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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.2 76件
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2007/07/31
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: CREST BOOKS
  • サイズ:20cm/253p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-590060-1

紙の本

千年の祈り (CREST BOOKS)

著者 イーユン・リー (著),篠森 ゆりこ (訳)

父と娘のあいだに横たわる秘密と、人生の黄昏にある男女の濁りない情愛。ミス・カサブランカとよばれる独身教師の埋めようのない心の穴。反対を押し切って結婚した従兄妹同士の、平ら...

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千年の祈り (CREST BOOKS)

税込 2,200 20pt

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商品説明

父と娘のあいだに横たわる秘密と、人生の黄昏にある男女の濁りない情愛。ミス・カサブランカとよばれる独身教師の埋めようのない心の穴。反対を押し切って結婚した従兄妹同士の、平らかではない歳月とその果ての絆。—人生の細部にあらわれる普遍的真実を、驚くべき技量で掬いとる。北京生まれの新人女性作家による、各賞独占の鮮烈なデビュー短篇集。第1回フランク・オコナー国際短篇賞受賞!PEN/ヘミングウェイ賞受賞。ガーディアン新人賞・プッシュカート賞受賞。New York Times Book Reviewエディターズ・チョイス賞受賞。The Best American Short Stories2006収録。グランタ「もっとも有望な若手アメリカ作家」2007選出。【「BOOK」データベースの商品解説】

【フランク・オコナー国際短篇賞(第1回)】【PEN/ヘミングウェイ賞】【ガーディアン新人賞】【プッシュカート賞】【New York Times Book Reviewエディターズ・チョイス賞】父と娘のあいだに横たわる秘密と、人生の黄昏にある男女の情愛。ミス・カサブランカとよばれる独身教師の埋めようのない心の穴。反対を押し切って結婚した従兄妹同士の絆…。人生の細部にあらわれる普遍的真実を描く短篇集。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧

あまりもの 5-27
黄昏 29-52
不滅 53-79

著者紹介

イーユン・リー

略歴
〈イーユン・リー〉1972年北京生まれ。アイオワ大学創作科修士号取得。ミルズ・カレッジ文学部創作科助教授。デビュー短篇集「千年の祈り」でフランク・オコナー国際短篇賞等を受賞。

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みんなのレビュー76件

みんなの評価4.2

評価内訳

紙の本

日暮れて道は遠くても

2008/02/27 21:34

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぼこにゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「ブログ炎上」なる言葉がいつの間にか定着しているとは不気味な世の中になったものだ。怒りにしろ正義感にしろサディズムにしろ、それがこんな形でしか結実しないというのは土壌の貧困さの表れだろうか。
 珠玉の短編集、中でもかつての恋人と親友に裏切られた独身女性教師の姿を描く『市場の約束』という話に最も惹かれた。平凡な素材がここまで鮮烈に料理されるとは。
 原題の『Love』にあえて『約束』という語を当てた翻訳のセンスも素晴らしい。これは人によっては「道」とか「矩」という言葉で呼ぶもの、かの喜劇王は「勇気」と呼び、トーベ・ヤンソンならば「イデー」と呼んだかもしれないものの、もう一つの名前なのだろう。法律の本には載っていないけれど、生きる上ではとても大事な方位磁石だ。信ずるに足るものを信じ、なすべきことをなし、自分で自分を育てて行くための重要なベクトルなのだけれど、現実の暮らしの中で持ち続けるのはとても難しい。
 大それた理想など掲げなくても、時には意思を通すだけで周囲から孤立したり不利な状況に追い込まれたりするのが浮世というもので、石の忍耐の奥でキリリと歯を噛み締めているような主人公の深い孤独と不安が胸に染み入る。的外れな贅沢を望んでいるわけでもないのにこれほど息苦しいのは何故なのか、と雲の上の方にいる誰かに尋ねたくなるような。たとえばカニグズバーグの主人公達に、あるいはセントラル・パークをさまよう多感な若白髪の青年に、私達は彼女の分身を見て来たのではあるまいか。
 主人公を捨てた男が親友だった女性と破局し故郷に戻って来たのを知って、主人公の母は復縁を勧める。ベクトルを持たない相手と苦楽を共にする気はない、という娘を理解できない母親。世代間の対話は常に平行線を辿る。
 けれどその母親が市場で商うタマゴのレシピはいつも、コストのかかる調味料を十分に使った誠意溢れる手作りの味。それがこのちょっと風変わりな恋物語の、絶妙なスパイスでもある。
 利潤追求は二の次で良品を細々と売りつつ、娘にはもっと効率よく幸福になって欲しい母。その背中を見て育ち、そのおかげで高い教養を身につけ、それゆえに母の勧めに従えない娘。これは何よりも強い絆で結ばれた親子の情話であり、避け難い巣立ちの物語でもある。どちらも頑固な二人ゆえ折り合うことはたやすくないが、大人同士の新しいつながりを築くためには不可欠な回り道なのだろう。
 読後爽やかな小説は多くても、登場人物の幸せを祈りたくなる小説は少ない。経済や上辺の華やかさに流されがちな日々だからこそ、こんな小説の登場が嬉しいのだ。

