黙過

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面白かったです。
一気読みです。
医療がメインテーマの短編ですが、全てが伏線となり、大きな長編ミステリとなっています。
全ての謎がいったんは解決したに見えましたが、最後の最後で、全く別の様相を見せます。
長編として読むと、全く違う面が見えてきます。
命の問題は、難しいです。

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いや～騙されました。短編小説集だと勝手に思って読み進めて、あまりにもお粗末な出来に、下村氏どうかしたのか？と心配しつつ、３篇目あたりでもう読むの途中でやめようと思っていたのですが、最後まで読んで正解でした。まあ小説なんで医学の最前線なのかどうかはよくわかりませんが、プロットがなかなか心憎いです。著者は作品毎に色々な分野を勉強されて執筆されていて、本当にどれも秀作です。最後まで読んで本当に良かったです。

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臓器移植、安楽死、動物愛護、助成金不正受給という医療の分野における問題をテーマにした4つの短編･･･と思いきや！５つめの物語ですべての話が繋がり、解決したはずの４つの謎がまた違う側面を見せ、すべての謎がひとつの問題として解き明かされるとき、この作品は1冊の重厚な長編ミステリーへと変貌する。

命の重さに対する問いかけ。人間と動物の命の重さは違うのか？食べるために命を落とす動物と、医療のために命を落とす動物の命の重さは？臓器移植はどこまでが人間として許容されるのか。医療現場において、倫理と命の天秤はどちらにふれるのか。それが自分の肉親だったときもそう言い切れるのか･･･

色々な問いかけを次から次へと提示しながらラストへ向かっていく最終章は、それまでのどちらかというと退屈だった4つの章を補って余りある。
ここに至るための４つの物語。そのすべては、5話目のためにある。
さすがの下村さん。読んだ人10人10様に意見が分かれる問いかけに、自分も明快な答えを出せるかはあやうい。

全てを読み終わって、題名の「黙過」の意味がきいてくるよく練られた作品だった。

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内容（「BOOK」データベースより）

移植手術、安楽死、動物愛護…「生命」の現場を舞台にしたミステリー。意識不明の患者が病室から消えた!?(『優先順位』)。なぜ父はパーキンソン病を演じているのか(『詐病』)。母豚の胎内から全ての子豚が消えた謎(『命の天秤』)。真面目な学術調査団が犯した罪(『不正疑惑』)。この手術は希望か、それとも絶望か―(『究極の選択』)

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様々な観点から社会問題を取り上げたミステリを書く著者だが、今作は医療分野のミステリ。
構成が素晴らしい。第一話から第四話までの独立した短編が、最終の第五話を読むと長編に変わる。まるっきり接点の無い短編だと思ったので、思わず唸った。
短編の方にやや物足りなさを感じていたが、この構成の妙で全て帳消し。これは傑作。

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一見関係のない4つの短編が、最後の1話でひとつに繋がり、それぞれ別の世界が見えてくる。

という作者の意図は成功しているが、元厚労省高官の行動原理とか、全体の設定に無理がある気がした。

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それぞれ登場人物が異なり、５作の短編を収録した短編集と思いきや、最終章の扉に「前知識が必要なので必ず他の四篇の読了後にお読みください」と、ある。
移植医療、詐病、動物愛護、不正疑惑等、医療を巡る個々ばらばらとも思える、事件ともいえないほどの出来事の積み重ねが、最後に集約し一つの長編ミステリーとなっている。
作者の巧みな仕掛けに脱帽せざるを得ない！
医療最前線のテーマ（ネタバレになるので書きません）に、果敢に取り組み、読者にもその課題への選択を迫る意欲作。
終盤、ある准教授が語る。
「先生は一人の命でより多くの命を救おうとしています。私は、人の命を使わずにより多くの命を救おうとしています。医者として私も先生も目的は同じです。手段が違うだけです」

