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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2011/06/01
  • 出版社: 東京創元社
  • サイズ:20cm/218p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-488-01336-3

紙の本

犯罪

著者 フェルディナント・フォン・シーラッハ (著),酒寄 進一 (訳)

一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取...

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犯罪

税込 1,980 18pt

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商品説明

一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。—魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。高名な刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描きあげた珠玉の連作短篇集。ドイツでの発行部数四十五万部、世界三十二か国で翻訳、クライスト賞はじめ、数々の文学賞を受賞した圧巻の傑作。【「BOOK」データベースの商品解説】

【クライスト賞(第9回)】【ベルリンの熊賞】【今年の星賞】【本屋大賞翻訳小説部門(第9回)】魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描いた連作短篇集。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧

フェーナー氏 7−21
タナタ氏の茶碗 23−46
チェロ 47−64

著者紹介

フェルディナント・フォン・シーラッハ

略歴
〈フェルディナント・フォン・シーラッハ〉1964年ドイツ生まれ。作家、弁護士。94年からベルリンで刑事事件弁護士として活躍。処女作「犯罪」がドイツで大ベストセラーとなり、クライスト賞など多数の文学賞を受賞。

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書店員レビュー

ジュンク堂書店新潟店

11の短編から成る本作品を読み進めていくと...

ジュンク堂書店新潟店さん

11の短編から成る本作品を読み進めていくと、思わず実話ではないかと考えさせられる。
物語も語り手である弁護士の「私」。著者と同じくベテランの弁護士であり、ストーリー展開は事件の調書のように淡々と進んでいく。
物語は時系列的に主人公たちを生い立ちから追っていくことにより、彼らの心情、とりわけ悲しみを読者に強烈に植え付けていく。
「犯罪」というタイトルから連想される推理小説を考えるといい意味で裏切られる。

文芸書担当 小松

みんなのレビュー250件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

あとを引く小説

2011/09/18 09:20

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:相羽 悠 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 文学賞三冠に輝く現役弁護士のデビュー作と聞けば、思わず身構えてしまう人もいるだろう。しかし、読み始めれば、そんな思いはどこかに吹き飛んでしまう。本書には、さまざまな「犯罪」から浮かびあがってくる、不思議で、切なくて、残酷な人生の物語が並べられているのだから。

 たとえば最初の短篇「フェーナー氏」の主人公は温厚な開業医で周囲から一目おかれ、経済的にも恵まれた人生を送っている。しかし新婚旅行で強制されるまま、妻を捨てないと誓わされたのが運命の分かれ目だった。小言の絶えない妻に虐待され、唯々諾々と彼女に従う生活を数十年送ったある日、感情が暴発してしまう。離婚するなり、何か行動をおこせば自由になれたのにと同情したのも束の間、物語の最後の一行にはぞっとさせられる。何か読み落としたのかもと思い、読み直してみれば「ふたりはとても生真面目で、人に溶け込めず、寂しかったのだ」という一言が。夫婦それぞれへの評価が一変する。

 寂しさのあまり、自分の思いばかりにとらわれて人の気持ちが理解できないのは「チェロ」の姉弟も同じ。幼くして母を亡くしたふたりの子どもの世話をしたのは、あまり子どもに関心のない看護婦だった。優秀な会社経営者である父親は芸術家気質のわが子を理解せず、まずスパルタ式に鍛えて生活力をつけさせなければと考える。ただし金銭にうるさいのも子どもの将来を考えてのこと。金儲けの才能はあっても、子どもへの愛情を表現する術を知らない人だったのだ。そうした父親に反発して、姉弟は家を出る。だがその後の生活を支えたのは父親の大金の餞別だった。そして姉弟は自由気ままな生活を送るが、用心や配慮が足りず、不幸への道をたどりはじめる。その不幸は父親の人生も狂わせた。

