投稿元:
レビューを見る
「万国のゲーマーよ、集結せよ! 世界を変えるのは君たちだ」と、なかなかの煽りの言葉が帯に綴られている。ゲームにおける人の行動原理を現実世界へ適用して、世界を変えてしまおうとする野心的な内容で、かなり興味深いものがあった。実は期待していた内容とはかなり違った。表紙のカラーセンスがソーシャルゲーム関係の本と似ていたので、てっきりその仲間だと思ったのだが、大きく裏切られた。 "World of Warcraft" などのゲーマーの話から始まり、最後は地球が抱える問題すらも解決してしまおうというのだから、ケータイの中でポチポチやってる話とはスケールが違う!!
ただ、ちと長いので、読了するのにけっこう労力がかかってしまった。正直、「くどい! (^^; 」とも思うのだが、書かれていることはとても大切なことだ。旧来の (生産性を下げるばかりでおもしろくない) 管理モデルに辟易しているオレとしては、人が能動的に行動するモデルを、ゲームシステムから学んで社会に組み込みたいと考えている。そのためには、本書のような内容が一般に認知されるようになるのが手っ取り早いので、ぜひ、一読されたい。
ゲーマーは膨大な時間をゲームに費やす。今や世界中で週に 30 億時間がゲームに費やされているという。誰に強制されたのでもなく、自らの能動的な行動としてだ。「そりゃぁ、ゲームだからだろう。」では思考停止だ。人々の能動的な行動を促すために、現実をゲームのようにデザインするにはどうしたらいいか? …を考えれば、社会はもっと良いものに、そして面白いものになるではないか。原題は "Reality is broken" で、おそらく現実と仮想 (ゲーム) とを区別する意味が薄れていることを込めたタイトルなのだろう。実際に著者のジェイン・マクゴニガルはそのようなゲームデザインをいくつも手がけていて、本書に事例も登場する。ジェインがデザインしたゲームは、簡単で楽しく、そして遊んでいるだけなのに、大きな効用をもたらしているようだ。「注目すべきトップ 10 イノベーター」に選出された彼女の活躍が、これからも楽しみだ。
ふっと気付けば、スクラムに代表されるアジャイル開発は、ゲーミフィケーション理論を活用した開発手法だ。アジャイル開発の本質を理解するためには、実は本書が近道かもしれない。
投稿元:
レビューを見る
ここ4,5年で一番よかった本。
脳が刺激される。僕もやってみたいと思ってしまう。ゲームを使えば本当に現在の人類の抱えている問題を解決できるかも知れない。より沢山の幸せを生み出すかも知れない。
かもしれないという表現を使っているが、ほぼ確実にできると思っている。
この本を読めばそう思えるのではないでしょうか。
ゲームといってもビデオゲームだけを指すわけではない。
この本ではネットゲームのそれを主に指し、
壮大なゲームの世界を大規模な人数で協力プレイしたり競争したり。
「ゲームなぜこうも人の心をつかむのか。」
それを研究してきた著者が、心をつかむゲーム構築のノウハウを使って現実世界を良くしよう。良く出来る!
