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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2003.2
- 出版社: マガジンハウス
- サイズ:20cm/155p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8387-1427-0
紙の本
ユーモレスク
著者 長野 まゆみ (著)
不在の人の記憶が紡ぎ出す、切ない物語−。弟は、隣家から聞こえてくるユーモレスクが好きだった。六年前に行方不明になった弟・真哉。鏡合わせに一棟を分けた隣家は、それ以来「近く...
ユーモレスク
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商品説明
不在の人の記憶が紡ぎ出す、切ない物語−。弟は、隣家から聞こえてくるユーモレスクが好きだった。六年前に行方不明になった弟・真哉。鏡合わせに一棟を分けた隣家は、それ以来「近くて遠い」場所となった…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
長野 まゆみ
- 略歴
- 〈長野まゆみ〉1959年東京生まれ。女子美術大学卒業。88年「少年アリス」で文芸賞受賞。著書に「少年万華鏡」(全4巻)「新世界」(全5巻)「サマー・キャンプ」「絶対安全少年」「千年王子」など。
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紙の本
近くて遠い話
2004/02/21 21:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃおん - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性が語り役という、長野さんにしては珍しい作品。
主人公はデパートのおもちゃ売り場で働く女性で、動物でも、幽霊でもない、実際に何処にでも居る人物。しかし、彼女の弟は小学生の頃に失踪し、以来行方不明。そして、彼女と両親は弟がいつか帰ってくると待ち続けている。
当たり前に居た存在が、ある日突然無くなってしまう。その無くした人は何時まで覚えていてもいいのですか?
紙の本
「小説的」な作品
2003/03/05 20:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:沢居すだち - この投稿者のレビュー一覧を見る
「実際に居そうな人の、どこかにありそうな話」という感じです。
登場人物には女性が多数出てきますが、特筆すべきは、彼女らが今までのような「意味のない」あるいは「象徴的に意味を求める必要がある」女性ではないという点です。
ただならぬものを感じたのは、女性に関してだけではありません。
最近の傾向というか試みに従って、少年の年齢層も高くなっています。
ほとんど青年メイン。
ところが、白昼堂々シリーズや東京少年や猫道楽などとは明らかに違って、本当に彼らは「居そう」な人物ばかりです。
しかし、現実味がある、というわけではありません。
今までの長野作品には、「小説」というより「おとぎ話」に近いものがあったと思います。
長野さんが文学のつもりで書いていらっしゃったのかどうかはわかりません。
でも、たいがいのファンが「大人の為のおとぎ話」として長野作品を読んでいたことを考えると、「少年は少年という生きものであって、男性の過去の時代ではない」という型破りな小説の精神は、とても理に適ったものだったと思います。
ところが、ユーモレスクはそういうおとぎ話ではありません。
「失踪した弟」がキーワードとして流れているんですが、この弟はカンパネルラみたいな「少年というもの」ではなく、「不在そのもの」として書かれています。
物理的な象徴ではなく、時間的なものがもたらした人間関係の物語です。
そのように、時と共にうつろう人間を描くことこそが、小説の原点なのではないかと思います。
だから、ユーモレスクの青年たちは至って「小説的」です。
副嶋という少年にも、あまり長野的要素がありません。
やっぱり同性愛者だったり、女装趣味が出てきたりしてるんですが、昨今の小説にはもっとエキセントリックな傾向もあるので、設定としてはそんなに目立つものではありません。
「手が届きそうで届かない人や場所」というコンセプトは、一貫していてとてもわかりやすいです。
周子にとっては、それが弟の真哉であり、比和文彦であるというのは言うまでもありませんが、副嶋少年もそこに加えることもできます。
真哉の面影を希みながらいつしかそうではなくなってはいきますが、結論はない。
そのような余韻の残し方も、長野さんならではの「小説」として評価できます。
紙の本
受け容れるということ
2017/04/19 20:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
大事な誰かの不在を、喪失を受け容れるのはただひたすら辛い。自分の中の空白を直視しなくてはならないのだから。受け容れたら次はその空白を愛していけるかどうかだし。彼女は愛していくのですね。