紙の本
最高の一冊
2022/04/25 04:35
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投稿者:和ダンボ - この投稿者のレビュー一覧を見る
木下さんの地方創生本は、かねてからよく読んでいました。指摘も鋭く、他の本とは一線を画していました。
それでもまだ物足りない部分もあったのですが、今回の内容はとても満足しました。最近購入したのですが、一年前に買っていればわたしの人生も変わったと思います。
それでも今からでも木下さんの考えを参考に実践したいです。現実に我が豊後大野市は大荒れになりそうです。それは良い意味での活性化です。古い体質が変わりそうな気配です。そのためにもこの本はこころ強いです。ありがとうございました。
紙の本
当たり前のことしか書かれていないが、幻想に囚われていると当たり前のことができなくなる
2021/04/12 22:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けいちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「まちづくり」や「地域再生」といった、一見して耳心地の良いの言葉が、「善意」だけで通用するわけはなく、きちんとビジネスとして考えなければならないという、当たり前だけれども「幻想」に囚われがちな分野に現実を突きつけてくれる一冊。
自分自身は地方の中核市で生まれ育ち、今は政令市に住んでいるので、本書に挙げられてるような「幻想」や「神話」を信じていたわけではないが、上の方の世代の人たちの中には「幻想」に囚われている人がいることを見てきたし、もっと田舎に行けば、「幻想」が蔓延していることは想像に難くない。
「椿井文書」で有名になった枚方市は、「偽史」という「幻想」を公文書に用いていたが、全国どこの市町村でも多かれ少なかれ、「幻想」を抱えているだろう。
私はIT系のコンサルの仕事をしており、たまたま先日、東北のある市で策定された「情報基本計画」を拝見する機会があったが、「Society5.0」「働き方改革」「テレワーク」「RPA」「キャッシュレス決済」「5G」「AI」「スマート自治体」「プッシュ型」「ICTガバナンス」「情報セキュリティ」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」などのバズワードが並んでいるだけで、その都市独自の課題に切り込まれているようには読めなかった。
膨大な補助金を注ぎ込んで作られて使われなくなった箱モノを著者は「墓標」と称しているが、国の方でデジタル庁ができ、「自治体DX推進計画」を補助金を用いて進めていこうとしている中で、これから先、「IT墓標」や「DX墓標」が全国各地にできていくことは容易に想像できる。
既に、発注者責任を果たさなかったために、100億円近くを投じて「一部除き中断」となった京都市の基幹系システムなど、IT墓標はいくつかできつつある。
本書にもあるが、外注管理や成果物評価のノウハウなど、コアとなるスキルは自治体側に残さないと、コンサルとしても経済成長は望めず、ただの補助金ビジネスに成り下がってしまう。
私自身も自治体DXに関わる機会があるので、墓標を後世に残さないよう、自治体側とは協力してプロジェクトを進めていきたい。
本書の気になる点としては、「稼ぐこと」を無条件に良いものとして前面に押し出している点だろうか。自治体のサービスとしては、「誰一人取り残さない」ことを目的とするので、「稼ぐ」こととは矛盾することが多い。
ただし、「稼ぐ」という視点がないサービスは、「誰一人取り残さない」ことで、全員が取り残される危険性を孕んでいる。その意味では、「稼ぐ」という視点は必要不可欠なものであるといえる。
本書の伝えたいこととしては、冒頭にも書いたような「まちづくり」や「地域再生」といった「善意」だけで通用するような、ご都合主義的な物語はどこにもないということだろう。
そのためには、「稼ぐ」ことが手っ取り早いが、要は、自分の頭で考えることが必要ということである。
「善意」や「ご都合主義」でできた「幻想」を取り払うために、まちづくりや自治体関係者だけではなく、地方の民間企業も含めて、自分の頭で考えるために読むとよい一冊。
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宮崎駿さんの名言「大事なことは、だいたい面倒くさい」この本の、象徴的な言葉だ。出来ることから、やる。面倒な事ほど挑戦する。なるほど
