紙の本
言葉の面白さ
2024/04/18 13:22
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投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
歌人の穂村弘さんが、街角や周りの人達から見聞きした言葉を元にしたエッセイ集。
久しぶりに本を読んで爆笑しました。特に、「貴方のこわいものは何ですか」という問いに対する知人の女性の回答がおかしかったです。自分の名前の漢字を説明する時の言葉の選択も、なるほどと思いました。
言葉は常に変化しているし、人によって受け止め方が違うから、難しくて奥深いですよね。
ちなみに、ナイチンゲールが寝る時に布団の上にイスを載せていた件ですが、私が子どもの頃読んだ伝記では「イスの重みで暖かく感じられるから」だそうです。苦労が伝わってくる、忘れられないエピソードです。
電子書籍
少し読んでやめるつもりが
2023/08/22 16:02
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
やめられなくなり、数時間で読了してしまいました。クスクス笑えるところもあれば、ややしんみりの場面も。どちらかというと、こま切れ時間に読むというよりは、一気に読むタイプの本ですね
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歌人の穂村弘さんが「街角でふと耳にした言葉、お店の看板、子どもの主張、教室の机の落書き、家族の寝言」などから「偶然性による結果的ポエム」が生まれた瞬間を切り取って考察したエッセイ。
ふと目や耳にした会話で「?」や「!」と感じたことを、穂村さんという人を通すと、にゅるりと穂村ワンダーランドに連れていかれてしまう。
穂村さんのエッセイは久しぶりだけれども、変わらず面白かった。
以前読んだエッセイには出てこなかった奥様がしばしば登場されていてドキリ。
これぞ、穂村さんの奥様!と勝手に感じるエピソード満載で、おふたりの仲良しぶりにあてられる。
あと、穂村さんの「これかっこいいセンサー」って独特で、それを知ることによって私自身の「これかっこいいセンサー」も拡張、研磨されてくようで、面白い。
若い頃、「現実」に馴染めずオロオロしていた穂村さんは少しなりを潜めつつも、今も「現実」に行き交う言葉の端々から垣間見える「世界」を見つけて驚いたり感動したりしている。
そんな穂村さんに憧れを覚える。
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表紙がすごく格好良くて、画像ではわからないけども手に取って見るとざらざらした小さな出っぱりが無数の星々や隕石・光の当たり具合によっては氷の粒のように見え、『彗星交叉点』というタイトルの持つ宇宙性や神秘性が伝わって来る。
私は穂村弘先生の文章を読むのは初めてだったが売場で表紙を見かけてつい手が伸びてしまった。
なんだろう、何となく後半へ行けば行くほどスッと入ってくる文章というか、角が取れて優しくなっていく感じ。彗星も宇宙空間を渡っている間に摩擦的な何やかやで滑らかになっていくのだろうから、きっとそれを表現しているのではないだろうか(個人の見解です)。
58編のエッセイ。
一番好きなのは〈おませ〉の編。「走るイコール疲れるですよ」(p127)と言っているひょろっとした小学生男子を想像するだけで笑えてくる。また、「どうせ僕はプライドのない男さ」と宣う幼児に対し「てのひらなめるのやめなさい」(ともにp128)と嗜めるお母さんの様子にはもう笑うしかない。
あとはやっぱり〈名前の教え方〉かなあ。自分の名前の漢字をどう伝えるか問題はめちゃくちゃよくわかる。「なるべくニュートラルな熟語」(p80)は探すよねー。探して追求した結果わけわからん教え方に辿り着くのも共感しかない。
〈くらっとくる言葉〉も好き。「パパがJALのゲボ袋に銀杏入れてチンしてる」(p177)はくらっとくる。情報量がすごいしリズミカル。
堪能しました。ぜひ次は種村先生の作品集を読んでみたいです。
おすすめのものがあればご教示頂けると幸いです。
1刷
2023.3.28
