紙の本
また見たくなる。セリフに行間や余韻のあるドラマを。
2012/01/13 22:55
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アヴォカド - この投稿者のレビュー一覧を見る
「大根の月」がこわくて、長いこと再読出来なかった。ここに収められていて、いい機会なので、思い切って再読した。
太田光が書いた12ページを読んで、なるほどと思う。こわいだけじゃないんだな。
向田邦子全集の月報に掲載された文章などをまとめ、また太田光の薦めるベストも収める。
初めて向田邦子を読む人でも彼女の仕事の全体がわかるし、ファンにとってもこの太田光の”読み”は、確認と再発見があるのではないか。
「かわうそ」をベストにあげているが、私は「かわうそ」もこわい。
近頃のTVドラマを私はめったに見ないが、たまになんの拍子が目にすると、そのセリフの饒舌さに驚かされる。
登場人物たちが、何もかも語ってしまう。語ることが感情の表現だと考えているようだ。
向田邦子の作品、人物たちとは対象的である。
女性が、姉に電話をしている。ハナシがあるの、と言いながら、曇った窓ガラスに「父」という字を書く。
ただこれだけの。これだけでつかむ。
…こういうドラマが見たいな、と思う。
太田光は、もう向田ドラマ以上のものは出てこないのでは、と言う。
また集中して読み直したいな、と思った。
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帰省時に持参する本、今年はビジネス系を減らして大正解。向田邦子はほぼ全作品読んだが、改めて読み返したくなった。
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向田邦子作品には、読者それぞれの思い入れがある。太田さん自身が思う向田作品の感想を慎重に、そして丁寧に綴っている気がした。饒舌なイメージと違い静かで熱い向田作品解説書となっている。
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男の人は向田邦子の辛辣でちょっといたずらっこのような視点が嫌いなのではないかと思っていたので、爆笑問題の太田光がこんなに向田邦子が好きでまるで手の届かぬ人への恋文を書くように評していることが意外だった。
私ももちろん全て向田作品は読んでいるが、「寺内貫太郎一家」だけはまだ未読。これを読んだらすべて読み終わってしまう寂しさに耐えられないのだ。
これを機に彼女の全集が欲しくなった。
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◆凛とした美しさ◆
没後30年という今年、書店に並ぶ「向田邦子」という名前を知らない方がほとんどでしょう。多くのテレビドラマの脚本も手がけた作家ですが、彼女独特の凛とした表現に魅かれていました。この本の著者、太田光が向田邦子の作品を知ったのは中学生という時期で、しかも男性であることに違和感を覚えましたが、彼女に寄せる思いはかなりのものです。是非この「向田邦子論」を通じて気になる作品から手に取ってみませんか。
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男性からの向田邦子の感想を、ぜひ読んでみたい。折から、思い出トランプを再読。全開より数年の時間経過のためか、新たな感想を持った。読了。向田邦子の小説は、テレビが多かったせいか、心理描写が行動であることが多いように思った。それを、文章から論理的に読み解くのは、こだわりすぎのように思えた。
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アタシも大好き『向田邦子』
爆笑問題の太田光がここまで好きだとは、知りませんでした。
「かわいい」くらい。
大好きをまっすぐ前面に出して。
絶賛しているので。
《あなた、もしかして、素直じゃん!って感じてしまいましたわ。》
短編も載っけていて。
構成も良かったです。
ほんと、日常に潜んでいるもの。
いいことも、わるいことも。
さらり。
と、顔をだす。
たしかに、上手いよね。
向田邦子!
