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ハセ32歳、陰気な男。相棒の沖、30歳だけど可愛い。二人は違法カジノで働くが失敗ばかり、今度は偽宝石売りでも女に騙され無一文に。切羽詰まったハセは閃いた。これからは年寄りだ。さびしさは、利用できると。注目の作家が紡ぐ、泣けるバディ小説。
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全体的にふわっとした印象の小説。登場人物の多くそれぞれ異なった「愛」いう不確かなものを求めてるのが伝わってきた。登場人物達と境遇が似てるわけじゃないけど、何かを求めてしまう気持ちはすごく共感。
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やはり、この作者が描く人物は優しい。今回の主人公は、詐欺を働く男。
でも、なぜか憎めない。おそらく被害者側に立つと、許せないような男なのだが、なぜか憎めない。
やっていることはもちろん最低なこと。女性を騙したり、老人を騙したり。でも、なんか憎めないのは、作者の心なのか。ハセと沖。それから、ハセの親父。みんな最低な男たちだけど、なんか最高。
ハセと沖はバカラで働き、沖のミスで200万の借金を背負った。その借金を返すため偽宝石売りを始める。しかし、騙したはずの女に騙され、やっと貯めた200万を取り上げられる。この後騙す対象を老人に絞った2人。この気持ちの優しい2人は老人を騙すことができるのか・・・。
世の中にはたくさんの犯罪があって、その数だけ犯罪者がいる。でも、その犯罪者たちがこの2人だったならば、少しはマシな世の中になるのかなと思えた。
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すべての愛は正しくない。
こんなことを言い切ってしまう潔さがかっこいい。
愛ゆえに起こす行動は正しいと勘違いしている。
これまたかっこいい。
今の時代にすごい問いかけをしている作品だと思う。
タイトルからしてすごい。
正しい愛と理想の息子。
反吐が出そうな言葉の組み合わせで、すごいインパクトあるし、読んでみてなおさらこのタイトルがピッタリだと思う。
正しい愛なんて存在しないし、理想の息子なんて勝手に思い込んでいるだけ。
まずはそれを認めて、色眼鏡をはずして、クリアな視界で相手を見据えろ。
そして、自分にできる方法で、できる範囲で寄り添え。
わたしにはそう聞こえました。
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人を騙すためにその人を見ていたら自分の内面を見つめていて、ダメなところや、焦りばかりが出てくる。2人が見せる強がり、弱さ、不器用な優しさ、悪人になりきれないところ。短い作品の中でたくさんの想いを感じられる。2人のやってきたことが消えるわけではないけれど少しでも良い日々が来ることを願ってしまう。
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詐欺師の沖とハセ。
沖の母親の認知症をきっかけに
更生する。。。かも、しそう、多分するだろう。
32歳と34歳を若いと思うか、
何を今さらと思うかはそれぞれ。
私は、人生に遅いはないよ!と思う、思いたい。
生い立ちの不幸が詐欺師になる根拠というのは
甘えていると思うけれどね。
自分で働いて、お金を得て、身の丈で生活する。
とても尊いことだと思う。
子育ての目標はここにあるとも思っている。
寺地さん、優しい言葉遣いでとても入りやすい。
ただ、ストーリーは好きだけど、
タイトルがちょっとなぁ。
表紙の絵もストレートすぎて好みではない。
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紹介文の「泣けるバディもの」ってのにひかれてライトな内容をイメージして手に取ったけど、良い意味で裏切られた。
本著は不器用に愛を求め、また不器用に誰かを愛する人たちの物語だった。
社会的には白い目で観られたり(主人公・ハセの父親やハセのように)、糾弾されるような行為をした人だって(虐待じみた教育をした沖の母親だって)、そこに愛情がなかったとは言い切れない。
大多数の人がイメージするような、模範的愛情がすべてではない。
ハセの上司も、ハセが詐欺にかけようとしたお爺さんも、なじみの薬局のおばちゃんも、沖も、その表し方は様々でもハセに少なからず愛情を持っていたように。
正しい愛なんてない。この作品のこの一つのメッセージは「愛はこうあるべき。こうあらねばならない」というどこか息苦しい固定概念を解きほぐしてくれる気がする。
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ニセモノの宝石を売ったり、老人を騙して暮らしている詐欺師の男たち。決して真の悪人ではないように描かれています。みんな誰かを好きだったり愛していたりしているので、少しの想像力があればいい人になれるはず。コメディタッチで面白かったです。
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思わせぶりなタイトルと、表紙に描かれた“いかにも”な男の泣き顔。無償の愛は知っているが、正しい愛ってのは初耳である。理想の息子もわかるが、この二つの関係は? そう思いながら読み始めた。弟分の不始末で金が必要となった男は詐欺を企む。だが、せっかく作った金を奪われてしまい、期限が迫る中、男が目をつけたのは老人だった……。この男、人がいいんだか悪いんだか、真面目なんだか不真面目なんだかよくわからないが、別に開き直っているわけでもない。でも悪人ではないというのは伝わってくる。母親に対する思いや、子に対する思いなど共感(?)する部分もあって考えさせられた。
