いだしたとき、何かが起きる。
紙の本
暗いニュースばかりの昨今、久々の楽しみでした。
2022/04/20 18:13
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投稿者:メロンパン - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物が次々と現れるため慣れるまでは混乱していましたが、主人公を巻き込んでいく賑やかな雰囲気と軽快な語りが楽しかったです。結婚しないトムが最後燻ったままの生活ではなくて安心しました。
ポールオースターの本は初めて、もといアメリカ文学自体を読んだ経験がほとんど無かったのですが、彼の他の著作も読みたくなる後書きです。
電子書籍
ラストがあの9、11
2021/06/03 07:00
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
その後、は……という終わり方が……なんとも言えません。60才手前で、離婚した元保険会社の男と、その甥っ子で古本屋勤務の男を中心に、アメリカでありそうな人間関係が描かれています。
紙の本
したたかな人物たちの人生賛歌
2020/06/14 22:30
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
離婚して余生を静かに過ごす元保険営業マンの60歳手前のネイサンと、アカデミックの道から外れて古本屋の店員になった甥トムの、家族再生物語。人生諦めモードの一方、ジョークと恋愛にかまけて今この瞬間を楽しんでいて、それが良い方向に転がる様が痛快。
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オースターにしては珍しく、素直な一人称の語り口だった。主人公は中年から老年に差しかかりつつある元保険外交員のネイサン。「(名称抹消)」との離婚歴あり。娘、おい、めいとは物語の中で関係改善するが、元妻とは断絶したままである。実際、家庭には向いていない性格のよう。
登場人物は当然のように離婚していたり、高学歴の甥がタクシー運転手になっていたり、めいは父親のわからない娘を産んでから出奔してドラッグに溺れていたり、と「きわめてアメリカ的」な難しさを抱えている家族に見える。それが、人間臭い親父・ネイサンの冒険で再生していく。奇跡的な展開はあるけど、超自然的な道具立てはない。なかなかドラマ的。普通に面白い物語。
それぞれ落ち着くところに落ち着き大団円、というところで、実はラストシーンが9・11の日の朝であることが示されて物語は終わる。ニューヨークの住人がニューヨークの人間の話を書くのであれば避けて通れないのだろうし、こういう家族の一つ一つにあの事件が降りかかったのだということをあえて示してもいるのかもしれない。
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すごく面白かった。ウディ・アレンの映画みたいだなあと思いながら読んでいました。
最後の方で出てくる「本の力をあなどってはならない。」がすごく沁みた。そして死について考えてしまった。
これを機にオースター作品で未読のものを全部読もう。
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ネイサンは60にして癌にかかり会社をやめた、家庭も崩壊。人生を振り返るために生まれ故郷のブルックリンで暮らすことにした。甥っ子や古本屋店主との交流、レストラン従業員の若い女性への思い。人々の愚行を観察し、「愚行の書」を書いてゆく。9・11までの物語。
愚かとあるけれど、実に楽しそうだ。悲劇が喜劇に変わり、物語は流れ、温かいまま終わったなあ。表現うまいし、クスッと笑えるところ満載。ルーシーのとことか、ジェイムスジョイスなんて。親類や近所の仲間、新たなる一つの生活、家族を作り、ネイサン楽しそうでよかった、その日までは。幸福と思えるようになったのがいいね。一つの世界を今回も楽しめた。
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全体的にオースターの作品の中では明るい雰囲気。人は色んなところに希望を見出せるのだ、と思った。含みを持たせる最後も中々良い。
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文庫版を読んだ。翻訳ものを読むのは珍しいのだが、表紙のデザインに惹かれて手に取った。
原文の英語の語り口が想像できるような軽妙な語り口で語られるのは、定年退職・熟年離婚の元保険外交員の、ブルックリンでの老後の日々。
保険外交員というとついつい真面目なエリートかと思うが、そこはアメリカ(?)。主人公は品行方正な感じはせず、その家族もおよそ育ちの良さは感じられない。若い美人に年甲斐もなくのぼせ上がる。エリートから転落したメタボの甥や元ドラッグアディクトの姪。優しく面白いヒッピーのような友人は元詐欺師で、更正しているのかと思えばきな臭い話が勃発。
そんなジェットコースターのような人生を生きる人々に囲まれた慌ただしい老後の日々が、一冊を通して語られ続ける。たまに「もういいかな」と本を閉じそうになる。それなのに最後まで読み続けてしまったのはなぜか。
人生の美しくない側面にも注がれる、人生を楽しむ視線。周囲の人に注がれる主人公の愛情。幸せなことが起きてほしいなと思わせられる憎めないキャラクターたち。都会のなかで繰り広げられるそういった断片を、ずっと追い続けたくなってしまうのは、ベテラン作家の筆の力か。
そんなほんわかした日常の面白さや喜びに浸りながら、本を読み終えようとしたその時。ラスト6行を読んで、ああこれは… 突然ぱちりと小説の世界から目が覚め、何年も前のニュース映像が頭をよぎる。この物語はそういう話だったのか、とはっとする。
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アメリカに行ったこともないし、アメリカ人の知人もいないです。僕のアメリカの知識は、ニュースと映画だけなんだけど。いつも言っているけど、そんな僕がイメージしているアメリカって狂気の沙汰、なんです。でも、オースターって、いつも、狂気の沙汰のニューヨークやブルックリンを舞台にしていながらも、なんか希望というか、救いというか、なんだアメリカも捨てたもんじゃない的なことが書かれていると、感じています。この作品も、どうしようもない人がいっぱい出て来るんだけど、当たり前のように離婚しているんだけど、家族的な温かみを感じました。いつか誰か助けてくれんるんじゃないかと、胃の片隅で思うような。
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初老の孤独な主人公ネイサンが、ブルックリンの地で新たな生活を始める。それは、人生の終わりを「愚行の書」を執筆しつつ、静かに余生を過ごす地のはずであったが…。かつての家族と出会い、絆を取り戻し、新たな幸せな運命的な出会いを果たす。人生の終盤だとしても、人はいくらでも幸せになることも成長することもできる。温かな家族の愛と絆の大切さが心に染みる物語です。
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60歳を前に大病もしてブルックリンに帰り、「人間愚行の書」を書く主人公。でも静かな隠遁生活じゃなくて、なかなかに忙しい冒険の日々。出会った人たちを助けようと奔走する。落語の「業の肯定」みたいな、みんなポンコツでみんないい。
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ネイサンとその家族、ブルックリンの友人たちを巡る物語。本書に現れたネイサンは初老を迎え、絶望を抱えていたが、甥のトムとの再会を機に、人と巡り合い、事件に巻き込まれ、とうとう新たなパートナーとも出会う。
身につまされる話で始まったが、ハッピーエンドで終わる。でも、その当日が新たな悲劇の日であることが、単なる幸せな話でないことを示している。
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いままでに読んだポール・オースター作品で、いちばんサクサク読めた。役者あとがきにある通り、軽いというか。
帯には奇跡の物語とかなんとか書いており、まぁ間違ってはないのだが、しかしその言葉からイメージするような大感動の物語ではなく、やはりポール・オースターらしい奇妙な偶然の連続のお話。
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元嫁をかっことじで表記してるとこに笑った笑
最初は、のんびりとした作風かと思ったけど、なかなかのシリアスな面もあり、考えさせられる部分もありとても面白かった。似たような境遇というか、女性の名前が多くて途中こんがらがったりした。
最後にテロの話を入れることで現実にフッと戻される感じがたまらなく好き!