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紙の本
妻たちの二・二六事件 改版 新装版 (中公文庫)
著者 澤地 久枝 (著)
二・二六事件で“至誠”に殉じた熱血の青年将校たち。遺された妻たちは事件後、どのような人生を歩んでいったのか。困難な取材をねばり強く重ね、文字通り足で歩いて検証した、ノンフ...
妻たちの二・二六事件 改版 新装版 (中公文庫)
妻たちの二・二六事件 新装版
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商品説明
二・二六事件で“至誠”に殉じた熱血の青年将校たち。遺された妻たちは事件後、どのような人生を歩んでいったのか。困難な取材をねばり強く重ね、文字通り足で歩いて検証した、ノンフィクションの金字塔。【「TRC MARC」の商品解説】
二・二六事件で“至誠”に殉じた熱血の青年将校たち。遺された妻たちは事件後、どのような人生を歩んでいったのか。困難な取材をねばり強く重ね、文字通り足で歩いて検証した、もう一つの二・二六事件。衝撃と感動を呼ぶ、ノンフィクションの金字塔。〈解説〉中田整一目次一九七一年夏雪の別れ男たちの退場燃えつきたひと花嫁人形 暗き陰翳余燼の中で秘められた喪章 一秘められた喪章 二母としての枷西田はつ 聴き書き生けるものの紡ぎ車辛酸に堪えられよ過去への旅 現在への旅あとがき解説 中田整一【本の内容】
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紙の本
数多ある昭和の歴史書にも決して劣らない価値がこの本にはある
2022/09/30 19:06
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本が戦争へと突き進む転換点となった二・二六事件は有名だ。しかし、この事件を起こした人たちの妻に焦点を当てているこの著作は、とても新鮮だ。なぜなら、このような視点でこの事件を語ろうとした人がいなかったと思われるからだ。様々な人生がある。数多ある昭和の歴史書にも決して劣らない価値がこの本にはある。
紙の本
澤地久枝氏が、自らの足で歩いて検証した2・26事件で殉じた青年将校たちの妻たちのその後の人生を追ったノンフィクションの金字塔とも言われる作品です!
2020/07/26 11:41
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『火はわが胸中にあり』、『記録ミッドウェー海戦』、『愛が裁かれるとき』、『ぬくもりのある旅』、『昭和史のおんな』など数々のノンフィクション小説を発表してこれられた澤地久枝氏の作品です。同書は、二・二六事件で「至誠」に殉じた熱血の青年将校たちの遺された妻たちが、事件後、どのような人生を歩んでいったのかをテーマにしたノンフィクションです。困難な取材をねばり強く重ねながら、文字通り足で歩いて検証した、もう一つの二・二六事件の世界を克明に描いた会心作です。衝撃と感動を呼ぶ「ノンフィクション小説の金字塔」とも呼ばれる作品です。
紙の本
妻たちの二・二六事件
2021/07/19 20:44
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のデビュー作である本作は、二・二六事件に参加して処刑された男たちの妻に焦点を当てている。処刑された男たちは、家庭ではよき夫・父だったが、精神的支柱としていた昭和天皇に拒絶され、兵を私した反乱軍となってしまう。
愛する人を亡くした悲しみに加え、世間の目を気にせざるをえなくなる。批判的な人からは逆賊の家族と見られ、同情的な人からは喪に服して大人しくしろと言われる、それでも自分や子供を養っていくためには働かざるを得ない。この妻たちの数人が東京を離れて満州へ行ったというのは、興味深かった。
紙の本
熱い
2018/08/12 16:09
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
二・二六事件を忘れかけている。
戦争、軍国主義、その被害者として、愛する人を奪われた妻、子らがいることを
忘れてはならない。
やっぱり戦争は嫌だ。
紙の本
唐突に置き去りにされた「叛徒」の妻(恋人)たちのせつない物語
2021/02/25 15:42
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を読むと、「叛徒」とされた男たちは、家庭では良き夫、良き父親だったことが判る。血に飢えた猟奇的殺人者でも先天的サイコキラーでもなかった。私情を捨て公憤に衝き動かされて“男子の本懐”を遂げた満足の中に倒れた。
一方、「己を知る者の為に死」んだ男たちから結婚生活を断ち切られ、唐突に置き去りにされた妻や恋人など女たちが辿るその後は、備える暇(いとま)も心の余裕もなく襲い来た颶風(ぐふう)そのものだった。
「己を説(よろこ)ぶ者の為に容(かたち)づくる」筈の女たちには、それぞれの想いで生きてゆく長い歳月だけが残された。辛くせつない物語を紡ぎながらの余生には“正解”がなかった…。著者が実聴した紆余曲折の歩みに涙を誘われる。
武士(もののふ)の心境を遺書に託した決起将校たちは、純粋にして単純すぎた。幾人かは、最愛の女性がその人生を狂わされ七転八倒する様を知ったなら、とても成仏できずに、冥界と現世の間(はざま)を彷徨うに違いない。個人生活でも実に罪作りな男たちであった。
昭和不況、列強が強いた軍備縮小、不作での飢饉といった社会不安と、財閥と癒着し私利を貪る政治家や官僚が蔓延(はびこ)る不公平な閉塞感。昭和十一年(1936年)の帝都東京を震撼させた二・二六事件は、これらを打破せんとの乾坤一擲の企てだったのだろう。
しかし、首謀者らが叛乱罪で銃殺刑に処された主要因は、昭和天皇の断固鎮圧、厳罰処断の意志にあったとされる。昭和維新を目指し大元帥に良かれと思って元老重臣の斬奸を実行した青年将校たちは、その精神的支柱たる天皇から自分たちが「逆賊」と決めつけられようとは、思いもしなかったろう。
親子以上に年齢の離れた丸腰の老人たちを機関砲の餌食とした行為に、一片の後悔も躊躇も覚えなかったのか。職業軍人でありながら一国の政治に容喙(ようかい)する行為に、本当に疑義も疚(やま)しさも感じなかったのか。
政治を糾(ただ)すためなら、自ら軍を辞して政界に身を投じ、議会において堂々と真正面から不正と闘って欲しかった。憲政の常道に外れ、人命を奪った行動の責任は、余りにも重かった。