この本は環境法の入門書のフリをしています （信山社新書）

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投稿者：岩波文庫愛好家　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

『この本は環境法の入門書のフリをしています』、というタイトル。非常にインパクトがあります。特に『フリをしています』が絶妙なネーミングです。
　さてこの様に在るものの、では『フリをしています』とはどういう事でしょうか。つまり、入門書ではないという事です。専門書だ、という事です。このスタンスが本書の文体に如実に現れています。まるでギャル語のような表現が至る所本書には鏤められてありますが、それに匹敵する位カタカナ英語と日本語の熟語も林立しています。要するに本書は環境法に関する様々な官庁のややこしい仕組みや手続きの内容、根回しといった生々しい実態などを赤裸々に吐露し、それをその業界にいた人が専門的な内容を記した一書なのです。
　著者を取り巻く業界が如何に煩雑な体制か、また、如何に知恵を絞って法案を通していくか等、その業界の人でしか語る事の出来ない、或る種、貴重な著書と感じます。但しこの様に理解する迄は、独特の文体にそこそこ嫌悪感を感じた事は否めません。
　本書は行政法の範囲と環境に関する諸法律について知らなかった裏事情を垣間見る事が出来る内容として良い知見になりました。