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紙の本
心が疲れた人のために。自分を見つめなおす「描く本」
2012/08/27 14:11
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投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、アートセラピー、美術教育の研究者。これまでは、芸術療法の専門書や美術教育の実践書を書かれていたが、本書はビジネス書として刊行されている。それには、アートに馴染みのない人にアートの持つ力や楽しさに触れてもらいたい、心が疲れてしまった方のために何かできることを..著者のそんな想いが込められている。
本書は「読む本」ではなく「描く(書く)本」。示されたテーマについて、言葉で表現したり絵を描いてみたり。雑誌や色紙などを切り取って貼る、というのもある。テーマは、「思い思いの線を引いてみましょう」「マス目に好きな色を塗りましょう」といった、取り付きやすいやすいものから始まって、比較的早くに「心の叫び」や「将来の私」といった少し考えなければいけないものも現れる。
タイトルに「ストレス解消!」とあるが、そのことについて本書には2つの効用がある。1つ目は、色を塗ったり線を引いたりしていると、その作業に集中して他のこと(例えば今日あったイヤなこと)をしばし忘れること。一旦忘れて次に思い出した時には、違う見方ができるかもしれない。
2つ目は、テーマの多くは自分の内面に関するもので、それを客観的に見られること。絵で表現するという行為は、対象を外側から見ることになる。自分が書いた絵を見て、「こういうことなんだ」と改めて気づくこともある。悩みや迷いについて「答えは自分の中にある」と言われることがあるが、客観的に見ることでその答えに近づくことができる。
とは言え、正直に言って本書はなかなかの難物だ。絵を描くこと自体にストレスを感じたら、ストレス解消になりようがない。私の知り合いは「思い思いの線を引いてみましょう」で、「そういうのがヤなのよね」と言って、手を付けなかった。世の中には「絵を描くのが苦手」という人は多い。
著者も「おわりに」などでおっしゃっているのだけれど、絵を描くことへの嫌悪感や苦手意識の原因の一端は、学校の美術教育にあるように思う。私は特に「優劣の評価がされること」が問題だと思う。「うまく描かなければ」という自分自身の評価という縛りもあって、これからの解放がなかなか難しい。