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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2003.10
- 出版社: 北海道大学図書刊行会
- サイズ:19cm/266p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8329-3361-2
紙の本
北のことばフィールド・ノート 18の言語と文化
著者 津曲 敏郎 (編著)
言語の多様性が急速に失われようとしている環北太平洋地域を舞台に、そこに散らばる小さなことばたちを訪れた若手言語学者たちが綴る、言葉の世界の魅力と話者への思い。【「TRC ...
北のことばフィールド・ノート 18の言語と文化
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商品説明
言語の多様性が急速に失われようとしている環北太平洋地域を舞台に、そこに散らばる小さなことばたちを訪れた若手言語学者たちが綴る、言葉の世界の魅力と話者への思い。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
北サハリンを発つ朝ニヴフ | 白石英才 著 | 7-20 |
---|---|---|
アムールの恵みとともにナーナイと他のツングース | 風間伸次郎 著 | 21-36 |
デルスの見た星ウイルタ〜ナーナイ〜ウデヘ | 津曲敏郎 著 | 37-48 |
著者紹介
津曲 敏郎
- 略歴
- 〈津曲敏郎〉1951年生まれ。北海道大学大学院修了。同大学大学院文学研究科教授。専門はツングース諸語の記述的・類型的研究。中国およびロシアでツングース諸語の調査に従事。
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紙の本
人間の文化の多様性がいかに刺激に満ちたものであるかを教えてくれる
2004/11/27 10:27
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投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
北海道立北方民族博物館友の会の季刊誌に若手言語学者たちが寄せた小文をまとめたものです。日本人には馴染みのない数々の北方言語の特徴と、その言語が話されている社会背景について触れています。
英語を習い始めた頃に、目的語が動詞に後続することや、舌先や下唇を軽く噛む発音があることなどに、新鮮な驚きを感じたものです。とても日本人の「常識」では考えられないような不思議な構造や発音を持つ言語、それが英語でした。
そんな新鮮な驚きも、長年英語の勉強を続けるうちに忘れてしまいました。しかし自分の抱える「常識」を覆されるというのは非常に味わい深い経験であることは間違いなく、そんな「意外性」との刺激的な出会いは英語以外の言語、それもインド=ヨーロッパ系ではない言語を見つめることによっていくらでも体験できることを本書は教えてくれます。
例えばバンクーバー島の先住民族の言語「ヌートカ」は、対象が二足歩行をしているか四足歩行しているかによって使う動詞が変わってくるとのこと。同じ事象でも、日本人とヌートカの人々が見つめる要素は異なってくるのです。まさに執筆担当者が書くように「われわれの『常識』が実は結構狭いもので、数ある『常識』の中の一つに過ぎないのだということに気づかせてくれ」(221頁)ます。
しかしながら本書に登場する言語や文化は「物珍しい」の一言で片付けられるものではなく、残念ながら消滅の危機に瀕しています。執筆者たちもこうした文化を研究対象としてのみ見ているわけではなく、「私も言語学者として微力ながらお手伝いができればと思うのである」(248頁)という言葉にも表れているように、研究の成果を「還元」することの重要性を十分承知しているのです。研究者たちのこうした真摯な姿勢が実を結ぶことを願わずにはいられません。