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- カテゴリ:一般
- 取扱開始日:2013/02/07
- 出版社: ポプラ社
- サイズ:20cm/238p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-591-13237-1
読割 50
紙の本
あん
著者 ドリアン助川 (著)
線路沿いから一本路地を抜けたところにある小さなどら焼き店。千太郎が日がな一日鉄板に向かう店先に、バイトの求人をみてやってきたのは70歳を過ぎた手の不自由な女性・吉井徳江だ...
あん
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商品説明
線路沿いから一本路地を抜けたところにある小さなどら焼き店。千太郎が日がな一日鉄板に向かう店先に、バイトの求人をみてやってきたのは70歳を過ぎた手の不自由な女性・吉井徳江だった。徳江のつくる「あん」の旨さに舌をまく千太郎は、彼女を雇い、店は繁盛しはじめるのだが…。偏見のなかに人生を閉じ込められた徳江、生きる気力を失いかけていた千太郎。ふたりはそれぞれに新しい人生に向かって歩きはじめる―。生命の不思議な美しさに息をのむラストシーン、いつまでも胸を去らない魂の物語。【「BOOK」データベースの商品解説】
千太郎のどら焼き店のバイト求人をみてやってきたのは、70歳を過ぎた手の不自由な女性・吉井徳江だった。徳江のつくる「あん」のうまさに舌をまく千太郎は彼女を雇い、店は繁盛しはじめるのだが…。限りなく優しい魂の物語。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ドリアン助川
- 略歴
- 〈ドリアン助川〉1962年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒業。詩人、作家、道化師。語りの道化師(アルルカン)として各地でライブ活動を展開。著書に「朗読ダイエット」など。
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紙の本
あん…それは 命の輝き
2013/02/10 10:50
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もりあやこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
丁寧に 慈しみ育てられた素材を撫でるようにして作られた食べ物を口に含むと
その命が この身に働きかけ
細胞の一つ一つが にこにこと 笑顔になるような感覚を思い出した
作者 ドリアン助川氏は かつて「叫ぶ詩人の会」として 社会とのそぐわなさ
魂のあるべき処を 思いあぐね悩む人々の思いを代弁するように叫んできた
しかし今 彼が 自らを名乗る時「作家・詩人・朗読者・道化師」と
声高に叫ぶ姿はもうない
今回の著作は 構想10年
ハンセン病についての 丁寧な取材に基づくもので 彼自身の人生の集大成
魂の書ではあるけれども
自分だけの力ではなく「出会った人たちの魂が書かせてくれた作品でもある」と 語っている
「ハンセン病について触れた作品」というと
辛く重い事実を ぐいぐいと突きつけられる イメージも多いが
この『あん』は それぞれの姿、辿った人生が どんな形であれ
命を持ったものが生きていくこと そのものを愛おしむ 温かな光に満ちている
決して 甘やかな 夢物語としてだけではなく
遂げられぬまま逝ってしまった命や思いを受け取り
届けようとする 静かに熱い思いは 塩辛さを感じさせぬ 微妙なバランスで
隠し味として 物語を 要所要所で 引き締めている
人と人とが出逢い 心で触れ合い
それが 鍵となって 次に踏み出す道への扉が 開かれてゆく
役立つとか 立たぬとか そんなことは 生きていく上で ほんのおまけにしか過ぎないという 安心感
著者自身の足で歩いた 地面の感触
季節の移ろいを 詩人として 見つめ 掬い上げ 紡いできた視点の 清涼感…
ドリアン助川氏の これまでの人生の集大成には違いない
しかし、かつて若者からカリスマと崇められた頃のような 叫ぶ形をとってはいないが
熱い思いが水底に脈々と流れ続けており
それを ぶつけることなく 優しさで包みながら 人の手へ 確実に届けようとしている
更なる進化の第一歩に過ぎない
著者が 今後また その足で歩き 出逢い 触れ合いながら 踏みしめてゆく 一歩一歩の 足跡に咲いてゆく 花のような作品が 楽しみでならない
紙の本
忘れない
2015/11/21 12:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:無我 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一生忘れられない小説となりました。
主要登場人物が皆、優しくてステキ。そして人生の意味を深く考えさせられます。
私はクリスチャンですが、どんな不遇な状況にある方も、難病や障害を背負って生きている方も意味なくこの世に生まれてくる人など一人もいないと信じています。
読み終えてから高校生の姪に貸しましたが彼女も目を真っ赤に腫らしながら私に『感動しすぎてヤバかった』と言ってくれました。老若男女問わず全ての方に薦めます。
電子書籍
安全ではあっても安心ではない
2019/01/25 19:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んで都知事の「安全ではあっても安心ではない」という発言を思い出した。
人々が心の中に抱いている偏見と言うものの怖さを、直接表に出すのではなく、柔らかい筆致で描き出した秀作と思う。