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コミカルで熱い父の育児
2022/01/10 14:54
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投稿者:朝4時 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても素直に著者の恥ずかしい事も表に出して突き詰めて書いてあり好感を持てました。父と娘という異性であることについて変に取り繕わずに泥臭く真正面から向き合って考えて居て素敵だと思いました。その他の考察の一つ一つも面白くて熱い。一喜一憂する様もコミカルで可愛らしい。
エクストリームな探検をして生きている人なのに、別次元で4歳の娘との山登りに感動出来ており、人生を濃密に楽しむことが出来る人なんだなぁ、人生を人より何倍も太く深く生きられて得だよなぁと思いました。父親が子供と接するという内容の本ですが、イクメンなどという言葉や形ばかり先行した母親の真似事をするような育児の話とは別で、父というか人間と人間が関わるという、父の生きてきた土壌で学んできた事を出し惜しみなく娘に伝えるというスタンスで良いなぁと思いました。
他に父と娘の関連で気になっている本は、『彼の娘』。著者は別の人ですが近いうちに読みたい。また違う接し方なんだろうなと楽しみ。
その他、父が娘に教える本では、『数学の言葉で世界を見たら 父から娘に贈る数学』(大栗博司)というものも読んだことがあり、カラーが全く違うが自分の得意分野を教えるという点では共通点がありその愛情がクールで論理的だけどよく考えると熱い。
『パパは脳研究者』(池谷裕二)という本も父が娘の成長を見て書いている本だ。これら一連の本を読んで(まだ読んでないものもあるけど)それぞれの父親の得意分野から切り込む視点が面白いし、それぞれの家庭のオリジナリティ溢れる子育てが垣間見れて楽しい。
ハウトゥ的な育児本は一般論ばかりなので、こういうそれぞれの家の親の哲学が読める本って良いなと思いましたし、そういう子育てがポリシーあって一貫性もあって強いんだろうなと思いました。
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探検家の角幡さんの愛娘についてのエッセイ。『極夜行』の中にもちらほらお話がでてきていましたし、自分も父親になったばかりなので、気になって読んでみました。
角幡さんが娘に対して思っていること・考えていること、父親とは何かについて日々思っていることを赤裸々に語っていて楽しいです。角幡さんがあとがきにも書いているように、父親はそこまで積極的に子どものことを話すことはないと思うので(周りではあまり聞かない)、あくまで角幡さんの思いではあるけれども、1冊丸ごとこういうテーマで書かれている本があるのは父親というものリアルが分かって面白いんじゃないか。
いろいろと共感するところも多かったです。日々試行錯誤しながら、自分らしい父親になってゆきたいと改めて思いました。
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角幡さんの本は絶対にはずれがない。
特に子育ての考察は「探検家の日々本本本」のマザーズの書評のときからキレていて、好きだった。
冒険も家族も、形は違えどそれぞれ命と向き合う作業。
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世界の最果てを巡る旅を、命がけで成功させてきた探検家・角幡唯介。今回の舞台は、未知の峡谷でも極寒の北極でもなく、家族と過ごす何気ない日常である。
愛娘「ペネロペ」の意表をついた言動を主なネタにして、哲学者のように、人類学者のように、父親・角幡が面白おかしく考察する。思索の妙はもちろん、自虐ネタ・下ネタも健在だ。
本書が今までとは違うのは、親バカ上等を地でいく語り口である。最初の章「私には異様にかわいい娘がいる」から、その語り口はアクセル全開だ(よく考えると章題からしてすごい)。
いわく「ペネロペ」は、
“純粋に客観的かつ公平的基準からして私の娘は異様にかわいい”
とのこと。あるいは、
“100点中90点ぐらいの点数をつけるぐらいに、かわいい”
とのこと。
親が子供を本能的に可愛いと感じるのは当たり前なのだが、筆者はそこを否定する。あくまでも、客観的に見てかわいいのでありその可愛さは群を抜いている …らしい。それを当の親が頑張って主張しているところが面白い。この手の盲目的フレーズは、形を変え、シチュエーションを変え、本書のいたるところに、散りばめられている。章によっては、本当に30秒に1回は読む。失笑を狙っているとわかっていても、表現が巧みで面白いので、「またかよ」と思いつつ、読み手はそれをかわすことができずに笑ってしまう。
全編、おおむねこんな調子が続くので、真面目に書かれた最終章の家族登山は読後感はなかなかいい。
