脳の中の時間旅行 なぜ時間はワープするのか

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〈本から〉
遠い将来を考えるほど海馬が活性化するという事実

記憶は変わる可能性がある。完全な形で頭に入ってきて、
手付かずのまま保管庫でじっと呼び出しを待っている
わけではない。何十年もの研究により、記憶は保管
する時点で違っていたり、新しい情報が明らかに
なったときに改められたり、思い出すときに
変わったりすることが実証された。記憶は再構築
できるのだ。こうした変更に悪意があるわけでは
ないし、意識的なものですらない。しかし、変化する
という記憶の本質が目撃証言の信頼性を揺るがせる
一方で、その同じ性質が、将来を想像する上での
鍵なのかもしれない。
（略）
記憶の柔軟性こそが、将来を考える鍵のように
思える。私たちの何百万という、違う時期に生じた
記憶の断片は不変のものではない。それらは変化して、
果てしない想像をする可能性を与えてくれるのだ。
記憶があてにならないというのは欠陥に思えるかも
しれないが、あてにならないからこそ、未来への
タイムトラベルが容易になるのだ。
私たちが過去の経験から学んでいるのは当然だが、
これを一歩先に進めると、記憶の根本的な目的は
過去を振り返ることではなく、前を見て将来の
可能性を想像することに関わっているのではないか。

他にすることがないときの脳は将来を考えるのが
デフォルトであるという発見を合わせて考えると、
私たちは未来へという時間を最も多く経験している
ように思える。私たちは自分を時間の先へ置こうと
する。私たちは将来を想像する能力を当たり前だと
思い、それが技能だとは考えない。しかし想像の
中で話を組み立てる過程は、”人間の知性の極致”に
近いと説明されている。現実を想像できるのは、
頭の中でタイムトラベルできる能力のおかげだ。
そのおかげで、人が人らしく生きられる。

退屈、不安、不満なときも、時間の流れは遅く
なるが、どれもあまり望ましくない精神状態だ。
もし時間が過ぎるのが速いと感じているのなら、
それはおそらく豊かで充実した生活を送っている
証拠なのだ。

時間が速く過ぎるのを止めるには予定を積極的に
入れて、テレビは覚えていられる時間だけ観る
ようにすることだ。これを知っていれば、あとは
何が自分にとって重要か、自分自身で決められる。

小プリニウスが紀元１０５年に書いているように、
「楽しい時ほど、時間が短く思える」のだ。

調査を行った研究者は、陽光あふれる外国に
移り住むときの教訓として、こう言っている。
「家の修理を終わらせてはいけない」。
つまり、どうしても対処できない場合は別として、
一番いいのは時間と折り合いをつけ、自分の
スケジュールはいっぱいで、これからもそうであり
続けると認めてしまうことだ。そしてその利点を
考える。予定がたくさんあれば、思い出がたくさん
できて、時間があっという間に過ぎるとい���印象も
弱まる。

結論として
・「人生はうしろ向きにしか理解ができないが、
　　前向きに進むしかない」　
　　　　　　　　　　セーレン・キルコゲール

・「時間はあらゆる種類の麻酔薬を乗せたトレイと
　　ともに、私たちに向かって猛スピードで向かって
　　くる。その間でさえ、死が不可避の手術の
　　準備をしている」　テネシー・ウィリアムズ

・「私は将来のことなど考えない。それはすぐに
　　やってきてしまう」アルベルト・アインシュタイン

・「毎日、自由に使える時間は伸縮自在だ。激しい
　　感情を感じているときは引き伸ばされ、そうした
　　感情を自分で引き起こしているときは縮まる。
　　残った部分を習慣が埋めている」
　　　　　　　　　マルセル・プルースト


　　　　　　　　　　　


　

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脳の中でなくてもアインシュタインの相対性理論により時間は相対的であるという認識の元に、新たな知見を知りたく本書をとった。細かな記述はあっても読者を感嘆しえない残念な内容であったと感じる。あくまでも入門書として重宝したい。

