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投稿者:ちひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
職場での偽装妊娠報告、という面白そうなスタートにワクワクしながら読んだのですが、徐々にこれ実際やるには無理があるよなぁって思いました。ファンタジーって割り切って読むにはリアルだし。中途半端に現実味がない、と思いました。書類の手続きがないずぼらな会社なのかしら。残念。
文章は読みやすかったです。
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会社に嘘をつきながら暮らしていく偽装妊娠にヒヤヒヤとしながら読んでいたが、
ある時「あれ?」と狐に包まれるような展開に。最後まで真実は分からないままだが、最初から最後まで展開が気になり読み進めるのが楽しかった。
女性こそ共感できる小説だと思う。
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淡々と進む主人公の偽妊娠生活。
飄々としたユーモアを孕んだ美しい比喩表現に何度も唸った。読んでいて楽しい。
太宰治賞のこの作品でデビュー。
世界各国での出版が決まっているのだそうだ。
インタビューで、今村夏子さんと松田青子さんをよく読んでいる、とおっしゃっていた八木さん。(もうひとり挙げてらしたが失念)
たしかに、彼女たちの作品のエッセンスも感じられたような気がした。
「自分だけの場所を、嘘でもいいから持っておくの。人が一人入れるくらいのちょっとした大きさの嘘でいいから。その嘘を胸の中に持って唱え続けていられたら、案外別のどこかに連れ出してくれるかもよ。その間に自分も世界も少しくらい変わっているかもしれないし」p166
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ある日、いつものように応接室に出したコーヒーの片付けを課長にさせられそうになった瞬間に、何かが静かに千切れた。その瞬間から、主人公は妊娠5週目になった。
会社にも家庭にも、成果にはならないし評価もされないけどいつか必ず誰かがやらなければならない仕事がたくさんある。それらの仕事の一つ一つは大仰なことではないかもしれないが、いざ取り掛かると微妙に時間がかかり、絶妙に面倒な作業である。だがいつまでたっても誰もしないままでは、職場が、家庭が回らない。そんな目に見えにくい仕事だからこそ、中には本作の課長のようによもやその仕事を自分が担うとはこれっぽっちも考えていない人もいるだろうし、その仕事を普段誰が担ってくれているのか考えたことすらない人もいるだろう。そういった無関心と他人事感がそれを担ってくれる人を苛立たせ、傷付ける。
主人公がブチギレたきっかけはそうした雑事を頼まれたことであったが、別にこれだけが原因なのではなくて、こうしたことの積み重ねでコップいっぱいまで満ち満ちていた感情が溢れただけである。そうした環境から自分を守るために主人公が取った行動がたまたま想像妊娠だっただけだが、妊娠して子を宿すことは必ず、他の誰でもなく"自分"を必要とする人が自分のそばで生きることで、それが"自分"という存在を担保することになったのではないか。
自分を担保するものは何も子どもだけでなく、それは家族でも良いし友人でも恋人でも仕事でも趣味でも、何でも良い。人によってそれぞれだが、それを持てるかどうかの差は大きい。
私にとっての自分を担保するものとは何だろうか。
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“「20センチ先にいる夫が、ぐうぐう寝てる夫が、会ったこともない政治家よりも、ブラジルにいる、多分いる、道端の野良犬よりも他人に思えるねん。夫といる方が一人よりも孤独やねん」”(p.156)
"「いくらなのか知らないけどさ、一人暮らしでも家族がいるにせよ、飾りたいもの飾りなよ。自分が何が欲しいのか忘れちゃう前にさ」"(p.97)
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前半から中盤にかけてスリリングな展開で面白かった。
来客後のコーヒーカップを片付ける毎回それは出した柴田さんの仕事、たまには飲んだ人が会議の終了後持ってでてきたってよさそうなものを、片付けられないカップはずーっとそこにある。そして課長からの間接的な催促。
これじゃあ、”妊娠したんでコーヒーの匂いがだめなんです”とも言いたくなるわな。
でもその嘘をずーっと突き通すとこにいつばれてしまうんだろうとはらはらしたわけよ。
いくらなんでも産休とるまでお腹をタオルで?ストッキングをまいて過食による体重増加で騙し通すとは。
母親学級のも、マタニティヨガにも参加して、産婦人科でもエコー撮って男の子ですねのお墨付き。