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紙の本

それぞれの孤独を背負う父と娘

2010/09/02 22:44

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:玉造猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 短編10編のうちおもに表題作について。
 アメリカ中西部に住む娘を気遣って、中国から75歳の父親が訪ねてくる。大学図書館の東アジア部で司書をしている娘は離婚したばかりで、婿は中国へ帰ってしまったのだ。父親はいそいそと料理を作って娘が仕事から帰るのを待つ。「刻んだキノコとエビとショウガを詰めて焼いた豆腐に、タケノコと赤唐辛子とサヤエンドウを合わせたもの。」だが「料理が父の祈りなのだということを、娘は知らない。そして祈りにこたえてくれない。」
 娘は父親に対して口数が少ない。なんとか聞きだそうとする父親に娘は言う。「英語で話すと話しやすいの。中国語だとうまく話せないのよ」「自分の気持ちを言葉にせずに育ったら、ちがう言語を習って新しい言葉で話すほうが楽なの。」父親の方も「ロケット工学者」として国家機密の仕事に携わって、生涯を寡黙に過ごしてきた。
娘に恋人がいることを知り、父親はショックを受ける。恋人はルーマニア出身のアメリカ人。父親の方にも、亡くなった妻にも娘にも隠していた過去があった。文化大革命中の職場でのこと。だが「母さんは知ってたのよ。わたしも知ってた」と娘は言う。
 父親も娘も、ひとりだ。それぞれのひとりの後ろには、中国という巨大なものがあるらしいことが読み進むうちに分かってくる。ということは、父と娘が好んでその背景を背負ったのではないし、払いのけてそこから自由になることもできない、どうすることもできないということだ。そういう存在としてこれから娘はアメリカで生きていくし、父親は中国へ帰るだろう。ひとりでなくなる気配など、作者はまったく示していない。
 短い滞在だったが、父親は公園で同年配のイランのマダムと親しくなった。マダムは近くの老人ホームに入居していて、「紫の猿のプリントがついた鮮やかなオレンジ色のブラウス」を着て、「どの猿も踊るような格好で、にかっと笑っている。」同じ柄のスカーフをして、「頭の上で笑っている猿が」マダムが笑うたびに「上へ下へとはねる。」故郷を追われた老婦人と父親は、ペルシャ語と中国語で意味の通じない会話をする。「ちがう世界から来てちがう言葉を話すマダムと自分が、秋の日ざしの中、こんなふうに坐って話せるなんて、なんともすばらしいじゃないか。」と父親は娘に話す。
 これを読者はどう読むか。秋の公園の暖かい陽ざしを感じることもできるし、風景を通した向こうに、文章に書いてはいないイランと中国――圧力装置としての――を思い描くこともできるだろう。並んで坐って意味の通じない会話をすることを孤独――穏やかではあっても――と受けとってもいいし、にもかかわらず気持ちは通じ合っている、と読むことももちろん可能だ。いずれにしても、父親と同じようにマダムもひとりなのだ。

 ほかの作品も、主人公は孤独だ。北京で、失職し弁当箱を胸に抱いて道に座りこむ林ばあさん。堕胎しようと来たシカゴで、パレードを見ているうち、腹の赤ん坊が動くのを感じる薩沙。田舎の駅前の市場で、物乞いの男が言うまま、十元与えて男の肩の筋肉をナイフで開いていく三三という女性。市場の屋台で煮卵を売る三三の母親。人物の行動が小気味よくきっちり描写される。
 著者イーユン・リーは、1972年文革の時代に北京の知識人の家庭に生まれた。北京大学で細胞生物学を学び、渡米、アイオワ大学で免疫学の修士号をとる。創作は母語の中国語ではなく英語で書いている。
 当然のことだが、この世界に抽象的な人間などはいなくて、人は、特定のある国の特定のある時代に生まれた特定の人である。
 人の孤独というものも、抽象的な孤独などはない。そのひとりの人間が行動であらわす何かを他から見て孤独と認めるのだと思うが、そこにはやはり時代や国や社会の状況が関わってくるのだと思う。
 イーユン・リーの経歴から、作中人物たちの立ち位置が読みとれるように思うが、そう思うのは不遜かも知れない。そんなことを考えてもらっては迷惑だ、純粋に創作として読んでください、と作者は言うかも知れない。

