紙の本
一番怖いのは 人
2020/03/04 15:20
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
怪奇小説なので 幽霊 妖怪 超常現象などいろいろ登場するが、一番印象に残ったのは「お供え」。
一番怖いのは 実は「人」ということを再認識させられた。
篠田節子のいつものSFっぽいところも良い。
紙の本
薄味テイスト
2021/09/24 01:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Eternal Kaoru - この投稿者のレビュー一覧を見る
結局、平成は怪奇小説不毛の時代だったのか。実際、そうだったのかもしれません。本シリーズですが、いずれも怪奇小説じゃあないだろう、という薄味の作品ばかりです(あくまで怪奇小説としての評価です。普通小説としてなら佳品、良作はあります)。もちろんアンソロジーにはそういう作品が入っていていいのですが、「入っていてもいい」ではなく全編最初から最後まで薄味で統一、という「純薄味」路線だと読んでいてさすがに飽きてきます。バリエーションがなさすぎます。強いて言えば薄味、極薄味、超薄味、ほぼ無味、無味という程度のバリエーションがあります。「どうせ次も肩透かしなんだろうなあ」と思って読むと本当に肩透かしだった。これが一巻当たり十何編も続きます。苦行、という言葉が頭をかすめました。当代随一とされるアンソロジストが精選を重ねた結果がこうでした、という貴重な記録ではありますので星は3つです。それにしても、東京創元社さんは不朽の名アンソロジー『怪奇小説傑作集』、『日本怪奇小説傑作集』を絶版にして何を考えておられるのでしょうか。
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面白かったです。
既読のものもありましたが、どれも独特な怖さがありました。
ホラーは苦手ですが、怪奇小説は好きだということに気付きます。違いを明確に表せないのですが。
吉田知子さんはもう何度も読んでいる「お供え」なのですが、やっぱり大好きです。得体の知れないものがじわじわと迫ってきて、そしていつの間にか取り返しのつかないことになっている。もう引き返せない。怖いです。
皆川博子さんも言わずもがなで、「文月の使者」は短編なのにひとつの舞台を見たような鮮やかさがありました。昏いのですが…台詞まわしかなぁ。
北村薫さんって怪奇小説もあるのですね。「百物語」、ぞわぞわしました。
霧島ケイさんの「家ー魔象」は、三角屋敷に住むのは絶対避けようと思いました。
篠田節子さんの「静かな黄昏の国」がディストピア大好きなわたしに刺さりました。壊れた国、その中にあって自然たっぷりな終の棲家…でもそこではせいぜい3年しか生きられない。発光する植物、奇形の動物…その自然もなんだかおかしい。。好きです。この作品に出会えたので、この本を読んで良かったです。
「ハードボイルド読書探偵局」というラジオ番組で知ったアンソロジーですが面白かったです。
良い番組です。
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アンソロジー第1巻。これだけは何がなんでも買おうと思って刊行を待っていたもの。
平成期に発表された怪奇小説というだけでも膨大なものがあるというのに、更に、その中から収録作を選ぶというのは、素人が想像しても気が遠くなりそうな作業だw
赤江瀑と皆川博子は絶対に入ると思っていたが、第1巻に2人とも収録されていたのは驚いた。次巻以降の収録作、どんなものが出て来るのだろう……?