 そして十一の短篇を収めた本書の最後を飾るのが「エチオピアの男」。捨て子の主人公を次々不幸が襲う。学校ではいじめられ、職場では盗難を疑われたあげく退職をよぎなくされ、社会の吹きだまりまで身を落としたあとも優しさが仇となり借金地獄に苦しむ。銀行強盗で資金を調達し新天地を目指すが、行き着いた外国でも悲惨な生活が待っていた。絶望して死に場所を探すうち病気に倒れてしまうが、そこからの展開が凄い。病が癒えた彼は、助けてくれた人々のコーヒー農園を手伝う。そこは貧しい村だったけれど、彼の資金で村は変貌をとげる。運搬トラックを買い、農園と村を結ぶロープウェイを設置し、新しい乾燥機を導入する。さらに村人と共同で灌漑施設や防風林を設け、村の外から教師を招き、自身も医術を学び簡単な手当ができるようになった。

 現地女性との間に娘も産まれ満ち足りた毎日だったが好事魔多し。当局に提出を求められたパスポートから銀行強盗の指紋が見つかり、ドイツへ送還され禁固刑が下る。だが刑期途中で一時外出が認められたとき、家族恋しい彼は旅費を工面するため、また銀行強盗を働いてしまう。「銀行強盗は、かならずしも常に銀行強盗であるとは限らない」という謎の言葉に従い判決が下される。人生での束縛に負けてしまう男の話にはじまった本書を締めるのが、人生でのマイナス要因をはね返す男の話なのは偶然ではないだろう。いい終わり方だ。

 最後、血なまぐさい「犯罪小説」は苦手という方へ。本書のほとんどの短篇では死体が登場する。凄惨な拷問のあとの描写もあれば、主要人物が殺し屋、麻薬の売人、窃盗犯だったりするのに、不思議とこの短篇集からは犯罪の生々しさが感じられない。それは扇情的な暴力シーンを避け、乾いた無機質な描き方をしていることとも無関係ではないが、場違いなユーモアが大きな役割をはたしている。死体を前にした男に銃を向けた婦警が口にするのは「駅構内は禁煙だ」というセリフだし、殺人に使われたある道具は入手が簡単なうえ、「安価で、持ち運びが楽で、効果的だ」という説明つき。たくまざるユーモアに笑いつつ、実はあの場面は……と何度も思い返しながら楽しめる短篇集に仕上がっている。

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紙の本

ドイツで刑事事件弁護士として働く作家が書いた、弁護士が語り手の短篇小説。猟奇的事件の犯罪者の「異常」や「正常」を描くと共に、弁護や裁判の正義、正当性も問う。現実の受け止め方のあやふやさについても注意を喚起させる。紙に描いたリンゴを、「これはリンゴだ」と言うのか、「これはリンゴではない」と言うのか――私たちの日常世界の構成を「ゆらぎ」として提示する。

2011/07/03 00:55

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 何の罪もない人たちの人生が、ごっそり根こそぎ引き抜かれていった現実を意識の深層に蓄える経験をしたぱかりだ。それなのに、せっかく生きて在る人生を罪人として汚す人たちの不条理を苦々しく感じやしないかとためらいながら、なぜかこのような本を手にした。
 だが、弁護士である作家が、実際にあった事件を元に書いたであろう11の罪の短篇のうちいくつかは、奇妙な正当性に納得させられるものであり、それゆえ困惑させられるものであった。

 各篇いずれにもリンゴが出てくる。日本のリンゴと違い、ドイツのリンゴは大人なら片手で握られるテニスボール大で水分が少なく酸味が強い。ポケットに忍ばせておいて、がぶりしゃりしゃりとやれるものだ。そういうリンゴが小道具として使われているというのは、キリスト教の原罪が意識されてのことだろう。
 また、リンゴは木からもいで食べられなければ、熟して重力ゆえに枝から落ち、いずれ腐る。罪人と重なるイメージなのかどうかは分からないが、何かほのめかされていることもありそうだ。

 最初の短篇「フェーナー氏」は、地方都市の旧家の出で、開業医としても趣味人としても人々から尊敬を集めた男性が引退後に起こした猟奇事件の話である。
 子どものいない彼は、妻とずっと二人暮らし。その私生活で苦難に耐え続けていた。常軌を逸した生活だったからこそ、常軌を逸した犯罪につながる――そういう内容なら、ミステリにも文学作品にもありがちで珍しいものではない。
 特徴的なのは、これが弁護士を語り手として回想の形で書かれた小説だという点。弁護士が物語る終盤、弁護の余地がなかったこの事件について、法哲学上の問題が見解として語られる。こういう展開は、他の本ではちょっとお目にかかれない。シーラッハという人が、弁護士をしながら、なぜ小説を書く気になったのかが分かる気にさせられる。