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　時間のたつのが早いと思うときもあれば、その一方で時間のたつのが遅いと思うときがある。時間の経過に影響するのが以下の要素が関係しているとしている。感情、恐怖、加齢、隔絶、体温、拒絶。結構、その時の感情に時間経過が左右されているのか。改めて気づかされた事実だな。

　一瞬に関する調査が行われたとあり、面白いことをする人がいるものだと思った。その調査結果では、一瞬の長さは、2秒から3秒だとある。著者は「3」の魔法と述べているが、3秒は、何か記憶する必要がある時にメモしたり、長期記憶に頼ることなく何かを記憶できる時間とある。3が重要なキーワードになるとは何が役に立つか分からないものだ。

　では、脳には時間を測る専門の器官があるのかと思ったらないようだ。説の1つとして、情報の処理などの脳の一般的な働きを使っているのではないかということが言われている。応用しているということか。

　言語によって時間の感じ方が変わるとあり、面白いなあと思った。それは、英語と標準中国語で調査をした学者がいた。英語の話者と違い、中国語の話者は、過去の出来事を示す時は上を、未来を示す時は下を指差したとある。言語には文化が密接にかかわっているので、文化が違えば、時間に対する考え方も違ってくる。

　時間を巡る話なので、きっと難しい用語のオンパレードで読んでいるうちにウトウトして睡眠タイムに突入かと思ったら読みやすくて面白く時間がたつのを忘れた。著者のクラウディア・ハモンドは、イギリスのライター、BBCラジオやテレビ番組の司会を務めており、心理学や健康にかかわる分野で注目を集めて数々の賞をもらっている。

著者に関する情報

http://en.wikipedia.org/wiki/Claudia_Hammond

BBCラジオの番組

http://www.bbc.co.uk/programmes/profiles/2ShQx1NjKLkTsbdzZF771X1/claudia-hammond

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時間知覚について書かれた一冊。

本書によれば、記憶、注意、感情のプロセスを通じて、主観的な時間的経験が作り上げられているという。

精神的にきつい状況(不安、緊張、恐怖など)の時には時間は遅くなり、豊かで充実している時には時間は速く流れるという。

それら仕組みを利用して、自ら時間の流れをコントロールすることの具体的な提案もされている。

言われてみれば「なるほど」な事実の積み重ねが興味深かった。
うつ病やADHDの方々は、時間の流れが遅く感じる、ということを知っておくだけでも、対応のあり方は変わってくるのではないかと思った。

自分の時間の使い方をより豊かにしていくためにも、人との関係の中で相手を大切にしていくためにも「使える」と思えた一冊。

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時間を長く感じたり、短く感じたりする理由はなんだろうか、という疑問はもちろん、時間に関する感覚のかなりの範囲について説明を試みた一冊。

過去・現在・未来についての感覚から、記憶、未来を想像する心の仕組みまで扱う範囲は幅広い。「時間に関してはこれ一冊でいいか」と思えるほど出来栄えが良い。

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この本を読んでいると、絶対的な時間などなく、時間感覚は人の心の中にだけあるように思えてくる。結局は、人の心の問題かと最近は思う。

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[関連リンク]
Twitter / EnJoeToh: 邦訳出たのな。良い本です。 http://t.co/25nW ...: https://twitter.com/EnJoeToh/status/448425075381776386

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脳がうんたらかんたら…という本はハズレが多い(といいながら、ついつい手を出しちゃうから打率が下がるんだよね…)。さて本書はどうか。脳が主役ではなくて、時間、という視点で脳が出てくる、という感じなのでその点はよし、なのだが、全体の記述が淡々としていて、どこが最も読むべきところかがわかりにくくてもったいない。緊急時に時間が長く感じたり、年をとると1年が早く過ぎたりすることの解説を試みている。だがどうもわかった気がしない。年をとったら、1年は早く過ぎても1時間は早く過ぎないだろう、と。たしかにそうだ。ちょっとムムム…と思ったのだけど、「未来を思い出す」の章がなかなかよかったので帳消し。僕らは常に将来のことを考えてしまっているらしい。休めるチャンスに休めばいいのに、将来のことなんかを考えてしまうんだって。でも何か「成果」方向に話がいってしまう。まあ、成果がなければ研究も出来ないってことか。