油圧制御システム

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投稿者：相良　岩男　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　油圧システムは機械的エネルギーを流体エネルギーに変換して所定の位置に伝達し，ここで所定の機械的動力として出力する伝達制御装置のことである。この油圧システムは，航空機・船舶・自動車・工作機械など，あらゆる伝達制御関連で幅広く利用されている重要な基幹技術である。機械システムに関する設計や製造やメンテナンスに関する技術者にとって，油圧システムを十分に理解することは必須条件である。
　この重要な油圧システムについて，本書は油圧機器・油圧システムの静的・動的特性の解明，動的伝達から見たシステム要素諸元の決定，油圧サーボ・システムの制御特性などについて主としてハードウエア的な立場からの基礎事項について記述している。
　機械システムに関する高度なコンピューター制御は油圧システムなどのハードウエアの特徴を十分に理解して初めて可能となる。
　著者らは大学の教授として，多年にわたり教育に携わってきた。この過程の中での経験を基に，初心者に油圧システムの基礎を十分に理解しやすいように配慮しながら本書は編集している。本書の特徴は理論的考察と，実際の構造とを併記して動作を記述している点である。さらに，本書は現今の油圧技術に関する動向も考慮しながら記述されており，最新技術にも触れることができる。
　本文は4章より成り立っている。
　1章 油圧システムの概要では，油圧システムの構成，航空宇宙分野の油圧制御システムについて，2章 油圧システムの流体力学的基礎では，流体の物理的性質と油圧動作油，流れ解析に関する基礎理論，油圧システム要素内の流れ，油撃，キャビテーションについて，3章 油圧システムの構成機器では，油圧ポンプおよび油圧モーター，油圧アクチュエーター，油圧制御弁，補機について，4章 油圧制御システムでは，電気油圧サーボ・システムの構成，制御工学の基礎，油圧制御機器の動特性，油圧制御システムの設計について，である。
　この著書はこれから油圧関係を専攻しようとしている大学生・大学院生や，油圧関係の仕事に関係のある技術者を対象にした教科書であり参考書である。
(C) ブックレビュー社 2000