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200723 石破茂氏がセミナーでコメント
価値観に触れたが
それを実現する「革命」には、「地方から」とミニマムのコミット
190611
時代が変わる時、社会の価値観が転換する 価値観は2つ「美意識」と「倫理観」
明治「強い日本」 戦後「豊かな日本」 そして3度目は「楽しい日本」
新しい時代は「第4次産業革命」
恐ろしく余暇時間の長い時代だから「楽しみ」が大事
→3度目の国家敗戦も「国家の借金棒引き」が必須
価値観の転換はそこに付随して起こる
官僚主導の国家統制主義
東京一極集中 経済の中枢機能 情報発信機能 文化創造機能
日本の官僚はエリートではない
2年ごとの転勤は短期思考となり長期の戦略は考えられない
創造性はなく記憶力に頼る
大きな改革・長期的な改革はできない
これがこの30年間の閉塞感の大本
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「一度目の日本」は黒船がやってきて、薩長の非官僚過激分子が暴れた。「二度目の日本」はマッカーサーがやってきて、戦前の官僚体制を崩壊した。さて、「三度目の日本」は、誰がどんな方法で官僚主導を毀すのだろうか(p180)」
「三度目の日本」=「楽しい日本」は、外圧に因ることなく、「官報体制(官僚と報道機関の複合体)」主導を脱した大学が、変わりつつある日本人の価値観(美意識+倫理観)を汲み取り、各方面との協働で創り上げていくべきだと強く思った。
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私が社会人になったのは平成元年ですが、記憶では高校生の頃から堺屋太一氏の本には親しんできました。残念なことに彼は今年(2019)初旬にお亡くなりになり、この本が最後の本(帯には絶筆とあります)です。
歴史小説、予測小説、日本経済の解説等、多くの本を読んできましたが、最後のこの本では、日本がどうあるべきか、を理想論だけで終わらすことなく、具体的な実効策までも提示しています。それを読みやすくしたのが、「団塊の後・三度目の日本」という本です。これを最初に読みましたが、後日レビューも書きたいと思っています。
200ページに満たない新書サイズの本ですが、今までの彼の主張がコンパクトに纏められている点からも貴重な一冊だと思いました。
以下は気になったポイントです。
・世の中の一番の「基」は価値観である、価値観というものが世の中の形を決める。価値観を分解すると構成する要素は、美意識(何が美しいか)と倫理観(何が正しいか)で成り立っている。この価値観が変わるとき、世の中はがらりと変わる(p4)
・二度目の日本(戦後日本)は、それまでの一度目の日本が持っていた価値観(強い日本)を捨てて、豊かな日本を求めた(p23)
・テレビ放送(地上波アナログ)は、送信出力が50キロワットのテレビ局を東京にしか認めなかった、そのため関西をはじめ、地方のテレビ局は電波出力が10キロワットである(p33)
・現在の日本の危機は「3Yない社会」=「欲ない、夢ない、やる気ない」、これが「三度目の敗戦」である(p56)
・生産性の高い赤穂の塩の販路拡大を目指す浅野内匠頭に対して、生産性の低い吉良の塩の市場を維持しようとする吉良上野介が快くよく思っていなかった、という話がある(p66)
・江戸では金、大阪・西日本では銀が流通していたが、地方の諸藩では、もっぱら藩札と銭であった(p68)
・江戸時代の仕組みの大きな特徴は、「禄(世俗収入)」「権(権力を握る役職)」「位(律令制に基づく官位)」を完全に分離した(p71)
・軍隊には3つの定義がある、1)強力な兵器を集団的に操作可能な集団、2)自ら戦場で働くことを前提とした組織で警察とは異なる、自己完結性がある、3)自ら法律を作れて、軍事裁判が可能(p84)
・明治維新は、アメリカ独立戦争、フランス革命よりはるかに徹底した改革であった、犠牲者は極めて少なく、大名を華族にして、失業した武士を秩禄公債で養う制度もつくった、第一の敗戦の素晴らしいところ(p90)
・維新への大きな起爆剤として、お札を空から降らせ、民衆が驚喜した技術指導をした組織があり、それを受け入れる土壌があったことがある(p96)
・明治初期の重大な経済政策の一つとしてあげられるのは、米に次ぐ大きな農産物だった「綿花」の輸入自由化である(p98)
