電子書籍
ひたすらやるせない
2020/08/23 16:30
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投稿者:おみず - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうしてそうなったかという「過程」の有無で、私達の心象は大きく変わる。過程がなければ、私達は私達それぞれの思想で、私達に都合のいいそれを勝手に想像し補完してしまう。それがSNSでの被害者バッシングに繋がったのだろう。
これが単に事件だけを綴ったものだったら、私は加害者に憤怒だけを覚えていただろう。
でも生い立ちから丁寧に語られていて、彼らが彼らの思想を抱くに至った経緯まで描かれている。
それだけで、加害者が最後まで被害者の気持ちの片鱗すら感じられなかったことが悲しくなる。
この事件の根底にあったのは選民思想なのだろう。そのような驕りは私の内にも存在する。しかし、それが誰かを傷つけることを防ぐことはできるはずだ。
彼らのような、感情の理由を無視し続ける、つるつるな心の持ち主になってはいけないと強く感じた。
紙の本
偏見か正解か。
2019/11/09 23:27
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投稿者:てつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
東大生は上から目線の人間か?これは偏見なのか?私は東大生をフォーカスするというより学歴社会への警鐘と受けとりました。もちろん女性への暴行は言語道断。社会に出ている人、学生、男性、女性など立場によって捉え方がいろいろある作品だと思います。読むべき作品です。
電子書籍
落ち込んだ
2019/03/24 11:49
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投稿者:アヤナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これ程までに後味の悪い本は初めてでした。
ただ、可能かどうかは置いておいて裁判記録を閲覧したくなりました。
一つの事柄に対して様々な考え方があることは分かっているつもりでしたが、ただの【つもり】だったのだと思い知らされました。
もちろんフィクションなので、個々の心情は推測の域を出ないとは思いますが、学歴が高いというだけで(まだ卒業もしていないのに)こんなに傲慢になれるということは、劣等感の裏返しでもあるのかな?と感じました。
紙の本
東大生ってこんな感じなの?
2019/01/02 14:54
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投稿者:スコット - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かった。一気に読み切った。東大生のステレオタイプって、この本の通りなんだろうか?私の同級生も何人か東大に行ったが、この本の中の登場人物のような感じではなかったな。
紙の本
読んでいて辛かった
2021/01/19 09:55
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投稿者:くらげ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現実の事件を元にした物語。描かれる事件はあまりに卑劣で酷く、また被害者がバッシングを受ける描写も読んでいて辛かった。
フィクションとして描かれる部分では事件に至るまでのそれぞれのキャラクターの生い立ちが、加害者の東大生たち、被害者の美咲ともに細かく描かれており、人間関係の中で彼らがお互いの人となりをどのように認識していたのかを掘り下げて描写している。
その中で印象的なのは、最も強調されている「学歴」だけではなく、美醜や貧富、運動能力など、様々なコンプレックスがそれぞれのキャラクターについてまわっていたことだ。誰かを卑下しマウントを取り始めたら自分が優位に立ち続けていないと耐えられなくなるのだろうか、と感じた。
また、自分はこの程度の人間だ、と位置付けて周囲の空気を読み、存在感を消したり道化に徹したりすることで自分の居場所を確保してきた美咲の気持ちはとてもよくわかる。そこに加害者達が付け入る様な形で、飲み会から暴行事件へと発展していく様子が、読んでいてあまりに心が痛くなった。
紙の本
最後の教授とのやりとりが救い
2019/04/03 12:14
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投稿者:にわなずな - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいるのがつらい本でした。もう読むのを止めようかと何度も思いました。
しかし、最後の被害者と教授のやり取りに涙が出て、救われたように思います。このやりとりが本当にあったものでほしいと思いました。
とはいえ、つばさには何もわからなかった、理解できなかったということに、愕然とし、絶望も感じました。
運が悪かったのかもしれませんが、本当に気をつけて生きていかないと後悔しきれない出来事に遭遇してしまうかもしれないのだと思いました。
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話の元となる実際の事件が報道されたとき、いくつか違和感(行ったことの幼稚さや、被害女性1人が部屋に残ったこと等)があったが、この本のような背景があるとしたら不思議でもないな、と思わせる説得力がある。被害者がやや現実離れして純粋な気もするが、加害者側もまた実際よりは極端に描かれているかもしれないと思えば、受け入れられる範囲内だ。なにしろノンフィクションではないのだから。
