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チェンジメーカー
著者 渡邊奈々 (著)
誰かのために働くってカッコいい。「社会起業家の父」と呼ばれる人から若手の精鋭まで、ソーシャル・ベンチャー、NPO、NGO──21世紀のビジネスと社会を動かす18人の熱いメ...
チェンジメーカー
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チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える
商品説明
誰かのために働くってカッコいい。「社会起業家の父」と呼ばれる人から若手の精鋭まで、ソーシャル・ベンチャー、NPO、NGO──21世紀のビジネスと社会を動かす18人の熱いメッセージ。
社会起業家とは、ソーシャル・ベンチャーと呼ばれる新しいタイプの社会事業やNPO、NGOを立ち上げた人のこと。
著名な写真家である著者・渡邊奈々さんは、
本気で世の中を変えようとしているユニークな社会起業家たちと出会い、インタビューを重ね、1冊の本にまとめ上げました。
本書に登場する人々のアイデアと熱い思いが、インタビューに添えられた美しい肖像写真とともに静かな感動を与えてくれます。
日本ではあまり知られていない世界的な非営利団体の活動を紹介する貴重な情報源でもあり、
NPOやNGOに興味のあるすべての方におすすめしたい新しい仕事の本です。
解説は金子郁容慶應義塾大学教授。
目次
- ソーシャル・アントレプレナーの父
- 新興市場国を元気づける“中小企業診断士”
- ソーシャル・ベンチャーのインキュベーター
- 日本版社会責任投資の伝道者
- ホームレス専門の敏腕・住宅再生デベロッパー
- 難民住宅問題の解決策を募る建築展主宰者
- 貧者を救う格安医療事業プランナー
- 紛争・危険地帯の赤ひげ先生たち
- 市民のためのメディア仕掛人
- 報道を規制する国々の見張り番
著者紹介
渡邊奈々 (著)
- 略歴
- 東京生まれ。ニュージャージー州シートンホール大学バイリンガル教育修士課程修了。ニューヨークで写真家として独立。1987年アメリカン・フォトグラファー誌年度賞受賞。
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紙の本
「社会起業家」という存在を日本に紹介した原典となる本。とくにビジネスパーソンには読んでほしい本
2010/04/27 16:50
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「社会起業家」18人のヒューマン・ストーリーを、著者自身の撮影によるポートレート写真と文章によって紹介した本である。
いまでこそ「社会起業家」といえば、日本でも若年層を中心に知る人も多い存在となったが、出版された2005年当時はこの概念が生まれた米国はもちろん、日本では一般的な認知度はけっして高くなかった。「社会起業家」というコトバを世の中に広めるキッカケとなった本書の意義はきわめて大きい。
著者は米国で30年近く過ごしてきた写真家だが、はじめて米国に住み始めた頃、ある米国人から米国人と比較したときの日本人の特性として、日本人には「コンパッションが欠如しているのではないか」という痛切な指摘を受けた体験を「あとがき」に記している。
コンパッション(compassion)とは、著者の表現を使えば「単なる同情を越えて他人の気持ちを思いやり苦しみも喜びも分かち合う」という意味だ。米国ではキリスト教をつうじて社会全体に当たり前のように定着している。コンパッションは仏教でいえば「慈悲の心」、ダライラマ14世が英語の説法でよく使用するコトバでもあるが、仏教国であるはずの現代日本人にコンパッションが欠けていると米国人の眼にうつるというのは、私自身もつらいものを感じる。
「無償奉仕は、日本人には体質的気になじみにくいだろう、でもビジネスにつながるソーシャル・アントレプレナーシップ(=社会起業)ならば受け入れやすいのではないだろうか?」。このような問題意識が本書執筆の大きな動機になったと著者は書いている。日本に里帰りするたびに強まっていた違和感から出発した著者の問題意識は、いまでは多くの人たちに共有されつつある。
本書に取り上げられているのは、「国境なき医師団」や「国境なき記者団」といった国際的に著名なNPOだけでなく、社会問題の解決のために奔走する団体の代表者18人である。いずれも明確なミッション(=使命感)と熱いパッション(=情熱)の持ち主ばかりである。著者が撮影したポートレートを見ていると、その人のもつ内面のパワーに引き込まれるのを覚える。
