紙の本
負けるなPS3
2007/09/16 20:49
11人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゲーム王国日本にとって、プレステ3の失敗は血涙して余りある衝撃だった。猪口才なXボックスに苦杯を舐めるとはまさか思っていなかった。その原因のひとつに、バカなソフト会社の叛乱が挙げられる。もちろん、ソフト会社の苦労は知っている。PS3用ソフトの開発は至難の業であり、ペイするのは難しい。だが、だからといって、XボックスにもPS3にもソフトを提供していたら、その末路は共倒れである。日本のソフト会社など、いつか必ず斬り捨てられる。親会社ソニーの敗北は日本ソフト業界の未来そのものに必ず直結している。
外部環境は他にも様々あるが、本書では主に内部の問題について触れられている。要するに、政治抗争を行っているうちに、ユーザーの視点を忘れていたのである。一体、どの購買層に売るつもりだったのか、何のためのCELLプロセッサなのか。ブルーレイの規格化遅れだけとは言わせない。いまいちそのコンセプトが見えないのは、戦略会議が機能不全に陥っている証拠ではないか。その現象は、先刻発売したROLLYにも見えている。
あんなロボットだか何だかよく分からん音楽プレーヤーなど一体誰が買うと言うのか。事前に予測しておくが、あんなもの売れるはず無い。断言してもいい。何故なら、年寄りは買わない。子供も買わない(買ってもらえない)、青年層もIPODやウォークマンの良さを知っている以上、買うはず無いからである。
PS3の性能は圧倒的なのである。上述したCELLはスーパーコンピューター並みの機能を発揮するウルトラチップなのだ。だが、それ故に、技術的にソフト開発におけるプログラミングに大変な負担が生じる。結果として、PS3にはクソみたいなソフトが並ぶだけとなった。
結局、本書でもいろいろ言われているが、PS3が売れない唯一の本質的原因はただひとつ。ソフトが無いことに尽きる。逆転の目は、FF13なのにまだスケジュールすら出せていない。おまけに、ドラクエ9までDSに盗られている。もしPS3でその二つを出してみれば、その時点で勝負は決まり。ヘビーユーザーは、どんなに強がっても必ずPS3に集まるしかない。
任天堂の戦略はその意味では明々白々で、爺さん婆さん、女性子供などのライトユーザー向けである。例えば、脳とれとか。いわば、XボックスやPSに対する奇襲作戦であった。その結果、いまや圧倒的勝利を得てしまった。
しかし、所詮WIIの天下は長続きしない。WII向けソフト供給で歓んでいるソフト会社はそこを理解すべきだ。奇しくもある業界の重鎮が発言したとおり、WIIの性能的限界はもう露呈しているのである。任天堂と言う日本勢が勝つなら、別にソニーが負けてもいいが、三日天下なのが分かっている以上、ソフト会社はソニーを支援すべきなのだ。
間も無く、東京ゲームショウの季節だが、おそらくXボックスは決めに掛かってくる。日本人は、今までどおり、Xボックスなど無視して、ひたすらPS3の爆発を祈るスタイルを貫き通せるか。販売店はレッドリング問題以降、リスク上、販売棚にX系を置かないところが多い。しかし、裏切り者の坂口博信がX専用ゲームを提供するともなれば、状況は変わるだろう。友人の話に拠れば、かなり傑作の可能性があるらしい。自由な環境の下でのびのびやったのかもしれないが、こういう連中が後を絶たず、困ったものである。坂口無き以降のFFの詰まらなさを思えば、実に慨嘆しても仕切れない。
ソニーは半導体事業を我が東芝へ売却するそうで、これ自体は電機業界の視点で見れば大変な慶事であるが、もっと内部にあるソニーの深刻な問題は、本書を見る限り、そしてROLLYを見る限り、治っていないことが良く分かる。その責任の大なる所は、出井会長の無能ぶりに帰されると思うのは、私だけではあるまい。そして、ソフト会社はXボックスの勝利は長期的に見れば、必ずソフト会社に天罰となって帰ってくると言う間違いの無い事実を直視し、短期的戦略に目を奪われる事のない様に自省して頂きたいと強く思うしだいである。
最後に、ユーザーの進化は止まらない。一度良い世界を体験したら、もう戻れない。スーファミからファミコンに戻らないが如く。故に、性能面で圧倒的優位を長期にわたって持てるPS3はソフトと戦略面さえ奏功すれば、必ず世界一に舞い戻れると私は内心では完全に確信している。
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★意外に真っ当★ソニー本の続きとして流し読み。先に読んだ本ではPS3の成果は出ていなかったが、この本は製作者の独善と高価格を端緒としてWiiに大敗したところから始まる。ブルーレイの組み込みを迫られるなど、ソニー内部の力学の作用もあり発売が遅れ迷走したとのこと。業界を振興させなければならないゲーム雑誌とは一線を画し、思ったより丁寧に経営を追っている。
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失敗するべくして失敗したプレステ3。
面白いけど途中からかなり脱線。
実はPS3は(全てじゃないが)良いマシンと言う事もよくわかる。
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けっこう前に買って1度全部読んでるのは覚えてるんだけど
さっき読んだが無理
一応、最後まで読んだけど全く面白くない、かと言って勉強、ためになる話でもない
途中はパラパラとめくった
PS3の事だけじゃなくて任天堂、マイクロソフトのハード、HD-DVD、ブルーレイなどの話もあるのでSONYの事、それにまつわるモノに興味ある人が読めば面白いのかもしれない
読んでて発売日に並んだ事とか思い出して、懐かしい気分にはなったw
