紙の本
Smells Like 90's
2019/03/05 18:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:beach-side - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなふうに90年代の空気をとらえることのできる作家が、他にいただろうか。ジェニファー・イーガンを彷彿させされる読書体験だったが、こちらに描かれている女の子たちは、何かを諦める未然の時間(年齢)にとどまろうとして、無防備に傷ついてゆく。そこに彼女たちの意志と選択を感じられたことが、印象に残った。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
はじめてこの作者の本を読みました。
人気ある作家のようですね。
少女たちのことが描かれ短編集で、なるほどとうなずけました。
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アメリカのヤングアダルト小説。本国ではかなり人気がある作家らしい。
邦題の語感が気に入って買ったのだが、内容も面白かった。
どの短篇も少女を主人公にしているが、やや『変わった』ところがあるのが特徴。そういった部分に若い読者が惹かれるのは世界共通なのだろうか……。
文庫にしては装丁も凝っていて、本文も色刷り。確かに凝っているし、面白い……が、問題がひとつ。
真っ白な紙に色刷りにゴシック書体、見た目はいいんだが、とにかく見辛い! 読みづらい!
これだけ何とかしてくれれば良かったのだが……せめて本文書体は普通の明朝で、色ももうちょっと黒に近いもので……。
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山崎まどかさんの解説だったので。90年代に全米でカルト的な人気を博したのだとか。表紙もかわいくて、文字も虹色のようでちょうかわいい本でした。ブルー、マンハッタンのドラゴン、ウィニーとカビーが好き。フランチェスカ・リア・ブロックは定期的に読もう。
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チューインガムの甘酸っぱいにおい、安い香水のにおい、慣れないビールのにおい、鳴り響くロックンロール。
ヤングアダルトだけではもったいない、大人も読むべし。てか、背景のカルチャーが分かる大人世代が読んだ方が面白いと思う。
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少女を主人公とした青春小説の短編集。思春期の女子が持つ儚げで痛々しいが、美しい独特な雰囲気をうまく表している。性的少数者、セックス、ドラッグ、人種差別、家族、親友、アイドルの追っかけ、など女子高生に関係ありそうな事柄と、アメリカ的な事柄が混在しているが、全く生々しい感じはしない。
デートの書き方がうまい。女の子とデートしたくなる。
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白昼夢のような美しさと寂しさの合わせ混ざった不思議な感覚を一編一編読むたび味わう。時代やカルチャーを表す大量の固有名詞が強烈。痛みがたくさん詰まっているはずなのにそれが愛おしく感じる。ティーンエイジャーの時に出会えてよかった。大人になったらまた違う感覚に包まれることだろう。文字の色や紙質、編集の細部までのこだわりもときめく。
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What are little girls made of?
フランチェスカ・リア・ブロックはアメリカ90年代を代表するヤングアダルト作家だと後書きにある。残念ながら初対面。すでにヤングアダルトの年代ではないけれど、非常に楽しく読めた。
本の作りがオシャレ。字が赤から紫、青、緑へと章を経るごとに変わっていく。そこが何とも“少女”の物語っぽくていい。サブカルチャーがたくさん盛り込まれていて、現代の(ちょっと古くなってきたか?)ティーンズの日常が描かれている。ちょっと痛々しいところまで、現代的。
気にいったものを挙げると「Dragons in Manhattan マンハッタンのドラゴン」かな。イジーとアナスターシャの二人の母親と暮らす少女タック・バッドが、まだ見ぬ父親を探しに行く話。小さな映画館で上映していそうな、オシャレでかわいくて切ない冒険。タックは幸せの中で育っている。父親がいない、なんてなんでもない、ことはない。特に学校に通う年頃にとっては。でも、決して、不幸を意味しない。タックは勇敢にも父親を探しに旅に出た。きっかけは、二人の母親ではなく父親に会いたいと思ったからだが、旅で見つけた真実はとても優しい、でも切ない物語だった。愛に溢れた物語である。タックの心情がイキイキと描かれていて、そのタックは優しく豊かな心を持っているので、幸せのうちに読むことができる。
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2000年刊、ヤングアダルトの名手とよばれる作者の作品です。
今年ちくま文庫で再刊されました。
ヤングアダルトのジャンルはあまり読んだことがないのですが、「痛くて、切なくて、残酷。だから少女たちは輝いている。」という帯の文章と表紙に惹かれました。