筆者の他の作品と比べると、深みに欠けると感じたが、差別感情や承認欲求など、自分にもあるがふだんは気づかないふりをしているものに目を向けるきっかけになる点で読む価値があると思う。気分の悪い人間が多いなか、ほんの数ページしか登場しないが、水大の教授の言葉には救われる。遥も素敵だ。
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ほんとにいろんなタイプの小説を書く人だ。どれも読ませる。つい、読んでしまう。あとは好き嫌い。これは•••「悪」という言葉を使わずに徹底的に救いようのない悪を書いたもので、途中、気分が悪くなる。けど読んじゃう。読ませられちゃう。姫野カオルコさんの本では『終業式』がいちばん好き。またああいうの書いてほしい。
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事件に着想を得た書き下ろし小説。
と、巻末に記されています。
僕は事件を全く知りません。今後も調べる予定はありません。
本書を単なる小説として読みました。
前半は普通の恋愛小説で、後半で事件を描写しています。
後半の事件も含めて全編を通じて、加害者、被害者双方の心理描写を交えて丁寧に描いています。
ぼくは、どちらかというと、加害者側の心理描写に注目して読みました。
読み終えた直後に、加害者側に救いがない=再犯の機会があれば、同様の犯罪に手を染める危険が払拭されていないのでは?と感想を持ちました。
ちなみに、文学を
「言葉にされない、人の声を文章にして読者に示す。」
と定義するならば、
本書は文学の王道をゆく作品です。
他でも書きましたが、よしんば加害者の側であっても、その心理を内側に潜って想像し、リアリティーを以て読者に示すのが文学です。
刑事が(って聞いたわけではありませんが)犯人が犯行に及んだ時の状況を調べ、どのような気持ちで刃物で突き刺したのか、想像するようなものだ、と僕は考えています。
むろん、書いていて愉快なものではないし、精神的な体力も消耗し、
「なんで、作家を職業にしてしまったのだろう。」
と思うのではないかと思いますが、
そのような身を削った作品を僕は読んでいる、
と心に留めながら小説を読むのが、僕のたしなみです。
さて、
犯罪を犯すのは、三つの条件が揃ったとき。と、何かの講習で教わった記憶があります。(ネット社会で、うかつに犯罪者にならないために、と言うような講習だったと思うのですが)
a) 動機
犯罪による利益。
お金やポイントや画像が手に入るとか、エロとか、当たるとか、モテるとか、答えが分かるとか。
b) 実現性
自分が、実行可能な状態にあるとき
c) 正当性
「しかたがない」「他の人はもっと悪いことをしているから、これくらいは赦されるべき」とか、僕が聴いた講習では「だから、自分に言い訳をしている、と気がついた時には注意して下さい。」と解説されました。
例えば、自転車泥棒の場合は次のような感じだと思います。
(自転車泥棒は、窃盗罪:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金だそうです。)
「酔っ払って良い気分。自宅最寄りの駅に降り立った。家まで歩くのは、しんどいな。自転車なら楽だな。」
→ a) 動機
「自転車置き場に行けば、鍵が掛かってない自転車があるかも。あ、あった。」
→ b) 実現可能
「あんまり綺麗にしていないし、もしかしたら、これを駅まで乗ってきて自転車置き場に置いた人も、誰かのを盗んだのかもしれないよ。」
→ c) 正当性
三つのうち、どれか一つでも欠けると、犯行に至らないので、防犯は例えば、
「自転車に鍵を掛ける。」で、b) 簡単に実現できないようにする。などの対策が呼びかけられるし、
「自転車泥棒は窃盗罪で、罰金で済んでも前科一犯ですよ。」と立て看板を掲げる→a) 動機の除去
「自転車置き場にあずけた自転車が盗ま���た人は、タイヘン困ります。」と呼びかける→c) 正当性の排除
むむむ。あまり適当な例にはならないので、本題に戻ります。
本作品の場合は次のようになりましょうか。
a) 動機:仲間に貢献したい。
b) 実現可能な手段がある(言いなりになる女がいる)
c) 正当性=彼女のような人は、こんなふうにされても平気な人。または甘んじて受け入れるべきな人と言う感覚。
a)は、無くならないだろうし、
b) は、今後機会が巡ってくる可能性がある。
c) は、長年の教育が必要。
と言うわけで、裁判が終わった後も、
(次回捕まったら実刑だろうな。と言う恐れはあるが)
c) 正当性が成り立つよね。彼女は、別にこんなふうに扱っても、僕たちの飲み会を盛り上げるべきだよね。と考えることになれば、b) 機会が巡ってきたときに、a) のみ友達に普段、お世話になってばかりだら、
と、同じような犯行に及ぶよね。
と言うふうに思い、加害者には救いのない小説だよな。
と読了直後に思ったわけです。
で、読み終えてから三日経った今日、ふと、エンディングにちかいところで、病院の中で指摘される言葉を、いつか、理解したところで、この犯罪に正当性がない、と思い直せば、再犯を回避できるようになるな。
と思いなおし、
本日感想文を更新した次第です。
読み始めた当初は、前半の恋愛小説部分について、神奈川県立の進学校に通う主人公の状況描写にびっくりしました。
同じく神奈川県立高校出身者として「まるで同級生の解説を聞くよう」でした。
東京と違って、ごく少数の人を除いて(中学校のお勉強がたいへんよくできていても)県立高校を目指す人がほとんど、なところとか、
大概行ける高校に行く。