 「サマータイム」「正当防衛」の2篇も司法関係者ならではの視点で書かれている。
 「サマータイム」は成功した実業家の援助交際の相手が、ホテルの部屋であわれな死体として発見された事件の話である。部屋に残された証拠も、事件当日の実業家のアリバイも、実業家が真犯人とされておかしくない状況で、語り手の弁護士は依頼人を救うための材料を探しつづける。

 「依頼人と刑事弁護人は奇妙な関係にある。弁護人は別にすべてを知りたいとは思わない。なぜなら、依頼人がベルリンで殺人を犯したことを知っている場合、弁護人は依頼人が当日ミュンヘンにいたと主張する人物を証人として出廷させることはできないからだ。そういう裁判上の決まりがあるのだ。実際、それは危ない綱渡りとなる」(P114)
 そりゃそうだという記述である。そりゃそうなのだが、弁護とはどういう仕事なのかにハッとする気づきがあった。

 「正当防衛」は、郊外の駅で起きた傷害致死事件の話である。前科あるスキンヘッドの若いチンピラ2人が、ベンチにすわっていた男にからんでいって、反撃を受ける。その攻撃が、動いたかどうかもわからないほどの一瞬の出来事だったという。
 その男の弁護を、語り手の弁護士は、世界的に有名な弁護士事務所からの外注で受けることになる。だが、男は一言も口をきかず、衣服や持ち物にも身元を知る手がかりになりそうなものは一切ない。男が所持していたのは、世界的に有名な弁護士事務所の名刺だけだったので、警察が連絡してみたのだ。
 正当防衛なのか過剰防衛なのか、事件の全容を明らかにしようとする検察もすっかりお手上げとなる。完全な黙秘が貫かれるが、警察の尋問担当者から、この事件のあったのと同じ日に起きた別事件についての情報がもたらされ、男の弁護を引き受けた弁護士は薄気味悪い思いをする。

 衝撃的な事件が素材とされた短篇小説集で、ドイツの暗黒の部分、「うみ」の部分が見え隠れする。異様な犯罪が多いからこそ、このような文学作品が注目を集め、複数の文学賞を取る評価を受けるのかと考えたが、シーラッハの本懐は、社会の病理の告発だけには留まらないだろう。
 ここには、弁護というものの一面に対する批判的な評価もあるのだ。ある事件、ある弁護においては、それが犯罪すれすれになること、犯罪になる可能性もあることを示唆する。神の裁きとは異なる、人間の人間による裁きがどういう性質を持つのか――そのような問題提起のために、リンゴという小道具が投げかけられたのか。

 19世紀に発見され野生児と言われていたカスパー・ハウザーを映画化したヘルツォーク監督は、最後の場面で、カスパーの奇形を笑う男たちの方にこそ見受けられる「異常」をほのめかした。その場面にぞっとさせられた経験が、この本の読後感に重なる。

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紙の本

複雑で、少し奇妙で、憎めない。人って、やっぱり不思議なものだなあ。

2011/12/14 14:37

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:アヴォカド - この投稿者のレビュー一覧を見る

いや、それが、なんとも不思議なことに、苦くないんである。
もちろん犯罪は犯罪である、犯罪はいけない。けれど、そこに見え隠れする、どうにもならない不条理と人間臭さ。
伝わってくるのは、人の心の不思議さ、のようなもの。憎めない。

孤独な姉と弟の、最後が切ない「チェロ」。

兄たちから馬鹿にされながらこっそり勉強し知恵をつけてきた弟が、兄を救うため法廷中を騙そうと頭を働かせるたくましさ。「ハリネズミ」。

不幸な過去の2人がつかむ「幸運」。

よく出来たスパイ小説のような後味を残す、「正当防衛」。

「棘」が気になってならない男。

幸せになってほしいと願わずにいられなくなる「エチオピアの男」。

犯罪はいけない。罪は罪である、償わなければならない。
しかし「罪を憎んで人を憎まず」とはよく言ったものである。その犯罪は確かにいけないけれど、それを犯した人間がいつも100%わるい人間なわけではない。
そこここに漂うどうにもならない不条理と、それを越える人間臭さ。
それを綴るのに、この調度よい距離を保っていられるのは、さすがに弁護士としての職業柄というものかもしれない。