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紙の本

まるで鋭利な刃物のような短編集

2009/07/16 22:39

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 新潮のクレストブックが好きだというはなしは、もう繰り返しません。
地味だけれど、いい翻訳小説を出しているシリーズだと思ってください。
このシリーズぐらいでしか、海外の中間小説は読めないでしょう。(探せば、いろいろありますが)

 この本も、出てから大分経ちますが、出版当初からずーっと読みたかった一冊です。
新進の在米中国人女流作家が英語で書いた短編集です。
 勿論、小説表現が出来るぐらい、
英語が堪能なわけですが、所謂華僑の二世でバイリンガルという作家でなく、
生まれも育ちも中国で、アイデンティティ、バックボーンは完全に中国にある人です。
母国語は中国語で外国語として英語で小説を書いているわけです。

 この短編集、どれも本当に冷酷で、冷徹でまるで刃物のような作品ばかりです。
読んでいて、まるで心が切り刻まれるよう、、、。
 現実、人との不理解を読者に切り取って指し示すように
ざくざくと描いていきます。中国語で書くと自己検閲してしまうと著者は言っていますが、
多少不自由なガイコクゴで書くことによって、真に描きたいことが描け、
この辺に表現としての斟酌のなさが出ているのかもしれません。
 冷酷、冷徹という言葉適切でないかもしれませんが、
この小説たちが、それだけかというと、全く違います。
その真逆が読者の心には、残ります。
 どんなに、思い違いがあろうとも、生きる上ではその逆、相手を想うことが、必要なのでは
ないか、、と。
 これを一番感じたのは一番最初の"あまりもの"という作品。
表題作"千年の祈り"や、"黄昏"、"柿たち"も凄かったのですが、一番心を打ったのは、
"あまりもの"でした。
 巻末に載っていた、著者が米国での永住権(グリーンカード)を
まだ取得できていないという事実にもどこか心を打たれました。

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紙の本

アイデンティティをテーマにすると、日本人作家だってあるレベルは確保できるとは思うんですが、それに政治や移民ていうのが入ると、もうニッポン人では書けないかな、なんて思います

2007/12/11 19:52

5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

あなたの読書はエンタメ一色ではないか、という指摘を知人から受けます。それと古典が少ない、って。ま、古典を読んでこなかったのは事実だし、読んでみても今の小説のほうが面白い。日本の純文学の一人苦悩ぶりを見せられると、鬱陶しいなあ、やっぱエンタメだぜ、なんて思います。娘たちも私の影響を受けているせいか、殆ど同じ読書傾向。

でも、私にとってのエンタメ、というのは結果として楽しんだものをいうので、いわゆる先にジャンルありき、ではないんです。だから山田正紀も角田光代も豊島ミホもキングもマキュアーンもロスも同列。笑いも涙も冒険も苦悩も区別はあっても、楽しむ点では変わりありません。ま、上手い、下手はありますけど。

で、『千年の祈り』。初読の作家ですが前評判の高さに惹かれたのは事実。勿論、クレストブックであることも要因ではあります。カバーに載っている原題は A Thousand Years of Good Players 。邦題とは微妙にニュアンスが違いますが、どうというほどのものではないでしょう。ちなみに、Photograph by Christopher Drake/Red Cover/Getty Images、Design by Shinchosha Book Design Division です。


カバー折り返しの案内文は

A Thousand Years of Good Players

「たがいに会って話すには、長い年月の深い祈りが
あったのです。ここに私たちがたどりつくために」
――離婚した娘を案じて中国からやってきた父。
父娘のあいだに横たわる語られずにきた秘密と、
人生の黄昏にある男女の濁りない情愛を描いた「千
年の祈り」。ミス・カサブランカと呼ばれる独身
教師とその玉子売りの母(「市場の約束」)。代々宦
官を宮廷に送りだしてきた町がそれと知らずに抱
きつづけてきた欺瞞(「不滅」)。中国の歴史の大き
なうねりのなかで生きる人々の、ままならない歳
月。その人生の細部にあらわれる普遍的真実を、
驚くべき技量で掬いとる。北京生まれの新鋭によ
る、各賞独占の鮮烈なデビュー短篇集。

となっていて、全ての話を原題とともに簡単に紹介すれば

・あまりもの Extra:51歳まで結婚することも恋することも知らずに過してきた女性の平穏な日々が崩れて・・・

・黄昏 After a Life:周囲の反対を押し切って結婚したいとこ同士のあいだに生まれた障害児、その娘が大きくなって・・・

・不滅 Immortality:代々宦官を宮廷に送りだしてきた町にうまれた独裁者そっくりの子供。少年は大人になっても独裁者と瓜二つ。町を出て自分の容姿を利用した仕事に就くが・・・

