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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2007.8
- 出版社: 東京大学出版会
- サイズ:22cm/194,4p 図版8枚
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-13-066158-4
- 国内送料無料
紙の本
野生馬を追う ウマのフィールド・サイエンス
著者 木村 李花子 (著)
馬たちは人の手を離れ野に戻されても、したたかに生きる。その姿を追って、北海道、カナダ、ケニヤ、そしてインドへ…。野生に生きる馬たちに魅せられて周縁を彷徨う女性研究者が描く...
野生馬を追う ウマのフィールド・サイエンス
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商品説明
馬たちは人の手を離れ野に戻されても、したたかに生きる。その姿を追って、北海道、カナダ、ケニヤ、そしてインドへ…。野生に生きる馬たちに魅せられて周縁を彷徨う女性研究者が描く馬と人間をめぐる動物記。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
木村 李花子
- 略歴
- 〈木村李花子〉1959年神奈川県生まれ。名古屋大学大学院生命農学研究科博士(後期)課程修了。農学博士。馬事文化研究所・所長。専門は動物行動学。著書に「ウマ社会のコミュニケーション」など。
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紙の本
「ロバを売る」-という題名では売れないから、そっちになったのかな
2007/10/09 21:54
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安之助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
動物学で「野生」を厳密に定義すると、一度も人間の手により品種改良をなされていない「種」をいう。それでいうと、ウマ(動物学では名前をカタカナ表記する)はなまじ家畜として役に立ちすぎたので、ほぼ「野生馬」は絶滅。確認できているのはモウコノウマだけだ。蛇足でいえば、あえて漢字表記をすると「蒙古野馬」であって、決して“蒙古の馬”ではない。さらに蛇足を積み重ねると、アマミノクロウサギを漢字化すると「奄美野黒兎」であって、“奄美の黒兎”ではない。しかし、大国主命の話に出てくるイナバノシロウサギは「因幡の白兎」が正解。って、脱線しすぎかな。
閑話休題。だが、代わりにかなり前に「野生化」したウマはいる。「再野生(Feral=フェラル)とは、家畜動物が、逃避、人間による遺棄、緩慢な飼育などの理由により、人間の管理から放たれて野生化で生息する状態をいう」、ウマの場合に、これが著者のような動物行動学者のターゲットになっている。著者が追うのはウマだけではない。ロバ、シマウマも研究の対象だ。タイトルには『野生馬を追う』となっているが、【序】で<ロバを売る>とあるように、〈アドベスラ・プロジェクト〉が主軸。アドベスラはロバのハイブリッド種で幻の種だそうだ。
【第1章[北海道]ユルリ島の放牧馬】、【第2章[カナダ]セーブル島の再野生馬】、【第3章[ケニヤ]サバンナのシマウマ】、【第4章[インド]小カッチ湿原のハイブリッド】、第1~3章までは最後に-アドベスラ・プロジェクトより-との文が載っていることからも、本書の主眼は明らかだ。といっても、第3章までが手を抜いていたり、第4章のために牽強付会をしているわけではない。各章を独立して読めば、立派なフィールド・ワーク報告だ。
だが、第4章は趣が違うことは確かだ。第3章まではそこに行けば研究の対象がいるから、単にフィールド・ワークを行えばいい。ところが、第4章は《幻の馬=アドベスラ》を探すことから始める。いうならば、推理小説なのである。アドベスラは見つかったのか、そして結末は-。著者はそれをハッピー・エンドにするべく、現在、馬事文化研究所・所長(インド在住)である。