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私の好きな「絶叫委員会」と似たコンセプトの本で、笑いながら読んだ。お菓子のグミは私も木の実のグミと関係あると思っていた。
あと穂村さんがまたキュリー夫人の話をしている。
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おもしろすぎてヒイヒイ言いながら読んだ
「もてそう」なんて言われたらそれを心の奥に大事にしまいこんで時々取り出してぺろぺろ舐める、っていう表現があまりにもおもしろすぎて忘れられない
想像力と語彙力とワードチョイスが唯一無二っていう感じ
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クスクス笑いながら読了。ほむほむ好きだなあ。「本書のテーマは『偶然性による結果的ポエム』についての考察」だそうで、こういうのを書かせたら、ちょっと右に出る人がいないのではなかろうか。
町を歩いていたら、あるカフェの前の看板にこう書かれていたそうだ。
「今日は、急遽、恩返しに行く為、ランチを休ませていただきます」
「恩返し」しかも「急遽」。穂村さんはああかこうかと想像する(この章のタイトルは「間違いよりも変」)。こういう、日常生活の中で遭遇した、あれ?ということが絶妙な手つきで取り上げられている。
しかし穂村さん、よくこんなに「あれ?」に出会うなあと思いかけて、いやいや違うなと気がつく。穂村さんのアンテナの感度が高いのだ。言葉というものにとても敏感なのだ。そしてそれを言語化するのがすごくうまいのだ。考察の最後がいつもアサッテの方にいっちゃうのが持ち味。
心からそうだよねえと思って、うんうんうんうんと張り子の牛のようにうなずいたのが「前にも云ったかもしれないけど」という一文。そう私も「もう話したよフラグ」が壊れてて、だもんだからつい「前にも云ったかもしれないけど」って言いがち。「自信ないなら云うなよ」って思われてるのかあ、トホホ。
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旅のお供にちょっとずーつ読んでいこうと思ったのに、初日のホテルで読み終わってしまった...いや、おもしろすぎ!!!
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近くのショッピングモールの本屋さんでなんと、この本が三冊並んでました。短歌コーナーが前よりも大きく設けられているような気がします。この本の表紙は今までの穂村本と趣が違って、ジェットストリームのようなシックな色合い。装丁葛西薫さん。
内容はいつもの昭和感満載で安心します。街角でふと耳にしたことから膨らむ、ほむほむ妄想世界へ!本書のテーマは「偶然性による結果的ポエム」ですって。穂村さん短歌はなくエッセイのみです。
『前にも云ったかもしれないけど』、同じこと言っちゃってます。わかります。
『昭和?』「私も何かを云った後で、今のは昭和だったかなあ、とよく不安になるのだ。」、同感。
『名前の教え方』、自分の名前をどう説明するか、皆さんどうしているのか話してみたい。
無邪気な子どもの質問に「生まれたての宇宙みたいな状態」って素敵。
妻との会話は、狼狽している穂村さんを優しく諭す感じが微笑ましくて若干嫉妬心。
言葉に対する感性がますます研ぎ澄まされている。穂村さんの朗読で聴いてみたい。
穂村さんの『情熱大陸』や『プロフェッショナル』してほしいな。
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通りすがりの子どもたちの会話、(おにぎりの病院…おにぎりはどうやらニックネームらしい)
喫茶店で聞こえてきた会話、(にえゆ)
母と子どもの会話、「今、来月?」
みんなワロタ。やっぱ言葉に対するアンテナはずっと張りまくっているんだろうね。
著者だけがこんな面白い会話に遭遇しているわけじゃないよね。日常に面白い会話が潜んでるんだね。
私も耳をそばだてて生活してみようかな。
著者が「辻」って本名だったのも初めて知ったよ。
ちなみに私も「命冥加」”いのちみょうが”という言葉は知らなかった。
意味は神仏のお陰で命拾いすること。
昭和に時代劇で「命冥加な奴よ」というふうによく使われたしうな。