・ネブラスカの姫君 The Princess of Nebraska:京劇の舞台で女役を演じる男優に恋をした医者の思いは・・・

・市場の約束 Love in the Marketplace:授業で繰り返し使う教材が映画カサブランカから、ミス・カサブランカと呼ばれる独身教師と、利益を無視しても自分の味に拘る玉子売りの母・・・

・息子 Son:アメリカに帰化したばかりの息子と教会に通うようになった母とのあいだのすれちがい・・・

・縁組 The Arrangement:母の元に通ってくるおじさん。周囲の噂を気にもせず行動する男によせる娘の思い・・・

・死を正しく語るには Death Is Not a Bad Jake If Told the Right Way:北京郊外の核兵器研究所に住む少女。宋兄弟と口をきいてはいけないといわれた彼女は・・・

・柿たち Persismmons:息子の死に怒った男は大量殺人を犯し、死刑になった。男は正しいことをしたのか・・・

・千年の祈り A Thousand Years of Good Players:離婚した娘を案じて、ということを大義名分に自分の考えを娘に押し付け、そのままアメリカに居座ろうかという中国からやってきた父と、それを鬱陶しく思う娘は・・・

となります。緊張感溢れるお話ばかりですが、この厳しさが私にはエンタメ。ともかく面白い。しかも、出来はどれも一応によくて、甲乙つけがたいものばかり。表題作を読めば、父親のあまりの身勝手に胃がキリキリしてきますし、「息子」における親子の考えの違いも面白い。

よくよく考えれば、どの話もアイデンティティを扱っている、周囲と自分の見方の差が大きければ大きいだけ緊張感も悲劇性も増してきます。しかも、豊かさとは無縁、というのも北京生まれ、アメリカ在住ということの反映みたいで得心がいきます。今の日本でこういう文学を書けるのは、どうもエンタメ系女流作家だけではないか、なんて私は思ってしまいます。

「黄昏」の辛さも含め、これぞ文学、といっても過言ではありません。

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紙の本

心が洗われる

2015/02/18 12:44

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夢のあと - この投稿者のレビュー一覧を見る

決して美しい話ではないし、救われる話でもない。
しかし、読後はなぜか心が澄んでいた。
みんながみんな面白い!と絶賛するわけではないだろうが、
大切な人(特に母親)にも読んでほしいなと思える作品。
今度実家に帰ったら、母親に渡してあげよう。

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新たなる才能

2007/08/18 16:47

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者のイーユン・リーは1972年、北京生まれ。そのリーが英語で書いて2005年にアメリカで出版されたのが本書である。本書は第一回フランク・オコナー国際短篇賞受賞他数々の賞に輝いている(ちなみに第二回のフランク・オコナー賞受賞者が村上春樹である)。

英語で小説を書くアジア系の作家の活躍はもはや一つの大きな潮流になりつつある。インドのジュンパ・ラヒリしかり、タイのラッタウット・ラープチャルーンサップしかり。きっとこれからも続々と登場してくることだろう。

本書には表題作を含めて10の短編が収録されている。北京大学を卒業後渡米し、アイオワ大学で学んだ著者の体験を踏まえたと思われる作品が多いが、小学生の男の子に恋をすることになる林(リン)ばあさんを描いた「あまりもの」や代々宦官を宮廷に送り続けてきた町の物語である「不滅」など、体験だけにとどまらないバラエティも備えている。

そんな中で私が一番好きな作品は、ミス・カサブランカと呼ばれる独身教師とその玉子売りの母の物語。邦題は「市場の約束」であるが、原題は「Love in the Marketplace」である。主人公の三三(サンサン)には結婚を約束した土(トウ)という男性がいたのだが、この土は旻(ミン)という三三の友人と結婚してしまい今はアメリカにいる。実はこの結婚は旻をアメリカに行かせるための策略としてのものだったのだが(しかるのちに土は旻と離婚して中国に戻ってくるはずだった)、土は三三との約束を破りそのまま旻とアメリカで暮らし続けてしまったのだ。その土が10年たった今頃になって旻と離婚して中国に帰ってくるという。三三の母親は土のことを許して土と一緒になるべきだと三三を諭す。しかし、三三には三三の「まもるべき約束」がある。今さら土と結婚など出来ない。そんな折り、市場にある男がやってくる。この男こそ「約束とは何かを知っている人」だったのだ。

ラストはやや唐突な感もあるが実に鮮烈だ。最後の2行には思わず息を呑んだ。イーユン・リーには、一本筋の通った信念があることがこの作品から如実に伺われる。

ジュンパ・ラヒリやラッタウット・ラープチャルーンサップに比べると、イーユン・リーの作品には自身が生まれ育った中国という国への感情(正・負いずれも)が色濃く現れている。次回作は文化大革命後の中国を舞台にした作品だそうなので、きっと祖国を正面から見据えた作品になるのだろう。


k@tu hatena blog

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2008/01/25 08:40

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