紙の本
思わず応援したくなるウララの店長さん!
2014/01/12 11:20
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2011年11月に沖縄県は那覇市の市場に誕生した「市場の古本屋 ウララ」
店主は1980年生まれの若き女性。もともと都心の書店に勤めていたのが、自ら願い出て那覇店へ異動となり、その2年後には古本屋さんの店主へ。
「いまだに冗談のような気がしながら、毎日シャッターを開けて、市場中央通りに一日じゅう座っている」
そんな古本にどっぷりつかった宇田智子さんの日々が綴ってあります。
サブタイトルにもあるように、ひょっこり始めたっていう感じが、そのまま伝わるような、とても読みやすくページがさくさく進む一冊。
店名がウララになったいきさつや、
看板にもなっているフクロウの興味深い話や、
市場のお客さまとのふれあいや、
はたまた中国の古書イベントに招かれて大活躍する話、
沖縄本の話…などなど。
読んでいて、思わず応援したくなる店長さん。
この本を読んだら、お店に行きたくなること、間違いなしです!(●^o^●)
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確か、ジュンク堂での平積みで見つけた1冊。
いわゆる“沖縄本”で、沖縄地場の出版社が編んでいます。
著者の宇田智子さんは元は横浜の大型書店で働いていたそうですが、
沖縄出店に伴って異動し、何故か古本屋を営むようになりました。
その経緯がなんとも自然体で描かれていて、しっとりと入ってきました。
そして、沖縄・出版事情の裏側が見えてくるようで、非常に興味深くもあります。
なお、この本を読んでしばらくしてから、お世話になった友人が沖縄に転勤に、
たおやかな本好きといった風や、自身が望んでの沖縄入りといった共通点など。
自然体で頑張ってほしいなぁ、、とのエールをこめて、
押しつけ、、もとい一緒に旅立ってもらいました。
また、その友人さんが、沖縄の読書時間の平均は一番少ないとも言ってまして、
これが地場での出版社が多いことと矛盾しているようで、非常に気になります。。
現地調査?という名目で、たまには沖縄本島もぶらついてみたいですね~
“沖縄時間”という言の葉があるのかはわかりませんが、
本土とは異なった時間や空間が流れているなとは感じます。
この辺は、久米島の原風景を持つ佐藤優さんともリンクしそうです。
なんとなく、東北やアイヌの“まつろわぬ”人々と同じく、
狭義での“ヤマト”とはまた異なる“エトス”を根底に持っているのかな、とも。
異国情緒と言うほどには遠くなく、でもどこか違った感性が散りばめられていて、
沖縄の時間に包まれて、こんな風に本に囲まれるのであれば、幸せだろうなぁ、、なんて。
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大学を出て、ジュンク堂に勤めていた著者。でっかい新刊本屋の東京の店で、くるくる働いていたが、だんだんしんどくなってくる。あまりにも忙しい。大きすぎて、多すぎて。
▼入社してからまもなく十年。店の広さに本の量、お客さまと従業員の数が、だんだん手に余ってきた。なのに把握しているふりをして立ちまわることに疲れてしまった。仕事は楽しいのに、苦しい。
なんとなくそろそろかなと思いはじめた。…(p.51)
ジュンク堂が那覇に店を出すときに異動希望を出して、著者は沖縄にうつる。そこで出会ったのは、本土とは違う、郷土の"県産本"の多さ、それらの本を出す地元出版社の多さ。
ジュンク堂といえば、ちゃちな図書館より、よほど本がある大型店だが、そのジュンク堂の那覇店で、"県産本"は、本棚55列も並ぶのだという。それだけ盛りだくさんな本は、県内で独自に流通してきたなかで(本土への配本など別に考えずに)好きにやってきた部分もあって、全国展開する新刊書店でアタリマエにやってきた商取引ではうまく扱えないこともあった。