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連作短編４編とそれをまとめる形でラストの１編
異種間移植の光と闇，命の優先順位や臓器提供，重いテーマの上に病院内の教授選に絡む足の引っ張り合いもあって，フリーの記者が取材する形で事件が現れてくる．ああそうだったのかと謎解きは満足できるが，投げかけられた問いの答えは見つけられなかった．仕事を辞めてまで父の介護にあたった兄，すごく不自然で，父親の方は最低の人間だと思った．

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短編連作集のように作られているが、物語は最後の「究極の選択」で見事に収れんする。
下村さんならではの構成力。
それにしても「命の倫理」を問うﾃｰﾏは重い。

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生命の重さ、大切さをひたすらに考えさせられる連作ミステリ。「命は大切」だとか「命は平等」だとか言うけれど。それはただの綺麗ごとだってのは誰もがわかっていることで。だからといってないがしろにできるものでもない、そんな問題がたっぷりとテーマにされています。
臓器移植、尊厳死、動物愛護等々、いくら考えても明確な答えが出るわけではないひどく悩ましい命の問題。それらを軸にして生み出された事件と謎は、いったん解き明かされたように見えたのですが。どこかしら不完全というか、すっきりしないものが残るなあ、と思っていたら、ラストの一作でそれらが見事に繋がりを見せたのが驚きでした。だけどここでの謎も、明確な答えというのは難しく。タイトル「黙過」の意味もひどく考えさせられるものでした。

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初めは、単に短編集かな？って思って読んでいたのですが最後に全部の話が繋がっていて面白かったです。

特に養豚場の話。人と豚の命の価値などの話は大変興味深く読めました。

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9月-3。3.0点。
連作短編。前半の短編は、意外とあっさりした終わり方。
最後の短編で、伏線を回収し考えさせられるラストに。

上手いんだけど、イマイチインパクトに欠けるというか。
扱うテーマが意外にも重すぎたという感じ。

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4つの短篇が最終話でリンクする。臓器移植、パーキンソン病、養豚場それぞれの話で命の選択と軽重を問われる。平素、深追いしても真理を得難いとあきらめ、あえて追究を避けているテーマだが、小説の中で思考をめぐらせてみるのもよいかも。ただ、読み進める過程では各篇ともに登場人物も結末も一様に薄っぺらいなと物足りなくさを感じる。なるほど、最終章でこう結びましたか。上手いながら、いずれの登場人物の心も晴れずじまいで、こちらの心も曇天のまま。

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始めの4章までは登場人物とストーリーがかぶらなかったので短編集かと思っていた。
しかも単なる短編ではなく、薬丸岳ばりの圧倒的な筆力で究極的に倫理観の選択を迫る感じで始まったのだが、やはり作者のやさしかさが随所に現れナイフを突きつける感じが薄れた。
最終章で全ての登場人物の関係が明らかになり謎解きが始まるのだがここが東野圭吾バリのエンタメが効き過ぎていて自分としては物足りなかった。
捻り過ぎて少し残念だし、彼の作品に共通する全編を通した不安感という一本筋も無かった。

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安楽死・尊厳死・臓器移植・異種移植･･･こんな難題を短編で？と最初は中途半端になるんじゃないかな？なんて読み始めたけど、シッカリ！長編として纏まってはいた。

自然を破壊し動物の命を用い、人間とは、そんなに尊いものなのか？色んなものを犠牲にしながら生きている人間とは、一体なんなのか。

命の優先順位とは。この難題を考えたら究極、肉も魚も食べれないよね･･･ってなってしまう。

レビューを一言で書くなら｢人間て、そんなに他の命より価値があるのか？｣と思ってしまいました。
但し、きっと立場が変われば人間の命1番に物事を考えるんだろうな。

臓器提供にしても、提供する側とされる側で、受け止め方がブレてしまうし。

結局･･･頭で正義ぶっても、それだけでは済まないんだろうな。。。難しい･･･。命は尊いけど、それが人間の命だけなのか。うん、難しいですね。