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ほぼ全てに同意。
日米の考え方の違いは ↓ のようなエピソードに端的に表されていると感じた。
”日本の航空会社の情報システム担当者から二十年近く前に聞いた話だ。彼が米国の航空会社の情報システム担当者に会い、情報交換した際、今後の方針として「ソフト開発や出来上がった情報システムを動かす運用といった仕事はシステム子会社や IT企業にアウトソーシングしていく。我々はシステムの企画に注力していきたい」と説明した。
それを聞いた米国の担当者は目をむいてこう言った。「開発や運用を自分でやらず外部に頼んで何か問題が起きたらどうするつもりだ。企画なんか外に頼めばいい。コンサルティング会社に金を払えば、いくらでも企画を持ってきてくれる」。”(P.15)
企画なんて立てなくても、いずれにしろ判断するのは自社なので出所なんか関係ない、運用も開発も(少なくともいくらかは)自分たちでやらないと判断の根拠となる知識(暗黙知・経験も含めて)が得られないので当然責任を持った判断ができなくなる、といったことを含意しているのを見逃してはならない。
この本を通して、こうしたことに日本企業は無自覚すぎないか、何の経験も知識もなしに「企画」や「開発」「運用」のリーダーなんかできないよ、ということを言っていると思う。
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IT分野は米国の後じんを拝してしまったため、ソフトを自分で作らなくなる文化となってしまったのかなという気がします。直接的な要因ではないにしろ、、、
米国の担当者が、日本のITの現場をアウトソーシングして、企画だけ自分でやろうとしているやり方に驚き、現場を知らずして企画の善し悪しなんてわからないだろうという感想があったとありましたが、つい共感してしまいました。
結局、ITを経営の道具として使いきれていないのは、こういう違いからくるのだろうと思います。
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日米のITユーザー企業、ITベンダー企業の違い(必ずしも欧米万歳ではない)を説き、元々欧米が発祥であるITを日本に適応させる諸問題を先の大戦そして明治からの近代化にまで遡って検証し、日本のITの将来を考察する。
日経ビジネスオンラインに連載していた記事の加筆訂正版なのでそれほど新鮮味は無いが、日本のITの諸問題について改めて考えることができる好著、夏目漱石の「私の個人主義」からの引用、「一言にしていえば日本の開化は皮相上滑りの開化であることの帰着するのである。」がとても印象的、「明治は遠くなりにけり」どころか昭和も遠くなりつつある今日ですが...。
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副題に記載された通り、ソフトウェア以外の話題に触れられており、日本近代化の諸問題についての分析や知見が得られる本。ただ、連載の書籍化であるため、筆者の主張がぼやけてしまっている印象は否めない。また、マネジメント特にドラッカーに関する記述が多く(それはそれで面白いのだが)、いっそ別の書籍に分けるベキではなかったかとも思う。
全般としては、日本企業の低迷の要因は大きく以下の3点であるように思った。
1.グランドデザイン力向上に関する教育の欠如。これにより、魅力的なモノができない。よって、売れない。
2.経営と現場の情報面での乖離に伴う連携の悪さ。これにより、責任の不在、現場対応の多発。
3.ビジネス領域を分析する時間や人材の不足。これにより、魅力的なモノも、また新たな人材も育たない。
これら(特に1、2)は戦前より、日本が抱えている問題だが、アメリカや西洋はこれらをどんな人材でもこなせる様にする方法を学問的に考え、系統立てておりその点においては日本も学ぶところがあるのではないかと記している。
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・米国と日本のITを比べた場合、
同一業種で事業規模がほぼ同じ場合、米国企業の情報システム部門の人数は日本のざっと10倍
→SIerよりユーザ企業の情報部門の比率が高い
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最初のデータは興味深かったが、
途中から、古い言葉の引用が多くて読みにくかったり、
話がタイトルとあまり関係なくなってきて
最後まで興味を保つのが難しかった。
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ITは手段である、ということを日米比較を通して述べている。
よく"米国にはSIerなどない"というような乱暴な論調が見られるが、米国の内製化の概念を理解した上で判断すべきだと感じる。本書では、そのあたりにも触れられており、日本のSIをどうしていくべきかを考えるのに役立つ。
■主要論点
[マネジメントに関する論点]
【判断】顧客のために秩序や組織の枠組みを超える
【実行】判断、計画立案、指示、説明を少数精鋭で担う
【広報】顧客が理解できる情報発信
【報道】事実を系統立てて冷静に伝える
[テクノロジーに関する論点]
【自力】技術は一人称で舵取り