東京から船でやってくる新刊本は、台風がくると動きが止まる。そうでなくても数日は遅れ、欲しい本がなかなか入荷できず、送料にも悩む。「欲しい」と言われる本が、本土式の流通ではうまくいかなかったり、絶版だったりで、お客さんに断るときのくるしさ。
そして、著者は、那覇の市場にあった"日本一狭い古本屋"を継いで(ジュンク堂は辞めてしまって)、古本屋を始めるにいたる。店は3畳ほどの広さだという。
人が行き交う市場の前で、ときに自分の存在をひそめながら店番をし、ときにはお隣やお向かいにちょっと見ていてもらって、買い物に出たりもする。そんな日々のなかで、「本」について書かれているところが、おもしろい。
▼「本は他のものとは違うからね。お客さんが中に入ったら声はかけないで好きなように見てもらうのがいいよ」
と漬物屋さんにも言われた。
だいたい四角くて、火にも水にも弱く、賞味期限はなくても経年劣化し、内容は全部違って、ある人にとってはごみでも別の人には宝物かもしれない、本というもの。妙なものを売っているなと、まわりを見てあらためて思う。誰が食べても「おいしい!」と声をあげるアンダンスー(油みそ)が、ときどきうらやましくなる。(pp.104-105)
ジュンク堂のころには新刊書店のルートでは取り寄せられなくて断っていた本も、古本屋のいまは四方八方手を尽くして、全力で探せる。「欲しい」という本、「探していた」という本を、お客さんに渡せたときのうれしさ。
▼「本には人の気持ちが入っている。だから会いに行って、そこで買う」
国頭から与那国まで。
「あなたの店には郷愁と哀愁を感じるよ。ここからたくさんの出会いと思い出が生まれるはずだ。そこそこ繁盛して、名所になるといいね」(p.176)
この本が、沖縄の出版社ボーダーインクから出ているところが、またいいなと思う。この本を暮れに読み、正月に父ちゃんちへ行くと、新聞に著者の宇田さんが載ってい���。
(2013/12/30了)
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ほんわかな文章の雰囲気がいい本でした。
この人、文才もあるかも。
トナリの業界のわけだがよく知らなかった書店の世界、古書の世界を少し知る。
そもそも著者の雰囲気がほんわかなのだが、けっこうなやり手なのだと思う。
やはり「あの著者」と対談させたいか?
著者の店のあたりは、沖縄に行くたびにさんざん歩いた道。
沖縄本からはここのところ遠ざかっていたが、
また行くときにはぜひ寄ってなにか買おう。
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ジュンク堂書店に入社し、池袋本店で人文書を担当していた著者。
沖縄那覇店開店に異動を願い出て沖縄へと旅立つ。
そこで、沖縄のいろいろな人と出会い、やがて知り合った個人書店からお店を譲り受け、古本屋を始めてしまう。
沖縄の人たちや、東京のジュンク堂でのつながりが羨ましい。
まだまだ途上の<市場の古本屋 ウララ>が、どんな出会いと絆を結んでいくのか楽しみです。
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沖縄 そして 古本屋
その 二つのキーワードに惹かれて
手にとって読み始めました
初めのうちは うーーん ちょっと…
でしたが
沖縄に移住して 偶然にも 売り出しの「古書店」に出逢ってからが 俄然おもしろい
読み進めながら
幾度も がんばれ!
と つぶやいてしまった
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ジュンク堂をやめて沖縄で古書店を開いた宇田智子さんの自伝。沖縄の県産本に魅せられて、そしていつの間にか沖縄という土地の肌感覚にゆらゆらと繋がってしまったんだろうな。穏やかで正直な気持ちが伝わってくる心地よい一冊。是非とも、うららに行ってみようっと!
