「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.9
- 出版社: 日経BP社
- サイズ:19cm/365p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-8222-8439-8
紙の本
グラハム・ベル空白の12日間の謎 今明かされる電話誕生の秘話
電話発明者をグラハム・ベルとする従来の電話特許史をくつがえす、新たに公開されたベルの「研究ノート」。ノートの解読、特許裁判での証言の詳細な解析と推理で、電話特許の謎に挑む...
グラハム・ベル空白の12日間の謎 今明かされる電話誕生の秘話
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
電話発明者をグラハム・ベルとする従来の電話特許史をくつがえす、新たに公開されたベルの「研究ノート」。ノートの解読、特許裁判での証言の詳細な解析と推理で、電話特許の謎に挑む。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
セス・シュルマン
- 略歴
- 〈セス・シュルマン〉ハーヴァード大学卒業。サイエンス・ライター。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
書店員レビュー
電話の発明者とされる...
ジュンク堂書店京都店さん
電話の発明者とされるグラハム・ベルは、アメリカ人にとって誉れ高き偉大な人物であることは、発明当時から現在に至るまで揺るぎない事実であるでしょう。けれどその発明品の根幹となる発想が、ベル自身によるものではなく、第三者のものだとしたら…。
この本は、ベルが記録していた、電話に関する実験のノートの手にした著者が、あるひとつの疑問を持ったことから発覚する、ベルの電話に関する疑惑の物語です。
ベルがどうしても地位と名声を獲得したかった理由、そして実際にそのどちらも手にした後の彼の苦悩が、著者の緻密な研究で明らかになります。今まで幾度かベルに疑惑がかけられたものの、それでもなおベルの地位が守られ続けたのは、彼が常に礼儀正しく、紳士的な人格者であったからでしょう。彼の不思議な魅力を発見することになる、そんな一冊です。
京都店理工書 坂本
「ワトソン君――ち...
ジュンク堂書店岡山店さん
「ワトソン君――ちょっと来てくれたまえ」
このフレーズ、聞いたことがあるでしょうか。これは世界で初めて電話を用いて送られた言葉だそうです。声の主は電話の発明者として知られるグラハム・ベル。電話の発明に心血を注ぎ、妻を愛し抜いた稀代の発明家として歴史に名前を残した人物です。
今や、一家に1台どころか1人に1台となっている電話。初めて開発が行われたときには、当然ながら大きな利権が絡むことになりました。純粋に遠くに声を届けたいと思う願いの裏側で、多くの思惑が渦巻くこととなりました。渦中の人物となったベル自身は本当に無心であり続けたのか、彼は何を思い、何をしたのか。当時、ベルが使っていたという「研究ノート」を元に、その裏側に深く切り込んでいます。
サイエンス読み物としても、歴史ミステリとしても楽しめる1冊ではないでしょうか。
(自然科学 加藤)
紙の本
電話発明の真相と特許出願制度をめぐるスリリングな歴史探偵ノンフィクション
2010/10/29 17:43
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
電話といえばグラハム・ベルが発明したもの、「ワトソン君、ちょっと来てくれたまえ」が第一声となった電話開通の瞬間、これは米国だけではなく、日本も含めて世界中で "常識" となっている発明物語のひとこまだ。
ところがこれが真実ではなかったということになれば、いったいどうなるだろう。著者自身、この発明物語がもしかしたら真実ではないのではないかと疑問を持ち始めた瞬間から、当惑にみちた思いがなかなか払拭できなかったようだ。そりゃそうだろう、電話のベル(bell)と同じつづりのベル(Bell)であってこそ、電話発明の物語にふさわしいのだが、これはほんとうの発明者であるグレイ(Glay)であったとしたら・・・。
米国では巨大企業 AT&T はグラハム・ベルの特許がベースになってできたベル・テレフォン・カンパニーがその出発点にある。ベル研究所を有する、この巨大企業の米国経済社会にしめてきたプレゼンスの大きさを考えれば、グラハム・ベル以外に電話の発明者がいたというストーリーは当然のことながら容認されざるものであっただろう。著者以前にもグレイの名誉回復を図るべくさまざまな試みがあったのにもかかわらず、本書の出版後も現在にいたるまで歴史の書き換えが行わるように見えないのは、ある意味では仕方がないといわざるをえないのかもしれない。
本書は、工科大学MITのディプナー研究所という、科学技術史専門の研究所で一年間の研究生活を送ることになったジャーナリストが、電話の発明者ベルと発明王エジソンについて調べ始めたところ、ふとしたことからベルの電話発明にかんする疑惑を知ったことから始まる物語だ。著者自身の真相探求と発見のプロセスを、ベルによる電話 ”発明” とパラレルに描いた推理小説のようなノンフィクション作品である。
技術史においては発明品である技術とその製品のみならず、特許出願制度が濃密にからんでことを考慮にいれなければならない。知的財産である技術を特許という制度で守ることによって、技術をカネに替える仕組みを保証しているのが資本主義である。ここにこそ、「グラハム・ベル空白の12日間の謎」のすべてが隠されているのだ。発明家ベルの思惑とは別に、その特許出願にかかわっていた、カネにたいする嗅覚の鋭い弁護士こそ、ベルの婚約者の父親なのであった!
本書は人物を中心とした歴史真相探求ものであり、また発明そのものと知的財産を保護する特許出願制度、技術の商業化と一般への普及、そして特許をめぐる法廷闘争もまたその主人公である。ドキドキしながら読める、スリリングな技術史の本としてぜひ薦めたい。歴史のもつ醍醐味を十分に味あわせてくれるエンターテインメントにもなっているすぐれたノンフィクション作品である。