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紙の本
出版大崩壊 電子書籍の罠 (文春新書)
著者 山田 順 (著)
大手出版社に34年間勤め、電子出版ビジネスにも手を染めた元辣腕編集長が実体験を基に、電子書籍に関する希望的観測を打ち砕き、その誤解を解くとともに、メディアの未来を見据える...
出版大崩壊 電子書籍の罠 (文春新書)
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商品説明
大手出版社に34年間勤め、電子出版ビジネスにも手を染めた元辣腕編集長が実体験を基に、電子書籍に関する希望的観測を打ち砕き、その誤解を解くとともに、メディアの未来を見据える。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
山田 順
- 略歴
- 〈山田順〉1952年神奈川県生まれ。立教大学文学部卒業後、光文社入社。『女性自身』編集部等を経て、光文社ペーパーバックスを創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。
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著者/著名人のレビュー
その履歴を見ると力も...
ジュンク堂
その履歴を見ると力も実績もある編集者が、所属する大手出版社の希望退職に応じ、電子書籍のさまざまな試みに旺盛な取材を試み、自身そうしたプロジェクトに絡んでいった上での言葉には、説得力がある。
音声や映像も入るようなリッチコンテンツになってこそ、これからの時代の、収益をあげられコンテンツになり得る。だが、2010年2月発足の日本電子書籍出版社会加盟出版社を初め、ほとんどの出版社は、紙媒体でのコンテンツの表現形式から抜け出せない。一方、デジタルコンテンツは、それが公開された瞬間から、パブリックドメインになってしまうから、「自炊」技術も発達した今、「あともどり」による安定も望めない。
しかし、“紙の本を出さない限り、著者がコンテキストに費やす時間と費用は回収できない”ならば、そして“ウェブの本質は「低度情報化社会」”であり“デジタル化は失業を生み出すシステム”、そして“プレーヤーに場を提供するだけの会社が利益を拡大するのはおかしい”と糾弾するのであれば、困難を承知の上で、紙の本のビジネスモデルに踏みとどまり、そこで生き延びていく可能性と重要性を、もっと模索し訴えていくべきではないか?
紙の本
新たな出版ビジネスとは?
2011/05/21 19:02
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうどう - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年、2010年は「電子書籍元年」ともてはやされたが、その流れに懐疑的な見方をする内容である。電子書籍はそれほど普及せず、紙の本の市場も縮小し、出版社は成り立たなくなる、といった趣旨だ。
電子化、デジタル化といっても、出版社がそのノウハウを持っているわけではなく、結局は外注になるので電子書籍は安くならないし、書き手は、電子書籍化を出版社に依頼するメリットも薄い。名の売れた作家は、「中抜き」で自作を出版するかもしれない。これまで出版社に相手にされなかった書き手たちも、自費出版に近い形で電子書籍を出してくるだろう。しかし、そうした自費出版のほとんどが「ゴミ」に等しく、読むに耐える内容ではない。また、人気のある作家の作品ならばいざ知らず、宣伝・販促活動が十分でなければ埋もれてしまって読者にも届かない。結局、ビジネスとしての電子出版は成立しない。儲かるのは、アップルやアマゾンといった、プラットフォームを有するプレイヤーを除けば、デジタル化を請け負う制作会社だけである。と、著者は言う。
しかし、そうだろうか?
旧態依然とした従来型の出版社は淘汰されるかもしれないが、新たな出版ビジネスが登場するかもしれない。例えば、プロデューサー業を中心に据えた出版エージェントとか、販促などのプロモーションに特化したPR会社などである。紙から電子に媒体を変えたとしても、質の高い著作を読みたい読者は存在し続けるだろうし、その読者に向けての商品作りは継続されると思う。そこに新しいビジネスモデルが出来上がってくるのではないだろうか。
紙の本
電子書籍は出版業界の救世主となりうるか?「3-11」以後の現在でも読む意味はある
2011/04/10 13:50
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「電子書籍は思ったより売れてない!」という事実。米国の最新事情をそのまま日本にもあてはまめる思考パタンに、「ちょっと待った!」をかけた本である。
電子書籍を読む専用機器である Kindle(キンドル)をプロモートするアマゾンや、電子書籍も読める iPad で先頭を走るアップルよりも、世界中の出版物をすべてデジタル化し一元的に管理しようという野望をもつグーグルのほうが、出版業界に与える影響がはるかに大きいという著者による指摘。これは出版業界のなかにいないとできない発言だ。Kindle はもとより、iPad も、電子書籍リーダーとしては、騒がれるほど売れているわけではない。これでは、すくなくとも日本においては、電子書籍が印刷媒体の出版物を越える存在となるとは言えないのではないだろうか、これが著者の見解だ。
本書の全体を貫くトーンは、新聞業界出身の佐々木俊尚氏より、はるかに悲観的である。34年に及ぶ編集生活から、電子書籍の製作に足を踏み入れた著者が遭遇したのは、電子書籍に「呉越同舟」する出版業界と IT業界の「文化」の、出版業の「文化」との対話不能とさえいえる違いであった。
出版業界の内側から見ると、IT業界は「文化」への尊敬のかけらもない存在に映るようだ。著者がまだまだ出版メディアがチカラをもっていた、旧世界への郷愁を完全に捨てきれないからだろう。紙媒体の書籍への愛着は私ももっているので、それを否定する気にはならない。
本書は、そんな著者が、電子書籍の制作者として実際に格闘した結果の考察である。過去と訣別すべく、著者が自分自身を納得させるために書き記した文字であるように思われた。
ただ、本書の出版は、「3-11」という未曾有の激甚災害が起こる以前の出版であった。伝え聞くところによると、今回の大震災と大津波で、東北地方の製紙工場が壊滅的打撃を受けただけでなく、東京湾岸の紙の倉庫も液状化によって大きな被害を受けたらしい。この状況下においては、「出版大崩壊」も絵空事では終わらなくなってしまうかもしれない。
もちろん、電気がなければ電子書籍リーダーも起動できないので、紙媒体の書籍にはメリットも大きいことも確かである。東京電力管内での電力不足は、解消するまで数年かかるという見解もある。
このように、出版業界をめぐる環境はさらに激変しつつあるのだが、「電子書籍」について考えるに当たっては、読む意味と価値のある本だと言っておこう。著者の主張に賛成するかどうかは別にして。
紙の本
ヴァーチャルなものの価値はどんどんさがり,リアルなものの価値があがる?!
2011/04/11 23:08
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞も音楽 (CD) もデジタル化によって収益があがらなくなり,転職や賃下げを余儀なくされている. 著者は自分で電子出版に手を染めた結果,電子書籍も同様のことをひきおこすとかんがえている. また,日本にはアメリカよりはるかに複雑な著作権問題があり,電子書籍の普及をさまたげている. さらに,電子書籍には IT の力が不可欠だが,「IT 側の人間」 は IT やそのビジネスには興味があっても 「作品」 には興味がないという.
このようにこの本では暗い話題がつぎつぎにしめされるが,最後に 「オンラインによるヴァーチャル世界が広がれば広がるほどリアルが大切になる」 という話が登場する. これがほんとうであるなら,すこしばかり救いになるだろう.