紙の本
連作短編集
2022/11/07 10:10
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
み終わると5篇の短編がつながっていて、ああ連作短編集だったんだな と気づくような作品であった。大声ではなく静かに淡々と語られるような語り口は、読みやすく理解しやすかった。人の死を扱った話は原則苦手なのだが、この作品は静かな語り口のせいか、すんなりと読むことができた。
紙の本
全部つながってた
2017/03/30 22:02
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投稿者:ムジクムジカミュージック - この投稿者のレビュー一覧を見る
頭から終わりまで一通りつながってて、淡々と読んできたものが、最後ふっと素敵な景色にかわるそんな本でした。人の心の少しささくれだったところとか、少し光を避けている部分とかをちくっとするお話ばかりで、特に最後のお話は自分にも身に覚えのあるだけに最後のふわっとした景色がまぶしく感じました。
紙の本
骨を彩る
2020/11/09 11:06
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
短篇作品かと思いましたが、主人公の周辺の人物像を写し出した短篇からなる作品でした。各篇に主人公がいますが、それぞれ主人公の恋人であったり、その友人であったりです。言い換えれば主人公の数珠繋ぎみたいな感じです。内容も身近にあるようなことで非常に分かりやすく共感できる部分が多かった。
この作者の作品は初めてでしたが、今後も他の作品を読みたいと思います。
電子書籍
読みやすかった
2022/01/28 09:02
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投稿者:zgok - この投稿者のレビュー一覧を見る
知人から勧められ、気になっていた本でした。実際読んでみると、とても分かりやすい内容で、読みやすかったです。
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短編5作。
決して言い表せそうにない感情の起伏を、読み取れない胸にうちを、自分ですら思いもよらないことを、どうしてこうも表現できるのか。
ただ辛いだけで終わらない優しさに、思いが込められている。
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2016/05/19読了
「何も喪わず、傷つかず生きている人なんていない」
5編からなる連作短編集。骨が欠ける、足りない....なんかちょっとわかる気がする。彩瀬まるさん初めて読んだけど 心にすっと入ってきた。ラストの「やわらかい骨」がとてもいいお話で うるっと。他の作品も読んでみたい。
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うっすらと漂う、怖さのようなものがある。
すこし傾いた人たちは、その「傾きそのもの」は人間らしいものであって、完璧な人などいないということを裏付けてくれるはずなのに、人格をともなって描かれると、なんとなく世界から外れているような印象を持ってしまう。
自分の普通さを確認したくなるような。
上から見下ろして安心したくなるような。
歪んだ感情を抱かせる描写。
自分の裏側を見るようで、それが怖さの一因かもしれない。
でもなんだか癖になりそうな作家さんだ。
5つに話は分かれているけれど、登場人物が少しずつ重なる連作のようになっている。読み進むに従い作中の時間も進む。
最終話「やわらかい骨」は、はっとする言葉や場面がいくつもあった。
早くに母を亡くした小春が、自分の境遇について思いを巡らせるとき、奥底に潜む「黒いしみ」に気づいてしまう。
「友人の母親はとても親切だけど、彼女たちが私の世話を焼くのは当たり前のことではない。――当たり前という言葉は、まるで高い壁みたいだ。」
そこから、少しずつ、体験と内省を経て心のありようが変化していく。
「言わなきゃいいこと、言ったり・・・とれない、心の癖みたいなものが・・・いやで」
「私を取り巻く大人たちは、――その途方もない理不尽について、私が気づくよりも先に知っていたのだ。」
「ずっとその物事の中で生きてきた人の言葉は強い。親しければ親しいほど鋭く頬を打ち、お前は何も知らない、と胸を衝く力を持っている。」
ひとつひとつ、なにかに気付いていくことができるって、素晴らしいことだなと思う。若く、未知のことが多いからこそ上っていけるステップ。
最後まで読むと表紙の絵がとても・・・切なく、痛々しく、でも美しく、見える。
骨を彩る銀杏の黄金色と、春の桜色。ずっと励ましてくれるだろう、さまざまな思い出の色。
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骨に纏わる短編集。連作短編ではないけれど、どの物語も少しずつ重なっている。やっぱり”彩瀬まる”の作品は魅力にあふれていると感じた。
あらすじ(背表紙より)
十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ…。彼女はどんな気持ちで死んでいったのか―。わからない、取り戻せない、どうしようもない。心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。