いくつものゲームが紹介されているが、どれも興味をそそられるし成果も残している。
ゲームで未来をつくるのは
ゲーム業界の人の妄言でも希望でもなく、実現可能でかなり確実な方法なんじゃないかと思う。
投稿元:
レビューを見る
世の中をゲーム化(ゲーム・システム良い部分を利用)することで世界を変えられる。
ARG(代替現実ゲーム:ゲーム開発ノウハウとネットやメディアを利用し、現実世界でコミュニケーションを促したり、行動させたり、協力させたりするゲーム)によって社会を変えていけるのでは…と著者は考える。
つまるところ、ゲームのエンジニアたちによるゲーマーのモチベーションをくすぐる手法、著者からみたゲーマー達の「力」とそれをどう生かせるかということ、そして実際に行われたARG(もしくはそれに準ずるもの)の紹介が本書の中心。
興味深いゲーム事例と、何故人々がゲームにはまるのか、その特性はなにでどう生かせるのかということをわかりやすく、そして応用もしやすく紹介しており、多くの可能性を感じさせる。
ただ、個人的には最終章の事例はただのブレインストーミングに陥ってしまっており、また目的の壮大さと成果事例のアンバランスさで尻すぼみになってしまった感があるのが残念。
またいくら現代世代に有効とはいえモチベーションを保ってあげる仕組みを準備しなければならない社会とすることは正直どうなのかと感じた。それゆえ「社会を変える」のではなく「人を利用する・動かす」為のゲームノウハウと考えるほうがしっくりとくる部分もある。
投稿元:
レビューを見る
なんとなく「一般意志2.0」の描いていた、
未来像の有用な手立てがあるんではなかろうかという予感のもと読んだ。
そしたらすげー面白い。
「モチベーション3.0」にも通じる、
「やる気」をどう引き出し持続させるか、
というテーゼにゲームからの回答を出している感じ。
特にWOW(World of Warcraft)の「フェージング」という視覚効果の話が面白い。
達成度に応じて同じ場所でも見え方が異なるシステムらしいのだが、
これって、
「○○の影響(○○の部分は適宜入れてください)で世界の見え方(考え方)が変わった」
というような劇的な人生経験での変化をわかりやすく視覚的に表しているってことで、
わたしでいうところの「いい本」を読んだ時の快感を、
クエストを達成するごとに味わえるわけである。
こういうシステムがあることをこの本で初めて知ったけれど、
よくよく考えてみると昔からRPGで、
隠された宝箱が見えるようになるとか、
街の人のセリフが変わるとかあったから、
その起源は案外古いのかもわからない。
少々気になったのが、
フィードバックをすぐに返すようにする、
というのが効果的なのはわかるのだけれど、
そういう傾向が、
「我慢出来ない」最近の無時間モデル的消費者思考からくるのか、
それとも元々人間は「そういうふうにできている」のか、
どっちなのかなぁ、と。
最後のほうで、
今現在の様々な問題のソリューションを、
ゲームのプラットフォームを用いて導き出しましょう、
てなことが書いてあるのだけれど、
うーん。
ちょっと得心いかないんだよなー。
なんなんだろ、このモヤモヤ。
ただのルサンチマンかしら。
地球を管理するという、
傲慢な姿勢が気に入らないのかしら。
あとは、
最後のほうで気づいたけれど、
どうやら文章があまりお上手でないのではないだろうか。
非常に単調に感じられる。
この本を読んでふと、
そういえば昔はゲームデザイナーになりたかったなぁ、
てなことを思い出した。
しこりの残る本。
とりあえずはペンディングしとこう。
投稿元:
レビューを見る
退屈で憂鬱な現実世界をよりよくするのに役立つゲーム。短時間で安価に、しかも劇的に問題を解決する。人々が従来ほど苦痛を感じずに現実世界をもっと楽しむ手助けし、ある経験が私たちとって難しいとき、挑戦しがいのある目標を与え、ポイントやレベルや実績を記録し、バーチャルな報酬を提供することによって、その経験をより容易にすることができる。こうした内発的報酬を生み出すゲームの効用を事例を挙げて解説。
参加型ネットワークを利用した、エンゲージメントエコノミー(関わりの経済)圏の中で、参加者の満足度を上げる仕組みにも言及している。そのため、SNSやコミュニティーサイトを企画・運営する時の参考として読んでみるのはよいだろう。
ただ、全体を通して冗長的な印象があり、個別事由に関しては示唆に富む箇所も多いものの、、500ページを超えるハードカバーを読んだ充実感は得られなかった。