【制御】異常時に優先順位をつけてさばく
【遠勤】モバイルワーク禁止を解除
[グランドデザインに関する論点]
【代替】インフラのインフラのバックアップ
【設計】全体像から描き直す
【理想】全員が協業するために
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システムを内製するか、外部に委託するか。日本はたしかに何かブームに乗せられるような形で、アウトソーシングありきの動きになってた感はあるような気がする。内容的には、中盤タイトルから離れてるような気がしたのと、ちょっと引用が目について読みづらかったかなと。
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タイトルと内容があまり合っていない。個々の主張は納得できるものもあるし、同意できないものもある。また、バラバラな記事をまとめたものなので論旨の流れが良くないし、結論として作者が主張していることは、記者として人の話を聞きつづけた結果の意見であり、何の経験的裏付けも理論的根拠もない。
…と酷評したものの、良かった点は、各章末のコラムにおける書籍レビュー。『戦艦大和ノ最期』、荷風、漱石、『ガリバー旅行記』と、近代化、文明化に関する課題を鋭く突く本を選んでいる点が渋い。また問題を適応異常という概念でとらえ、解決の方向性として全体像、グランドデザインに求める点もなるほどと思った。
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興味深いタイトルで思わず手に取った人も多いだろう本書。日本のシステム開発の現場で課題となっているグランドデザインスキルの醸成とシステム内製化について、米国との比較、過去からの日本の推察を交えて提言している。なかなか難しい問題だが、バランスを取って進めていくしかないのが現状の認識
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日本と欧米の違いに関する事例、エピソードは多いが本書が提起している問題が何なのか分かりにくい。全般的に、提起した問題とはあまり関係の無い事例やエピソードが掲載されており、本筋からの脱線が多く論理的でないため、筆者の主張がよく分からない。問題への対処策も深みが無くチープである。各章で古き時代の偉人の言葉などを引用しているが、あまり必然性を感じられず論理展開が独りよがりの印象を受ける。
筆者の主張が分かりにくい点と論理でない点に目をつむり、経営と技術の観点での日本と欧米の違いを知ることを主眼とするなら、一読することにある程度価値はあると思う。
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日経コンピュータの編集者もされていた筆者による、日経ビジネスオンラインの連載コラム「経営の情識」を基にした書籍。
情報システムは内製が理想、アウトソーシングは必要悪という主張。米国ではユーザ企業がITエンジニアを多く抱えている。
あまり精読できてないけど、個々に面白いエピソードがいくつかあった。その中でも「Virtualを仮想と誤訳した責任は我々にあります」のネタを見つけたのは最大の収穫か。
http://d.hatena.ne.jp/oraccha/20140926/1411694081
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日本と米国などとの文化等の違いを認識したうえで、どのようにIT戦略(というか、ITシステム開発の在り方)を進めていったらよいか、答えはないが考えていく内容と読んだ。
「アップルの考えるデザインと、一般のデザインは異なる。アップルの考えるデザインは、エコシステムなども含めたグランドデザインである」というのは、なるほどと思った。
単純なITシステムだけではなく、日本の欧米化の形態から考察しており、ちょっと広い目で考えるという点で面白い本だった。
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30年にもわたりコンピュータと経営に関わる取材を行ってきた作者が日経記事へ投稿した記事に手を加え書籍化した作品。日本と諸外国との経営と技術の問題を指摘している。この問題は単純にどちらがよいとは言えず一長一短があるが今のままでは日本は危ないと危惧している。日本の近代化ともかかわる部分で過去にこれらを指摘してきた方々の記事を参考文献として挙げているのも非常に参考になる。
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基本的にWebサイトのコラムをとりまとめた内容とのことで、内容が多岐に飛ぶというか、脱線している感がある。
アメリカのソフトウェアの内製化割合等は初めて知る内容で良かった。
全体的に抽象度が高い話題になっていると言えばそうとも言えない。抽象度が高い話題、多岐に渡る話題(文化的、歴史的、思考・思想的)が好きな人は良いが、そうでない人には読みづらいと思う。文化的な側面からの考察がいろいろとあり面白い。
最終的には、日本の情報システムにおける構造的問題に対しては、悲観的態度となっているように思う。
今後の情報システムを考えるうえで、いろいろとヒントとなることが書いてある。