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時間ですよ や 寺内貫太郎一家
子供時代に大好きだったテレビドラマです。向田邦子さんの作品だったんですよね。
爆笑問題の太田光さんがぞっこん入れ込む向田邦子さん。
太田光さんのコメントも、収録されている向田邦子さんの作品も、心に響きます。
なんであのドラマが好きだったかが今、わかったような気がします。
いい一冊です。
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図書館で「向田邦子の陽射し」を見つけ、太田さんが向田邦子を好きな理由を知りたいと思い、手に取りました。
「向田邦子の陽射し」では、向田邦子本人や作品に対する太田さんの思いが熱く語られています。太田さんは悩んだときなどに「向田さんならどうみるだろう?どうするだろう?」と考えるそうです。太田さんの思考の一部(ときには大部分)は向田邦子なのです。
この本には、短編小説やエッセイ、脚本の一部が「太田光が選ぶベスト」として集録されています。ここに収録された作品を読むだけで、向田邦子にはまってしまいました。自分で想像しなくても、自分の目の前に情景が現れる描写が凄いです。人間の深い部分を直接的に見せるのではなく、描写により見せられるということに圧倒されました。
太田さんが大好きな小説やエッセイ、脚本について、独自の感性で捉える書評は刺激的です。その分、その書評に囚われて作品を読んでしまうという弊害があるかもしれません。向田邦子初心者の私にとっては作品の奥深さを知ることにつながりました。
(集録されている作品を先に読んで、後から太田さんの書評などを読む方法もあると思います。そうすべきでした。)
太田さんが言っていることで最も腑に落ちたのが、作品には「日常の残酷さ、滑稽さ、無邪気だから怖いところ、ちょっとしたいやらしさ」がちりばめられているということです。日常生活での家族や夫婦、友人間での残酷さや滑稽さなど、見事に作品にちりばめられているのです。収録作品を読んでいて、ゾクッとする部分が多くありました。ある意味、忠実に現実をとらえているのかもしれません。
向田作品は日常の中にある"気付いているけど、気付かないようにしている(無意識にも)"部分を描いているのだと思います。
http://muragon.boo.jp/blog1/2011/12/03_1951.html
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「大根の月」がこわくて、長いこと再読出来なかった。いい機会なので、思い切って再読した。
12ページを読んで、なるほどと思う。こわいだけじゃないんだな。
向田邦子全集の月報に掲載された文章などをまとめ、また太田光の薦めるベストも収める。
初めて向田邦子を読む人でも彼女の仕事の全体がわかるし、ファンにとってもこの太田光の”読み”は、確認と再発見があるのではないか。
「かわうそ」をベストにあげているが、私は「かわうそ」もこわい。
近頃のTVドラマを私はめったに見ないが、たまになんの拍子が目にすると、そのセリフの饒舌さに驚かされる。
登場人物たちが、何もかも語ってしまう。語ることが感情の表現だと考えているようだ。
向田邦子の作品、人物たちとは対象的である。
女性が、姉に電話をしている。ハナシがあるの、と言いながら、曇った窓ガラスに「父」という字を書く。
ただこれだけの。これだけでつかむ。
…こういうドラマが見たいな、と思う。
太田光は、もう向田ドラマ以上のものは出てこないのでは、と言う。
また集中して読み直したいな、と思った。
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向田邦子という人が亡くなったのはぼんやり憶えている。その人物に子供だったがゆえにか興味がなかったので非常にうすらぼんやりとした記憶だ。調べてみると81年の事故だから僕が8歳ぐらいだろうか。8歳ということは小学校2年生ぐらい?憶えているわけがないな、後年のすり込みだろう。
著者、太田光が向田邦子に傾倒しているのは知っていたので手に取ってみたのだけれども、やはり映画を見ないで映画の解説・評論本を読んでいるようでピンとこないものはピンとこない。しかしながらベストテン的に選出された短編ではやはりその切り口にあわわわわと何歩か後ずさりせざるを得なかったのだ。ずざざざ。
タイトルが非常に良いですね。
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太田光さんによる。向田邦子さんへの愛情溢れる本、向田さんの本質、怖さ、誇り、生き方をわかり易く書き表してありました。
向田さんは自分以外のものをとても愛した人です、それが人としての生きる根拠だと信念を、覚悟を持って生きた人でした。
常に自分を殺し続け、沈黙の中に生を繋いでいった作家。
そこに怖さがあります。
美意識の高い人でありながら、それすら意識させない所が向田さんなのです。
太田さんはかわうそが一番お好きだそうですが、これは自分の中の醜さやいやらしさなどを認めて、受け入れられた人でないと好きとは言えない作品だと思います。
私はこの作品が好きではありません。
この主人公と同じ所があるとは感じながらも、認めてしまったら怖いからです。
自分が情けない人間の様な気がしてきます。
覚悟がたりないのでしょう
それに人の愚かさやどうしようもない所をさえ愛おしむまで、人間が出来ていないのでしょう
かわうそがベスト1だという太田さんの
選択や、向田さんの沈黙の誇りにここまで言及された事にも感嘆しました
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向田作品への愛情がはんぱない。私も読み込んできたと自負してきたけど、負けたなぁと思った。悔しい・・・(-"-)
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向田邦子さんのエッセイや短編小説、脚本を
太田光独特の感性で読み解き、それぞれベスト10を紹介、採録したもの。
著者自身も大変な読書家で、しかも小説や文章を書いているが、
向田さんの影響を大きく受けているらしい。
私も向田さんの書かれたものをよく読んでいて、
登場人物のイキイキとした表情が浮かび、とっても辛辣で凄みがあるのに、
なぜか人物が滑稽で生活臭漂う内容がとても好きだけど、
愛情を持って読み込んだ著者に寄るとても詳しい解説があって読むと、
また違う角度で読め、全然違った読み物になった。
ずいぶん前、向田邦子役を山口智子さんが演じたドラマ
『向田邦子の恋文』(向田邦子さんの妹さんが書かれた作品)を観て、
知らなかった向田さんの人生、美意識や葛藤を垣間見た。
今年の始めには、山口智子さんから見た向田邦子が記した家族と、
ご自身の家族について語った『向田邦子が教えてくれたこと』という番組も観て、
いろいろ考えるところがあったけど、
今回はまた違う視点で向田作品が読めて、読書の面白さを再確認した気がする。
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向田邦子のようにオトコギのあるオンナに惚れる。
なかなかできない。
太田光の男としてのふところは広い。