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だれも「天国」へは行きませんでしたが…
2007/02/22 18:40
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めるとまず、物語のトンデモな設定に愕然とします。
表紙の二人は同時に車に轢かれて即死していますが、エコロジストにして日本製アニメオタクらしき宇宙人の女に囲われて、特殊仕様の肉体を持った状態でこの世に留まり、枯渇しつつある地球資源に還元するための「生体エネルギー」を採取するという、奇妙な仕事をさせられています。
彼らが存在しているのは、すでに過去になったはずの、ある特定の一日。その無限にループする一日のなかで、主人公の守谷はなぜか人間の精液を、相棒の渡瀬はどういうわけか人間の処女の生き血を集めろと命じられています。それらの「生体エネルギー」をたくさん集めれば、二人が轢死した時刻よりも前の時間に戻して生き返らせてやるというのが、宇宙人の提示した条件だったのですが…。
非常に情けない話なのですが、正直、一読しただけでは、このお話がハッピーエンドなのか、不幸な未完なのか、よく分かりませんでした。再読してみて、どうやら「ハッピー(?)」であるらしいことは理解したのですが、未完疑惑はどうしても消失しませんでした。
まず、この二人を囲っている宇宙人女の意図がよく分かりません。エコロジー運動のための実験にしては、異様に効率の悪いやりかたをしていますし(だいたい生体エネルギーがなぜ「体液」なんでしょうか。しかも直接口から吸引させるって一体…)、生前から因縁のあった二人を被験者に選んだ理由もはっきりしません。
この宇宙人、どうやらエコロジーは二の次で、守谷と渡瀬の恋愛関係をいじることのほうが主要目的に思えてなりません。彼女の行動を見ていると、そもそも二人の死因も、極めて怪しいものに見えてきます。だいたいどこの誰が、歩道橋のフェンスにチワワをつないでぶら下げようなどと思うでしょうか。チワワを助けようとした守谷の転落の様子も、どことなく不自然です。一応手が滑ったことになっていますが、スポーツマンがあんなヘマをするかどうか。しかも手が届くほどすぐ後ろを、渡瀬が歩いているのです。どう考えても、これは罠です。
そして二人の「その後」がはっきりしないのです。守谷と渡瀬は、このまま閉じた時間のなかで、血液やら体液やらを集めながら、お互いを唯一無二のパートナーとして永遠に生き続けるのでしょうか。それとも、この二人の関係に奇妙な執着を持っているらしい宇宙人女に攪乱されて、またどこかに飛ばされるハメになるのでしょうか。あるいは当初の約束通り、人間としてもとの時間軸に戻ることができるのでしょうか…。
なにかこう、すっきり読み終わった気がしない作品ではあるのですが、なぜか妙に心に残るのが不思議です。そういえば、同じ作者の「王子の方舟」も、そんな読後感のお話でした。