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ひょんなことから背負うことになった200万の借金を返すために詐欺師となったハセと沖。
女を騙して偽宝石を売りつけていたが、貯めたお金を持ち逃げされ、次なるターゲットをお年寄りに定めた。
憎めない詐欺師ハセ。
根っからの悪人ではないため、善良なお年寄り達も、ハセに好意を寄せます。
表紙のハセが今ひとつ好きになれず、どうしてもイメージの相違があって入り込めませんでしたが、ストーリーはとても好きでした。
ハセ父の『お年寄りなんて言う生きものはいない。それぞれ違う心をもって、それぞれ違う長い年月を生きてきた人たちがそこにいるだけ』というセリフがいい。
寒い施設のフロントで、息子を気遣う痴呆の沖の母が切ない。
ずっと昔から、もっと息子にわかるように愛してあげていたらよかったのに、と思わずにはいられませんでした。
わたあめの飼い主さんも素敵。
今後は新たな仕事を得て、残りの借金を返していくのでしょう。
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架空の犬と嘘をつく猫に引き続き、べらぼうによかった、寺地さん…。寺地さんの世界観とメッセージが私に必要なものすぎる。
「自分の家族って、一般的にみたら普通の範囲内だけど、なんだか自分にとっては居心地が悪かったな」って人はこの小説で救われると思う。少なくとも私はそう。タイミングもあるけど。
今までがどんなに歪な家族関係だったとしても、「正しい愛」はこれからだって得られるし「理想の息子」にもなれる。だから大丈夫。って、信じてもいいって思えた。
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誰かを騙そう…と思いつく時点で終わってるな、と私は思うけれど。でも、何かに気が付いて、正そうとするならば、それは何歳であってもいいとは思うので、これからの人生がほどほど真面目であるように…と思います。これではいけない、何かおかしい、と気づく事は簡単じゃないだろうし、やっぱり育ち方、親の愛情のかけ方で差が出るのは分かります。私も娘が間違ったとしても、必ず戻れるような子育てをしていきたい。
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32歳のハセと30歳の沖の悪党コンビ。詐欺師。
タイトルからどんな話なんだろうと、読むまでは全く想像できなかった。
悪党コンビなのに、どこかまぬけでどんくさい部分もあって憎めない二人でした。
理想と現実は違う。
高齢者になれば、介護が必要となったり、孤独を寂しく感じたり。
介護をする子は負担を感じたり思い詰めたり。
親が理想とする子、子が理想とする親、家族のあり方。親子、親、子、正しい愛なんてなくて、様々な形がある。
悪はいけないけれど、人の生き方、あり方も様々な形があるんだということを感じた。
サラサラ読めた。
読み終わったあと、とてもだんだんジワジワ来ました。良かった。
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詐欺師をしているハセと沖は、違法カジノをやっていた灰嶋に200万の借金がある。偽物の指輪を沖の可愛い顔で騙して売っていた2人だが、あるときその女に騙され、せっかく貯めた200万を根こそぎ持っていかれた。そして、灰嶋も早く借金を返すように言ってきた。2人は年寄りを騙して金をとることを思いつく。1人は駅前の地主で不労所得があるという爺さん。もう1人はなんと沖のと年老いた母親だった。2人は借金返済のため老人ホームへ紹介するという詐欺を働くことにするのだが…
免許証も保険証も持っていないハセと何をやらせても鈍臭い沖。見捨てればいいものを沖に「ハセ、ハセ」と言われると「沖、沖」とかまってやりたくなる。それは、作中にもあったけどずっとみんなから疎まれて育ってきたハセを沖は認めてたからなんだよね。沖が言う通りに、ハセは確かにみんなから疎まれてるかもしれないけど、女から金をせびって生きてきた父親やお節介ババアとなった薬局のトクコもいる。境遇には恵まれなかったかもだけど、ハセのことを気にかけてくれる人はいるんだよね。
ハセが騙そうとした典子さんだって、最後は「私もあなたを利用するから、あなたも私を利用すれば良い」って言ってくれたし。だけど、善さんのことが気がかりだ。善さんとの仲も典子さんと同じようになればいいなと願ってしまう。
しかし、年老いた親が詐欺に引っかかるのが心配じゃなくて、世間体とか親が持ってる財産のほうが心配なんだろうというハセの言葉はかなり響いた…
2020.6.6 読了
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まったく知らなかった作家さんだが、表紙が気になり手に取った一冊。こういう出会いもあるのがうれしい。
なかなかよかった。ドラマ化できそうな感じ。誰にやってもらおうかと配役を想像しながら読んだ。
「無数の美しくない愛を抱えた人間が、ひしめきあうようにして生きている」
読み終わって、あぁ、よかったなと思える本だった。
他の作品も読もうと思う。