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紙の本

人が人であることを証明してみせる犯罪というものがある。

2011/09/25 07:06

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る


 11の短編を束ねた一冊。ドイツ人作家シーラッハの作品としてはこれが本邦初訳のようです。

 収録作品のどれもがなんからの犯罪に手を染めた人々の姿を描いています。
 一生愛し続けると誓って暮らしてきた医師と妻。それでも老妻を手にかけた夫の理由とは何だったのか。(「フェーナー氏」)
 資産家の父親には愛されず、互いだけを頼りに生きて来た姉と弟。姉が弟を溺死させた経緯とは。(「チェロ」)
 ネオナチ青年二人にからまれ、そのまま彼らを殺してしまった中年の男。果たして彼の行為は正当防衛か過剰防衛か。(「正当防衛」)
 エチオピア人孤児だった男が2度も銀行強盗を行なうに至った事情とは。(「エチオピアの男」)

 被疑者たちの弁護を引き受けた弁護士の視点で語られるこの11の物語のいくつかは犯罪そのもの描くというよりは、人はなぜ犯罪に走るのかを見つめ、そのやむにやまれぬ胸の奥の心模様をつぶさに描いています。憎むべき犯罪であるはずなのに、物語に私たち読者の心がどこか重なることを否定できないのです。
 そして思い至るのは、むしろそうした犯罪に至る彼らの姿こそが、人間であることの証(あかし)であり、捨ててはならない人間性を描いているといえるかもしれないということなのです。

 またどれもが、一種独特の乾いた短い文章を連ねて紡がれている点が特徴的です。
 犯罪者の心模様をウェットに描かないからこそ、説明的ではありませんが、だからこそむしろ強く迫って来るものがあるといえるでしょう。

 なお、私は「チェロ」という作品に特に心打たれたのですが、これからこの『犯罪』を読まれるかたには、フィッツジェラルドの「グレート・ギャッツビー」を先に読んでおくことを強くお勧めします。私があの小説の一番のお気に入りで読後以来幾度も反芻してきた一節が出てくるのです。あの言葉が胸に沈むのは、やはりフィッツジェラルドの小説を手にしたことのある読者だけでしょう。

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紙の本

読みやすく惹かれる短編集

2015/07/31 16:43

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ばなな - この投稿者のレビュー一覧を見る

小説をあまり読まなくなった時に購入したのですが、とてもスラスラと読めました。
犯罪というタイトル通りどれも犯罪(犯罪者)についての話ですが、とても読みやすく一つ一つが短いので何度でも読み返せる傑作でした。

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紙の本

異常な犯罪者たちの「事実」を積み上げる弁護士、検事、判事。法廷はそこにある「真実を」証明しつくせるのか?………と立ちすくむ。現役弁護士である著者は小説という手法でその真実を明らかにする。

2011/08/20 22:26

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描く連作短編集。文学賞二冠、45万部突破の欧米読書界を震撼せしめた傑作」
「一生を愛し続けると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした心やさしき銀行強盗。………魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち」

その他………ギリシャ人であること拒否することに囚われたギリシャ人の若者が企んだ盗みの波紋。資産家の父の束縛から逃避した姉弟のふたりだけの愛の世界の行方。愛するが故のねじれた事件にとまどう恋人たちの過ち。ちょっとした性癖ゆえに少女を傷つけた少年の罪と贖罪。大実業家のお遊びが生んだ猟奇的殺人事件の行方。正当防衛による殺人にもかかわらず黙秘を貫く男のその理由とは。

200ページに11作もある短編集。短くてしかも意表をつく物語だから、個々の内容には触れないのが作法だろう。
上等のエンタテインメントである。

どの作品も異常な人格の持ち主たちが登場し、中にはサディスティックな殺人シーンがあって、不気味なお話が満載。眠られぬ熱帯夜の消夏用、サイコホラーとしても最適。ドキュメンタリータッチの簡潔な文体には読者が行間にあれやこれやと想像をたくましくするものがあって、その薄気味悪さには一層の凄みが加わっている。
まったく架空の話とは思えない。実際、現実にも常軌を逸した猟奇的事件が多発しているからなおさらである。

