紙の本
結末は私の予想とは違っていたが、それでなくてはいけない
2021/11/13 22:15
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本経済新聞で翻訳家の岸本佐知子氏、朝日新聞で作家の山田詠美氏が書評で取り上げていた作品、若い女の子とおじさんの恋愛を題材にした作品なんてありきたりだな思ったのだが、このお二人の書評を読んでいたらなぜか読まずにはいられなくなってしまった。主人公の大学生で詩人のフランシス、親友でかつては深い仲にもなったことがある理論家のボビー、ジャーナリストのメリッサとその夫のニック、彼らのかわす言葉の一つ一つが生きている、とくにニックがフランシスに吐き出す嘘偽りのないことばがいい、彼はあまり言葉を飾って口説くようなことはしない(それは男前の特権かな)、でもフランシスのことがどうしても忘れられない、結末は私の予想とは違っていたが、それでなくてはいけない
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どこを読んでも、文章が美しいと感じる本だった。
情景が浮かび上がり、その中に浸れるような感覚。
話の内容よりも、読んでいてその満足度を感じる方が大きかったかもしれない!
あとは装丁好き!!!
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解決されないうちにいろいろな問題が起こって混沌を極めていく感じが今の社会とも重なるね。
このジョー・アルウィンを見られるのか〜〜と思うと楽しみで仕方ない。
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特異ではない関係性が、当事者の言葉によって複雑な関係性を持っているということがわかる。
村田さんの帯の言葉に納得。
ずしんとくる読後感。浮かび上がる問題や疑惑に自分も一呼吸おいて考えないと読み進められなかった。凄まじい、、
最後のシーンは特に大切にしまっておきたい。惹かれ合う間柄において、こんな会話ができたらいい。
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シンプルな文章が良かった。
フランシスは知的に振る舞うけど
時々痛々しさを全面に出してて(多分無意識)
そこが読んでて自分にも同じシーンではなくても
似たような振る舞いをしてたなあと思い出した。
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日本経済新聞社小中大
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カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ サリー・ルーニー著 恋心の機微映す言葉の応酬
2021/10/23付日本経済新聞 朝刊
デビュー作にして英サンデー・タイムズの「21世紀の傑作100冊」に選ばれた、アイルランドの若手作家による長編小説だ。
ダブリンの大学に通うフランシスは、親友で元恋人でもあるボビーと2人で詩のパフォーマンスをしている。2人は30代の有名ジャーナリスト・メリッサと夫で俳優のニックと知り合い、やがてフランシスはニックと関係を持つ。いっぽうレズビアンであるボビーもメリッサに魅(ひ)かれていく。
ふうん、よくある恋愛話ね、と高をくくって読みはじめると大変なことになる。恋人とのちょっとしたやりとりや駆け引きで乱高下する気持ち、4人それぞれが露(あらわ)にする弱さや引け目、猫の目のように変化する関係性、人物たちのあいだに厳然と横たわる経済や階級や外見の格差――それらが屈折した知性と異常に解析度の高いカメラアイをもつフランシスの視点で語られると、読んでいるこちらまで胸の中をかきまわされ、忘れていた記憶や、葬り去ったはずの感情を容赦なく掘り起こされる。苦しいのに早く先を知りたくて、ページを繰る手を止められない。
タイトルのとおり、この小説の大きな魅力は「会話」だ。パーティで、二人きりで、あるいはメールやショートメッセージで、ぽんぽん交わされる人物たちの言葉は皮肉とユーモアに満ち、刺激的だ。年上の恋人に向かって「あなたがしたいのなら寝てもいいけど、これはアイロニーだからね」なんて言ってのけるフランシスは、でも言葉の鎧(よろい)で自分の感情から自分を守っているようにも見える。自分が何者なのか、この先どうなるのか、何もかも手さぐりで不安な姿が鎧の奥に透けて見える。それは誰にでも覚えのあるひりつくような若さの感覚で、この物語がとても新しく、それでいてどこかクラシカルな普遍性を感じさせるのはそのせいなのかもしれない。
私が特に心ひかれたのはボビーのキャラクターだ。人目をひく美貌、壁に「家父長制くそくらえ」と落書きして停学を食らう反逆の徒。ぶっきらぼうな言葉の端々にフランシスへの信頼と愛がにじむ。「君」「あんた」「うちら」と呼び合い、「わよ」「だわ」といった女性の役割語的な語尾を排した二人の会話は圧倒的にリアルな今の女子語りで、訳者の功績だ。
《評》翻訳家 岸本佐知子
原題=CONVERSATIONS WITH FRIENDS(山崎まどか訳、早川書房・2530円)
▼著者は91年生まれ、アイルランドの作家。本書が長編デビュー作。
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「年上の既婚男性と不倫」という枠にはめたくなるけど、二人や取り巻く人たちにそれぞれの事情があって、全く一筋縄ではいかないというのがリアルだった。ニックとの関係に悩むフランシスの本音とか、完全無欠の勝者のようなメリッサが見せる弱さとか、共感するところも多く、登場人物たちに感情移入して読めた。
