紙の本
たいへんおもしろく読みました。
2023/08/04 07:12
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投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間の子は、どうやって言葉を身に付けていくのだろうということは、子育て中によく頭をよぎったことですが、他の動物たちには思いが至りませんでした。
岡ノ谷さんの説が完璧かどうかは、私にはわかりません。
ご本人も、まだわかっていないことが多過ぎるように仰っています。
しかし、「おわりに」で岡ノ谷さんが言われているように、小川さんの聞き出す能力は抜群だと思いました。
岡ノ谷さんの説明だけでは理解しにくい事柄を、小川さんが尋ねて、言い換えてくれる感じなので、なるほど!と納得。
聴く力というと阿川佐和子さんを思い浮かべますが、阿川さんよりもスーッと話し手の中に入っていき、読み手との橋渡し役だったり、自分も学ぼうとする姿、私は大好きです。
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人間が言葉を生み出した謎に作家・小川洋子氏と言語科学者・岡ノ谷一夫氏が迫っていきます!
2020/06/21 11:27
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、人間が言葉を生み出した謎に迫る興味深い一冊です。それも芥川賞作家である小川洋子氏と理化学研究所脳科学総合研究センターで生物言語研究をされている科学者・岡ノ谷一夫氏の二人によってその謎が究明されていきます。同書の内容構成は、「言葉の秘密をさぐる遠い旅へ}」(小川洋子氏)、「言葉の起源をもとめて」(岡ノ谷一夫氏)、「第1部 言葉の誕生の秘密に迫る」、「第2部 言葉とコミュニケーションを考える」、「第3部 心の発生と言葉をめぐって」、「人間が死ぬことは不条理だけれど」(岡ノ谷一夫氏)、「鳥は自分たちの神を持っているか?」(小川洋子氏)となっており、興味深い謎への探求が進んでいきます。
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『博士の愛した数式』の小川洋子さんと、脳科学者の岡ノ谷教授の対談本(文庫)
言葉の起源についての説や考察を、岡ノ谷教授の研究や近接領域の話題で盛り上げる。
唐突に繰り出される作家小川洋子さんのアイデアが、岡ノ谷教授を触発する様子が読み取れて面白かった。
やはり、言葉の探求は興味深い。
本書では、岡ノ谷教授の言葉の発生には”歌"が起源になっているという内容が、なんとも興味深かった。
言葉ってなんだろう?歌ってなんだろう?と想いを廻らせながら読んだ。
本書はもともと2011年4月に発刊されたもの。
対談は、東北の震災前に行われていて、震災後に発刊となった。
今回の文庫版の出版に当たって、お二人とも文庫のまえがきとあとがきを書かれている。この部分でも、対談と震災の影響がうかがわれる。
やはり言葉と文明は切り離せないわけで、対談中にも、この文明にどう向き合うかが、奇しくも語られていた。フェルミのパラドックスとして語られる『言葉を持ってしまうと滅びる』、これにどう向き合うかを考え直さなければならない。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
人間が“言葉”を生み出した謎に、科学はどこまで迫れるのか?鳥のさえずり、クジラの鳴き声…言葉の原型をもとめて人類以前に遡り、小説家と気鋭の科学者が、言語誕生の瞬間を探る!
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【目次】
文庫の前書にかえて(小川洋子)
はじめに
・言葉の秘密をさぐる遠い旅へ(小川洋子)
・言葉の起源をもとめて(岡ノ谷一夫)
第1部 言葉の誕生の秘密に迫る
第2部 言葉とコミュニケーションを考える
第3部 心の発生と言葉をめぐって
おわりに
・人間が死ぬことは不条理だけれど(岡ノ谷一夫)
・鳥は自分たちの神を持っているか?(小川洋子)
文庫へのあとがき(岡ノ谷一夫)
解説
・言葉によって伝えたい、という想い(大橋正健)
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作家と、小鳥のさえずりやハダカデバネズミの歌から人間の言葉の起源に迫ろうとする研究者の対談。
言葉について突き詰めてゆきながら社会や文明、時間、自分、人間の意識の問題に迫る。鳥やネズミなどの音楽についての研究ひとつひとつが驚きに満ちて興味深く、人がなぜ言葉を持つようになたのか、言葉を持つことで何を得て何を失ったのか・・・全編目からうろこのわくわくする話ばかりだった。
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ずっと読みたかった本。文庫になったと知って即買い。
おもしろい。鳥のさえずりから歌になり文節になり言葉になるって。ざっくりしてるから、間違ってたらごめんなさい。言葉のすごさみたいなのを思い直すことができた。やっぱり言葉で生きて行きたい。
2013.11
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面白かった。言葉の起源は「歌」ではないか?まさか小鳥と人間に共通点があるとは思わなかった。
文系の私でも分かりやすく書かれていてお二人の対談に引き込まれる。
赤ちゃんや雛の泣き声について、現代のコミュニケーションについてなど、興味深い話がいっぱいだった。
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・無駄な行動が生物学的な強さであり、異性の評価を受ける。発展して美的評価に。独立して芸術に。
・言語の歌起源説。
・歌から言葉へは「一瞬」。
・ミラーニューロン。