著者が弁護士だから法廷の場で説明困難な「真実」をどのように扱うかとの専門的視点が随所に語られその語りが活きている。
「事件の真相は簡単なものだという刑事事件の鉄則は刑事ドラマの脚本家の発想でしかない。実際はその反対だ。自明と思えることも推測の域を出ない。」
「警察の仕事は偶然がないことを前提にしている。………それに対して弁護人は罪を追及する側が築きあげた証拠の山に穴を見つけようとする、そのとき力になってくれるのが偶然だ。」

人間を生きたまま切り刻む、頭を切り落とす犯罪者であっても、弁護士的視点に立ったこの物語ではその異常性にもぼんやりとではあるが納得性が滲みだして「愛おしさ」まではいかないが「哀しさ」を感じさせないではない。
「異常」と「正常」のあいまいな境目をさまよう、渋い味わいのある作品として仕上がっている。

私は高校生のときに観た1960年作・ヒッチコック『サイコ』に思いをはせる。『サイコ』がショッキングだったのは、ひとつはあのシャワールームの惨殺シーンだ。映像と音響によって生み出された生理的恐怖感。その後この手法はホラー映画で広く使われるようになった。もうひとつはアンソーニー・パーキンスが演じたノーマンの特異な人格そのものに対する驚きがあった。あの当時はこういう人間は現実にはいるはずはなく、虚構の人格だと長い間思っていた。ところがどうだ。それ以降、サイコホラーというジャンルが起こり、登場する犯罪者はみなそういう異常者だった。さらには驚いたことには現実にそういう人格が存在し、異様な事件が頻発し始めたことだった。とにかくヒッチコックの先見性に感心したものだ。
さて仮にノーマン裁判を想定し、彼の弁護人がノーマンの子供時代、父母との関わり方を語たるとしよう。『犯罪』という作品はそのような構図で描かれている。

高村薫『太陽を曳く馬』にあったひとつのテーマとも重なる。絵画芸術にのめりこんだ若者による隣人撲殺事件。そこにあるのは、裁判という合理一辺倒の世界で通用する「合理的説明」では真実が説明できない、というもどかしさである。例えば犯行の動機の本当のところを被告人本人ですら説明できないのだ。

「裁判を左右するのは証拠だ。証明できないことを主張することは許されないのだ。簡単に聞こえるが事実はそうではない。憶測と証拠を峻別できるほど人間は客観的ではないからだ。私たちは間違いないと思い込み道を誤る。しかしやり直すことは容易ではない。」

エピグラフで次のように述べられている。この作品の奥にあるテーマであり、十分に説得力のある生きた言葉だ。
「私たちが物語ることができる現実は、現実そのものではない。ヴェルナー・K・ハイゼルベルグ」


こういうトーンは私が読んだジャンル、弁護士が活躍する法廷ミステリーにはなかった。

本物の弁護士のモラルと苦悩を下敷きにした世にも不思議な物語集だった。

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ミステリーと思うと物足りない

2017/04/30 17:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る

商品紹介にあるような圧巻の傑作とは思いませんが、日本でも2012年度の本屋大賞翻訳小説部門第1位みたいです、他にも良い作品はあったと思うのですが。

11編の短編からなる短編集です。
どの作品も文体が簡潔で読みやすく乾いた印象を受けました。
2009年の作品ですが今のドイツという国の雰囲気もよく伝わってきます。中でも移民の存在や彼らの置かれたポジションが。

どの短編もミステリーだと思いますが、ミステリー的な面白さを求めて読むと物足りなさを感じるのではないでしょうか。

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紙の本

期待していた程ではなかった

2015/01/27 01:45

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投稿者:槙野 - この投稿者のレビュー一覧を見る

同著者の中編を以前読んだが、その時と同様 深い心理描写や感情表現を好む自分的にはイマイチに感じた。
確かにどの短編もアイロニックななんともいえない雰囲気があるが、それでもアッサリしすぎていて、生きていればそんなこともあるだろうとある程度のことを受け入れられる人間からしたら、皆が言うような特別何かを考えさせられるような事は何もなかった。

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2011/08/07 14:22

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2011/07/20 23:54

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2011/07/03 23:56

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2011/07/07 20:17

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2011/07/09 22:30

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2011/07/31 21:27

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2011/08/09 12:42

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