紙の本
テンプラスキー?
2015/10/15 18:06
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投稿者:ねいちゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題はthe language of foodですので、内容的にもサブタイの方が正しいのでしょうが、キャッチーさは圧倒的に邦題の方にあると思います。
レストランにおけるメニューの読み方からマカロンとマカロニの関係に至るまで、ある意味小ネタ的な話題が満載。わたくしケチャップが中国語とは知りませんでした! そして何故ペルシアの王様が「天ぷら」が好きなのかもこの本を読めば分かりますよ。
日常、何気なーく食べていたりする料理や食材についての意外な歴史を、ユーモアある語り口で述べてあり、エッセイとしても楽しめる一冊です。
紙の本
言語学からの食べ物の由来。
2017/11/13 21:23
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史や料理の研究者ではなく、言語学者の研究であるのが面白い。単に単語が似てしまったと思っていたら、語源が一致している、マカロン、マカロニ。意外なつながりを持つ魚醤とケチャップ。
粉と花の英語の発音が同じなのも、アリスの為だけじゃなっかった。
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タイトルに引かれて衝動買い。歴史の本かと思いきや、アメリカの言語学者が書いた食物(というか料理or献立or食事)とその名前の語源の話。(もともとのタイトルは『The Language of Food』)クイモノいうやつは、それぞれの民族の歴史の中で積層的に形成される極めて民族色の濃いものと思われがち(例えば、日本食、刺身や納豆に対する日本人の思い込み)だけれど、実は他文化・他民族との交流の影響が強いと著者は言いたがってる(と思う)。また、著者は西洋料理におけるアラビア圏・中国の影響の強さを示唆する。日本の天ぷらはもともとポルトガル語由来らしいけど、実は六世紀ササン朝ペルシアで皇帝に好まれた「シクパージ」という具だくさんの牛肉料理が原型という。シクパージは肉を大量の酢につけて調理するので保存が航海用の食料に適していたからヨーロッパを経て日本まで伝わって天ぷらとなったということらしいが、これは天ぷらより南蛮漬けの方が近いような気がするなぁ。また、ケチャップの語源は中国福建語でケチャップはもともと東南アジアの魚醤が変化発展したものなど、薀蓄ネタも豊富に書かれています。文章も読みやすく、中身の濃さに拘らず、楽しく読ませます。少しは暇のある方、薀蓄好きの方にはお薦め。
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お気に入りのレストランに足を運びたくなる一冊。昨今の買わせんかなとする書籍タイトルには食傷気味だが、本書は原題「The Language of Food」を思うと品の良い邦題になったと思う。表紙イラストとあわせて編集のセンスが光る。
内容も洒脱にして綿密。統計手法の章と語源の章で多少テイストは変わるが(食の話だけに)、食の文化交流がこんなにも盛んで、かつ、知られていなかったかと思うと興味深い。伝統は必ずしも完全なオリジナルであることを保証しないが、別にそれを卑下する必要はない。
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今年読んだノンフィクションの中で一番良いと思った。
著者はスタンフォード大の言語学とコンピュータサイエンスの教授。
料理、食材、食品の語源にまつわる考察だけでなく、レストランのメニュー6500件内にある65万種類の料理全てをの価格を調べ、統計的手法で分析した結果、料理の説明に長い単語を使うほど、その料理の値段が高くなることを発見したり、また、語源で言えば、天ぷらがポルトガル語から来たのは割と知られた話であったが、そのルーツが古代ペルシャの王が愛したシクバージという甘酸っぱい牛肉の煮込み料理であり、それがエジプトを経由してヨーロッパに伝わるうちに肉料理から魚料理に変化して、天ぷらやイギリスのフィッシュ&チップスとなったという話は鳥肌が立つくらいゾクゾクとした知的興奮を与えてくれた。この他にも死ぬほど面白い説がてんこ盛りの本。食べることに関心のある人すべてに必読の書である。
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7万以上の学生がとったスタンフォード大学の教養講義がこの本に詰まっている。言語学を教える筆者が、食と言語にまつわる驚くべき史実を心理学、社会学、行動経済学まであわせて語る。興味深く勉強になった一冊
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世界の料理のルーツと変遷を言語学の手法で解き明かす。著者はスタンフォード大学の言語学の教授、インターネットで入手した膨大な文献を統計的に分析している。高級レストランと安店のメニューの統計的特徴、邦題にあるテンプラのルーツが6世紀ペルシアにあること、ケチャップはなぜトマトケチャップなのか、そして鮨との共通点など。
料理の単語が専門的でカッコ注釈が多くて読みにくい。
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様々な「食」を言語学の観点から紐解いた本。
作り方さえ知っていればどこまでも広がっていく。そして独自のアレンジが加えられてその土地の食べ物になって、さらに伝播が続いていく。つくづくレシピってのは凄いなぁと感心させられます。そんな歴史を色々なエピソードから描いた本です。