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多くのまちづくりが失敗しているのは、現実より幻想を前提としていることにある。多くの人の同意を得ること、反対されないことを優先するため、現実は軽視される。そんな現実が書いてある良書
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過去の成長、成功体験に囚われ、これから訪れる未来を直視せず、何とかなると考える、夢や憶測で物事を語る。まさにエビデンスよりもエピソードの重視。
年齢、性別などに関係なく、お互いを尊敬でき、若い人を浪費しない、そんな地方を作っていきたいと思った。
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面白く読んだが、少し時間がたってしまい忘れてしまった。
要点は、個別の政策や補助金獲得のために時間や力を割くのではなく、人材育成にしっかり取り組むべき、と理解した。
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p50 安くたくさんを徹底していては、人口減少社会の日本においては問題が起こるのは間違いありません。売上よりも利益率にこだわるべきです
p52 つまり「自分で作る」か「もらうか」くらいで市場を通じて購入したことはないので、都市部にむけて正しい値付けをするのはかなり難しいのです
p54 値段を高くすると地元重鎮からたたかれる
「安くたくさん」による衰退連鎖を止めるような付加価値の高いサービスを提供すると「ボッタクリだ」とか「3日で潰れる」とか悪口を展開する人たちがバンバンでてくる
付加価値の高い製品を少人口で作るから地域は長期にわたり反映する
p63 トップの仕事とは「人事」が9割を占めるといっても過言ではありません。「何をやるか」よりも「誰とやるか」「誰に任せるか」のほうが圧倒的に重要です
p69 公民連携プロフェッショナルスクール
p81 外から移住者を呼んで来る前に解決すべきは、地元から逃げていく人たちの意見を聞いて、えらい人たちが態度・思想を改めることです
p83 若い女性が地方を離れ、東京に向かう理由をみていくと、「東京が魅力的」というより、「地方社会が女性に閉鎖的で、成長機会に乏しい」と認識しているわけです。さらに地方は治安が悪くて、怖い、自分が望む住まいもないとしている回答をみると、男である私にも見えない地方の問題を感じて、出ていく女性が多いことに気付かされます
p84 簡単にいえば、企画や事務職で働きたい若い女性が多い一方で、地元企業では募集がなかったのです
p97 まず地域のトップに必要なのは夢
p100 旭川市郊外の当麻町 でんすけすいか 75万
p104 みんなという人はいない
p122 皆で力を合わせ、頑張ればどうにかなる、という幻想を維持するために、何か問題点を提起するものを悪いやつと決めつけて集団で攻撃しているうちに、他の地域はより魅力的な商品サービスを作り出し成長していきます。常に敵は外にあり、なのです
p126 「みんな」なんて抽象的な主語はいりません。まずは「私」が何をするか、なのです
p129 事業におていは、診療、経験、投資という3つの軸が必要
p133 基本的には、多くの人は、「誰が話すか」によって判断をしている
p137 集団がもつ幻想は無責任と他力本願と現状維持を正当化するために共有されているものが多くあります
p138 地元に挑戦者・成功者がでたときどんな行動をとるべきか 応援は具体的行動で示す、様子見は潰しに加担しているのと同じ 7-8人に反対されるうちにやるのが仕事 他のライバルを潰すのではなく、育てる
p155 昔は地銀にお金を集めておけば地域内企業に投融資されそれが金利として預金にプラスされていたが、いまは機能しなくなっている
p157 地域経済構造 内閣府 RESAS
中村良平 まちづくり構造改革
p161 ファンの増加と、具体的なアクションのセットが必要
p165 二宮尊徳 報徳仕法 道徳と経済の両立が重視される
p173 「やったことのないことはできない」という幻想と、「できないことは外注すればいい」という幻想が組み合わさって、いつの間にか、誰も自分の頭で考えなくなっていないでしょうか。そこにつけ込む悪質な「外の人」がだくさんいるのです