事例を絞りエッセンスをまとめた新書サイズの本があるとよいのでは。
投稿元:
レビューを見る
ゲーマーでありゲームデザイナーである作者が、ゲームの効用について力を込めて賛美している本ですが、単に定性的な効用や可能性を説くのではなく、これまでにヒットしたゲームや、作者が意図的にデザインしたゲームが、実際にどのようにプレイヤーの社会性を高め、問題解決能力の向上に貢献してきたかを、豊富で具体的な例を挙げながら論を進めていることで、非常に説得力を感じました。
面白いゲームは確かに非常に中毒性があるため、それをやりこむことでそのゲームを解くためのスキルは短期間で飛躍的に向上することは間違いないのですが、しょせんゲーム作者がコンピュータプログラムに盛り込んだ制約のある条件の下でしかそのスキルは成り立つものではなく、現実世界のきわめて複雑な問題解決への適用・応用には限界があるのではないかと思っていましたが、この本で作者が取り上げている例の多くは、ゲームで一番ポピュラーな単純1人対コンピュータ対戦型ではなく、人間同士の対戦型あるいはプレイヤー協働でのコンピュータ対戦型のものであり、また、モニタ画面の中だけで完結するものでさえなく、他人とのリアルなコミュニケーションによってそのゲームの解決を図らなければならないものであり、なるほどこれなら先ほどの「限界」は大きく超えているなと納得させられました。
広告やマーケティングにゲーム的手法を導入して効果を高めるというのなら、これまでも広く行われてきたことで特別の目新しさはありませんが、作者の考えていることはそれをはるかに超え、エネルギー不足や貧困や気候変動対策といった、本物の巨大で長期の社会問題の解決に、ゲームの手法がなぜ、どのように役立つのかを真剣に検討しているところで、読んで本当に驚かされました。
僕自身もゲームは好きで、シングルプレイヤータイプのものは気軽に楽しめるエンターテイメントとして今までいろいろやってきましたが、作者がこれから増えてくると予言する「社会参加型ゲーム」といったものの存在には、その発生にすら全く意識はいっていませんでした。今後は気をつけて注目してみたいと思います。
投稿元:
レビューを見る
話題になっているゲーミフィケーションという考え方をビジネスのみに利用するのではなく、社会問題に取り組むことや個人の問題を解決するために用いたりするなど、様々な事例を紹介してくれている。ゲームをつくるときに用いられる考え方をもっと広い範囲で応用していこうというのがこの本の基本的な考え方である。現実社会はゲームの社会と比べ、かなり攻略しにくい。達成感が得られにくい。そういった問題をどうにか解決していこうという著者の姿勢にかなり共感できる。これほどまでに体系的にゲームと現実社会を結びつけている本はないと思うので、一読をおすすめする。
投稿元:
レビューを見る
ゲーミフィケーションの可能性を最大限活用し社会に還元することについて書かれている。事例豊富だが論文的でもあるため広く読まれるにはエッセンシャル版があってもよい。
投稿元:
レビューを見る
やっと読み終える、ほぼ1ヶ月。いわゆる読んでみたら相性が悪い本というのもあるが、これはその1つか。正直、全体500頁のうち最後の100頁強は斜め読み。
本題に関係ないところでは、21歳までに1万時間を熱中したものから天才が生まれるということ(マルコム・グラッドコム。この人がどういうレベルのヒトか知らないが、そのフレーズが引用されていた)。それで言えば、私は中学高校のバスケットボールが天才に最も近かったか(ちょっと苦笑)。
さて、この本に戻ると最後の章は「みんなで現実世界を救おう」というタイトルで、その中でworld without oilというゲームの例があったが、「もし〜だったら」というのをリアルの世界でやったのはまさに2011年の日本人だったような気がして(もし、とんでもない震災が起こったら、もし、電気が使えない世の中になったら)、それを現実で実行していった実績を前に、そんなことをゲームと結びつけて語って欲しくないな、とも感じる一方で、確かにスマートホームやスマートシティーというコンセプトってとってもゲームちっくな気もして微妙な読後感でした。
私としては、もっとヴァーチャルワールドとは何かを突き詰めて欲しかった(中途半端にバーチャルワールドを語っている点。最後はリアルに持ってきたか、、という感じ)。
投稿元:
レビューを見る
ゲームの社会貢献的な側面に注目して書かれた本。ゲームの持つ社会的価値、力を肯定。全てのゲームファンに読んで欲しいおすすめの本。
