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商品説明
イタリア滞在30年。日本人としての“当たり前”をことごとくひっくり返された著者が、社会生活をつぶさに体験し、その近現代史をたどるなかで見えてきた、“違和感”のありかと本音のイタリアを紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
八木 宏美
- 略歴
- 〈八木宏美〉上野学園大学音楽学部卒業。79年渡伊、ベルディ音楽院、ミラノ大学に学ぶ。(有)インプット・イタリア・ジャパン設立。トリノ大学外国学部オリエント学科大学院日本部門契約教授。
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紙の本
タバスコのあった喫茶店。ティラミスのあったカフェバー。
2009/03/06 22:34
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る
パスタ、という言葉を初めて聞いたのは、いつの頃だろう。気が付くと、スパゲッティという単語自体を耳にすることが、めっきり減っている。だが、スパゲッティも、無論パスタも立派なイタリア語だ。
日本における、イタリアへのイメージは80年代バブル経済以前・以後で大きく変わった。イタメシ、オペラ、アルマーニ、フェラーリ。とはいえ、現実のイタリアについて、日本で、具体的な言葉をどれほど、見つけることができるだろうか。本書はイタリアの歴史、政治、経済、産業、教育、文化、マフィア。現地を旅しても得られない、長期間の定点観測から、ならではの「人文学的」視座から構成された、読みやすく、凝縮された文体で綴られた貴重な一冊である。各章も30頁前後にきめ細かく整理され、スローフードからパルチザンまで、重要なテーマ毎に各章に盛り込まれた数多くのコラムも丁寧な作りで愉しく読める。
さて。本書の核心にある、イタリアの「人文学」とは。下記、本書よりの少々長い引用をお許しいただきたい。
「人文学は正に自己を中心に据えた学問なのである。自分を把握し、自分の視点を分析していなければ、確かに客観的に対象を見ることは難しい。なぜ自分が対象物に"違和感"を覚えるのかも分からないし、なぜある現象を見て自分がある感想を持つのか見極めることもできない。」(本書p.10)
ミラノベルディ音楽院での留学。その準備で出会ったイタリアの音楽理論書の「全項目が互いに有機的に組み込まれる」システムに感動し、イタリアそのもをテーマとするためにミラノ大学人文学部に進んだ著者。その後、日伊交流事業の会社を設立、翻訳、通訳、調査、インタビューなど、まさに人文学的な営みを続けて三十年近く。現在はトリノ大学で、日本語教育、日本研究者養成に携わる著者の筆は、自分語りに陥る地点からは、印象論にも数字の羅列にも流れず、もちろんあふれんばかりの知識に溺れることなく、近現代イタリアの「明暗」までを深く射抜く一冊。是非。