紙の本
「目の前の仕事を真剣に楽しみに、ほがらかに生きていく方法は無限にあると信じています」と多聞さん!
2016/03/02 15:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
矢荻多聞さん、もしかして彼のことは知らないかもしれないけれど、
彼の手がけた本なら知っている目にしたことがある、そんな人はきっと多いと思う。
一度見たら忘れられないような、インパクトがある本。
彼は気鋭のブックデザイナー。
インド、横浜、京都を行き来して、装丁家として、またイベント企画などで
活躍の場をぐんぐん広げている。
彼の手がける本がそうであるように、彼のこれまでの生きざまが素晴らしくインパクトがあり、読みながら驚いてばかりいました。
中学1年で学校を辞めてインドと日本と半々で暮らし、もともとご両親に連れられインド旅行に行ったことはあり、絵を描き、個展を開いたら大盛況で、それが繋がって繋がって、本の装丁家として今では350冊以上も手がけており、
私はこの本を読みながら、すごく心揺さぶられ、「おお」と思わずには声がでてしまったり、涙がほろほろこぼれたり、今もまだそうなんです。響く箇所もありすぎて、読む度にいろんなところで立ち止まります。
彼の祖母の口癖「商売ってのは、水を差し出す、ということだよ」ここも響きましたねぇ。だから、うまくは紹介できないもどかしさを感じながらも、これは一人でも多くの人に読んでもらいたいと思う。
「この本には、就職しないで生きるために、いかに個性的に、強いメッセージを持ち続けていくか、という話は書いてありません。人と人との出会い、ささやかな言葉や体験が、つねに自分を変化させつづけ、いまの仕事につなぎとめてくれている。(中略)
ぼくは、就職してもしなくても、どんな仕事をしていても、目の前の仕事を真剣に楽しみに、ほがらかに生きていく方法は無限にあると信じています。」と多聞さん。ぜひ、手に取って読んでみてください!
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最初のうちは、順を追って読んでいましたが、だんだん順不同で読んで、作者の考えや見方を少しずつ自分の中で吸収して読んでいったように思います。
つまり、途中からは、その日の偶然に任せて、たまたま開いたページの関連の章までや、自分の気になるところまで読む。
時折、読む箇所が被ったり、穴が空いたりするけど、自分の読みたい、気になる欲求にだけ任せて読みました。
おそらく、作者もそんな感じの人のように思えたからです。
同じ生き方はできないかもしれませんが、その考えには、共感できるはずです。
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中1で学校に通わなくなり、14歳からインドで細密画を描き絵を売って暮らしてきた青春時代。やがてインドと日本を往復し、日印交流イベントをひらくようになり、現在は多岐に渡る活動のひとつとして本の装丁を手掛ける仕事に就く。
半生を振り返り、自身の仕事と今について素直に綴った自伝&仕事論。
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14歳でインドに渡って暮らし始めた そう。
サブタイトル的なのかそのものなのか、
就職しないで生きるには と書かれているのね。
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これは、すごい。
本当にすごい本だ。
人生観もかわってしまったかもしれない。
著者の不登校談が気になり、
手に取ったのだけど、著者の言葉に
目から鱗がポロポロこぼれまくりました。
あと、著者のお母さまがなんて肝のすわった
心の大きい方なんだろうと尊敬です。
あとがきでは、号泣してしまい
今、思い出しても涙がでてきます。
とりあえず、いろんな人に読んでほしい
超、お勧めの本です!!
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まさに「就職しないで生きるには」というシリーズ名を冠するにふさわしい本。悩んでいるなら、迷っているなら、心身がしんどいと悲鳴を上げているなら、自分の内なる声を信じてフラッと動いてみてもいいんじゃないの?と。(それでもやっぱり「そう簡単に行くわけないよ……この人だから上手くいったのであって私なんかじゃどうしようもないよ……」と落ち込んだりもするのだけど)
名言が多かったなあ。そして、やはり、良い装丁。
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[ 内容 ]
「いつのまにか装丁家になっていた」―。
中島岳志や森まゆみの著作をはじめ、小説、学術書、ビジネス書など、幅広く「本の貌」を手がける矢萩多聞。
学校や先生になじめず中学一年で不登校、一四歳からインドで暮らし、専門的なデザインの勉強もしていない。
ただ絵を描くことが好きだった少年はどのように本づくりの道にたどり着いたのか?
気鋭のブックデザイナーが考える、これからの暮らしと仕事。
[ 目次 ]
1 学校とセンセイ(先生なんか嫌いだ;学校に行きたくない ほか)
2 インドで暮らす(はじめての外国;インドの旅で見たこと ほか)
3 絵を描くこと(絵を描く人になりたい;美術はいつも一だった ほか)
4 本をつくる仕事(はじめての本;本嫌いの本づくり ほか)
5 日本で暮らす(家で仕事をするということ;くすみ書房のこと ほか)
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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中島岳志さんの推薦コメントに惹かれ手に取ってみたが、驚くほど面白かった。本は大好きなのに、これまで装丁家の方たちに思いを馳せたことがなかったことが悔やまれる。「不登校」「インド」「本の装丁・出版」いずれかのキーワードに引っかかって、本書に群がる?読者は多様だと思う。そんなてんでばらばらの読者を包み込むような懐の深さがある一冊。
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装丁家としての本づくりへの関わり方がとてもすてきでした。たぶんご本人はなにか特別なことをしているわけではなく、その時・その出会いを大切になさっているだけなのでしょうけれど。不登校になったあと14才からのインド暮らし、となかなか普通ではない生い立ちを気負いもなく語っていて、なんかいい。あぁ普通の学校に馴染むだけが人生じゃないよなーとつくづく思いました。。。ほんと今の教育は、こういう人たちの才能が評価されない教育ですね。
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「個性を大切にしなさい」だとか、「オンリーワン」だとか一人一人の違いを受け入れようとあちらこちらで耳にするが、一方で同じ服を着せる義務教育や絵を書くにも時間内に書き上げられなければ、通信簿が悪くなる教育制度はいかがなものか?