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暑いより寒い。沖縄より北海道のほうが好きだけど。読んでしまった、面白かった。これで沖縄行きたくなってしまった。
http://www.ne.jp/asahi/behere/now/newpage200.htm
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なんとなく、その時の想いに影響を受けて流されてゆくような筆者の日常を描いているようだけれど、大手書籍店の人文担当をこなしてきただけの知識と背景をもって、筆者の今がある。 何となくその時の選択をしているようだけれども、著者の知識と経歴がよりよい方向の将来に彼女を導いているようにみえる。 流されながらも意志の力がきちんとはたらいて生きている著者の生き方に共感と憧れを感じた。 この先、著者とその周りはどのように変わってゆくのだろうか。 どうか著者をはぐくんだ那覇を拠点に今後もささやかな情報を発信していってほしい。
読んでいて気持ちの安らぐ心地よい一冊だった。
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いいなぁ。ものすごく憧れる。
なんとなく力の抜けた感じで、地に足ついて本屋をやっている様子がやわらかく綴られる。
ゴリゴリしてる訳ではないんだけれど、本との向き合い方、沖縄との向き合い方も、すごく真面目な方なんだなぁと思う。本への愛情も、じわわとつたわってくる。
こんな感じで暮らしていけたら幸せだなぁと、シミジミ。
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「那覇の市場で古本屋」という本。
こちらはボーダーインクという沖縄の出版社が出している。
ボーダーインクという出版社のことも初めて知った。
沖縄にはこうした独自の出版社をはじめ、県産本、地域独自の本が多数ある、という。
こうした本は、発行部数が少ないこともあり、すでに絶版となっている本が多数あるという。
そのため、ジュンク堂のような大型書店でも拾いきれないほど、点数も多く、新刊では出回っていないという実情もあるそうだ。
著者が大型チェーン店の本屋から、わずか3坪の小さな、市場の雑踏のなかにある古本屋に転身したのもそうした沖縄独特の事情もあるのだろう。
また、それ以上に著者は沖縄独自の本の世界に惹かれていったのだと思う。偶然、前のオーナーがその古本屋を閉めるというめぐりあわせも含めて。
本書を読むと、あまり前面に出るタイプではない著者の性格が、淡々とした日常をつづる文章から感じられる。
日々せわしく人が行きかう市場を、小さな古本屋の女店主が見つめ、描いていく。
沖縄の古本屋のつながりの強さを感じる。
小さな規模の組合、独自の文化の発達した土地ならではの本の流通、そのなかでの協力や共有があって、小さな古本屋を営むことができているのだと。
それは、大型書店の書店員として働いていたときから、本を通して沖縄の人との縁を深め、また沖縄の独特の本屋の雰囲気を敏感に感じ取った著者の人柄と嗅覚が、そのつながりを強くすることを助けているのだと思う。
小さいながらも、真摯に本と向き合い、「本が好き」ということを仕事にしている。
ぜひ、沖縄に行ったときには訪ねてみたい。
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ウララの宇田さん。
直接お話を聴かせていただくのとは違う
ゆったりとした流れでしっかりと選ばれた言葉が並んでいて楽しかった。
またちょっかいかけにいこうと思う。
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本書の著者宇田智子さんの「本屋になりたい」を先に読んでしまった事を激しく後悔した。
こっちから読みたかった。
沖縄旅行に行った。
「市場の古本屋 ウララ」で本書を購入。
本書を読了後沖縄に行っていればもっと満喫できたと想像し得る、日常の国際通り周辺の出来事も満載だった。
沖縄県産本の魅力を十分に納得して思ったのは、わが町の郷土本も読んでみるべきだと思った。
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紙のカバー付けてて、表紙の写真がとってもいいの読み終わるまで気づかなかった(^_^;)ゆったりでもない、まったりでもない、「沖縄時間」な時の流れ方が心地良い。この本持ってまた沖縄行きた〜い!
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面白かった!沖縄に移住したり古本屋始めたりした理由が緩くて、読んでて楽(ノ´∀`*)
そうだよねえ、なんとなくだっていいよねえ。
最後の中国でのイベントの話が一番面白かった。
ちょっと見てみたいかも。招待してくれた中国の古本屋さん♪(´ε` )