ビジネスマンである私にとってもっとも関心が強いのは、なんといっても「アショカ財団」のビル・ドレイトン、「エンデヴァー」のリンダ・ロッテンバーグ、「アキュメン・ファンド」のジャクリーン・ノヴォグラッツの3人である。
社会問題の解決のために、ビジネスの手法を持ち込んで成功してきた先駆者たちである。いずれも本来は米国のビジネス世界でのトップエリートといってよい人たちが、あえて社会問題解決のために身を投じ、しかし金銭という万国共通のモチベーションをうまく善用して問題解決に取り組んできた。この点が、従来の国際援助とはまったく異なるアプローチであり、日本人も大いに学ぶべき先例であるといえるだろう。
ビジネスと社会問題解決は、そもそも出発点は異なり、アプローチの方法も異なるが、「社会起業」という形で一つの方向へとコンバージェンス(=収斂)していくのではないだろうか。とくにリーマショック以降は市場原理主義に対する違和感が多くの人のあいだいに拡がり、社会性を意識しない企業経営は長期的に成り立ち得ない状況となりつつある。
本書の続編である『社会起業家という仕事-チェンジメーカー2-』(日経BP社、2007)とあわせて、とくにビジネスパーソンには読んでほしい本である。社会的な問題解決は、自らが社会起業家にならなくても、自らが従事する仕事をつうじて実現することは不可能ではない。
もちろん、社会問題解決にはビジネスのアプローチ以外のものも多く存在する。社会変革のために、自分がどういう形の貢献ができるのか、それぞれの立場で考え、たとえ小さなものであっても取り組んでいきたい。
そういう気持ちをもつすべての人に読むことをすすめたい。
紙の本
21世紀の最高にカッコイイ人たち
2008/10/27 00:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブライアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
チェンジメーカー=世の中を変えることを選択した人々の静かな情熱が伝わるインタビュー本です。18人の社会起業家たちのポートレートはとても清々しい雰囲気で、それでいて強い意志を感じさせる眼差しはやはり非常に魅力的に映ります。
社会起業家に求められる資質として、
・右脳と左脳の両方が豊かであること
・何らかの社会の矛盾を解消したいという情熱があること
・変革を実現する可能性のあるまったく新しいアイデアを持っていること
・理想的なアイデアを現実にする上で具体的な戦略を持っている
・予期せぬ障害が起きたときでも、即座に頭を切り替えてゴールに向かう柔軟性
のすべてが備わっている必要があります。
さらに社会起業家の父、ドレイトンによれば、「社会起業家というのは、ただの夢想家ではなくて夢を持った行動家なんですね。彼らに欠かせない大切な資質は持続力です。社会の構造を変えるという遠大な作業は2,3年ではとてもかないません。数十年、いやそれ以上かかるかもしれない。あきらめず、へこたれず、短期的な達成感がなくても情熱を持続する力がいる。そして、最後にもうひとつ、最も重要な資質は誠実さです。私はフェローを面接するときにその人とふたりで険しい崖っぷちに立っている自分を想像してみます。そして心の声にじっと聞いてみる。果たして彼あるいは彼女に、私の心身をすべて委ねられるほどの誠実さがあるだろうか、とね」とあります。
個人的に非常に感銘を受けたのが、プロジェクト・インパクトの新興国向け医療ビジネスと、シーズ・オブ・ピースの敵対民族の子どもの合同キャンプです。貧困や人種差別、そして民族対立などは複雑な政治的要因が絡み、NPOといえどもなかなかカンタンに参入することができません。そこへアイデアを以て問題解決への礎を築く行動は率直に賞賛すべき偉業と呼べるでしょう。
これまでの日本では、経済的側面のみの社会活動が主流でした。日本の海外援助も企業の社会貢献も、とにかく金は出す、寄付はするけれどもあとはボランティアが勝手にやってくれ、というようなスタイルで、積極的にコミットするカンジではありません。そんな日本でも駒崎弘樹や山口絵理子のようなロールモデルがどんどん生まれています。アメリカ民主党大統領候補のオバマ氏もスラム街のNPOから社会派弁護士となりました。こんなにも優秀な人々が自分たちの住む世の中をより良くしようと考えている、それだけでもワクワクしませんか。
もうすぐ、社会起業は当たり前になる。日本の、世界の未来は大丈夫です。
紙の本
素晴らしい!思いつつも「近さ」がない..