目には見えない大きな流れの中に居て、逆らおうとするからストレスになる。
流れに身を任せてみるのも良いかもしれない。
この本が、スーっと自分の中に入ってくるのは著者自身がそうだからなのだと思う。
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「装丁」と言う言葉につられ、読む。
本づくりについて描かれている分量はさほど多くない。予想は外れたが、読んで良かった。
あるがままに、肩肘張らず、身の丈に合った生き方。柔らかい読み心地。
たいせつに覚えておきたいと思った文が二カ所有った。 こういうコトバとの出会いがあるから本を読むのは堪らない。
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娘さんのお誕生年。月。までうちの息子と同じ。生まれてひとつきで、震災がおきた。あのころのこと、まわりの雰囲気を、思い出しました。そうそう、そうだったなー。私は高橋源一郎さんと、サラーム海上さんのTwitterをずっとみていた。
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11月は本を読める時間が少なかったけれど、この本は今日中に読みたい! と思って、読みきった。
紙の本が病気と同じレベルですごく好きな私にぴったりな本でした。貸してくれてありがとう。増々、本が好きで、愛おしくなった。
世の中にはいろいろな人がいて、学校が合う人もいれば合わない人もいるし、人によっても今は学校が合う時期、今は合わない時期、というのもあると思う。それと同じことが他のことにもいえて……。
読む前よりも自由になった気がする、肩の力を抜くことができる一冊でした。
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昔好きだった作家の作風の変化について行けず、年末に発売するBRUTUSの本特集から、面白そうな本をピックアップして読むのが、ここ数年の常になり、2014年末にピックアップ。
ずっと探して(ネットで本は買いたくないから)、11月に移動古書店で発見。積み読だったけれどやっと読了。
前置き長くなったけど、個人的には「就職しないで生きるには」シリーズが伝えたいこと?とは全然別の感想。「こういう生き方もある」などということに関して、特に何も感じないし
。
ただ、本好きとしては一冊の本の向こうに、作家だけではなく、矢萩さんのような装丁家をはじめ、編集者や印刷会社などの作り手が見えて嬉しくなった。その方々も、本が大好き。
「作り手が透けて見えるような日用品に囲まれたい」と最近は思うようになったり、物の値段について考えることが多い今だからこそ、このタイミングでこの本に出会えて良かったです。
相談職という仕事にも通じている部分もあって、なかなか良かった。
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これはいい本。読むタイミング的にもばっちりはまって、「ああ、あの人に読んでほしいなぁ」という顔がいくつも浮かんだ。
結局のところ「自分で物をつくる覚悟を持った人」の言葉が一番響く。観念をいくらこねくり回したところで、論理やアイデアだけではどこまでいっても空疎だ。
多聞さん、京都在住らしい。一度会ってみたい。ひとつひとつの言葉が滋味ぶかい。
「ぼくは見た目のデザインよりも、紙選びこそが想定の醍醐味だと思っている。眼が文章や造形にふれるまえに、からだは紙に触っているのだから」p.172
「印刷所に行くときは緊張する。日頃お世話になっている職人さんに会えるのは嬉しいが、「あんただね、いつも面倒くさい指示を出してくる人は」と怒られることが多い。ぼくが希望したおかしな紙の組み合わせで、印刷機を目づまりさせたり、ありえないインクの組み合わせで、職人さんを悩ませたりしているそうだ。
印刷機の横にうず高く積みあげられたインクの缶に、ぼくがつくった校正紙の切れはしが張りついているのを見つけ泣きそうにあったことがある。つぎ刷るときにインクの配合が分かるように、インクと刷り見本をセットにして保存しているのだ。
デザイナーがどんなに偉そうなことを言っていても、最終的に本のかたちに仕立てあげるのは、現場の職人だ。裏方に徹して、本の奥付にも名前は出てこないが、彼らなしには一冊の本も作れない。紙メーカーの工場職員から、配送業者にいたるまで、本づくりは彼らのおかげで成り立っている」p.172
「どんな町であろうと、そこに人が暮らしているかぎり、地域誌はつくれるんです。たとえ無人島だとしても、ぼくはつくる」p.248
「場所が変わると本づくりも変わる。関西に暮らす著者やデザイナー、印刷所といっしょにつくりたい。そうしたときに東京一辺倒ではつくれない新しい本が生まれると思うんです」p.252
「たとえ日本で一〇〇人しか必要としない本だったとしても、ちゃんとその一〇〇人に届けば、出版社としてやっていける道があるはずだ。著者、編集者、装丁家、出版社、印刷所、書店……一冊の本にかかわる人たちが、歩いて会えるような距離で仕事をして、大儲けはできなくとも、なんとか暮らしていける。そんなサイクルの中で本をつくっていきたい」p.261