下手に「近いから」と言う理由で選ぶと「おまえ、もっと偏差値の高い高校に行けるだろう。」と迷惑がられるので。
で、ま、特にがむしゃらになったりしないので、たいしたことないと思っていたのですが、卒業後だいぶ経ってから入学時の最低偏差値とかを目にするとびっくり。
自覚がないので、先生からは「おまえらは『大志を抱け』じゃないけれどさ、もうちょっと目標とか持っても良いんじゃ無い?」と、しゃかりきになって受験勉強をしないことを不思議がられる。
本人は、高校に入学すると、ようやく自分が普通の人になったように感じられてほっとする。
でも、勉強したいやつは、昼休みでも放課後でも、教室の自席でがむしゃらに勉強している。クラスメイトは彼の方針を尊重して足を引っ張るような事はしない。
「やつは、学校で勉強をする。俺は学校ではサッカーをして遊んでいるけれど、家では勉強をしている。」
と出し抜こうとする気も無い。
(運動部のやつだけは例外で「俺たちは充分に勉強する時間が無いから。」と被害者妄想を持っていて「お前、もう高校生だろう。自分が好きでやっている部活を何の言い訳に使っているのだ?」と子供さ加減に呆れて今に至る。)
で、変わり種は他の高校のサークルに入ったり、大学生の恋人を作ったりてのもいる。だから他校の運動部のマネージャーをやるヤツがいるのも「あるある」です。
ちなみに、僕の同級生には、芸能事務所に所属して一応芸名があったアイドルもいたらしい。「俺、頼まれてデパートの屋上のイベントでTVの収録もあるから、と後ろで一緒に踊ったよ。」と言っていたヤツがいた。
僕は、隣りの高校の一つ上の学年のバンドに参加していて、バンドメンバーが全員浪人が決まり、やけになって
「じゃぁ、埼玉県の山奥にギターのおじさんの廃工場があるから、卒業コンサートに向けて合宿な。」
と俺は卒業まで一年以上あるのに、ずる休みさせられて合宿に連れて行かれたりしました。
次男次女(と言うか、真ん中っこ)の扱いは少し不満。
要領が良くなるのは、親が過干渉の場合で、適度な親の場合は、「知らないうちに育っちゃった。」と言うのが真ん中の特徴。親が構わないので、また何かと上と比べられるので、独自路線を模索して、確立していく人が(僕の知り合いの真ん中っこには)多いように思う。それを要領が良い、と言うならそういうものだとは思うけれど、親離れが早く、独立心旺盛な特徴にもう少しスポットライトを浴びさせて欲しいところでした。親に内緒で、得意分野を突き詰めていって、言いそびれたまま、校長から賞状をもらう段になって、家に持って帰るのもはばかれて、卒業まで机の中に賞状を仕舞っておくとか。
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美咲はもっとしあわせな恋愛も出来そうないい子なのに。
相手側悪すぎ。
あんなことして、わいせつのつもりない感覚なんて異常だ。
読んでいる間、昭和の物語を読んでいる感覚した。男も女も昭和の時代の考え方から変わってない感じだからかな。特に男。
私の周りにはあんな古い考えの人はいない。と思いたい。
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姫野さんの描く女の子はいつも魅力的だけど、今回はまず最初に事件の提示がありその事件にかかわる女の子なんだなと思いながら読む。表題にあるように頭が悪いだけとは言えない女の子で、むしろその年齢では頭の良い子なのだけれど結果「頭の悪い女の子」になってしまうのは今の現代の社会の構造によるものなんだとわかる。格差社会の中で思い上がった一部の人間の差別的蔑視の物語。結局、男の方は何故?と思ったところでこの小説は終わっているけれど、法的制裁だけではなく胸のすくような社会的制裁、きっと後にあるだろう、そう文には起さなくとも姫野さん自身も思ってると感じる。読後、私も体の隅々まで泡立てて洗ってしまったほどの後味の悪さ。どちらが頭がいい、悪いではなく家族や学校にも当てはまる格差の話。誰だっていろんな劣等感持って生きている。『東大生』という物差しだけで優越感に浸らせてしまう社会も歪んでいる。本当に頭いい?
小金はコツコツためるもの、大金は流用するもの、その流用できる一部の人間が~などとクドクド聞かされても庶民でよかったなと結局は思ってしまう。
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東大で頭がいっぱいになった人たちの、人としての末路(社会的にではなく
同じ思考様式のいきものは、東大でなくとも身の回りにいっぱいいる。すぐ近くに。
ということを気付かせてもらいました。
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2019年読了1冊目。
前半はまどろっこしい感じがしたが、後半は読んでて辛く、悲しながらもグイグイ読み進めた。
新年早々うーむと唸ってしまいました。
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学歴社会の中で、机上の勉強での頭は良くても、人の気持ちをおもんばかる賢さや常識ルールなどが欠如している若者。
彼女ではなく、彼たちが人として頭が悪い。
事件が起きるまでのそれぞれのバックボーンにかなりのページ数を割いているので、事件の描写は思いのほか短くそんなに気持ち悪くならないですんだ。
ただ素敵な人も出てくる。女子大の教授や被害者が以前交際していた男の子など、人として何が大事か分かっている人が確かに彼女の周りには存在している、それが救いかな。
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エゴの塊の全く救いのない話だが、どの立場のエゴも納得がいって、これこそ、システムコーチングしたくなる話だったよ。しかし、姫野カオルコ恐るべし。