ふたりの母親に育てられたマンハッタンの少女や、同人誌をきっかけに憧れのミュージシャンにインタビューをするふたりのオタク少女達が、大量のサブカルチャーとともに描かれています。
時に十代には危険なトピックスが出てきますが、不思議と生々しさはなく、主人公たちはどこまでもキラキラしいて、かっこいいのです。
十代、二十代、女の子でなくとも、解説の山崎まどかさんが言う通り「フランチェスカ・リア・ブロックを知るのに遅すぎるなんてことはない」のだと思いました 。
ペンネーム・六
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ちょっと昔のティーン向け小説だなと思いつつ読んだ。
たぶん、むこうで私と同世代か少し上くらいの人たち(70〜80年代生まれ)がティーンだった頃にドストライクの本なのだろう。
ちょっとだけ、嶽本野ばらの本を読んだ時のことを思い出した。
それから、サリンジャーも思い出した。
解説を読んで納得させられるところが多々あった。
カワイイが好きで、キラキラしてて、いまのカルチャーならきゃりーぱみゅぱみゅみたいなかんじ。
少女の青春時代の輝きを感じさせる一冊であった。
この感じ嫌いじゃない。
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アメリカでは有名なYA作品なのだとか。そう言えば「6日目の未来」にもこの著者の名前が挙がっていたな。
少女達の、眩い「あのころ」を余すところなく瑞々しい筆致で描き出した9篇からなる短編集。
今読んでよかったのか、読むのが遅すぎたのか非常に感想に迷う。
自分が同年代で読んだらもっと共感できたのかもしれないと思う一方で、今の年齢だから変に胸を痛めることなく、単純に「眩しい」なんて呑気な感想を抱けるのだという気もしている。
明るいトーンの中にドラッグや差別などの現代アメリカの少女達の身近にあるであろう問題もさらりと出てくる。
読みながら自分の「あの頃」を思い出して楽しめた。
気に入ったのは「マンハッタンのドラゴン」と「ブルー」。
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若者向けミランダ・ジュライみたいな感じ。
私はこのようなキラキラした10代ではなかったので、そんなこともあったなあという実感はないのだが、不安で享楽的で、傷つきやすくて向こう見ずで魅力的な10代の女の子というのはきっとこうなのだろうと思うし、日本の田舎で魅力的でない10代を過ごした者も同じように感じたこともあったので、90年代に魅力的な10代だったアメリカの女性は胸を鷲掴みにされただろう。
表紙の絵はロウティーンぽく可愛い感じだが、もう少し大人っぽくても良かったかも。中は文庫でありながら文字の色が、赤、紫、紺、緑と変わっていく凝った作りで、こういう本が好きそうな女の子にプレゼントしたくなる。
キラキラ度が高くなく、切ないけれど明るさのあるラストで、物語としても面白い「ブルー」「マンハッタンのドラゴン」が良かった。
キラキラ女子だったなら「レイヴ」や「ピクシーとボニー」が好きかも知れないな。
金原瑞人は、こういう作品の翻訳は向いてると思う。あんまり重厚な作品より。
性描写も結構あり、あくまでハイティーン以降の女子が出会う本だとは思うが、「ブルー」はロウティーンの女の子にも薦めてみたい気がした。
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表題作と「マンハッタンのドラゴン」と「レイブ」という作品が印象的。最初の二作は予備知識無しで読むと珍しい女の子目線に少し戸惑う。ヤングアダルトの作品と思えばなるほどという感じ。世代によって見解が分かれそうな題材を扱っていて重いテーマをポップに描いている。ポップに描いているところが若者側として描いているということになるかな。最初の戸惑いにめげずに読み通すと思いの外、印象に残る短篇集だったように思う。
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若い女性になったサリンジャーが書くレディ・バードたち…と思ってたら作中にサリンジャーの名前が出てきてびっくりしつつもやはりというか。
パパ探しの旅に出る少女の話と、プロムから大学進学の間を描いた少女ふたりの話がよかった。
「少女が少女から解放される」という言葉が浮かんだ。
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昔読んだけど、内容忘れちゃったので再読。
90年代のアメリカのポップカルチャーというものだろうか?
最初に読んだ当時はカルチャーショック受けたような気がするが、改めてこんなに感動するお話だったのか!と読み応えのあるお話だった。
短編集だが、特に一番好きなのは『マンハッタンのドラゴン』映画で見てみたい。
その中にある文章が特に印象強い。
『ニューヨーク中を歩いて天使やユニコーンや人魚やペガサスをみつける。ドラゴンをみつける。あたしはこういうものはみんないると信じている』
LGBTQや多様性など。ありとあらゆるものを認める、許す。色んなものを認められるようになった時代。なんでもあっていいじゃないか。
こういうものが詰め込まれたお話だと感じた。