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自分が傷ついているのを見せるのは負け、それで相手に辛辣な言葉を吐いてしまう。そういう場面が、何度も繰り返し出てくる気がする。
ボビーもフランシスも、近くにいたら仲良くできないし面倒な子たち。でも自信家に見えるボビーがふと吐く本音、やめとけよーと思うけど、混沌に飛び込んでくフランシス。2人とも清々しかった。
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様々なタイミングでバランスが変わるシーソーのような人間関係。読んでいくうちに、あれ、地固まつまちゃうの、と少々物足りなさを覚えたけれども、この展開は(笑)。生きている限り、人と人とは触れあい、作用して、刻一刻と変わっていくのでしょう。
「カンバセーション」というのは通り一辺「会話」「おしゃべり」と捉えていたけど、作中にも出て来るけれども、「交際」という意味もあるんだね。
変化というのはよいことばかりではなく、更に、固定しないことで安住の地ではいられないのだけれど、それでも、生きているってことだよなあ。とりあえず、感想メモ。
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21才頃のアイルランドの知的な女子大生とさらに知的で美しいレズビアンの友達、そこに入り込む気弱なイケメン俳優と作家の妻の夫婦の間の人間関係をメインにゆっくりと少しづつ人間関係が動いて戻ってまた動いてしていく。ゆったりとした、だけど感情の起伏は激しい物語の流れの中で人と人の間の微妙なつながりやずれが詩的にに描かれる。会話と地の文が一続きになったクールな文体が不思議と癖になり、性別も年も違う主人公の心になんとなく寄り添ってしまう自分がいた。
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知的なフランシスはニックとの仲が深まるにつれて自分を失っていく。一人で問題を抱え込んでしまうところがあり、すれ違いからニック、ボビー、メリッサとの人間関係が変化していく。人生経験が少ないからかあまり登場人物に共感出来ず、期待し過ぎたのかあまり自分とは合わなかった。でも他の人の感想を見ると自分が思っているようにも奥深い作品なのかもしれない。
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ヤングアダルトかと思って読んだらめちゃ大学生な話で、私には誰の立場も感情もしっくりこなくて孤独感を味わった。気まずい相手がいる旅行とかそもそも行かないしなぁ…
でも作中で『フランシス・ハ』が出てきて、あ〜この話はフランシス・ハだったのか!と分かって、ふたりの像がようやく結べた。最後の最後でパートナーシップのあり方についても模索していて、あ〜そういうこと!!と…
感覚で沁みてこないのはNot for me だったということだろうし、フランシス・ハ的な物語ならむしろドラマで描かれた方が楽しめる気がするので、ドラマ楽しみです。子宮内膜症ってアメリカではそんな知られてないの??
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ストーリーや起こるできごと、ひりひりするような若さは超普遍的でありつつも、登場人物の設定や関係性、ディテールの描写は超現代的で、とてもおもしろかった。また、文章が読みやすく、ぐいぐい読んでしまった。
知的ユーモアあふれるフランシスの視点が本作の大きな魅力だと思うのだけれど、若さゆえか主観的な評価と周囲の反応が食い違っていることも多いのがスリリングで、フランシス本人を含めキャラクター造形を想像する作業がとても楽しかった。
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正直なところ、人生経験が浅いのでそんなにも人に対して特別な感情を抱いたことがなくイマイチ登場人物に共感することができなかった
他人と自分の家庭環境や容姿、価値観や金銭面を比べて自分って一体誰なのか?そこに私はいるのか?ってぐるぐる考えてしまうフランシスをどこか慰めてあげたい気持ちになった
若い子特有の知性と清々しいほど恋に翻弄される幼さのアンバランスなところが現代っぽいのですかね
ボビーとフランシスの友人の枠を突き詰める関係性をこれからも続けていてほしい、依存しあっているのは実は自分たちなのかも
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2022年5月
読みやすい文章でどんどん読めてしまうが、読み進めて没入してしまった時の面白さというか刺激が強すぎてなかなか読み進められず、休み休み読んだ。
読み終わった今、わたしは何かに打ちのめされている。
ダブリンが物語の舞台であり、メインの登場人物は、裕福な白人である。主人公のフランシスとボビーは学生で、資本主義を否定し、左翼的な考え方の持ち主だが、恋愛感情は、人間の心の関係は、社会の倫理的観念も自分たちの政治的信念もあっさり超えてくる。
裕福さとは何だろうと思う。物語の途中で登場する、自分たちを「支配者階級である裕福な白人」と自認している大人たちが自分の裕福さのために、権力を持った人に媚を売る。たとえその人が嫌なやつでも最大の努力でもてなす。失礼な言動についても我慢する。大人の対応を気取ったって惨めだ。
フランシスは後ろ盾になってくれるような裕福な家があるわけではないので、1人でなんとかしないといけない。不安も多い。でも若く、才能溢れ、自由である。