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作家によって好みが分かれますね。
全体的によくまとまっていて、面白かったです。
特に三角屋敷の話である、家ー魔障。
この本で全体がわかってスッキリ。
いずれも見事なストーリーテラー、夏の夜にどうぞ。
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白眉は皆川博子先生と篠田節子。
■吉本ばなな「ある体験」★ ※竿姉妹と思いきや上質な百合。新生活へ向かうための清算でもある。
■菊池秀行「墓碑名<新宿>」 ※幽霊的女を夢想する、自称ハードボイルド男性の、自分勝手な夢想。構図はわかるが旧時代的感覚だ。
■赤江瀑「光堂」 ※むんむんとするゲイのにほひ。は、一転、裏切られ、四半世紀を経てしまってはもはや追憶の彼方。やはり赤江瀑はよい。妖怪話というのもぐっとくる。
■日影丈吉「角の家」★ ※主人が狒々になる→奥さんにとって相手が身代わりでもどうでもいい→その関係性が執拗に気になる語り手→あなたもそうではありませんか。という反転。外皮と内臓が裏返るくらいの衝撃だ。
■吉田知子「お供え」★ ※再読。なのに込められた意味は、ただ薄気味悪いという程度で、論理的に説明できない。
■小池真理子「命日」 ※家を媒介した少女の呪いが「ついてくる」恐怖。脳内映像は黒沢清「降霊」。
■坂東真砂子「正月女」 ※女の怨念も怖いが、正月女は七人引いていくという発想も怖い。
■北村薫「百物語」★ ※百物語の蝋燭を現代の家電に移し替えるという面白さも、娘の語り口調もよい。
■皆川博子「文月の使者」★ ※再読。視点人物こそが実は……という最も好きなどんでん返し。さらには中洲という異界の舞台設定。最高の幻想小説にして、後半、とてつもなく面白いコントに転じる。それとなく泉鏡花「高野聖」を連想する。
■松浦寿輝「千日手」★ ※壮年の懐古的な夢想と、ゴーストストーリーと、自分自身すらも。
■霜島ケイ「家――魔象」 ※ネット由来の実話怪談の系譜。友人S=加門七海なのだとか。ですます調で統一されているのに、最後の一文でいきなり。
■篠田節子「静かな黄昏の国」★★ ※これは凄まじい……「子羊」に匹敵するトラウマ。311以前に書かれたものらしいが、アフター311の今、そして今後、ずっとアクチュアルな小説だ。
■夢枕獏「抱きあい心中」 ※水死体について。
■加門七海「すみだ川」 ※隅田川、時間を超えて三篇。よくわからない。
■宮部みゆき「布団部屋」 ※さすが手練れ。読後感は爽やか。
■東雅夫 編者解説
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ある体験/吉本ばなな★
墓碑銘〈新宿〉/菊地秀行★
光堂/赤江瀑★★
角の家/日影丈吉★★
お供え/吉田知子★
命日/小池真理子★★★★
正月女/坂東眞砂子★★★★
百物語/北村薫★★★
文月の使者/皆川博子★
千日手/松浦寿輝★★★
家ー魔象/霜島ケイ★★★★
静かな黄昏の国/篠田節子★★★★
抱きあい心中/夢枕獏★★★
すみだ川/加門七海★
布団部屋/宮部みゆき★★★
いわゆる『怖い話』を想像して読むと期待外れかも。どちらかと言えば、幻想譚、ファンタジー、不条理な話、の要素が強いです。ホラーとしてのオススメは『命日』『正月女』『家ー魔象』。ジャンルとしては近未来SFになる気がする『静かな黄昏の国』はデストピア小説としては面白かったです
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個人的に面白かったもの。
正月女→ジトッとした不快感、これはホラーだな、と思わされた。
千日手→まさかの、という展開。最後よくわからなくなった。
家ー魔性→本来怪異というのは日常に潜むものだと感じさせられた。
静かな黄昏の国→SFっぽい感じと思わせて…。嫌なファンタジー。
抱き合い心中→女の恨みは怖い。男の方も悪いけど。
布団部屋→さすが宮部みゆきさん。読みやすく面白かった。
2,3巻も期待。
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おなじみ、東雅夫氏によるアンソロジー。
平成の初期10年に絞った第1集。
個人的にはやはり質に多少のばらつきは感じるものの、いかにも氏の選らしい作品が並んでいる。