p189 「お金がない」という人ほど「お金がかかる「事業を始めたがる
p202 先を行く地域の人は圧倒的に未来の話をする
p235 まちを変えるのは常に百人の合意より、一人の覚悟
p242 宮崎駿 大事なことは、だいたい面倒くさい
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学生時代から長年、商店街振興、まちづくりに関わる著者によるまちづくり論。今回も切れ味鋭い内容となっています。
タイトルの「まちづくり幻想」とは、皆が常識だと思いこんでいるものが、実は現実とは異なり、それを信じ、共有してしまうが故に地域の衰退を加速させるという本質的な問題のこと。本当に思い当たることが多いと思います。
『「まちづくり幻想」とは、誰から与えられるものではなく、常に我々の内にあるものです。他人のせいにしても仕方ありません。』
『まちづくり幻想を振り払うのに必要なのは、「百人の合意より、一人の覚悟」』
今回も、叱咤激励をいただける内容になっています。
▼「まちづくり幻想」:皆が常識だと思いこんでいるものが、実は現実とは異なり、それを信じ、共有してしまうが故に地域の衰退を加速させるという本質的な問題
▼地域のプロジェクトには、単に「ヒト・モノ・カネ・情報」がたくさんあればよいのではなく、それらを取捨選択し、活用していく上でのベースになる「思考の土台」が必要。失敗する地域再生事業の多くは、取り組み以前に、この土台そものに問題がある
▼幻想の原因は、統計を見ないことから起きる
▼都市部でどんなことが起きようと、自分たちのまちを継続的な積み上げで、普段から外の人を受け入れ、自分たちの産業を盛り上げていっている地域にしかチャンスは訪れない
▼内発的な力があるチームを作り出せるかどうかがすべての勝負の始まり。だからこそトップの仕事は、事業のネタ探しでも、予算確保でもなく、よい人事
▼組織を動かすときに効果的な「外圧」の使い方
・同じ組織属性の人を活用する(グループ軸)
・同じ階級の人を活用する(レイヤー軸)
・外部評価を活用する(プレゼンス軸)
▼想いは口に出し、4つの行動で示す
①応援は「具体的行動」で示そう
②「様子見」は、潰しに加担しているのと同じ
③7~8人から反対されるうちにやるのが「仕事」
④他のライバルを潰すのではなく、育てる
▼実際、地方に必要なのは単にゆるい関係を持つ人口ではなく、明瞭に消費もしくは労働力となる人口を移住定住せずとも確保していくところに価値があるはず。そこには「誘致コスト」もかかる
しかし、現状を鑑みて「投資対効果」があるのかどうかを検討することが求められる
▼「まちづくり幻想」5つの分類と12のアクション
①官×意思決定者が「役所」ですべきこと、「地域」ですべきこと
アクション1 外注よりも職員育成
アクション2 地域に向けても教育投資が必要
アクション3 役所ももらうだけでなく、稼ぐ仕掛けと新たな目的を作る
②官×組織集団「自分の顔を持ち、組織の仕事につなげる」
アクション4 役所の外に出て、自分の顔を持とう
アクション5 役所内の「仕事」に外の力を使おう
③民間×意思決定層「自分が柵を断ち切る勇気」と「多様寛容な仕事作り」
アクション6 既存組織で無理ならば、新たな組織を作るべし
アクション��� 地域企業のトップが逃げずに地域の未来を作ろう
④民間×集団「地元消費と投資、小さな一歩がまちを変える」
アクション8 バイローカルとインベストローカルを徹底しよう
アクション9 一住民が主体的にアクションを起こすと地域は変わる
⑤外の人 地元ではない強みとスキルを生かし、リスクを共有しよう
アクション10 リスクを共有し、地元ではないからこそのポジションを持つ
アクション11 場所を問わない手に職をつけよう
アクション12 先駆者のいる地域にまずは関わろう
▼まちづくり幻想を振り払うのに必要なのは、「百人の合意より、一人の覚悟」
▼踏まえてほしい3つのポイント
①「ここまで考える必要がある」という領域を広げることの重要性の共有
②大切なことは大抵面倒なことなので、面倒なことこそ大切だと思うこと
③まずは個人や少数チームで始めて近い成果を挙げることが大切ではあるものの、その先にいくためには仲間を増やそう
<目次>
第1章 「コロナ禍で訪れる地方の時代」という幻想
第2章 えらい人が気づけない、大いなる勘違い
第3章 「地域の人間関係」という泥沼
第4章 幻想が招く「よそ者」頼みの失敗
第5章 まちづくり幻想を振り払え!