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ブクログのベストに入っていたので借りた本。図書館ですぐかりることができた。
指のたより
登場人物は不動産屋を営む津村成久と娘の小春、小春が3歳の時に亡くなった母親、そして津村が最近デートを重ねている弁当屋の出戻りの人。
最近妻の朝子の夢をよく見る津村。夢を見るたびになぜだかわからないが一本ずつ指が無くなっていく。
津村が森林公園の銀杏の雨を見せたかったと夢で妻に見せる。「小春にも見せてあげて」と言い残す。
古生代のバームロール
前話に出てきた弁当屋の出戻りの光恵の話。
高校時代の先生のお葬式。そこに出られない友人「高宮リサ(磯貝真紀子)」を誘い、皆が帰ったころに焼香をあげにくる。自分の経験を踏まえて同窓会に誘うのだが、光恵の思いは伝わらない。
ばらばら
前話に出てきた三恵の『できる高校時代の友人』玲子。
息子が学校でいじめにあい、それを守ろうとするが、逆に子供の心の傷になってしまう。
いっぱいいっぱいになった玲子に夫からゆっくりしてこいと言われ、自分の実父の墓参りに行く。
自分自身のいじめられた想い出、養父が玲子に接してくれた優しさを思い出し、初めて養父をおとうさんと呼べるようになる。
ハライソ
前話で玲子にバスの中で助けられた大学生と、津村不動産で働く槌田くんとの話。オンラインゲームやチャットのなかでかれこれ5年以上付き合っている。お互いに自分たちの悩みを気軽に相談できる二人。
お互いの初体験の相談に乗り合いながら、お互いの恋愛を成長させていく。
やわらかい骨
小春の学校の話。
ある日小春のクラスに転校生がやってきた。彼女は学年でも派手なグループに入りバスケ部にも入った。
ただひとつ、彼女には特徴があった。それはご飯を食べる前に必ずお祈りをするという事だった。それだけでクラスメートからは奇異な目で見られ、なかなか友達が出来ない中で、小春は彼女のバスケの素質と性格を見抜き友達になった。
学校にいるときくらい、御祈りをやめれば普通なのに…と言われる塚本葵は『やめたらちくられる』という言葉を残す。
その言葉から、小春は同じ宗教をやっている子がクラスの中にいる!と確信した。それでもそのひきょうな子をかばう葵。
葵の転校がきまる。
一緒に森林公園を走る二人に、金色の雨がふりそそぐ。
小春は父親に、『このまえお母さんの夢をみたかも。なんかきらきらした銀杏のはっぱがたくさん降って来たの』それを聞いた成久は嬉しげで目の潤んだ泣き笑いに似たひょうじょうを浮かべた。
と、登場人物のリレー形式の小説でした。
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「良い人なのにどこか不幸」なんかそんな言葉が頭に浮かびました。
5つの連作短編。主人公が次から次に受け渡される方式で、物語そのものには繋がりはありません。
主人公たちは何処かに小さな闇を抱えていて、それがある時に相手を突き刺すような言動に繋がり、突き刺した方も傷ついて。そんな物語が続きます。
きちんと、繊細に描かれる物語です。ただ幸せな気分になれる話では無く、読み手の気分や体調によるところも大きいかと思います。
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十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ……。彼女はどんな気持ちで死んでいったのか――。わからない、取り戻せない、どうしようもない。心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。
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静かにゆっくりと流れる文章。
なのに心の奥をぐいぐい抉られた。
5つの物語が穏やかに繋がる連作短編。
「隣の芝生は青い」というように、つい自分以外の人を羨ましく思ったり時に妬んだり…。
でもその妬まれた人だって実は他人には明かせない弱さを抱えていることもある。
自分の中で骨が一本足りない気がして落ち着かなくて、足りないものを補うみたいについ力が入ってしまう…この気持ち、なんか分かる。
一人一人の喪失感が丁寧に描かれてあり何度も切なくなった。
そして最初と最後の短編の、イチョウの黄金色の雨が繋がった時、とても泣けた。
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大なり小なり胸につかえを感じつつ、みんな繋がっている連作短編集。彩瀬まる作品を読むといつもじわじわと悲しみや空しさに共感してから、解放される爽快感が味わえる。「やわらかい骨」のラストが本当に素敵。
読み終えて文庫を閉じて、帯をめくって表紙を眺めて、またしんみり。
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そうだよね、いろんなことがあるんだよね、と思う。金色のきらきらした、懐かしい記憶。わたしのは、なんだったっけな、恩田さんのとある本を読んだ時のあれだな。
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目には見えないこと、言葉では伝わらないこと。それぞれに自分にしかわからない辛さや悲しみや喜びがあって、誰も間違ってはいないという物語。リレー形式で短編が進んで行き、脇役だったひとが主役になったりと見つけるのが楽しくなった。表紙や文中にある黄金色にきらきらと降り注ぐイチョウが見たくなりました。2017.4.15