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感想
行政の人材を育てる拠点に
国際教育都市 福岡
以下は読書メモ
常識破りの戦略の積み重ねによる強さ
多くの人の発想力や挑戦に触れる
PDCAを回すと当たり前の打算的な打ち手になる
思い込み
・人口の増加で解決
・他都市の成功事例を実践
・自治体が主体的に
・国からの予算最適化
・不便だと発展は無理
・市民WSは間違いなし
福岡の非常識
・民間主導
・まちの中では競争より協調
・工場誘致は早々に撤退
・空港を郊外移転しない
・市域拡大時代に開発抑制
自分たちの行政サービスに最適化でする人口規模を狙う
フェイスブックやアマゾンは都市整備に積極的
天神のエリマネ団体
・戦後の立ち上げ
・百貨店との協調戦略
・博多と天神のエリア競争と協調
→ライバル関係の好循環
福岡の覚悟
・民間のキーマンが中央集権に迎合せず判断
集積エリアにはある程度の再開発が必要
再開発をしないエリアの設定、内需拡大するミックスオープン
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これまで日本の政令指定都市の人口五大都市といえば長らく、横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市、神戸市となっていたが、2016年人口で神戸市を抜いて、第5位にランクインした福岡市が、全国的に人口減の今、なぜ人口を増やし続けられているのかを地方政策や各種政府委員を務めた経験をもつ著者が解説した一冊。
ここ数年、人口増加や起業推進事業等で話題に上る福岡市は、最近の政策が当たって伸びていると思われがちではあるが、都市の活性化は数年のスパンで伸びるものでもなければ、目先の発展や周辺の都市が成功した二番煎じで伸びるものでもない。先人たちがその都市の将来を見据えて興した事業に影響され活性化していくもの。
福岡市は、もともと水源に乏しく政令市の中で唯一、一級河川がないので周辺都市から水を供給してもらっていることや、周辺都市から出遅れたということもあり、明治後半から他都市が成功してきた工業地帯をつくり、産業を興し、団地を建てて人口を増やすことができず、第三次産業であるサービス業を中心に都市計画をつくっていく。
現代にもよくあるような、役所主体の公共事業や国からの補助金をあてにするのではなく、渡辺通や博多駅等に路面電車を通した渡邉興八郎さんや、後の福岡シティ銀行を作った四島一二三さん、10年かかって作り上げた明太子の作り方を惜しみもなく広め、福岡市の名物とした川原俊夫さん等、民間の力で福岡を盛り上げ、私鉄や国鉄だけでない西鉄バス、西鉄電車等の地方のハブ化を推し進めた結果、現在では羽田、成田に次ぐ離発着数を記録する福岡空港は市街地からの利便性に優れ、博多港も大陸や半島からの旅行者の玄関口として業績を伸ばしている。
都市としての魅力に加え、ローカルな屋台や商店街等、他都市では衰退していったような産業も福岡らしい魅力をもっている。
国や自治体手動の活性化では、『仏つくって魂入れず』という言葉のように、箱ものや道路を整備してもそこに入る民間企業の力がなければ、いずれ衰退していくことになる。その点、福岡市は民間主体で自治体は、あくまでそのお手伝いをするというスタンスがあり、他都市の成功例の真似でない、自分たちで考えた福岡市独自の事業を展開している。
都市の活性化に限らず、世の中には変な民主主義がはびこり、みんなで考えることが重要になってしまい結局、しないといけないことではなく、できることしかできず、やったとしても「みんなで考えた結果なんだから」と誰も責任をとらない。誰にとってもメリットがあって、みんなが納得できるものなんて先進性のない守りの事業に過ぎない。本気で結果を出そうとするのであれば、自分の保身を意識しながら計画したものではなく、自分の覚悟で旗をたて、リスクを負って切り開いていくことが大事だと感じた。
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結論としては、まあまあそりゃそうだよな、というところではあるけど、福岡の現在が出来た経緯については全然知らなかった。広島もそのうち飲まれていくのだろうか。
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雑学カテゴリではあるが,ひょっとしたら講義に役立つかもと思い,購入してみました.内容は非常に面白いです.