他にも、高いレストランと安いレストランのメニューの違い、高いポテトチップスと安いポテトチップスのキャッチコピーの違いなど、なるほどなぁと思う言葉の観点からの分析が。
個人的には大好きな高野秀行氏が巻末にエッセイを書いていたのもビックリ。キャッチーに売っていこうという方向性なのかはわかりませんが、その方向性が成功しているのかどうかも不明。良い本だけど、一般受けはしないような気がするんだよなぁ。。
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食文化というのは、異なる国の文化が混ざり合ってできています。
スタンフォード大学で教鞭をとる著者が、古今東西の料理本など、ありとあらゆる情報をリサーチして食文化に関する意外な歴史を明らかにしています。ケチャップの語源が実は・・・。
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タイトル以上に素晴らしく充実した内容。
語源だけではなく、どういうモノでどう伝わったか、またビッグデータから言葉や用語、形容詞や音の使われ方の分析まで。
特に料理の伝播と変化は当時の交流がうかがえて非常に興味深い。改めて再読したい一冊。
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計量言語学を料理の研究に適用した章と、歴史的な料理に関する言語の変遷を追う章があって、自分の関心は前者によっているのでそっちの方が面白い。
メニュー中の言語と価格の分析とか、レビュー中に出現する単語の傾向分析とか。こういうの楽しそう。
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2017年3月
日本人が食べる、天ぷらがペルシアの王が好きだった、肉を酸っぱく煮たシクバージだった。などのあらゆる食べ物に関しての一冊
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タイトルに惹かれて購読。
序章からいきなり興味をそそられる事実が羅列されている。
例えば、
ケチャップはもともと魚を発行させた中国のソースだった。
フィッシュ・アンド・チップスは6世紀のペルシャの王たちが好んだ甘酸っぱい煮込み料理に由来する。
乾杯を意味するtohstはトーストしたパンにまつわる歴史に関係している。
など。
タイトルから想像した中身とは違い、言語学から見た世界の食の歴史が綴られている。食からみた世界史という斬新な切り口も見事。
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膨大な古今の言語の海から、食事に関する言葉を辿る旅。先進国だったペルシア・中国から、ヨーロッパを経由して世界中に食べ物が広がっていく様子がわかった。また言葉と価格の相関関係も興味深い。ただ、書名はこれで良いのだろうか?あまりにも内容の一面だけを切り取り過ぎなのではないかと思うが。
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食べものの語源を調べるだけなら、まあ、割りとよくあることなのではないかと思うけど、この本はスケールが違う。
語源から、異文化交流を重ねてきた人類の、文明の、食への情熱の歴史が、これでもかと綴られる。
メニューを見るだけで、高級レストランかカジュアルレストランかがわかる。
高級レストランはメニュー数が少なく、具体的、かつ、日常であまり使わないような大仰な言いまわしで料理名をつけるので、基本的に長ったらしい。
たいしてカジュアルレストランは、全体的にメニュー数が多く、耳に触りの良い、かつ、抽象的な形容詞で料理を表現する。
そして焼き加減、ソースやドレッシング、サイドメニューなどを客が選べるなど、全体的に客好みの味にレストランの方が寄せてくる。
なるほどね。唯一無二の味にはこだわらないというわけか。
ところでタイトルにもある「天ぷら」について。
ポルトガル経由で日本に伝わった料理が元になっているというのは有名な話だが、その大本を辿ると6世紀のササン朝ペルシアに行き着くのだそうだ。
「シクバージ」という、多量の具とスパイスを使った、牛肉を酢で煮込んだものがそれ。
いやいや、全然天ぷらじゃないし。
と思いながら読み進むと、地中海を行きかう船乗りたちが肉を魚に変え、地中海沿岸にそれを広める。
中世の、戒律の厳しいカトリックの信者に、年に100日以上もある断食日にも食べられる魚料理として重宝され、さらに広まりポルトガルへ。
海洋国ポルトガルを経て日本に来たものが「天ぷら」、イギリスへ行ったものが「フィッシュ・アンド・チップス」、南米に渡ったものは「セビーチェ」となる。
ちょっと待って!
揚げた魚の酢漬けって、それ、南蛮漬けじゃない?
ここからは私の、何の根拠もない想像だけれど、初めてそれを見た日本人は上げた魚に対して「それは何というものだ?」と聞いたのではないだろうか。
身近に数多ある魚の、初めて見る調理法。
ポルトガル人は「これか?これはtempero(調味料)だよ」とつけ汁のことを答えたのに、日本人は揚げた魚=temperoと思ったのでは?
で、日本人好みにアレンジした揚げ物=天ぷらになったのではないか。
本家本元の料理の方は、南蛮人が食べている魚の酢漬けだから「南蛮漬け」と。
なんてね。
ケチャップの大本は中国の魚醤であった、とか、マカロンとマカロニの意外な関係など、今まで謎とも思わなかった謎が次々に明かされる。
今私たちが毎日当たり前に食べている料理のこの味は、1000年も前、何百年にもわたって世界経済の中心が中国であったこと、中世イスラム文化の華麗で広範だったこと、そして大航海時代の新世界と旧世界の交流から生まれたものなんだ。
いやはや感服仕りました。
原題「THE LANGUAGE OF FOOD」からの邦題のキャッチーなこと。
このタイトルでなければ、この本を買うことはなかったと思うな。