えっほんとに妊娠しちゃったの?って一瞬思うよね。
テーマはジェンダーについてなんだろうけど、どんどん話しがずれていってしまった感じ。
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私が社会人になったばかりの頃の会社の様子を思い出しました。
偽装妊娠は、妊娠したのに会社に隠して出産した桐島洋子さんと正反対だと思って読み始めましたが、その理由、そして妊娠したことが仕事上マイナスではなくプラスにも考えられたこと(偽装だからこそ、とも言えますが)、隣の席の男性社員の抱えていた事情、夫婦間の溝など、共感したり、考えさせられることが多くありました。
「女性活躍推進」などと口先だけで簡単に言っている政治家たちに読んでほしい。
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柴田は紙管を作る会社で生産管理の部門にいる。他はすべて男性。色々な雑用は当たり前のように柴田がやることになっているかのようだ。来客にコーヒーを出しても、来客が帰ってもコーヒーカップはそのまま。柴田が気が付いて片付けなければそのままに。色々な雑用が女性というだけで当たり前にやるものだということになっていた。そんな会社に嫌気がさし、柴田は自分が妊娠したと申請し、定時で帰ることを宣言する。定時で帰るとこんなに時間があるのかと驚いていた柴田だが、妊娠アプリで胎児の様子を調べたり、お腹に巻くには何がいいかと物色する。妊娠週が過ぎるうちに、だんだんとお腹が大きくなる柴田…。不思議とシュールな展開に。
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「空芯」という言葉もいいし、設定もとても面白い。女性の置かれている状況に共感し、いちいちうなづく。
ずーっと楽しみながら読んでいたのだが、あともう少しで終わるというところで、ちょっと日にちを置いたら、なんかついていけなくなっていた…なんで一気に読んでしまわなかったのだろう…(ちょっとついていけなくなって読むのを止めてしまったのかも)。
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最初は単純に発想が面白いと思い読んでいたが、私は柴田の考えにイラつかせられた。 想像妊娠も週を重ねて後半になると、あれ?本当に妊娠してるの?って思わされる描写が多々出てきて、混乱。 『自分だけの居場所を嘘でもいいから持っておく。人が1人入れるくらいのちょっとした大きさの嘘でいいから』 やっぱり私は全く柴田を理解できず。理屈ばっかこねてめんどくさい子だなと。 お茶出しや、お菓子配りなど女性がやって当たり前っていうことに苛つくのは理解できたが、それが咄嗟に妊娠してるとは柴田はかなりヤバい人。
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あまりにも雑用が多すぎる仕事場に嫌気がさし、嘘の妊娠を会社に報告。妊娠の経過を調べてそれらしい振る舞いを続けていく、だけど何だか妊娠後期にあたる頃は本当にお腹に赤ちゃんがいるかのよう。えっいつから?読み返してみても、どうしてそうなったのかわからない。
嘘の妊娠をどう終わらせるのかと興味があったが、疑問はずっとそのまま。
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偽装妊娠、紙管会社と表題の意味が効いている綿密に練られた作品。
太宰治賞としては、意外にわかりやすく?主人公の心情も肯定するところが大きい。
臨月までをどう描くのか、ミステリーさながらに読み進めることができ、そして結末・・・なるほど、まだまだ先に続きそうだ。
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この本で、少子化が多少は改善されたらすごい!けど、当の本人、柴田は人口増加には直接貢献出来てません。
想像妊娠だから。
名もなき家事、名もなき雑用、女がやるのを当然だと思うなオトコ!
というメッセージは伝わるかな。
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初めて読んだ作家さんでした。ちょっと私にはハードルが高いかもしれない内容でした。最後出産?と思いましたが、普通に乗り切って復職してたからびっくりでした。
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「82年生まれ、キムジヨン」の読後感に似たものを感じた。妊婦になってみたのは、働く会社や社会への、心を蝕むばかりの不満から身を守るための手段ではなかったかと思うが、母になったらなったで、さまざまな問題が女性に降りかかる現実。その閉塞感と絶望に胸が痛み、後半多出する非現実的な描写など気にならないほどだった。