2011/08/11 07:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
ソーシャルベンチャー=社会的企業家。この文字だけを見てもピンときませんが、世界的な規模で、「弱者」を救うために立ちあがった民間の方々の話です。ボランティア活動と違い、「ビジネス」という側面も持ち合わせているケースが大半。ビジネスであれば当然に「利潤」という話がでてきますが、一般の営利企業とまったく異なるのは「順序」「優先順位」です。彼らは、社会的活動をするための資金としてビジネスをからませる、つまり儲けは手段になっています。昨今のCSRなるお題目はどちらかといえば、(最終的な)「利益」を得るための手段であり、目的はあくまでも儲け、であるように思えます(営利企業である以上、必要なことですが)。
社会のため、自分以外の弱者のために働いている方々の姿は、圧倒的に魅力があります。著者が写真家であるので、各人の紹介の冒頭にその方のポートレイトが掲載されていますが、その時点でもみなさん非常に魅力的な笑顔を見せてくれます。おそらくは、実際に見る、という行為を通すと、写真からでは得られないオーラのようなものが感じられるのでしょう。
表題にあるのは、つまり「社会を変える」「世界を変える」ために行動を起こした人々、という意味。それぞれの活動を通じて、少しずつでも一部からだけでも「変える」ことを実行している方々のインタビューが並びます。正確にいえば、「変える」というよりは「正しい道に直す」ということなのかもしれません。何をもって「正しい」かというのは正解はないかもしれませんが、あくまでも「人としてあるべき姿」を取り戻すための環境作り、支援、といったところ。
前日のように、以前の「ボランティア活動」と異なるところは、その活動が表面的ではなくて、本質的である、ということでしょうか。募金などのボランティア活動を否定するものではけしてありませんが、ここで紹介されている方々は、少なくとも「その現場」に赴いて、同じ空気を吸って、その中から課題に「気づき」、それに対するソリューションを見つけ出そうとしています。その解決策に達する過程ではじめて「ビジネス」が発生する、そんな流れです。
本書の中にもありましたが、当然かもしれませんが、名だたる「営利」企業で勤める場合とは、自らの金銭的な身入りは少ないと思われます。それでも「その差額を上回る達成感、充実感」が得られる、という、これまたこの世に生をうけた人間としての本質的な動機づけによって彼らは活動を続けます。...おもっちゃいるけれどもできない自分のような人間にとっては、現実感が感じられないくらい...情けないですが、「今日のお金」のほうに比重があるのは事実かもしれない。「できることから」って言ってる人が実は何もしていない、ということもあります。言葉よりも先に「思ったら(小さくても)動く」ことが大事なんでしょうね...
著者の活動拠点の関係から、ベースをアメリカに置く方々の活動記録ですので、もちろんこの志に国境はないし、たとえ起点がニューヨークであってもその活動フィールドは「世界」ですから、そんな問題はないのですが、日本人の、かなりドメスティックな日本人の自分としては「遠い世界」の話のようなイメージも持ってしまいまして...この時点で「資格なし」かもしれませんが...ただ、1点。本書に紹介されている方々の多くは70年代生まれであることに刺激を受けてます。年齢だけは「上」の自分としては、なんらか動かねばならない、という刺激を。
【ことば】文部省...を見渡してもどこにも子供の姿が感じられないことに違和感を覚えた...教育にうちて。机上の空論が観念の上でくりかえされているようにしか見えなかった。
「教育」という分野で活動されてる方の言葉。文部省への入省を考えたときの感想です。これでは...ということで自ら立ち上がって行動されています。この省に限ったことではありませんが、これが日本の官僚の現実かもしれません。「現場」を知る、最低限知ろうとする姿勢があるかどうか。