北八ヶ岳の山道で「ペネロペ」がみせるいじらしい奮闘や、両親を困らせるような”いやいや”の仕草は、まるで我が子を見ているような感じにさせられる。また、そういう「ペネロペ」をだましだまし誘導したり、ご褒美で釣ったりしながら、登頂させてしまうところは、親ならみんなこうするよなぁと納得してしまうような臨場感に溢れている。そして、無事に登山を終えたときに見せてくれる屈託のない喜び(および角幡の感涙)に、ついついこちらもホロリとなってしまうのだ。
命を削るような探検で、生の意味を見出してきた角幡が、幼子の成長を間近に見ることでどんなことを悟り、どのような心境変化をきたしたか。そこも本書の重要なテーマであると思う。
なお、「出産ドキュメント」の章は迫真だ。産婦人科に入院してから出産を終えるまでの一部始終がかなり具体的に書かれている。臨月を迎えた奥様がいる人はぜひご一読を。ひょっとしたら、陣痛で苦しむ嫁の前でカツカレーを食べるくらいの狼藉は許されるのかもしれない。
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いやあ、カクハタ節全開でおもろかった。
しかし、これまで自分たちの世代くらいになると後進のために活動する人が増えている中、その行為は自分が衰えていく恐怖を忘れるためのものというような書き方をしており、おお、そうか、なんだ、みんなそういうことなのか、と勇気をもらい、これからも悪びれることなく、自分の命を最大限自分の楽しみに使っていこうと思ったのだった。
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私も親バカなので、全く他人のことは言えませんが、少し度が過ぎています。角幡氏のイメージが崩れました。
とはいえ、かなり共感できる部分も多く「娘を持つ男親」にはかなりササる内容で面白いと思います。子供を持つ女性陣からは「バッカじゃないの」と一刀両断される本です。
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元から素晴らしかったと思うのですが、極夜行から一気に面白さが増したと思っています。ユーモアが増えて読み物としてとても楽しいです。極夜行前もとても良かった。
そして今回は幼い娘の事を探検家が書くというわくわくしかないという、読む前から大期待して臨んだ本です。
かなり自分の中でハードル上げまくっていたので、実際どうなんだろうかと思っていましたが、乱暴なユーモアと、とんでもない屁理屈で構成されていて非常に読んでいて楽しかったです。まさに男という雰囲気の角幡氏が娘にメロメロになりながらも、恐らく周りからは極大限自分勝手な父親と映っているんだろうなと想像出来ました。
娘(作中ペネロペ)の容貌に対して異常なほど褒めまくる文章からスタートし、まあ掴みだから面白く書いているんだろうと思いましたが、どうやら本当に凡百の赤子とは違う天下一の赤子であると信じているようであります。その文章がひたすら続く辺りは電車で読むのが困難な程面白かった。
サバイバル登山家、服部文祥氏の奥さんのエッセイのあとがきで、文祥氏が言っていた「子供は大自然と同じである」という事を角幡氏も文中で書いています。確かに一人の人間が産まれ出る事は大いなるスペクタクルですね。
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太陽の出ない極夜の北極圏を単独で探検するような人が、いったいどんな育児エッセイを書くのだろうと思ったら、親バカ全開で楽しかった。いつもの哲学的な思索もありつつ、思い切りふざけた娘讃歌。
自分も出産した今、子どもが産まれることは人生がひっくり返るくらいの大転換だというのには大きく頷ける。子どもがいることで見えたこと、出会えたもの、考えたこととか、ほんとうに数え切れない。
しかし、夫が何ヶ月も海外の危険な場所へ行ったきりで、ワンオペ育児のつづく奥様には同情せずにいられません……。
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冒険家であっても、圧倒的に冒険に出ていない時間の方が長く、家族と過ごしたり、執筆・講演活動したり、次の冒険を計画したり、そちらの時間のお話でした。冒険家のまわりに、日常を丁寧に安全に幸せに暮らす家族があるからこそ、冒険の醍醐味があるのかと。
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似た年頃の娘がいるので分かる!分かる!となる事が多かった。自分が小さかった頃の父親はどうだったんかな?と思わされた。
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探検家37歳、娘誕生。この子が可愛くて仕方がない。4歳になるまでを、リアルにそして哲学的に表現したエッセイ。
べらぼーに面白かった。
「胎児がお腹のなかにいる感覚って、どんなんなの?でっかいウンコがある感じ?」すると妻は思いもよらない答えを口にした。「うーん、そんな感じかな」私は愕然とした。え、そんなもんなの?だとしたら、だとしたら、オレ、けっこう毎朝そんな感じなんだけど・・・
胎児=ウンコ?マジですか?妊娠したことないけど、ひどい便秘ならあるぞ。
「オトウチャン、おちんちん、小さいね」いったい誰のと比べて?それとも相対的にではなく、もう絶対的に小さいわけ?