・農地地主が農民搾取して小金をためて銀行に預ける、明治政府は、地主・醸造家・高利貸しに出資させて銀行をつくり、地主から預金を集めた、それを財閥に与えて、鉱山・海運・鉄道・繊維(紡績、生糸)の4部門に集中投資した(p100)
・日清戦争の賠償金を、清国政府は日本の要請に従い、イングランド銀行振出のポンド建て小切手一枚で支払った(p109)
・エネルギー源が石炭(蒸気機関)から電力へと技術革新したのを宣伝したのが、明治36年に行われた内国勧業博覧会であった。その後に全国に「電信柱」が作られた、電気による通信に用いられた、電信柱は電柱の機能も兼ねていたから、送電と電信の両方に共用された(p112)
・規格大量生産の3要素、1)部品組み立て方式、2)ベルトコンベヤ方式、3)一労働者一作業(p114)
・本物のエリートは、金(禄)役(権力)も名誉(位)の3つとも持っている者のこと(p125)
・政治資金を規制するのは、民主主義を圧殺するのに一番手っ取り早い方法である。スキャンダルを盾にして規制する。政治資金を規制することで、政治家は陸軍の機密費に頼らざるを得なくなった(p129,130)
・当時の国会議員で大政翼賛会に入らなかったのは、反軍演説で知られる「斎藤隆夫」と「安倍寛(かん)=安倍晋三首相の父方の祖父、母方は岸信介)である(p130)
・戦後日本の目標は、安全・平等・経済成長の3つとなった(p144)
・三度目の日本の価値観として、楽しみを正義にしよう、と提唱したい(p172)
・サッカーくじでマスコミが騒がなかったのは、管轄官庁が文部科学省だから(p178)
・官僚主導が崩れるとしたら5つの局面がある、1)少子高齢化、2)地方行政の破綻、3)大不況、これらはすでに見えている、こから顕在するのは、4)国際情勢(アメリカのトランプ大統領、中国、EU分裂、北朝鮮等)、5)第四次産業革命(ロボット、ドローン、自動運転、ビックデータによる変化)蒸気機関(一次)、電力・内燃機関(二次)に相当する(p182)
・第二次産業革命は、電力と内燃機関によるもので、これですべての人々が交通・通信の手段を手に入れた。第三次産業革命は、規格大量生産革命、部品の大量生産・組み立て・一労働者一作業の労務管理であった(p183)
・第四次産業革命後の世界において、ロボットとAIはどういう世の中を作るか、恐ろしく余暇時間の長い時代が出現するだろう(p185)
・第四次産業革命は、ロボットとAIによる技術革新だけでない、それにより人間の思考が深まり、楽しみが広がること(p195)
2019年7月21日
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一度目は明治の「強い日本」
二度目は戦後の「豊かな日本」
今度は「楽しい日本」を創る
帯にこうある通りですが、楽しい日本を創ることには貢献できなくても、せめて自分のまわりだけでも楽しく過ごせるようにしたいと思いました。
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ものすごい説得力です。令和幕開けを「敗戦」と定義するところが斬新。この時代の隘路感を明確に定義している。天国になってしまった日本という表現が、目新しくもあり納得性もあり。この国難をどう乗り越えるかが、遺された日本人の使命だろうと感じさせてくれる。絶筆らしい。
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150年前の黒船来航をきっかけに、国内各地で発生した様々な騒乱(戊辰戦争、西南戦争等)を経て、強い日本を目指した50年、その結果、日清、日露、更に太平洋戦争へと進み、結果、焦土と化した日本から、今度は、豊かな日本を目指しての50年があった。そして、今、気がつけば、世界の新しい流れ(知価社会、情報化の時代)に取り残され長期低迷となった平成が終わろうとしている。いわば、二度目の敗戦という今こそ、楽しい日本を目指そう、という堺屋太一さんの最後のメッセージであります。」
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現在参議院選の真っ只中。今こそ読まれるべき本。
「団塊の世代」という言葉を作り、「日本列島改造論」を現実に官僚として書いた張本人が解説するこの国のこれまで。
どうして地方創生が出来ないのか、どうして日本の世界的存在感が落ちていく一方なのかが150年の歴史振り返りで明らかになる非常にコンパクトにまとまった新書です。
最後に「日本維新の会」を賞賛するところ以外は、めちゃくちゃ頷かされるポイントばかりでした。