ゲームは現実よりはるかに楽しい、現実はゲームに比べたらつまらないと思ったのなら、これはチャンス。現実はゲームのようにすばらしくなる可能性を持っている。いかに現実の世界を魅力的にするか? 優れたゲームに現実改革のヒントがある。
・ゲームに対する批判、差別的な意見は多い。しかし、私達はゲームからたくさんのことを学べる。
・優れたゲームにはプレイヤーの注意、好奇心をひきつけ続ける仕掛けがある。モチベーション維持の方法論は、現実の仕事、生活改善にも役立てることができる。
・ゲームは、現実では満たせない人間のニーズを満たすことができる。
・ゲームを長時間していると無駄なことをしたという気分によくなる。けれど、ゲームには現実に役立つアイデアがたくさん詰まっている。
・ゲームは失敗を楽しさに変え、私達に明確で、達成可能な目標を次々与えてくれる。もっと努力してレベルを上げようというやる気を引き出してくれる。
・ゲームは古代ギリシアの時代より、現実生活をよりよくするという機能を持っていた。ゲームでストレスを軽減することプラス、ゲームのアイデアを現実に応用することも可能。人類が直面している社会問題、環境問題、国際問題の解決にゲームのアイデアを応用可能。
とにかく福音的な本。ゲームにはまってもったいないと思った後悔を、あれは学ぶ場だったんだと逆転的に解釈できるようになる。
投稿元:
レビューを見る
ゲーミフィケーションの本の中では一番面白く感じた。
ゲームデザイナーでもある著者が、ゲームから一般社会を見た本。
ゲーミフィケーションとよばれる、現実世界での行為をゲーム化することでモチベーション向上や生産性向上につなげる分野の内容では、最もゲーマー(ゲームをする人)向けだと思う。
特にMMOのような大規模オンラインゲーム経験者だと共感できる部分も多いように感じる。
最近のソーシャルゲームは、ゲーム化の精度を上げる事で「お金」を使わせる事に非常に成功していると思うが、「時間」を使わせる事に成功したMMORPGよりはまだましだと個人的に考えていて、
ゲームが「時間」→「お金」と続く個人を駆り立てるものの向かう先が気になる。
投稿元:
レビューを見る
やっと読み終えた。500p以上の本で、翻訳が読みづらくてわかりにくい。読み進む速度も遅くなる。何とて長い。
内容は、総じて面白いと思います。ゲームが未来を創るという発想はありかなと思いますが。。事業化についてもうすこし論述がほしいかなとおもいました。
投稿元:
レビューを見る
p441「ゲーム開発者がやがてノーベル賞を受賞するようになる」...!!!確かにその可能性をみせてくれたプロジェクトがあった。
投稿元:
レビューを見る
子供の時からゲームが好きで、『新ネットワーク思考』や『シェア』、『シンク』、『スモールネットワーク』辺りの創発系や最近はやってるゲーミフィケーションから、ポジティブ心理学を通ってから本書を読んだので、完全に自分の考えをまとめられた感覚。
これからの未来に期待ができるしそんな未来を作りたいと感じさせる本。
そこらへんのゲーミフィケーションの本よりかなり刺激的な経験を提供してくれます。
投稿元:
レビューを見る
これまで考えたことの無いテーマで、非常に興味深く面白かった。
自分に役立つことが在るだろかと考えて読み始めたけれど、「ひとり」っていう感覚では書かれてない気がする。また、読んでいる中で、もっとお金になることを考えなくちゃ続かないんじゃないのか?と思うこともあったけれど、そこは著者はきちんと否定している。むしろNPO的な活動をいかに成功させうるかという観点のような気はする。
ゲーミフィケーションのこれからに関しては、より関心を持ってみていきたいです。
あと、憶えておきたい引用をメモ・・・
「何かを強制的にやらされているとしたら、もしくはしぶしぶやっているとしたら、本当の参加ではありません。
結果がどうなるかに関心を持っていないとしたら、それは本当の参加ではありません。
何かが終わるのを受動的にただまっているとしたら、それは本当の参加ではありません」
・・・まったくです。反省。
「現実の問題を自主的に取り組む障害に変えることで、私たちは義務として取り組むときより純粋な関心、好奇心、動機、努力、楽観主義を始動させた。架空のゲームの文脈で現実生活の行動を変えられるのは、変えようという決意を取り巻くネガティブなプレッシャーがまったく無いからだ。ポジティブな緊張感と、より満足感や達成感が得られ、社会的で意味のある形でゲームに参加したいという自分自身の欲求だけで動いているからだ」
・・・うん、興味深い!