久々に読む坂東眞砂子氏は変わらず重く湿った雰囲気を醸し出しているし、怪奇小説というよりSFにカテゴライズされるであろう「静かな黄昏の国」で篠田節子氏は原発の未来を見通す慧眼を示している。
他作でイマイチの感想を持った加門七海氏も、収録作「すみだ川」は古典的ながらも複層的に怪異が織り込まれており、読み応え充分。
続く第2、3集にも期待。
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平成怪奇小説と銘打ってはいるものの、体験談形式、時代小説、SFモノとバラエティーに富んでおり、同時代性はあまり感じられない。第2巻、第3巻と読み進めていけば傾向を掴めるだろうか。
一編選ぶとしたら、個人的に馴染み深い土佐弁で生々しい人間関係と恐ろしい伝承が語られる『正月女』だろうか。年越しの柱時計が鳴るシーンなど、狂気じみていて好き。
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第1巻は平成元年(1989年)~平成10年(1998年)に発表された15編を収録。
読んだことがあったのは『命日』(小池真理子)と『正月女』(坂東眞砂子)の2編(どちらも『かなわぬ想い:惨劇で祝う五つの記念日』を読んで)。
既読のものを除き、第1巻で一番気に入ったのは『静かな黄昏の国』(篠田節子)。理想郷の正体については割と簡単に想像付くのだけど、この話が書かれたのが1996年だと思うと凄い。『斎藤家の核弾頭』とも共通するような、退廃的な近未来の日本の描写も良い。というか私、ディストピアの話が好きなのね。
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ホラーアンソロジー。再読のものが半分ほどありましたが、どれも粒よりです。
再読だけどやはり好きなのは小池真理子「命日」と坂東眞砂子「正月女」。これぞ恐怖、という印象の王道ホラー。迫りくる死の印象があまりに絶望的で鮮烈です。特に「正月女」はみんな邪悪で、だからこそ引いて行っちゃうんでしょうね。
しかし現代において真の意味で一番怖い作品は、篠田節子「静かな黄昏の国」ではないでしょうか。昔読んだ時にはありえないこともない未来の話だと思いましたが。今読めばまったくもって絵空事とは思えないこの物語。もちろん主眼に置かれた恐怖はあの偽りの楽園の正体なのでしょうが。私にはとことんまで発展した終末医療のほうがよほど恐ろしく思えました。ああいう生き方、というか死に方はしたくないです。それを思えば偽りであっても、あの楽園はあまりに優しいのでは。
初読の作品でのお気に入りは吉田知子「お供え」。怖い、というよりは不気味かな。なんだか嫌な話、という印象でした。
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平成30年間の間に書かれた日本の怪奇小説を年代順に収めたアンソロジー第一弾。平成元年~10年までの作品が収められています。平成の30年史を怪奇小説と共に振り返ることができる、なんてお得なアンソロジーだ。
お化けも幽霊も出てこないけど一番ゾッとしたのが、篠田節子「静かな黄昏の国」これが1996年に描かれていたということが怖い。そしてこれを読了したのがたまたま3月11日だったのも妙な符合で怖かった。
2.3巻も楽しみ。
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15人の作家による15篇の怪奇小説。力量のある作家ばかりなので文筆もしっかりしている。どれもオブラートに包んだような少しの怖さなのだが、後に何故か余韻が残る。読み終え、最後にブクログに何か感想を書き込もうとぺらぺらとページをめくりながら走り読みした。一寸読み始めただけでどれも物語の全容が浮かんだ、中々優れた作品たちかもしれない。
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【収録作品】「ある体験」吉本ばなな/「墓碑銘〈新宿〉」菊地秀行/「光堂」赤江瀑/「角の家」日影丈吉/「お供え」吉田知子/「命日」小池真理子/「正月女」坂東眞砂子/「百物語」北村薫/「文月の使者」皆川博子/「千日手」松浦寿輝/「家・魔象」霜島ケイ/「静かな黄昏の国」篠田節子/「抱きあい心中」夢枕獏/「すみだ川」加門七海/「布団部屋」宮部みゆき