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福岡市は人口増加し、人口増加率が高く、若者の人口が多いということで、最強の都市として扱われている。
その要因として、民間主導のまちづくり、周りと違うことをやることによる競争優位などが言われている。
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どちらかというと歴史的な経緯や人にスポットがあたっている内容。これはこれで正しいのだけれども、もっと”今”を掘り下げてもおもしろい本になったのではないかと思う。昨今語られるような福岡の良さがあまり出ていなかった点が残念。
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全体を俯瞰すると、民間主導での都市開発が概ね結果を出したケースについて、当然にそうであろうという内容であった。特にサプライズはない。福岡市の発展要素が整理されていることは参考になるものの、他の都市との比較における位置付けに関する見解が弱い。福岡市なのか福岡都市圏なのか、この議論はもっと整えたほうがよいと感じる。
福岡市が神戸市を上回ったことは殊更に強調しているが、神戸市は関西圏の中で位置付けられるのであって、単独の存在ではなく、足下、関西圏内で劣勢であることは間違いないが、国内最高レベルの医療開発産業都市として新たな役割を持ちつつあることから、福岡市と同列の比較にはならない。例えば、こういった点の議論は上手く整理されていない。
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民間主導の都市開発も含め、制約をうまく生かし逆張り戦略でいまの地位まで上り詰める福岡市の経緯を見るには読み物として面白い書籍でした。よく福岡市が取り上げられる理由を知るには良い本です。
ただ当初のフレーミングによるものだと思いますが、最強の地方都市かどうかはよくわからないのが正直なところ。
都市開発を民間主導で行い発展したという木下さんの自前の論に当てはまりが最も良い大都市は確かに福岡市だと思います。一方現在も競争力を有する製造業種が豊かな浜松や静岡、広島などは都市圏単位での一人あたり生産額は相当高く、京都市などは一人あたりの雇用者所得も高い水準にあります。このあたりは最強かどうかを見るには基礎データですが全く触れられていないので、福岡市ありきで議論を始めている限界かもしれません。木下さんはマーケティングがうまいのでわかって書いてらっしゃるのだとは思いますが。
あとはオガールは補助金が入っているので「補助金に頼らない」が何を意味するのか気になりました。
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わかりやすく都市創生の大事な考え方が理解できた。
同じことやれば良いというわけではないだろうが、一つのファクトとして理解しておくべきことと感じた。
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まちづくりや商店街振興の分野で著名な著者による、福岡市のこれまでの歴史などをたどりながら解説した一冊。
著者のこれまでの著書と異なり、1つの都市をテーマにしたものは初めて読み、新鮮な感じを持ちつつ、著者らしい鋭くも分かりやすい指摘が満載。
これをただの福岡市を褒め称えているだけと思うのではなく、何が応用できるのか考えていかなければならない。
▼まちづくりの「思い込み」
・人口が増加すれば、地方が抱えている問題が解決する
・他都市の成功事例を、そのまま実践すればうまくいく
・まちづくりは、自治体が主体になって取り組むべき
・国から予算をもらうために最善を尽くす
・自分のまちは不便だから、発展するわけがない
・市民ワークショップを開催すれば、間違いのないまちづくりができる
都市を発展させてきたところは、これらの「思い込み=常識」を打ち破り、独自の路線を突き進んでいる。その1つが福岡市
<この本から得られた気づきとアクション>
・福岡市は政令指定都市であり、一定以上の規模や産業集積を持つだけでなく、歴史もあり、現在も繁栄していて当然、と思考停止してしまえば、本質は見えない。
・「常識を疑う」が本書のテーマの1つ。今の都市の発展を阻害する「制約」は何か。それを強みに変えるには何が必要か、それを考えなければならない。
<目次>
第1章 まちづくりは「常識」を疑え!
第2章 福岡市は「ここ」がすごい!
第3章 福岡市5つの「常識破り」
第4章 福岡市を変えた10の「覚悟」
第5章 経営視点で見える「福岡メソッド」
第6章 福岡市の「制約」と「未来」
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真面目に分析するとそういうことになるんだろうけど、まぁ結果論であり、成長経済・経済効率化のベースからは考えが抜け出ていない。
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まちづくりにも興味を持ち始めて読んでみました。きっかけは著者のTwitterをフォローしたことかな。
個人的にポイントだなと思ったキーワード→コンパクトシティ/福岡市の人口密度は1㎢あたり4,500人・札幌市は1,750人/福岡市の開業率7%/行政の力だけではなく大きな民間の力も必要、それには合意が必要ない/都市単位ではなく都市圏単位で考える/事業ではなく産業をつくる/補助金をもらう=どこかの成功例と同じ/神事は結束力を作る/チェーン店の地元貢献度は2~4割、地元店は5~7割……こんなところかな。目先のことにとらわれず長期的な目線で見ると言うことの何と大事なことか、そして難しいことか。自分の人生考えるのも、本当によく考えないとな……^_^;
そして、福岡市に改めて行ってみたい!と思ったけど、行けばわかるもんでもない内容な気がするな。どうするのが一番体感できるだろうか?