官僚であり閣僚だった人が書く、
官僚体制が問題だというポイントほど
説得力が強い言質はないのかと思います。
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これは本当のところだと思う。つまりかなり根深い問題が横たわっているということだと思う。
楽しい社会になるといいんだけど。
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歴史的事実の記述が面白い。
田中角栄「列島改造論」の評価を180度変える記述があるほか、業界団体の東京7区集約化、情報・文化の東京集中など。
本書の読者の多くは「三度目の敗戦」という問題意識をお持ちだろう。
著者の主張に違和感を持つ部分は少なくないが、本書には知っておいたほうが良い事実関係が豊富に含まれている。
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『三度目の日本 幕末、敗戦、平成を越えて』(堺屋太一著/祥伝社)vol.526
https://shirayu.com/blog/topstory/other/8792.html
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(明治)軍事的強国 ->(昭和)経済的に豊かな国 -> (令和)精神的に楽しい国。
コンセプトとしては面白い。ローマ帝国は享楽の果てに滅亡したがその轍をふむことはないのか。
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渋沢栄一は銀行の原始的な役割(資金を集めて事業に貸し付ける)は理解していたが、貨幣の信用力を高める役割は理解していなかった。当時、日本は日清戦争に勝利し、国家予算の2倍もの賠償金を得て、ヨーロッパの国々からいろいろなものを買って鉄道を作ったりした。この異常な明治時代ってやつを一歩引いて描くべきなんでないかね、大河ドラマも。なんなの渋沢スゴイの一色で。麒麟がくるも光秀スゴイがひどかったけどさ。
40代未婚率は若者の気質でまとめてほしくなかったな。団塊ジュニアの就職氷河期でしょう。婚カツの自己紹介で、自分は非正規だって言わなくちゃいけない、安倍晋三は「多用な働き方」っていうけど、小室圭さんはプータローみたいに言われて叩かれてる。そりゃ婚カツもやめたくなるでしょう。閑話休題(なんちゃって)。官僚と政治家の関係については知らなかった観点。官僚は政治家は大枠の予算は決められても実際にどう使うかは自分達にかかってるって思ってる。田中角栄は官僚を敵に回したから失墜した。アメリカではなく。
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筆者の著書を読んだ経験はなかったが、中々現代日本の現状について、ズバズバと軽快に原因とどうあるべきかについて述べていく。元官僚であるから、特に現代の官僚主導、政治家すら官僚に頭が逆らえない体質への批判たるや抑えた表現などもなく、読んでいて面白さを感じる。なお本書の帯には遺稿と書かれており、筆者は2019年に83歳で亡くなられている。去り行く前に言いたい事は全部言っておくという意思も感じられる。
本書は日本を劇的に変えた出来事、明治維新、太平洋戦争での敗戦、そして今の世の中にはびこる夢の無い日本人の生き方について、その価値観の変化を流れるように解説していく。流れる様にという表現は、物事には原因と結果があり、何故そうなったのかについて人々の中にある「美意識」と「倫理観」の変化を元に解説していく内容が見事に流れるように進んでいくからだ。
筆者の半世紀も前の著作名から来た「団塊の世代」は現在でもなお大量かつ一括でやってくる労働人口の減少問題でもよく耳にする言葉だ。その様な社会構造の問題をズバリ表した言葉を残すだけあって、内容もわかりやすく一貫しており、前述の「価値観の変化」を中心に繰り広げられる文章は流れるように読みやすい。
必ずしも筆者が言う事象だけが原因とは言い切れないと感じながらも、はっきり自信をもって延べられていく事で、原因の一つでしかないかも、という読み手の感覚が、気にも止めない状態にどんどん引き込まれてしまう。
内容についてはその様な物なので空いた時間にスラスラ一気に読み終わってしまうだろう。著名な方でありながら私の様に、著作未読の方には一度読んでみるのも良いかもしれない(他の著作がどの様なものかは存じ上げないが)。