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自分はこの本で取り上げているプレイステーション3の失敗した理由はあっていると思います。
プレイしステーションの性能は素晴らしいとは思うが値段が高く、発売日に出回る個数も少なく消費者を困らせるのはいけないことだと思います。
プレイステーション2でよく遊んでいた自分は今回のプレイステーション3の失敗が残念で仕方がありません。プレイステーション3が手軽に購入する日が来てほしいなと思います。
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初代ps3が発売されてから半年後くらいに出た本である。
薄型ps3が発売され、一定の成功を収め、年末にはいよいよff13が発売されps3の攻勢が気になる(国内外で。国外はxbox360版も出るため)今、読んで見てもなかなか面白く読めた。
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[ 内容 ]
二〇〇六年末から激しい競争が繰り広げられてきた次世代ゲーム機戦争。
だがここにきて、その結果は明らかとなってきた。
「任天堂の圧勝」「ソニーの敗北」…。
性能の面では他社を圧倒したはずのPS3は、なぜユーザーの支持を得られなかったのか。
強大なはずのソニー帝国は、いかにして自滅の道へと突き進んだのか。
PS3開発計画の裏に見え隠れする、巨大企業ソニーの問題点を検証する。
[ 目次 ]
第1章 勝敗は三ヶ月で決まった
第2章 ブルーレイのくびき
第3章 PSの栄光に隠されていた闇
第4章 出井体制の「失われた十年」
第5章 久夛良木氏の夢・CELLはソニーを傾かせる
第6章 ソニーはなぜiPodを作れなかったのか?
第7章 PS3は生き残れるか?
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ソニーとSCEの関係が少しわかります。
現在のPS3の状況と比較すると、「そういえば出た当時はこんな印象だったな。」と思い出させてくれました。
タイトルからは否定的なイメージが浮かびますが、内容はPS3を応援する立場です。タイトルが完全に勝っていて、内容で驚くことはさほどないです。
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多根さんは「地雷をポイ捨てする」という表現が相応しいと言うべきか、無感情的に痛烈な皮肉を置いていく。気づかない者にはそのまま真面目な文面に見えネタを理解する者にはグッとつぼを突いた笑いを与える。
本書はあくまで考察の域を出ず、学問的では無い。個人の意見、思い入れを視野に含め過ぎているという意味でね。
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ゲーム機から、ソニーという会社の問題点を分析した本である。ファミコンからリアルタイムで見て来たゲーム機の歴史を振り返る事が出来て面白い。因みにPS3はもっておりませぬ。
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(推薦者コメント)
正直なところ、この書名では選定されないと思うが、本書はPS3が当初売れなかった理由を探ることに始まり、ソニーという大企業の抱える潜在的問題点を端的に纏めたものである。その視点は、ソニーにとどまらず、数多くの大企業にも当てはまる“落とし穴”であろうと思える。
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「超クソゲー」のライター、多根氏の著書。今更ながら読みました。2007年著なので4年ほど前ですね。
「失敗」と結論付けされてはいるが、ソニーへの優しさが文面に滲み出てて納得できる部分も多い。
価格面で損している部分は、今の価格になってようやくPS3が適正価格になったと感じるから多分合ってるんでしょう。
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2012年3月11日読了。ソニーという企業が抱える病、社内政治、企業ビジョンの読み違いなどから、「プレステ3が失敗するべくして失敗した」ことを解説する書。一言で言うと「ソニー全社で総力を挙げてプレステ3を成功させるべく動くことができなかった」ことが原因。なぜそうなったかというと「当時の文系出身社長・出井氏の技術への理解不足」「SCEの牽引者・久夛良木氏への社内の反発」「ブルーレイの利権のための取引材料とされた」「ゲーム機なのか何なのか、位置付けが不明確」「市場を考慮しない価格付け」など、挙げればきりがないほど・・・。技術者にとって開発しやすいマシン・開発を促進する環境を整えたことがPS1の成功の要因だったが、PS2のビジネスにおいてPS1の成功を分析せず、プレステ3でもPS2のビジネスモデルを踏襲してしまったことが悲劇の始まりだったのか・・・。我が家にもプレステ3はあるが、熱量がすごすぎてブルーレイ再生機としても使用していない。哀しいことだ。
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プレステ3を題材にしつつ、結局ありがちなソニー批判になっている一冊。それにしては取材が足りないし、インタビューとかも寄せ集め。
そして「~である。なぜか?」と、無駄に文字数を増やす努力が痛々しくてさらっと読めるはずの一冊が辛かった。
一方でPSPを成功と分析するのであれば、そっちもきちんと書いて欲しいし、論文にもなっていないしエッセイとも言えないなんか中途半端な感じ。
出版社が出版社なので期待してなかったですけど。