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図書館で借りた本。地元だが地方最強なのかは分からない。物価は安く食事処の満足度が高いのは間違いないかな。男子は東京に行く人が多いから女子余り現象は昔から。若い層の人口増加は九州から集まってくる学生が多いのもあり、そのまま就職のパターンが形式化されているのもあるだろう。本書では天神や博多の商業や福岡市の行政、発展させた偉人たちの話の繰り返しだったので、ほどよく田舎を感じられる福岡市近郊の市や町の事なども掘り下げてみたら良かったのかも。福岡は観光資源が弱いが交通ターミナルの重要位置にいるのは地理的有利ではある。空港から10分以内で博多駅に着く利便性も利点。糸島や新宮など郊外に移住したがる若年層やシルバー世代、医療環境の充実もあり、市内まで交通機関の良さも相成って人口増加に繋がっているのかも。
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201812/
他都市と同じ産業分野で出し抜こうとするより、むしろ、活発な産業を周りの都市に譲り、そこで得たお金を福岡市で消費してもらうという流れをつくったのです。/
紫波町は人口約33300人で財政も厳しく、自治体単位で見ると恵まれた状況ではありません。一方、半径30kmのエリア単位で見ると、盛岡市、花巻市もカバーするので、他都市から高速道路を利用して訪れる客を見込むことができ、約60万人を超える規模まで取り込めるようになります。/
オガールの敷地内には、民営の体育館があります。この体育館はなんと、日本初の「バレーボール専用施設」なのです。なぜサッカーや野球ではなく、バレーボール専用なのか。それは、ライバルの少ないスポーツを狙うことで、体育館の高い稼働率を維持するためです。しかも、施設の設置は補助金に頼らず、あくまで銀行の融資によって建設し、運営にも民間ビジネスのノウハウがぞんぶんに生かされています。/
都市経営において「撤退戦略」は極めて重要です。大きな過ちが発生するのは大抵、失敗した時ではありません。失敗しているにもかかわらず、撤退の意思決定をしないことで発生するのです。/
もし仮に、工場誘致に失敗した際、知恵を出さずにしつこく工業化路線を追い求めていたらどうなるか。工業地域に特化させるために、内陸部と臨海部の交通は分散され管理中枢都市にはなれなかったでしょう。/
川原氏はなんと、魚卵の仕入れ元から仕込み方法など、明太子の製法をすべて無料で公開したのです(調味料の配合は企業秘密とした)。/
独占するのではなく、多くの人に参入させて産業そのものを大きく育て、それでも自分の店が一番うまいものをつくり続ければ、必ず商売は半畳する。そして独占しなかったその姿勢が、今日の明太子とその関連商品市場を生み出したのです。/
地方都市において、歴史的行事、特に「神事」は極めて重要な機能を果たします。
1つは、人々の結束量を高める効果です。行事の準備から開催まで、長い時間を地域の仲間とともに過ごすことになります。すると町会単位での活動によって対他町会の意識が芽生えて、地域単位の結束力を強めます。また、互いの信用・理解といった社会的資本の整理・蓄積が行われて、地域の問題解決を促したり、無用な衝突を防ぐなどの効果もあります。実際にまちづくりの取り組みでも伝統行事がきっかけとなって様々な物事が進展することがあります。
もう一つは経済循環としての機能です。祭事は基本的に「やってあげるもの」ではなく、「やらせていただくもの」という理念の上で取り組まれます。つまり、すべて参加者の「持出し」によって成立するのです。しかも祭事には、様々なルールもあったり、町会単位で立派さを競う地域もあります。そのために必要な資材をそろえるには、応分の財力が必要になるのです。財を持つ者は、応分の負担をすることが基本となり、商都では一部に偏った財を地域内で広く分配していくという、再分配的機能を持っているのです。/
苦しい状況でも、政治、行政、民間の人々が諦めず、「自治体にお金がないなら、民間��が自発的に出し合う!」「工業都市化ができないなら、サービス産業で独自路線を伸ばす!」「市域拡大が無理なら、他都市とのネットワークをつくって成長する!」というように、”常に諦めない姿勢”を貫いています。これはどんな困難も、前向きで力強く打開策を見出す「ネアカ」な心構えが大切であると感じました。/
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人口増加、教育、コンパクトシティ、産業等の点で優れたパフォーマンスを発揮している福岡市について、その発展のポイントを、都市経営的な視点から解き明かしている。
民間主導が大切であること、周りと同じことをしないということ、「撤退」するという戦略もアリだということなど、地域活性化やまちづくりに当たっての有益なヒントが多かった。