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ホームレスとは違う、季節労働を生業とする車上生活者に密着したノンフィクションです。
住所を持たずにキャンピングカー等で放浪し、過酷な労働で食い繋ぐ人々がアメリカには沢山います。
原因は各々の経済的なものですが、その後の社会による保障は無く、低賃金の労働力として位置付けられてしまいました。
彼らはもう元の生活には戻れません。
我々の多くが普通と思っている世界から隔絶された生活を選んだのです。
これからホームレスやノマドが増えるのか、保障・救済されるのか、他人事とは思えません。
生きるとは、生活とは何かを考えさせられた一冊。
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ジェシカ・ブルーダー著&鈴木素子訳「ノマド」、2018.10発行。サブタイトルは「漂流する高齢労働者たち」。ノマド。1年に何億円も使って世界中を旅しながら暮らす人、場所と時間に縛られずインターネットとパソコンでどこでも仕事をする人、一日中仕事をし夜は自分の車の中で眠る人、いろんなノマドが。2000年代に入り新種の放浪生活者が出現。一番大きな出費(住居費)を削り車上住宅(避難所と移動手段)に移り住んだノマド。ホームレスではなくハウスレスと称しているとか。愛犬キャバリアと暮らすリンダ・メイ64歳を追いかけた作品です。
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アメリカ中産階級の高齢者が経済的理由で家賃を浮かすために車上生活へどんどん流れ込んでいく。RV車を住居とし、様々な場所へ赴いて老いた身体には明らかにキツい季節労働をしながら生きていけるだけの生活費を稼ぐ。特にAmazon倉庫での肉体労働はかなり酷く、現場には痛みを紛らわすための鎮痛剤が蔓延り、何かあった際に運びこまれる救急が待ち構えてさえいる。年金もままならない中でリタイヤなんて言葉はとっくに無くて、今日を生きるためには労働しなくてはならない。そんなノマドたちを取材したルポなのに、何だか面白く陽気でさえあるのがこの本の魅力だと思う。著者が自らもキャンピングカーに乗り込み彼らと同じ境遇に身を置いて時間をかけて取材したからこそ見られる、ノマドたちの気さくでユーモアあふれる人柄、トライブを作ってその中で助け合い連帯する頼もしさ、何より出てくる人々がそれぞれみんな面白くて魅力的だからそれが推進力になってどんどん読み進められた。「ホームレスではなくハウスレスだ」というのは多くのノマドが抱いているスタンスである。彼らはノマドとして自立して生活していることに誇りとプライドを持っている。そういことを客観的に描き、ジャッジを下さないということにあくまでも慎重である書き方は良きジャーナリズムという感じだ。クロエ・ジャオによって映画化されるというのにまさにピッタリの題材だと思う。
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原書が出版されたのが2017年。取材に3年かけたというから、現状はさらに悲惨な状態に陥っているだろうことは想像に難くない。アメリカで急増する新種の放浪の民=ノマドの実態に迫るNFを読み終え、彼らの(そして自らの)行く先を思い深いため息をついた。彼らはホームレスではない。季節限定の仕事を求め、車で移動し生活するハウスレスだという。強がりなのか開き直りなのか、彼らに悲壮感はなく日々の暮らしを楽しんでいる(ように見える)。アメリカ発の不況が世界を覆い人々が貧困に喘ぐ中、得られた仕事が世界一の金持ちをさらに潤わせるとは……。
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映画「ノマドランド」を見てきて、原作本が図書館にあったので見て見た。映画はフランシス・マクドーマント演じるファーンを主人公に、おおむね60歳以上の高齢の車上生活者を追ったもの。映画は主演のフランシス・マクドーマントとデヴィッド・ストラザーンの他は皆実際のノマドの人たちだということだが、この本ではその中のリンダ・メイを主軸に追っている。
映画に出てきたリンダ・メイその人の写真が載っていた。リンダ・メイは64歳で、シングル・マザーとして二人の娘を育て、車上の人になるまでは娘家族と暮らしていたが、狭いアパート暮らしで、物理的にもベッドが無い、玄関を入った所のソファーに寝ていたが、娘家族だけで出かける時(毎回全員で出かけるわけじゃない)は、リンダのソファーの前を通る事になり、「娘家族はおばあちゃん抜きで楽しむのを悪いと思っているんじゃないかしら、と心配に」なり、取り残されたような気分になり、車上に。・・主演じゃないので映画ではリンダの事情はわからなかった。リンダは自身の子育て時、その娘も貧困の連鎖が起きている。
映画を見てもそうだが、トレーラーハウスでの生活は自由だといっても不便だし危険だ。要はお金だ。お金があれば、それぞれ家を建てて住めるんだろうなあ、という気がした。映画では車を運転できる高齢者が描かれていたが、動けなくなったら車上生活は終わりになるんだろう。
2018.10.20.初版第1刷 図書館
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映画を観て、この世界に興味を持ち読んでみた。
とても分厚くノンフィクションなので読み応えたっぷりなんだけど隅から隅まで読んだわけではなく、乱読に近いかな。
リンダの写真があったけど、映画に出ていたリンダそっくりで本人なのかな…。
ワーキャンパー(キャンピングカーで移動しながら働く人の意)という人々がアメリカでは相当数いてしかも高齢(60歳以上)の女性が多く、年金が少なく家賃の負担がない車上生活をせざるえないという理由らしいけど、リンダに限っていえば、生活能力が高くコミ力も高くタフ。
楽しんでヮーキャンパーを謳歌しているようにも見える。
映画のファーンのモデル?