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この本で、皆が常識だと思い込んでいるものが本当は現実と異なっていて、それを信じ、共有してしまって地域の衰退を加速させているのが「まちづくり幻想」だと著者は説く。そして5つの利害関係者をもとに分類した。
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【自治体が設定するゴールの幻想】
・「人口減少」は、地方衰退の結果であるため、それ自体をゴールとすることは間違い。
本来は自治体の単位に人を合わせるべきだが、現在は逆で、「地方創生」や「一極集中解消」の名のもとに、自治体のために人を強制移動させる仕組みになっている。
【トップの仕事に関する幻想】
・トップの仕事は事業のネタ探しでも予算の確保でもなく、よい人事を行う事。
【国への依存】
・「自前で稼ぐこと」よりも「国や県から貰うこと」が主力業務となってしまった地方
【結論】
これからの地方は、国や県の予算を基にした事業やコンサルに頼らず、「自前で出来ること」を増やしていくことが必要。
従来の「幻想」を一旦断ち切るためには、「今まで続けてきたこと」を冷静に見直す覚悟が求められる。
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まちづくりをしたい、しようと思う方はたくさんいらっしゃると思います。特にいろいろな地域団体の趣旨は自分の町をよくしたいとの思いの中からそのような活動をしている方が多いのではないでしょうか?しかし、まちづくりとはなんなのかを今一度考えさせられる機会をもらった本がこの本です。地域課題はそれぞれにあり、その解決方法も千差万別です。良い事例があればそれに飛び付き、そのやり方が地域を変えてくれるという幻想がよくあります。もし、自分の会社だったら利益を生み雇用を継続し、税金を納税できるように必死でやります。が、まちづくりとなると多くの人の気持ちのモチベーションの差がでてきます。となるとやはりそのまちづくりをしようと言った一人の人間の想い、行動力、継続力が必要です。その想いが伝播して協力者を増やし賛同者となるのだと思います。「100人の同意より一人の覚悟」この言葉がすごく好きになりました。だれがやりきるのか、最後はその部分に対しての責任感なんだと思います。その行動に心打たれ、共感者が増えていくのだと。いつの時代も一人の人間が立ち上がり、歴史を変えてきました。自分も本当に大切なこと、幻想ではなく、真実と実行力でまちづくりをしたいです。
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実際の事例から失敗の原因どうすれば良いのかが書かれておりわかりやすかった。
まちづくりモチベが高まる1冊笑
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すごく正統派で真っ当なことですが、なかなか誰も言わない、言えなかったことをきちんと書いてくれている本です。
公務員と呼ばれる業種の方と個人事業主の方、地域おこし協力隊などで田舎で活動されている方は特にご覧いただくとよいとおもいます。
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まちづくりに関心がない人にも是非読んでいただきたい一冊。
関心がない人が多いとまち全体にとってプラスにならないことが実施されていても、それに気がつかず、気がついたときには時既に遅しということにもなりかねません。
関心が高く行動を起こされている人も自分の行動がむしろまちを悪くしていないか問い直すためにも是非読んでいただきたいです。
成功事例を真似したところで自分のまちで成功する保証はないです。この本ではハイエナコンサルという言葉も使われていますが、専門家が言ってる通りにやって全てが上手くいくなら今こんな状況にはなっていないです。
この本にも書いてあるように、まちづくりに関わる上での正しい思考の土台をまず持つことが大事だと思います。
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久々に読む木下さんの本。相変わらず、書いてあること全てに腹落ちする。日本全国の議員、公務員、経営者にも読んでほしい。
大事なのは成功事例の模倣ではなく、事例を参考にしながらも何が自分の地域にとって良いのか、とにかく「自分で考える」こと。そして失敗を恐れずに、行動すること。地方の方々と話す機会には、積極的にこの本に書いてあることを伝えていきたい。「大事なことは面倒なこと」……最後に刺さりました。