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幕末(1868)、敗戦(1945)、平成(2019)、日本の変革点、敗戦を論ずる。
敗戦とは、価値観の大転換、価値観を分解すると、美意識と倫理観に行き着く。
一度目の日本:明治維新の強い日本
二度目の日本:終戦後の日本、豊かな日本
三度目の日本:平成の日本、それは、楽しい日本
堺屋太一の遺作
気になったことは以下です。
・大阪万博、日本は何を見せるか、「規格大量生産の工業社会なる日本」であった。
・第四次産業革命が生み出したもの、トランプのアメリカファースト、イギリスは、EU離脱。
まさに「規格大量生産の時代が終わった」ことを示している、
規格大量生産の実現が、「第三次産業革命」であった。次に起こる第四次産業革命は、多様性と大量性を両立させる作業革命。
その第四次産業革命の潮流の中で、日本がどうやって生き残るかそれが問題です。
■二度目の日本:戦後日本
豊かさが戦後日本の価値観
安全・平等・効率を正義とするのが倫理観
官僚主導 5つの基本方針
①東京一極集中 経済産業の中枢機能、情報発信機能、文化創造活動を東京に集めること
②流通の無言化 小売店より百貨店、百貨店よりスーパー、そしてコンビニ、流通の自動化、無人化を図っていくこと
③小住宅持ち家主義 郊外に小さい家を建てる、そのために、まず工場を立てること
④職場短属人間の徹底 終身雇用と、年功序列で会社人間になること
⑤全日本人の人生の規格化 学校を出たら、就職して、ローンで家をかって、年金を積み立てろという人生をスタンダードにすること
若い世代は変化してきた
①物欲の低下
②未来への夢がない
③結婚しない、できない
■一度目以前の日本
江戸時代は、様式と協調に基づく安定、すなわち天下泰平
士農工商はあっても、その階級間の移動はきわめて自由だった つまり身分は固定されていても、身分間の移動は自由に行われていた
社会を安定させるためには、すべての人に少しの満足と大きな不満を与える
切捨御免:実際には、刀を抜いたら武士は切腹覚悟、切捨てなどできなかった。
軍隊の3つの定義がある
①他にずばぬけて強力な兵器を集団的に操作できる集団
②自ら戦場で働くことを前提した組織であること
③自ら法律を作れる、軍事裁判ができる
日本も、西洋式の軍隊を造らなければならない⇒そのためには、莫大な費用がかかる⇒「富国強兵・殖産興業」
■一度目の日本
20世紀になり、世界は「規格大量生産」の時代になっていた。
①部品組み立て方式
②ベルトコンベア方式
③科学的管理法
第1次産業革命 石炭と鉄と蒸気機関
第2次産業革命 石油と電力
第3次産業革命 半導体とコンピュータ
■二度目の日本
一度目の日本をつぶしたのは、官僚主導であった。集団主義で責任をとらないシステム
官僚は消去法で可能性のある道だけを探る
太平洋戦争敗北により
精神主義から物質主義への価値観の変換
規格大量生産ができなかったことが敗因だ
一度目も二度目も官僚と報道機関の複合体が政治主導を骨抜きにしたことにはかわらない
■三度目の日本
官僚主導を止めることが第一の条件
政治主導を復活させることが第二の条件、政治主導とは、民主導ともいってもいい。
三度目の日本をどうつくるか
①少子高齢化
②地方行政の破綻
③大不況
④国際情勢
⑤第四次産業革命 ロボット、ドローン、自動運転、ビッグデータ、
日本の危機、人口減少にともなって、過疎化、耕作放棄、空き家激増、団塊の高齢化、医療費支出の増大
ロボットとAIのみではない、第四次産業革命をうまくつかって、「いのち輝く未来社会のデザイン」を三度目の日本で実現させよう
目次
はじめに 本当の危機がやってくる
第1章 「二度目の日本」は、こうして行き詰まった―私たちは今、ここにいる
第2章 第一の敗戦―「天下泰平」の江戸時代から「明治」へ
第3章 富国強兵と殖産興業が正義だった―「一度目の日本」の誕生と終幕
第4章 敗戦と経済成長と官僚主導―「二度目の日本」の支配構造を解剖する
第5章 「三度目の日本」を創ろう―2020年代の危機に乗り越えるために
ISBN:9784396115715
出版社:祥伝社
判型:新書
ページ数:204ページ
定価:800円(本体)
発行年月日:2019年05月10日初版第1刷
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強い日本、豊かな日本から、楽しい日本へ。諸悪の真因を「官僚主義」にあると言い切れる点は、長く官僚として国の中枢に勤めた著者ならではであり、なるほどと思った。