・天才は刺激の過剰さ。子孫は残せないが芸術を残す。
・赤ん坊が泣くのは人間が天敵から身を護れるから。
・母と子供の言葉のコールアンドレスポンスによる、相互カテゴリー化仮説。
・言葉は情動を動かせない道具として進化した。
・フェルミのパラドックス……エイリアンが来ないのはなぜか……言語をもってしまうと文明は滅びるから。
・「つながる」こと自体の快感が独り歩きして、空疎なメールなどの言葉。
・統合失調症患者の「死にたい」……言い換えていくと、さびしい、や、つながりたい、に。「死にたい」という魔球。……言葉を解きほぐしていく技術。
・「AならばB」を与えられて「BならばA」と思えるのは人間だけ。ただしそれが「イスラム人はテロリストだ」のようになってしまう。
・ダンスなど儀式を使って、コミュニケーションしたいという意図自体をコミュニケートしている。
・人間の言語システムは書く言葉が生まれるようにはじめからできていた。
・言語・音楽・数学。
・歌の幼児擬態起源説……メスに子供だと勘違いさせることで近づき交尾。
・言語と神……大ボス説と、死の回避説。死の恐怖を受け容れるために物語を必要とする。物語に登場するのは必ず死者。
・哲学的ゾンビ問題。→心の理論。
・言語を持ったことで滅びていく短い時間に、たくさんのものを創造しようとする。
素晴らしい。
上記のような語られた内容がいいのではなくて、語られ方が。
ロマンチックな科学者がいて、適切な聴き手がいて。
ラカンやら岸田秀やらを読んで考えてきたことをこんなに平易に再納得してくれるなんて。
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人だけが持つ言葉の獲得に纏わる核を模索する.双方向の議論が形成され,ブレストされている様子も拝読していて楽しい.
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楽しい!小川洋子のように、言葉遣いに意識的で異分野異文化に好奇心をもつ作者だからこその「科学者に聞く言葉の起源」。
共著者の岡谷氏は、鳥(ジュウシマツ)やハダカデバネズミを使って研究している。オスメスの求愛や集団内の社会的なコミュニケーション手段としての言語が出発点。
本書の指摘で特に面白くヘェ〜と唸ったのは2点。
一つは、言葉が時間を生み出したということ。もう一つは、コミュニケーションが持つ"つながること"そのものの魅力。
私はそれを、「言葉の持つ再生機能が『今、ここ』ではない時間と空間を可能にした、その装置の名は『物語』と読んだ。そしてそれが死という時間の流れが止まってしまうイベントの克服あるいは受容だったのだ、と。
小川はその物語を書き留めるのが作家の仕事、と語っており、しびれた。格好イイ。
「パントマイムでは3日前って表現できないそうですよ」という発言にも唸らされた。
二つ目の「コミュニケーションって、情報の伝達(中身)よりもコミュニケーションをとっているということそのもののが快感で目的になってしまいがち」という点。知識としてはずっと前からの知っていたことではあるけれど、他人事だった。twitterおよびfacebookにどっぷり浸かるようになってからは「ありゃ、自分のことだ」と新鮮に感じたのでここに記す。
ただし、題名には感心しない。「科学する」って安っぽい。「野菜する」って言われてるのと同じ感覚。「哲学する」「科学する」という言い方には、「本気のハードコアではありません、お遊びでちょっとのぞいただけだから間違っても許してね。ほら、科学するって日本語として間違ってるし」という媚が見える。
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鳥の鳴き声と言葉を重ねて、
言葉を使う事を考察。
想いを伝えたい、が基本です。
…言葉足りてるかなぁ。
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「カプグラ妄想」という思春期に抱える病気があって、僕はあきらかにこれにかかったんです。まわりの人が人間ではなく思えたんです。
「心の理論」という理論なんですよ。
小説も研究も、大切なのは想像なのだが、創造と言ってもいろいろな形があるのだろう。
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歌をうたう種、不協和音についての考えかたがおもしろかった。
68「音楽や動物の歌のような、特定の意味のないところでこそ形式が複雑化して文法は進化てきるということですね」
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小説家の小川洋子と、岡ノ谷一夫教授の対談形式で、一気に読めました。
ジュウシマツやハダカネズミの歌の観察も面白く、歌や言葉を獲得した人間の不思議を思いました。
言葉ができたことにより、時間や死を認識し、神を生み出し、物語を紡ぎ出す…、当たり前だと思ってたことにスポットライトが当たり、正に目から鱗が落ちる思いでした。
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なぜ、人間だけ言葉があるか?逆に動物で、言葉を話せないのはなぜか。と言う発想から、言葉についた4つの要素を取り出し検討する。そして、人だけ言葉を使う仮説を設定している。なるほどと思う。
人類だけ、ホモサピエンスと言うとおり、1種のみなのに、言語だけ、多様化しているふしぎ。全く違った集団で育ったジュウシマツ同士も、文法が共通するだろうか。
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人間が言葉を生み出した謎に小説家と科学者が迫る。言葉の原型をもとめて人類以前に遡る対談形式の入門書。
言葉とはコミュニケーションの最たるものなのか。自分の気持ちを伝えるための進化か退化か。ただひとつ言えるのは、言葉から派生した文章表現には美しさが伴うということ。