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短歌の名手が、たまたま目にしたもの、聞いたもの、出会ったものから巻き起こる想いについてのエッセイ
世界のキリトリ方が斜め上行ってて、だけど共感できて面白い
偶然出会ったものが彗星のように輝いて見えるかどうかはその人次第なんだよなぁ
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ラジオ番組で坂本龍一さんは耳がよかった、音に反応して涙を流すと大貫妙子さんが話していました。著書もまた耳がよく、坂本龍一さん同様、会話に反応し涙を流す、に相当するシーンの切り取りができる特殊な技能を持っているように思いました。
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本書のテーマは「偶然性による結果的ポエム」についての考察だそうです。
特に気に入ったエッセイを二つ引用します。
P36より
本当の名前
以前枡野浩一さんが、ものを書き始めたばかりの人が自分でつけたペンネームにはしばしば「月」という文字が入る、という意味の指摘をされていたが、そう思ってみると、確かにインターネット上のペンネームなどは「月」だらけだ。この「月」は言霊的に効きにくいだろう。
偶然性のある「月」ならいい。
だが「月」を入れた名前の多くは、その他の部分も素敵な文字で固められている。本人の思い入れの強さによって、偶然性の要素、つまり「思いがけなさ」が奪われているのだ。
自分で自分に名前をつけることの難しさを感じる。
と云いつつ、私も自分でつけたけど。
柚月裕子さんはペンネームです。本名知っています。
(何度もレビューに書かせていただいた気がしますが、地元の小説講座で生徒としてご一緒させていただいていたのです)
確かに月が入っていますね。
でも、大成功されているからいいのではと思いますが。
「月」とは関係ありませんが、伊坂幸太郎さんもペンネームです。(やはり地元の小説講座に講師としていらしたとき懇親会でお尋ねして聞いてしまいました♪)
それで御本人から直接お聞きしたのですが、本がたくさん売れていらっしゃる「西村京太郎」さんに字画をあやかってつけられたそうです。ついでに調子に乗って伊坂さんの御本名もお聞きしてしまいましたが、それは内緒ですが。字画ってあるんですね~。
私も、短歌を作って投稿しているのでペンネームを考えた方がいいのかと思いました。(今は実名で投稿しています)
P59より
私の詩集買ってください
何故か必ず「詩集」で「小説」や「イラストレーション集」ではないのだ。見るたびに切ない気持ちになったのは、私も詩を書くからか。それとも、張り詰めた表情や佇まいが、暗い未来を約束しているように思えたからだろうか。
それにしても、自分の詩を読んで欲しいという願いを真っ直ぐに形にした筈の「声」が、イレギュラーな印象を帯びてしまうのはどうしてだろう。記憶の中の彼女たちはみんな似ていて、一人の少女であったようにも感じられる。
これ、すごくわかります。
私も以前東京に住んでいた時に新宿で声をかけられたことが何度かあります。
最後の一文がメルヘンだと思いました。
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ふとした時に見かけた看板の文言や、街中での他人の会話を聞いて感じたことを主にまとめたエッセイ集。
相変わらずのほむほむ節が炸裂していて、面白い。氏のゆったりのんびりとした文体が好き。「なにそれ、どういうこと?」って前のめりになったり、「わかるわかるw」と共感したりしながら読んだ。
若者たちに写真を頼まれて「はいチーズ」と言って伝わったか不安になっちゃう話とか、友人の奥さんが夫婦喧嘩した時にマジックで床に×印を書いて「ここで首を吊るから」と言い放った話とか、美華さんが自分の名前の漢字を伝える時に「美しいに華やか」ではなく「美術の美に中華の華」と遠回しの言い方を使った話とか…
こういう些細なことに考えを巡らせながら生きていたら楽しいだろうなと思った。
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ほむほむワールドを堪能。
出会った言葉の感じ取り方が独特で興味深いのはもちろん、それらの言葉との出会い方や、掬い取り方が、すでに面白く魅力的なのだ。