みたいな話があちこちにあり、海外に長期いる時に娘とスカイプして、通信費に20万円も使ってしまったとか。娘に可愛くいて欲しいと思う父親の心理には何があるのかとか、父親になったことで人生のver1.0からver2.0人変わったとか、硬軟取り混ぜた話がある。
男親はこんな風に親バカであると、小説家や脚本家がフィクションとして描いているのは多数目にした。リアルな友達の男親が語るのは、「可愛いとか、面倒くさい」とか「奥さんとばかり仲良くする」程度のどうでもいい話ばかりだった。
もっと深く普遍的な考察をかます、実はありそうでなかった凄い本だった。
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自分に子供がいないからいい歳して娘視点で読んじゃったんだけど、めっちゃキモいな。
うっかり作家の娘になるとこんなに詳細に観察されて本にされるんだな。
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このヒトの文章が大好きで ほぼ全作品読んでます。
勿論、ヒリヒリするような探検行が
真骨頂なのだが、
何気ない日常を考察した数々のエッセイたちが個人的には好き。
中でも本作品での『おちん◯ん』と
『娘にかわいくなってもらいたい父親の心理』は傑作!
思わず声に出して笑ってしまった箇所も。
捉えようによっては変態の領域スレスレ、
いや、踏み込んでるかもしれませんが笑
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探検家とはいえ、一児の父。
子どもができることで、”あの角幡唯介”が、こうなったのか!と、思わず笑ってしまう一冊。
僕も娘が生まれたことで、この文章に心が震えるようになった。
探検家にとって、自分の足で未開の地を歩き、挑戦することが生きがいだったはずで、それこそが達成感を得られることであり、生きる意味だったと思う。
だけど、それらを味わってきた探検家・角幡唯介が登ってきたどの山よりも、「娘と一緒に登った平凡な天狗岳ほど感動した山はない」と書かれている。
自分の達成感を得ることは貴重な体験だが、大切な人の達成感を得ることに立ち会えることは更に貴重なのかもしれない。
誰かのために生きることについて、考えた一冊。
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探検家である筆者から見た娘論、子育て論。
筆者の探検の話、本の話が好きで今回のも「どんなこと書いてあるんだろ〜」と気になって読み始めた。筆者によれば、「自分の娘は客観的に見てかわいい」とのこと。私も子どもがいるので、自分の子が異常にかわいいと思うことには完全同意。でも客観的かどうかはわかんない。ちなみにこのセリフ聞いた時、ある男性のことを思い出した。その人も「自分の娘は客観的に見てかわいい」と言っていた。男親の傾向なんでしょうか。いや、本当に客観的に見てかわいいのか。
にしても、ペネロペちゃんの成長っぷりや自身の変わりようを面白がっている内容は相変わらず面白かったけど、「子どもはこの親の元に生まれてきたことを受け入れないと成長できないし、親は悩みながらも自分の信じる一番いい教育を自分でちゃんと信じて、子どもに与えていくしかない」みたいなことが書いてあって、今回もいいこと読んだなって思った。