ホームレスではなくハウスレスという矜持を持っている。
広大な土地があるアメリカならではの生活スタイルなのかも。
(日本でもちろんいるけどね。)
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p70 エンパイヤ empire, ND USジプサム破綻 89405という郵便番号は抹消された
p97 ウィリアム・オスラー 1905の演説 労働者の体力は40代でピークを迎え、60代に向けて下行する。さらに60代になったらクロロホルムで始末したほうがマシかも知れないという笑えない冗談をいった (クロロホルムスピーチ)
p103 ボブウェルズ CheapRVLiving.com
p106 アラスカ大地震
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アカデミー賞受賞作「ノマドランド」を観てから、本を読んだ。もっとその世界を覗いてみたいと思ったから。映画と本から得る印象は少し違うが、この本でワーキャンパーの生活をより深く知ることができた。映画よりも衝撃的な内容も多かった。
今後、日本もこのような暮らしをする人々が増えてくるだろうか?少し危機感をおぼえた。
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映画「ノマドランド」を観なかったら出会えなかった本です。
今のアメリカの実相を知らなかった僕にはとても刺激的な本でしたが、何よりも、いつの時代、どんな社会においても、「人間」として生き抜くための条件を模索し、納得した「人生」を生き抜こうとする「人間」はいるのだという確信からインタビューを続けていると感じられるジェシカ・ブルーダーという著者の姿に、まず、心惹かれました。
60年の人生、我々の社会が「還暦」と呼んでお祝いして、それ以後、なだらかな下り坂を受け入れていく年例で、新たな「生き方」を迫られる現実が、アメリカでは、いや実は私たちの国でも、始まっているという「あたらしい社会」の過酷さ認識し、さて、それで「君たちはどう生きるか」を問いかける本でした。
拡大再生産を前提にした資本主義社会の行き着く先の一つが、現実としてここに描かれているのですが、私たちになすすべはあるのでしょうか。
ブログにも感想を書きました。よければ覗いてみてください。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202105140000/
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数ページ読むとすぐ飽きてしまい、スムーズに読み進められなかった。自分にとってどうでもいい描写が延々と続く所が結構あった。
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映画を見たあとに読みました。
どんなに働いていても、老後に車生活をしなくてはならないのが辛い。
便利で安い通販生活の裏に一日30km歩いて商品をピックアップして、痛み止めを飲みながら働いている人がいると思うと本当にこれが便利な生活なのかわからなくなる。
RV生活を送る人がほとんど白人でそれ自体もあるいみ特権になるというのが映画では気づかなかった点だった。
最後にリンダが国境付近の土地を買ったところが、本当は土地付きの家で安定して暮らしたいことと夢が夢であったほうが良かったのではないかと思えて虚しさがあった。
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中流階級の暮らしが追い詰められ、車上生活に。
アメリカの格差社会の広がりは決して他人事ではない。
ここには、苦しい生活の中でもタフに生き抜く人達。
ささやかな暮らしの中にも喜び楽しみを見つける人達。
さらには大きな夢を叶えようと頑張る人。
今の社会の辛さを綴りながらも、どこかに希望を感じさせる描きかたに勇気付けられる。
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"ノマド"への憧れ、雄大なアメリカでのノマド、というキーワードに惹かれて読み始めと、現実を知った読み終わりのアメリカ現実。
思っていた内容ではなかったけど、年金に医療保険に財源が先細る日本の将来を危うんだ
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自己責任の行き着く先の寂寞とした荒野で、それでも人生を楽しもうとする誇り高い人たち。惨めと思う人もいるだろうし、年老いてからの肉体労働はキツい。白人以外には選べない道でもありそうだ。経済的に踏み止まれていれば違う生き方もあっただろう。それでもより良い生き方をしようとする強さ。
ノマドの生活にロマンを感じてしまいつつ、苦いものも感じる。社会保障、自己責任、労働と搾取、人が人に抱く不安、差別。
自分の人生で大事なものってなんなのか、ちゃんと分かっていたい。
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翻訳は良い。アメ車の名前と、土地名が多数出てくるので、これがわからないと、実感に欠ける読書になるが、いちいち車の名前を google するのはたいへんだし 仕方ないか。白人ホームレスの話で,読んでいていて 元気の出る本ではない.